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Botox

僧帽筋ボトックスでなで肩に、肩のボリュームは本当に減って副作用はないのか

By Dr. Kim1 min read

首と肩の境目がふっくら盛り上がっていると、肩が狭く窮屈な印象になります。とくに僧帽筋が発達していたり緊張でこわばっていたりすると、首が短く見えて服のシルエットもすっきりしません。この盛り上がった僧帽筋にボトックスを打ってボリュームを抑え、首を長く、肩のラインをなめらかに見せる施術が僧帽筋ボトックスです。英語圏ではバービー人形のような華奢な肩に近づくことから「バービーボトックス」とも呼ばれます。

仕組みはエラボトックス(咬筋ボトックス)と同じです。筋肉を休ませてボリュームを減らします。ただ僧帽筋は肩を持ち上げたり姿勢を保ったりする働きがあるため、量と打つ位置を慎重に見極める必要があります。僧帽筋ボトックスが具体的にどんな施術で、どのように肩が細く見えるようになるのか、効果と持続期間、副作用の有無、向いている人まで、実際の論文をもとに一つずつ整理しました。

僧帽筋は首から肩、背中上部をひし形に覆う筋肉で、上部の線維が盛り上がって見える

僧帽筋ボトックスとは?

僧帽筋は首の後ろから肩、背中の上部まで広く覆うひし形の筋肉です。このうち首と肩の境目にあたる上部僧帽筋が盛り上がっていると、肩が狭く首が短く見えてしまいます。僧帽筋ボトックスは、まさにこの上部僧帽筋にボツリヌストキシンを注射して筋肉を休ませ、時間をかけてボリュームを減らしていく施術です。

僧帽筋が目立つ理由の多くは筋肉そのものにあります。スマホ首や巻き肩といった姿勢のくせ、肩に力が入りやすい習慣、ストレスによる緊張などで上部僧帽筋がこわばり発達してしまうのです。こうした筋肉由来のボリュームはボトックスによく反応します。

僧帽筋ボトックスに使うボツリヌストキシンは、咬筋や額に使うものと同じ成分である

首が長く見え、肩から腕にかけてのラインがなめらかになる効果から、英語圏ではバービー人形のように華奢な肩という意味で「バービーボトックス」や「トラップトックス」とも呼ばれています。

僧帽筋ボトックスに使われるボツリヌストキシン製剤、咬筋や額のボトックスと同系統である
原理そのものはエラを小さくする咬筋ボトックスとまったく同じで、筋肉を弛緩させてボリュームを減らすという点がポイントです。ただ僧帽筋は肩を動かし姿勢を支える筋肉であるため、美容効果と機能面を両方考える必要がある点が異なります。そのため肩を細く見せることと肩の力を保つことのバランスを取るのが、この施術のカギになります。

神経の末端からアセチルコリンが放出されて初めて筋肉は収縮するが、ボトックスはその分泌を止めて筋肉を休ませる
神経の末端からアセチルコリンが放出されて初めて筋肉は収縮するが、ボトックスはその分泌を止めて筋肉を休ませる

どうやって肩が細くなるのか?

ボトックスが筋肉を小さくするプロセスは、神経と筋肉がつながる部分から始まります。本来、神経はアセチルコリンという伝達物質を放出して筋肉を収縮させます。ボツリヌストキシンはこの伝達物質の放出を妨げます。神経が筋肉に「力を入れろ」という命令を送れなくなるのです。

命令が届かなくなると、筋肉は力を発揮できずに休んだ状態になります。使わない筋肉が時間とともに細くなっていくのと同じように、上部僧帽筋も少しずつ萎縮してボリュームが減っていきます。盛り上がっていた部分が落ち着き、肩のラインがなめらかになる仕組みです。

このプロセスはエラを小さくする咬筋ボトックスとまったく同じです。噛む筋肉を休ませてエラが小さくなるように、肩の筋肉を休ませることで僧帽筋のボリュームが減っていきます。そのためボリュームがはっきり減るには筋肉が萎縮する時間が必要で、施術直後ではなく数週間かけて徐々に細くなっていきます。大切なのは、この効果が永久ではないという点です。時間が経つと神経の伝達が回復し、筋肉も再び力を発揮してボリュームも戻ります。そのため効果を保つには、定期的に打ち直す必要があります。逆にいえば、副作用が起きても時間が経てば回復するということでもあります。

片側50単位の投与で肩の角度が116度から122度へゆるやかになり、満足度は約80パーセントと報告されている
片側50単位の投与で肩の角度が116度から122度へゆるやかになり、満足度は約80パーセントと報告されている

本当に効果はあるのか?

実際の研究でも効果は確認されています。僧帽筋ボトックスを扱った複数の研究をまとめたレビューでは、程度の差はあっても対象者全員に肩のライン改善が見られました。片側50単位を使用したケースでは、肩が上がった角度が2か月の時点で116度から122度へとゆるやかになっています。盛り上がりが下がり、肩が水平に近づいたという意味です。

筋肉の厚みを超音波で測定した研究もあります。両側の僧帽筋が発達した女性20人に合計100単位を注射したところ、施術後の複数の時点で筋肉の厚みがはっきり減少し、12週前後で開始時より約13パーセント薄くなり、もっとも減少幅が大きくなりました。その後は薬の効果が切れるにつれて厚みが徐々に戻っていきました。満足度も高く、非常に満足とおおむね満足を合わせるとほとんどの人が結果に満足していました。別の研究でも満足度は約80パーセント、再施術を希望する割合は約70パーセントと報告されています。

超音波で測定した僧帽筋の厚みは12週前後で約13パーセント薄くなり、薬の効果が切れるとともに徐々に戻る
超音波で測定した僧帽筋の厚みは12週前後で約13パーセント薄くなり、薬の効果が切れるとともに徐々に戻る

僧帽筋のボリュームが減ると、盛り上がっていた肩のラインがゆるやかになり首が長く見える

正直なところ、これらの研究の多くは参加人数が少ない症例報告の域を出ておらず、大規模でしっかり設計された試験はまだ十分とはいえません。それでも肩のボリュームが減り満足度が高いという方向性は、複数の研究で一貫しています。肩こりが一緒に楽になったという人もいますが、痛みの軽減効果は研究によって結果が分かれるため、こりが和らぐかどうかは個人差があると考えるのが正確です。

上部僧帽筋、つまり首と肩の境目の盛り上がった部分にボツリヌストキシンを分けて注入する

どこに、どれくらい注射するのか?

使用量は研究によって多少異なります。おおよそ片側20〜50単位、両側合わせて50〜100単位程度が報告されています。片側5〜10か所に分けて注射します。まだ標準として定まった用量があるわけではないため、筋肉の発達度合いや目標に合わせて調整します。

とくに重要なのが注射の位置です。解剖学的研究によると、後頭部の下にある骨の突起から肩の先端までを結んだ線を引いたとき、その線の60〜80パーセントの区間に神経と筋肉が接する部分がもっとも多く集まっています。この区間に注射することで効果が高く、安全性も保たれます。

後頭部の骨から肩先を結んだ線の60〜80パーセントの区間に注射する
後頭部の骨から肩先を結んだ線の60〜80パーセントの区間に注射する

また僧帽筋の内側に注射し、外側は避けることが推奨されています。外側の深い部分には肩を動かす重要な神経が通っているためです。深さも重要で、深く入りすぎると下にある別の筋肉や神経に触れてしまう恐れがあるため、僧帽筋の層に正確に注射する必要があります。正確な位置と深さを見極めるために、超音波で確認しながら注射することが推奨されます。結局のところ、どれだけ入れるかよりどこに正確に入れるかが結果と安全性を左右するため、僧帽筋の解剖に詳しいクリニックで受けるのが安心です。

肩のスリミング効果は4〜6週間かけて現れ、12週で最大になり、持続期間は4〜5か月である
肩のスリミング効果は4〜6週間かけて現れ、12週で最大になり、持続期間は4〜5か月である

持続期間はどれくらいで、副作用はないのか?

効果が現れるスピードは部位の特性上、少しゆっくりです。こりが楽になるのは施術から数日後に感じることもありますが、目に見えて肩が細くなるのはおおよそ4〜6週間かけて現れます。筋肉の厚みがもっとも減るのは12週前後です。持続期間はおおむね4〜5か月程度と報告されています。

副作用の多くは軽く、一時的なものです。複数の研究をまとめたデータでは、10人に1人程度が施術後数日以内に軽い肩の脱力感を感じましたが、たいてい1〜2か月以内に回復しています。そのほかは注射部位の痛みや内出血が一時的に出る程度で、深刻あるいは永続的な問題は報告されていません。

ただし用量が多すぎると話は変わってきます。僧帽筋は肩を持ち上げたり重いものを持ったりする働きを担っているため、量が多すぎると肩に力が入りにくくなったり、重いものを持つのがつらくなったりすることがあります。そのため、とにかく多く入れて効果を大きくしようとするより、適量を正確な位置に注射するほうが安全です。効果も副作用も時間が経てば元に戻りますが、戻るまでに数か月かかるため、最初から入れすぎないようにするのが賢明です。

肩の盛り上がりの原因が筋肉であれば反応がよく、脂肪や骨格が原因の場合はボトックスの効果は限定的である
肩の盛り上がりの原因が筋肉であれば反応がよく、脂肪や骨格が原因の場合はボトックスの効果は限定的である

どんな人に向いているのか?

僧帽筋ボトックスが向いているのは、ボリュームの原因が筋肉にある人です。姿勢や緊張によって上部僧帽筋が発達し盛り上がっている場合、ボトックスによく反応して肩のラインがなめらかになります。スマホ首や巻き肩でいつも肩がこっている人にとくに向いています。

逆に、肩が広く見える原因が筋肉ではなく脂肪や骨格、たとえば鎖骨の角度や肩甲骨そのものにある場合は、ボトックスで大きな変化を期待するのは難しいでしょう。自分の肩の盛り上がりが筋肉によるものかどうかをまず見極めることが大切です。押してみて硬く張っている感触があれば、筋肉性である可能性が高いといえます。

効果を長く保つには、姿勢のケアも一緒に行うのがおすすめです。根本的な原因が姿勢にある場合、ボトックスでボリュームを減らしても悪い姿勢が続けば、また筋肉がこわばり発達してしまうからです。ストレッチや姿勢の改善、肩の力を抜く習慣を取り入れると、施術の効果がより長続きし再発も減らせます。長時間座って画面を見る人なら、こまめに肩をほぐすだけでも役立ちます。結局のところ、僧帽筋ボトックスは筋肉由来のボリュームを正確な位置に適量で減らし、そこに姿勢のケアを組み合わせるのが最良の組み合わせです。

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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