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ガミースマイルのボトックス、どの筋肉に何ユニット打つのか、効果と持続期間、副作用まで

By Dr. Kim1 min read

笑ったときに上の歯茎がしっかり見える笑顔を、一般にガミースマイルと呼びます。明るく開放的な印象ではあるものの、歯茎が見えすぎるのが気になって、つい笑うのを控えてしまうという方もいます。こうしたときに比較的手軽に試せる方法がボトックスです。

ただし、ガミースマイルといっても中身は一様ではありません。原因が筋肉であればボトックスがよく合いますが、歯茎や骨が原因の場合はボトックスだけでは不十分です。そのため同じ施術を受けても、歯茎がすっと目立たなくなる人もいれば、あまり変化を感じない人も出てきます。まず原因を見極める診断が先に必要になるのはこのためです。この記事では、ガミースマイルとは正確に何なのか、どんな原因のときにボトックスが効くのか、上唇を引き上げるどの筋肉のどこに打つのか、効果と持続期間はどれくらいかを、実際の論文をもとに整理します。

笑ったときに上の歯茎が3mmを超えて見えるとガミースマイルとされる

ガミースマイルとは正確に何を指すのか

ガミースマイルとは、笑ったときに上の歯茎が大きく露出する笑顔のことです。英語で「歯茎が見えすぎる笑顔」という意味からこう呼ばれ、医学的には歯肉の過剰露出と表現されます。

一応の目安があります。大きく笑ったときに歯茎が1〜2mmほど見えるのは自然な範囲です。歯茎の露出が3mmを超えるとガミースマイルとされ、6mm以上になると目立つ部類に入ります。歯茎が少し見えること自体は若々しく生き生きとした印象にもなるため、あえて手を加える必要がないケースも少なくありません。

ガミースマイルは思われているより珍しくありません。20〜30代の約10%に見られ、男性より女性にやや多く、加齢とともに上唇が下がってくると自然と目立たなくなっていきます。病気ではなく、笑ったときの上唇の上がり方と、歯茎・歯・顎の骨のバランスがつくり出す顔の特徴だと理解すれば十分です。

そのため、笑顔の写真で実際に何mm見えているかを測るのが診断の出発点になります。歯茎がわずかに見える程度なら特に手を加える必要はなく、3mmを超えて気になる場合は原因を確認したうえで方法を選べば良いということです。次にその原因を分けて見ていきます。

原因が筋肉ならボトックスが合い、歯茎や骨が原因なら別の治療が必要になる
原因が筋肉ならボトックスが合い、歯茎や骨が原因なら別の治療が必要になる

原因によって治療法は変わるのか

同じガミースマイルでも原因はさまざまで、原因によって合う治療も変わってきます。大きく3つに分けられます。

1つ目は筋肉が原因のタイプです。上唇を引き上げる筋肉の力が強い、あるいは動きが大きいために、笑ったときに唇が過剰に引き上げられるタイプです。ボトックスが最もよく合うのがこのケースで、筋肉の力をわずかに緩めてあげることで、笑ったときの唇の上がりが抑えられ、歯茎の露出も減ります。

2つ目は歯茎が原因のタイプです。歯の成長は終わっているのに歯茎が歯を覆ったまま下がりきらず、歯が短く、歯茎が広く見えるタイプで、受動的萌出遅延と呼ばれます。このケースでは歯茎のラインを整える歯肉形成術やクラウンレングスニングが必要で、ボトックスでは解決しません。

3つ目は骨が原因のタイプです。上顎の骨が縦方向に長く成長し、歯茎ごと下に位置しているタイプで、上顎垂直過成長と呼ばれます。このケースは顎の骨に対応する顎矯正手術が根本的な解決策で、ボトックスの効果は限定的です。原因が骨や歯茎にある場合、ボトックスだけを打っても期待したほど改善しないことがあるため、施術前に原因を見極める診断がまず必要です。幸い、笑ったときに歯茎が大きく見える一般的なタイプは筋肉が原因であることが多く、ボトックスで穏やかに改善する例も少なくありません。

上唇を引き上げる3つの筋肉が小鼻の脇で交わり、イェンセイポイントに打つと一度に届く
上唇を引き上げる3つの筋肉が小鼻の脇で交わり、イェンセイポイントに打つと一度に届く

どの筋肉のどこに打つのか

上唇を引き上げる筋肉は小鼻の脇に集まっています。ガミースマイルのボトックスはこの筋肉群を狙います。中心となる筋肉は3つです。

最も内側で鼻の脇を縦に走るのが上唇鼻翼挙筋です。英語表記の略でLLSANとも呼ばれます。前歯側の歯茎を見せる主な筋肉です。その隣に上唇挙筋、さらに外側に小頬骨筋が並んでいます。小頬骨筋は犬歯より奥の歯茎の露出に関わります。このとき、さらに外側にある大頬骨筋にまで薬剤が広がると、口角を引き上げる力まで弱まり、笑顔がぎこちなくなることがあるため、外側に打ちすぎないことが重要です。

注射位置は主に2つの方式があります。1つは鼻孔から外側へ3〜5mm離れた小鼻脇のくぼみに打つ古典的な方法で、片側あたり2.5ユニットほどを入れます。もう1つは3つの筋肉が1点で交わる位置を狙うイェンセイポイントです。延世大学の解剖研究で示された位置で、小鼻の付け根から垂直に下ろした線の外側1cmと、口角から3cm上に引いた水平線が交わる点にあたります。この1点に打つことで3つの筋肉すべてに一度に届き、何箇所も刺す必要がなくなります。片側2〜3ユニット、両側合わせて4〜10ユニット程度を使うことが多いです。左右対称に、少量から始めて反応を見ながら調整するのが安全です。

前歯型は内側の筋肉に、犬歯型は外側の筋肉に分けて打つ
前歯型は内側の筋肉に、犬歯型は外側の筋肉に分けて打つ

前歯型と犬歯型で打ち方は変わるのか

歯茎が露出する位置によって注射する場所を分けるアプローチもあります。ある研究では、歯茎の露出部位を基準にガミースマイルをいくつかのタイプに分類しています。

前歯型は前歯上部の歯茎が主に露出するタイプです。最も内側の筋肉である上唇鼻翼挙筋が主役なので、その位置を狙います。犬歯型は犬歯より奥の歯茎が露出するタイプで、外側の小頬骨筋も軽く緩めます。このとき前歯型より少ない量を使い、大頬骨筋を避けて内側に打ちます。前後どちらも露出する混合型は両方の位置を見ながら、片側だけ強い非対称型はその側に合わせて量を調整します。

こうしてタイプを分ける理由はシンプルです。歯茎が前で見えているのに外側だけに打ったり、後ろで見えているのに前だけに打ったりすると、期待したほど改善しないためです。そのため、実際の笑顔を見ながらどこで歯茎が露出しているかを確認し、位置を定めることが結果を左右します。実際にこの部位別アプローチを用いた研究では、歯茎の露出面積が平均で75%ほど減少しました。ただし対象が16人と少ない初期研究のため、傾向を示す参考程度に受け止めるのが良いでしょう。

前歯の歯茎露出が2週間で5.2mmから0.1mmまで減り、3か月前後維持される
前歯の歯茎露出が2週間で5.2mmから0.1mmまで減り、3か月前後維持される

効果と持続期間はどれくらいか

効果については論文でかなりしっかり整理されています。30人を対象にした代表的な研究では、前歯の歯茎露出が施術前の平均5.2mmから2週間後には0.09mmまで減少しました。ほとんど歯茎が見えない水準まで下がったことになります。別の研究では前歯の歯茎で85%、犬歯の歯茎で83%の減少が確認されています。

時間経過についても整理されています。ボトックスは打ってから2日〜2週間の間に効果が出始め、2〜4週間でもっともはっきり現れます。その後は徐々に弱まっていきます。持続期間はおおむね3〜6か月程度で、額や眉間など他の部位のボトックスより短めです。口元は常によく動く筋肉なので、薬効が比較的早く抜けていきます。

そのため、維持するには継続的な施術が必要になります。最初の数回は3〜6か月ごとに打ち、筋肉の使い方の癖が少し落ち着いてくると間隔が延びることもあります。1つ参考になる点として、歯茎の露出が強いほどボトックスだけで完全に抑えるのは難しいということが挙げられます。露出が6mmを超える場合はボトックスの効果が弱く出る傾向があるため、他の方法も併せて検討したほうが良いでしょう。

ボトックスは速く元に戻せて、手術は長く続くが元に戻せない
ボトックスは速く元に戻せて、手術は長く続くが元に戻せない

手術と比べるとどうなのか

ガミースマイルへの対処法はボトックス以外にもあります。代表的なのが、上唇の裏側の粘膜を少し切除して唇の上がりを抑えるリップリポジショニングです。このほか、歯茎が原因なら歯肉形成術、骨が原因なら顎矯正手術が選ばれます。

600人を超える患者を集めた比較研究を見ると、傾向がはっきり表れています。施術後1か月の時点では、ボトックスと手術で歯茎の減少幅はほぼ同程度でした。ところが6か月、12か月と経つにつれ、手術は効果が維持される一方、ボトックスは薬効が抜けて歯茎の露出が元の状態に戻っていきました。つまりボトックスは速く手軽で元に戻せることが利点で、手術は効果が長く続くことが利点だと言えます。

そのため選択は状況によって分かれます。筋肉が原因の軽度なガミースマイルなら、ボトックスは合理的な最初の選択肢です。手術に抵抗がある場合や、まず軽く効果を試してみたい場合にも向いています。反対に歯茎の露出が大きい場合や、長く効果を維持したい場合は手術のほうが合うこともあり、手術とボトックスを組み合わせて初期の結果を高める方法もあります。

副作用についても知っておくと安心です。注射した部位の痛みやあざはよく見られますが、すぐに落ち着きます。量が多すぎたり左右差があったりすると、笑顔が非対称になったり、上唇が長く硬くこわばって発音や表情が少しぎこちなくなったりすることがあります。効果を戻す薬はありませんが、薬効が抜けて時間が経てば自然に回復します。だからこそ、少量から始めて左右対称に整え、実際の笑顔を見ながら位置を定めることが何より大切です。原因をきちんと見極め、筋肉が問題のケースに合わせてアプローチすれば、ガミースマイルのボトックスは短い施術で笑顔の印象をぐっと楽にしてくれる方法になります。

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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