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酒さと呼ばれる慢性的な顔の赤みはなぜ繰り返すのか、タイプや誘因から塗り薬とレーザーケアまで

By Dr. Kim1 min read

頬がいつも赤く、少し暑くなったり辛いものを食べたりするだけで顔がかっと熱くなり、鼻のまわりにニキビのような赤いものが繰り返しできるなら、それは単なる赤み肌ではなく酒さかもしれません。酒さはロザケアとも呼ばれる慢性の皮膚疾患で、名前は聞き慣れなくても、成人の20人に1人ほどが経験するほどありふれた病気です。

厄介なのは、酒さが一度の治療で終わる病気ではないという点です。良くなったと思っても紫外線を浴びたりストレスがかかったりすると再び赤みが出てきますし、間違ったケアでかえって悪化することもあります。ですから酒さは完治を目指すというより、誘因を減らしながら赤みを地道に抑え、長く付き合っていく病気に近いといえます。酒さが単なる赤み肌とどう違うのか、どんなタイプがあってなぜ繰り返し赤くなるのか、何が悪化させ、どんな薬や施術でケアしていくのかを、実際の研究データをもとに順を追ってまとめました。

酒さとはそもそも何か、単なる赤み肌と何が違うのか

酒さは顔の中心部、つまり頬や鼻、額やあごに赤みが長く居座る慢性の炎症性皮膚疾患です。誰でも暑くなると顔が赤くなってすぐに引きますが、こうした一時的な赤みと酒さは性質が違います。単なる赤み肌は刺激がなくなれば元の肌色に戻りますが、酒さは赤みがなかなか引かず、毛細血管が目立つうえに、ニキビのような炎症まで一緒に出てくることが多いのです。

そのため酒さは、メイクで隠したところで解決しません。表面上は似ていても、肌の中では血管と免疫反応が敏感になっている状態なので、原因を治療しない限り繰り返します。逆にいえば、自分の赤みが一時的な反応なのか、長く居座る病気なのかを見極めることがケアの第一歩になります。この二つの違いを下の表にまとめました。

項目単なる赤み肌酒さ
性質一時的な反応慢性皮膚疾患
持続すぐに引く長引く、繰り返す
膿疱ほとんどないよく伴う
毛細血管まれ多い
ケア刺激を避ける治療と長期管理

酒さは世界の成人の約5%が経験するありふれた疾患で、女性5.41%が男性3.90%より多い
酒さは世界の成人の約5%が経験するありふれた疾患で、女性5.41%が男性3.90%より多い

酒さはどれくらいありふれていて、誰に多いのか

酒さは自分だけが悩む特別な赤みではありません。世界各国の成人データをまとめた研究では、およそ20人に1人、つまり5%を少し超える人が酒さを持っていました。皮膚科ではごくありふれた疾患ということです。

性別で見ると、女性が5.41%で男性の3.90%より目立って多く見られました。また30代から50代にかけて、肌が色白で薄く赤みが透けやすい方に特に多く現れます。ただし男性は女性より人数は少なくても、鼻が厚くなる鼻瘤型のように重い形に進行することがあるため、男性だからと軽く考えていいわけではありません。

これだけありふれているぶん情報もあふれていますが、その分間違ったセルフケアで悪化させてしまう方も少なくありません。しかも初期には単に赤くなりやすい体質だろうと放っておき、膿疱や毛細血管が定着してから病院を訪れるケースが珍しくないのです。実際、酒さはニキビや脂漏性皮膚炎、アレルギーと間違われることもあり、思いのほか診断が遅れやすい疾患です。

酒さはタイプや重症度によって対応が変わるので、自己判断で刺激の強い製品を集中して使うより、まず自分がどのタイプに当てはまるのかを確認するほうが安全です。赤みが数ヶ月以上続き、膿疱や毛細血管も一緒に見られるなら、一度診察を受けてみる価値があります。

酒さは赤み・毛細血管拡張、丘疹膿疱、鼻の肥大、目の症状などさまざまな形で現れる

なぜ顔の赤みが繰り返すのか

酒さの赤みは大きく三つの要素が絡み合って生まれます。ひとつめは血管です。酒さのある肌は表面近くの血管が拡張していて、ちょっとした刺激でも簡単に広がるため、顔の中心がいつも赤く透けて見え、少し暑くなったり緊張したりするだけでかっと熱くなります。

ふたつめは炎症です。酒さの肌では体の自然免疫が過剰に働いていて、LL-37という抗菌タンパク質が必要以上につくられます。この物質が血管を広げ、炎症細胞を呼び集めることで、赤いニキビや膿疱ができるのです。簡単にいえば、防御システムが過敏に反応して自分自身を刺激してしまっている状態です。

みっつめはデモデックス(顔ダニ)です。デモデックスは誰の顔にもいる非常に小さなダニですが、酒さの肌、特にニキビや膿疱が目立つタイプではその数が際立って多くなります。このダニと、それに付随する細菌が先ほどの炎症の引き金を引きます。だからこそ、後で紹介するイベルメクチンクリームのようにデモデックスを減らす治療が炎症によく効くのです。

結局、血管、炎症、デモデックスが互いに影響し合いながら赤みを長引かせます。そこに肌のバリア機能が弱まって水分が逃げやすくなり、外部刺激に敏感になった状態が加わると、悪循環が固まってしまいます。そのため酒さの治療は、この中のひとつだけを狙うのではなく、血管はレーザーで、炎症とデモデックスは塗り薬と内服薬で、あわせてケアしていく方向で進めます。

酒さ患者1,066人が挙げた誘因は、紫外線81%、ストレス79%、暑い気候75%、飲酒52%、辛い食べ物45%の順だった
酒さ患者1,066人が挙げた誘因は、紫外線81%、ストレス79%、暑い気候75%、飲酒52%、辛い食べ物45%の順だった

何が酒さを悪化させるのか

酒さをケアするには、まず何が自分の顔をほてらせているのかを知る必要があります。患者1,066人に尋ねた調査では、1位は紫外線で81%が挙げ、続いてストレス79%、暑い気候75%、飲酒52%、辛い食べ物45%の順でした。ほとんどが日常でよく出会うものばかりです。

そのため、生活習慣のケアが治療の半分を占めるといっても過言ではありません。もっとも大切なのは毎日欠かさない紫外線対策です。日焼け止めをしっかり塗り、帽子や日傘で物理的に遮ると、赤みが出る頻度が確実に減ります。また、サウナや熱いスープ、急な温度変化のように顔に熱を与える状況を減らし、飲酒や辛い食べ物は自分の反応を見ながら加減するのがよいでしょう。

ひとつ役立つ方法として、誘因日記があります。数日だけでもいつ顔が赤くなったかを書き留めてみると、自分だけの引き金が見えてきます。人によってコーヒーに反応したり、特定の化粧品に反応したりするからです。刺激の強いスクラブやアルコール入りの化粧水、ゴシゴシこする洗顔も避け、低刺激で保湿力のある製品で肌のバリアを守ることが、赤みが出にくい肌への近道です。

酒さはどんなタイプに分かれるのか

酒さはひとつの形だけではなく、大きく四つのタイプに分かれ、タイプによって必要な治療が変わります。だからこそ、自分の酒さがどのタイプに当てはまるのかを知ることが大切です。それぞれの特徴を下の表にまとめました。

タイプ主な特徴
紅斑血管拡張型続く赤みと毛細血管
丘疹膿疱型赤いニキビと膿疱
鼻瘤型鼻の皮膚が厚くなる
眼型目のしみる感じ、異物感、充血

もっとも多いのは、赤みと毛細血管が長く続く紅斑血管拡張型です。ここに膿疱やニキビが繰り返し出てくると丘疹膿疱型で、ニキビと間違えやすいのですが、白ニキビがなく赤みが下地として広がっている点が違います。鼻瘤型は主に男性で鼻の皮膚がでこぼこと厚くなる形で、長く放置された場合に現れます。

見落としやすいのが眼型です。目がしみたり乾いた感じがしたり、異物感や充血が繰り返し起こりますが、皮膚の症状より先に現れることもあり、単なるドライアイだと思って見過ごしてしまうケースが多いのです。実際には二つ三つのタイプが重なって現れる人が珍しくないので、タイプはきっちり線引きするというより、今自分にどの症状が目立っているかを見て治療の重点を決める目安として使うのがよいでしょう。

塗り薬の炎症改善率はイベルメクチンが約83%、メトロニダゾールが約74%、アゼライン酸が約58%で、三つとも半分以上減らす
塗り薬の炎症改善率はイベルメクチンが約83%、メトロニダゾールが約74%、アゼライン酸が約58%で、三つとも半分以上減らす

薬とレーザーでどう治療し、長くケアしていくのか

酒さ治療の基本は塗り薬です。ニキビや膿疱がある丘疹膿疱型には、メトロニダゾール(metronidazole)やアゼライン酸(azelaic acid)、イベルメクチン(ivermectin)クリームが幅広く使われています。研究では炎症性病変をイベルメクチンが約83%、メトロニダゾールが約74%、アゼライン酸が約58%減らしました。この三つの数値はそれぞれ別の研究から出たものなので、順位そのままを優劣として読むより、いずれも半分以上抑えられる実証済みの選択肢だと捉えるとよいでしょう。特にイベルメクチンは先ほどのデモデックスまで減らすため、炎症に強く効きます。

炎症が強かったり、塗り薬だけでは足りなかったりする場合は内服薬を加えます。代表的なのは低用量ドキシサイクリン(doxycycline)40mgで、これは抗菌作用ではなく抗炎症作用を狙った用量なので、耐性の心配を抑えながら赤いニキビを鎮めてくれます。赤みや毛細血管そのものは塗り薬だけではなかなか引かないため、こうしたときは血管をターゲットにしたレーザーや光治療が助けになります。拡張した血管だけを選んで縮小させる方法なので、背景の赤みと毛細血管を何回かに分けて少しずつ薄くしていきます。

ここでひとつ、必ず伝えておきたいことがあります。赤いからといってステロイド軟膏を顔に長く塗り続けると、最初は治まったように見えても、やめた瞬間にかえってひどく広がるステロイド誘発性酒さへと悪化することがあるため、習慣的に塗るのは避けるべきです。そして酒さは完治というより管理していく病気です。薬や施術で良くなっても、紫外線や誘因が続けば再び赤みが出てくるので、良くなった状態を長く保つという気持ちで生活管理を続けることが、もっとも確実な治療といえます。

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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