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赤い点、老人性血管腫はなぜできる? 血管レーザーと電気焼灼のどちらで消し、傷跡なくケアする方法

By Dr. Kim1 min read

首や胸、腕にゴマ粒ほどの鮮やかな赤い点がぽつぽつと出てくることがあります。プクッと盛り上がった真っ赤な点は痛みもかゆみもないので、そのままにしている方も多いです。ですが数が増えたり服にこすれて気になり始めると、これは一体何なのかと気になってくるものです。こうした赤い点の多くは、老人性血管腫と呼ばれるものです。

老人性血管腫は別名チェリーエンジオーマとも呼ばれ、皮膚の中の毛細血管が小さく集まってできる良性の血管病変です。幸い健康に害はなく、血管をターゲットにしたレーザーでおおむねきれいに消すことができます。ただほくろやいぼ、紫斑と紛らわしいうえ、ごくまれに危険な病変が赤い点のように見えることもあるので、仕組みを知ったうえで向き合うのがおすすめです。そこで、老人性血管腫がどんな病変で、なぜできるのか、何と見分けるべきか、どのレーザーで消してどうケアするのか、いつ病院に行くべきかを、実際の研究データをもとに一つずつ整理しました。

表皮の下で毛細血管が一か所に小さく集まり、鮮やかな赤い半球状に盛り上がった老人性血管腫の構造

赤い点、老人性血管腫とは一体何なのか?

老人性血管腫は、皮膚の中の毛細血管が一か所に小さく集まって盛り上がった良性の病変です。名前の由来になった熟れたチェリーのような鮮やかな赤色で、表面はつるりとした厚みのある半球状に盛り上がります。大きさは通常1から5mmと小さく、ほとんどの場合痛みもかゆみもありません。ただ血管が集まったかたまりなので、爪で引っかいたり服に強くこすれたりすると出血することがあります。そしてこの赤い点は成人に最も多い血管病変とされていて、たいてい30代を過ぎたころからぽつぽつと現れ始めます。

この病変の正体は色素ではなく血管です。そのため茶色や黒いほくろとは色からしてまったく違います。ほくろはメラニンという色素が集まったものですが、老人性血管腫は赤い血が透けて見える血管のかたまりだから鮮やかな赤みを帯びるのです。一つ安心できるのは、良性だということです。長く体にあっても癌に変わることはなく、健康を損なうこともありません。

ですから老人性血管腫は必ず取り除くべき病気というより、見た目が気になったときにどれだけきれいに処理できるかがポイントになります。ただ見た目が他の赤い病変と似ていることがあるので、まずは何なのかを見分けるところから始めましょう。

老人性血管腫を一つでも持つ人の割合を年代別に示したグラフです。20代では22%ほどですが、年齢が上がるほどはっきりと増えていき、70代を超えると70%以上の人に見られます。年を重ねるにつれて自然に増えていく変化だと考えて差し支えありません
老人性血管腫を一つでも持つ人の割合を年代別に示したグラフです。20代では22%ほどですが、年齢が上がるほどはっきりと増えていき、70代を超えると70%以上の人に見られます。年を重ねるにつれて自然に増えていく変化だと考えて差し支えありません

どのくらいよくあり、年齢とともになぜ増えるのか?

老人性血管腫はとてもよくある病変です。ある人口調査では、20歳を超えた成人の半数以上にあたる54%が赤い点を一つ以上持っていました。しかも年齢が上がるほど、その割合ははっきりと高くなっていきます。20代では22%ほどですが、70代を超えると70%を大きく上回る人に見られます。

個数も年齢とともに増えていきます。同じ調査では、10歳年をとるごとに赤い点の数が約48%ずつ増える傾向が確認されました。そのため若いころは1つか2つだったものが、中年を過ぎるころには背中や胸に何個も増えていくケースが多いのです。実際、70代以降は大小さまざまな赤い点をいくつも持っている人がほとんどです。

なぜできるのかはまだ完全には解明されていません。ただ加齢とともに自然に増えていくことははっきりしていて、最近では血管を成長させるGNAQとGNA11という遺伝子の変異が一部の病変から見つかっています。簡単に言うと、血管をつくるスイッチが局所的にオンになり、毛細血管が小さく集まると考えられているのです。ですから赤い点がぽつぽつと現れるのは、年齢を重ねる中で起こるよくある変化として受け止めれば大丈夫です。

ほくろやいぼ、紫斑とはどう見分ける?

赤い点や盛り上がった点を見て、これが何なのか迷う方が少なくありません。色や性質がそれぞれ違うため、まず何であるかを見極めることで、消す方法も決まってきます。

最大の手がかりは色と形です。老人性血管腫は鮮やかな赤色で盛り上がった半球状をしていて、数日で消えることなく長くその場に残ります。一方ほくろはメラニン色素なので茶色や黒色を帯び、いぼはヒトパピローマウイルス、いわゆるHPVの感染でできるため表面がざらざらしていて、掻くと周りに広がっていきます。

紫斑との見分けは少し難しいところがあります。紫斑は血管が破れて血液が皮膚の下に漏れ出たもので、あざのように平らな赤い跡となって広がります。ただ紫斑は時間の経過とともに赤色から紫色、黄色へと変化し、1〜2週間ほどで自然に消えていきます。それに対して老人性血管腫は色が変わることも自然に消えることもなく、盛り上がったまま残ります。つまり押しても消えず長く続く鮮やかな赤い半球であれば、老人性血管腫の可能性が高いということです。見た目だけで判断がつきにくいときは、拡大して観察したり、必要に応じて組織検査で確認したりします。

項目老人性血管腫ほくろいぼ紫斑
鮮やかな赤茶色や黒肌色や茶色赤から変色
盛り上がった半球状平らまたは隆起ざらざら平らな跡
原因毛細血管の集まりメラニン色素HPV感染血管からの出血
経過長く残る長く残る横に広がる1〜2週間で消える

赤い点が体のどこに何個あるかを、男性の中央値で示したグラフです。胸やお腹など体の前面に8個と最も多く、背中に5個、腕や脚には1個ほどと少なめです。服で隠れて見えにくい胴体に集中してできるということです
赤い点が体のどこに何個あるかを、男性の中央値で示したグラフです。胸やお腹など体の前面に8個と最も多く、背中に5個、腕や脚には1個ほどと少なめです。服で隠れて見えにくい胴体に集中してできるということです

赤い点は体のどこにできやすく、なぜ増えるのか?

老人性血管腫は体のどこにでもできますが、できやすい部位はある程度決まっています。中でも胴体に多く集まります。ある調査では男性の場合、胸やお腹など体の前面に中央値で8個、背中に5個あり、腕や脚にはそれぞれ1個ほどとかなり少なめでした。顔や首にはほとんどできない傾向があります。そのため服に隠れて気づかなかった赤い点を、ある日背中や胸で複数見つけるという方が多いのです。しかも胴体はふだん目に入りにくいので、数がかなり増えてからようやく気づくことも珍しくありません。

個数が増える背景にはいくつかの要因が関係しています。先ほど見たように年齢が最も大きな要因で、妊娠やホルモンの変化があるときに増えることもあります。また免疫を抑える薬を使っているときや、体の状態が大きく変わったときに赤い点が複数現れるケースも報告されています。

だからといって赤い点が多いことを怖がる必要はありません。ほとんどは年齢を重ねる中で自然に現れるよくある変化だからです。ただ短期間に急に複数一気に増えた場合は、それ自体が危険というよりも、体に他の変化がないか一度確認してみるきっかけにすればよいでしょう。

ヘモグロビンが吸収する波長で血管だけを狙う血管レーザー機器

どう消し、傷跡や色素沈着はどう抑える?

老人性血管腫は血管のかたまりなので、血管だけを選んで狙うレーザーが基本になります。原理は選択的光熱融解です。血液中のヘモグロビンは特定の波長の光をよく吸収する性質があり、この光を照射すると血管だけが瞬間的に熱くなって閉じ、周りの皮膚は大きく傷つきません。

代表的なものがパルスダイレーザー(pulsed dye)とKTP 532nm、ロングパルスNd:YAGです。パルスダイとKTPは浅いところにある赤い血管によく反応し、小さな赤い点をやさしく消していきます。ロングパルスNd:YAGは波長が長くより深くまで届くのですが、ある比較研究では赤い点を消すのに必要な施術回数がNd:YAGのほうが少なくて済みました。ただそのぶん熱が強く、赤みや傷跡が残るリスクも高くなります。そのため色黒の肌や繊細な部位にはKTPやパルスダイが無難で、色濃く厚みのある病変にはNd:YAGが力を発揮します。電気焼灼は微細な電気の熱で血管を焼く方法で、サイズの大きい病変を止血と同時に一度で処理するのに向いています。

ケアで最も気をつけたいのが色素沈着です。アジア人の肌は刺激を受けると茶色い跡が残りやすいので、まずは出力を無理のない強さに設定することが第一歩になります。施術後は小さなかさぶたができますが、無理にはがすと跡が残るので自然に取れるまで待ち、日焼け止めもこまめに塗り続けます。きちんと消した部分は再発しませんが、体質によっては別の場所に新しい赤い点ができることがあり、そのときは軽く追加で整えればよいでしょう。

方法向いているケース特徴
パルスダイ, KTP小さく浅い赤い点痛み少なくやさしい
ロングパルスNd:YAG色濃く厚みのある病変回数は少ないが傷跡に注意
電気焼灼サイズの大きい病変止血も同時にできる

成人が赤い点をいくつ持っているかを割合で示したグラフです。10個を超える人が66%、30個を超える人も27%にのぼります。複数あるのはごく普通のことなので、急に増えない限り大きく心配する必要はありません
成人が赤い点をいくつ持っているかを割合で示したグラフです。10個を超える人が66%、30個を超える人も27%にのぼります。複数あるのはごく普通のことなので、急に増えない限り大きく心配する必要はありません

いつ病院に行くべきで、どんなサインに注意する?

赤い点は多くの場合、一生おとなしいままの良性病変です。複数あるのもごく普通のことです。ある調査では成人の66%が10個を超える赤い点を持っていて、30個を超える人も27%、50個を超える人も16%にのぼりました。ですから体に赤い点がいくつもあるというだけで、心配する必要はありません。

ただいくつかのサインには注意しておくとよいでしょう。短期間に赤い点が急に一気に増えた場合、一つだけが特に速く大きくなる場合、繰り返し出血したりただれてかさぶたができたりする場合です。また形が左右非対称にゆがんでいたり、色がまだらに混ざっていたりする場合も確認が必要です。ごくまれにですが、無色素性メラノーマのような危険な病変が赤い点のように見えることがあるためです。

ですから長い間そのままだった赤い点よりも、最近になって変化してきた点のほうが重要です。こうしたサインが一つでも見られたり、赤い点が急速に増えたりしている場合は、美容目的で消す前にまず診察を受けるのが安心です。怖がる必要はありませんが、確認したうえで消すのと、知らないまま消すのとでは明らかに違います。ほとんどは安心してよいよくある変化なので、変化のサインだけ覚えておけば大丈夫です。

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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