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レーザー後にかえって黒ずんだ原因と炎症後色素沈着(PIH)の段階別ケア

By Dr. Kim1 min read

色素を取るためにレーザーを受けたのに、その部位がかえって黒ずんでしまうことがあります。消そうとしていたシミより濃く見えて戸惑いますし、受けなければよかったと後悔する気持ちにもなります。鏡を見るたびに気になって、このまま一生消えないのではないかと不安になる方も少なくありません。

まず、安心していただける点をお伝えします。これは傷跡ではなく、色素の問題です。施術後色素沈着、略してPIHと呼ばれるもので、刺激を受けた皮膚がメラニンを過剰につくることで生じます。韓国人をはじめアジア系の肌に特に多く見られます。幸い、ほとんどは時間とともに薄くなりますが、どのようにケアするかによって色が抜けるスピードが数か月単位で変わります。なぜ起きるのか、どの施術がリスクが高いのか、どう対処するのかを順番に説明します。

レーザー施術後に生じた黒ずんだ色素沈着

施術後の色素沈着は、傷跡とは違います

PIHとは、皮膚の中でメラニンという茶色い色素が過剰に蓄積してできる斑点です。傷跡のように組織がえぐれたり盛り上がったりしているのではなく、色素が余分につくられて溜まっている状態にすぎません。そのため、時間が経って色素が分解・排出されれば、元の肌に戻ります。傷跡は組織そのものが変質しているため改善しにくいのですが、色素沈着は色素さえ取り除けばよい問題だという点が最大の違いです。

ただし、同じPIHでも色素がどの深さにあるかによって経過は異なります。色素が皮膚表面に近い表皮にとどまっていれば、比較的早く薄れます。一方、刺激が強く色素がより深い真皮まで落ちてしまうと、体がそれをゆっくり処理しなければならないため、数か月から長い場合は1年以上かかることもあります。同じ施術を受けても、ある人は数週間で元に戻り、別の人は長引く理由がまさにこの深さの違いです。色がどれだけ濃いかよりも、色素がどれだけ深く沈んでいるかが回復期間を左右します。また、色素沈着は触ったとき表面が滑らかです。指先で触ってえぐれていたり隆起している感触がなければ傷跡よりも色素の可能性が高く、凸凹した感触があれば色素だけの問題でない可能性があるので、診察を受けることをおすすめします。

表皮にとどまった色素は早く抜け、真皮まで落ちた色素は時間がかかる
表皮にとどまった色素は早く抜け、真皮まで落ちた色素は時間がかかる

なぜレーザーを当てた部位が逆に黒くなるのか

理由は思ったよりシンプルです。レーザーやピーリングは、色素を破壊したり皮膚を剥がしたりする過程で、皮膚に熱と刺激を与えます。その刺激が過度になると、皮膚は傷ついたと判断して炎症反応を起こします。そしてこの炎症が、メラニンをつくる細胞であるメラノサイトを再び刺激してしまいます。結果として、色素を取るために与えたエネルギーが、かえって色素をさらにつくる方向に働くことになります。

ここで肌の色が大きな変数になります。メラニンが多い肌ほど、同じ刺激でも色素が上がりやすくなります。アジア系の肌がPIHを起こしやすい理由のひとつです。そこに紫外線が加わると、メラノサイトはより活発になります。そのため、施術の強度と同じくらい、施術後に紫外線をどれだけ防いだかが結果に大きく影響します。同じレーザーを同じ出力で受けても、肌タイプと施術後のケア次第で、問題のない人もいれば黒ずむ人もいます。なお、施術直後に色素がかさぶたとして浮き上がる正常な過程と、数日後に出てくる色素沈着は別のものです。区別しにくい場合もあるので、いつもより長く黒ずみが続くようであれば施術を受けたクリニックに相談するとよいでしょう。

レーザー施術を受ける様子、施術後のケアが結果を左右する

どの施術がPIHを起こしやすいのか

色素沈着のリスクは施術によっても、肌によっても異なります。研究で報告されている発生率をまとめると、傾向がはっきり見えてきます。同じ色素改善施術でも、皮膚を強く破壊するタイプほど、出力が高いほど、肌の色が濃いほど、色素沈着が起きやすくなります。そのため、ある施術が絶対に安全とは言えず、自分の肌と施術方法の組み合わせを見ることが重要です。

皮膚を剥がさないマイルドなピコ秒レーザーは、色素沈着が約5%と低く報告されています。反対に同じ波長でもより強いQスイッチ532nmでは20〜30%まで上がります。真皮を点状に焼くノンアブレイティブ・フラクショナルレーザーは約17%、皮膚を削るアブレイティブCO2レーザーは色の濃い肌で約30%と報告されています。特に日焼けしやすい肌では、施術直後に一時的に色素が上がるケースが最大90%超に及ぶこともあります。ただしこの一時的な色素は、多くの場合時間が経てば落ち着きます。まとめると、強い施術と濃い肌の組み合わせほど慎重になる必要があり、それに応じて出力を下げ間隔を空けるという施術者の判断が重要になります。

施術の種類と肌の色による色素沈着の発生率、ピコ秒は低くアブレイティブと濃い肌ほど高い
施術の種類と肌の色による色素沈着の発生率、ピコ秒は低くアブレイティブと濃い肌ほど高い

時間と紫外線ケアが、回復の半分を占めます

PIHケアの半分は、実は待つことと紫外線対策です。色素が表皮にあれば数週間〜3か月で薄くなり、真皮まで落ちていれば6〜14か月かかることもあります。焦って別の施術を重ねるより、皮膚が色素を自力で処理する時間を与えることが先決です。色素が抜けるには一定の時間が必要で、その時間を無理に縮めようとすることで、かえって刺激を増やしてしまうケースが多くあります。

このとき、紫外線対策が核心になります。紫外線はメラノサイトを再び覚醒させ、色素をさらにつくらせます。せっかく薄れてきた色素が、紫外線一度でまた濃くなることがあります。そのため施術後は日焼け止めを毎日塗り、2〜3時間ごとに塗り直し、帽子や日傘で直接日差しを遮ることをおすすめします。室内でも窓際やモニターの光で気が緩みがちですが、注意が必要です。紫外線対策を継続するかどうかが、回復期間を数か月単位で左右します。vitamin Cやniacinamideのような色素を抑える成分を併用すると助けになりますが、いずれも紫外線対策の代わりにはなりません。紫外線を防がなければ、どんな美白成分も効果が半減します。

PIHが薄れるまでの期間、表皮型は数週間〜3か月、真皮型は6〜14か月
PIHが薄れるまでの期間、表皮型は数週間〜3か月、真皮型は6〜14か月

外用薬で回復を早めることができます

待つ間、外用薬で回復を早めることができます。多くはメラニンをつくる酵素であるチロシナーゼを抑える成分です。代表的なものにhydroquinone、azelaic acid、tranexamic acid、kojic acid、arbutin、niacinamideがあり、肌のターンオーバーを促進するretinoidを合わせて使うこともあります。成分によって強さと刺激が異なるので、自分の肌が耐えられる範囲で選ぶことが大切です。

根拠が比較的しっかりしているものを見ると、azelaic acid 15%ジェルを16週間塗った研究では、50%超の人で色素沈着が消えています。azelaic acid 20%は美白の基準として用いられるhydroquinone 4%と効果に差がなく、刺激は少ない傾向にあると報告されています。外用tranexamic acidも4〜8週で目立った改善が始まります。どの成分でも紫外線対策と組み合わせることで効果が発揮され、最低でも2〜3か月は継続して使う必要があります。よく使われる成分を下の表にまとめました。

成分作用備考
hydroquinoneメラニン生成抑制、美白の基準処方薬、長期使用は医師に相談
azelaic acidチロシナーゼ抑制、抗炎症刺激が少なく、妊娠中でも比較的安全
tranexamic acidメラノサイトへの刺激抑制外用製剤、低刺激
retinoid肌のターンオーバー促進初期の刺激に注意、妊娠中は禁忌

外用成分の色素沈着改善エビデンス、azelaic acid 15%は16週で50%超の色素が消え、hydroquinoneと効果が同等
外用成分の色素沈着改善エビデンス、azelaic acid 15%は16週で50%超の色素が消え、hydroquinoneと効果が同等

焦った再施術がいちばん危険です

PIHが生じたときに最も避けるべきなのは、焦っての再施術です。色素が抜けないからといってすぐにまたレーザーを当てると、すでに敏感になっている肌にさらに刺激を加えることになり、色素沈着が悪化する可能性があります。色素沈着が出てきた肌は、まず落ち着かせてから、紫外線対策と外用薬で鎮静させた後に次のステップを判断するのが正しい順序です。弱い出力で複数回に分けるレーザートーニングを使うこともありますが、これも色素沈着が十分に落ち着いてから慎重に行うべきです。

予防は治療よりはるかに簡単です。施術前後は紫外線を避け、日焼けした状態では強いレーザーを控え、光感受性を高める薬を服用している場合は事前に伝えることが大切です。施術者は肌の色に合わせて出力を下げ、十分な間隔を置きます。初めて施術を受ける部位であれば、小範囲でテストして反応を確認してから進めることも一つの方法です。色素沈着がなかなか消えないからとインターネットで見た強い美白剤を自己判断で使うことも危険です。濃度の高いhydroquinoneを自分の判断で長期間塗り続けると、刺激や色素を招くことがあるため、成分と使用期間は診察を受けて決めることが安全です。施術後の色素沈着はほとんどの場合改善する色素の問題ですので、焦らずに紫外線対策と検証済みの外用薬でじっくり管理することが、もっとも早い近道です。

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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