先天性nevus of Ota、目元と頬骨に広がる青い真皮色素を消す1064nmレーザーの施術回数と再発
By Dr. Kim1 min read

片方の目元や頬骨に黒っぽく青みがかった色が広がっているなら、シミやくすみではなくnevus of Otaかもしれません。生まれつきあった、または思春期の頃から濃くなったという場合はなおさらです。nevus of Otaは色素が肌表面ではなく真皮の深いところにある色素性疾患のため、塗るタイプの美白クリームではなかなか薄くなりません。
そのためnevus of Otaの標準治療はクリームや飲み薬ではなくレーザーです。真皮の深い色素まで届く1064nm Q-switched Nd:YAGレーザーで色素のかたまりを細かく砕き、体がそれをゆっくり片づけていくよう何回かに分けて受ける方法です。レーザーを何回受けるとどれくらい良くなるのか、再発や色素の副作用はないのか気になるところだと思います。似た見た目のABNOMとの見分け方まで、以下で一つずつ見ていきます。

nevus of Otaはどんな色素性疾患なのか
nevus of Otaは真皮の中に色素細胞がとどまってしまう真皮メラノサイト症です。本来は表皮まで上がっていくはずの色素細胞が、発生の過程で真皮に残ってしまうことで生じます。色素が深いところにあると光が透過する際に青みを帯びるため、同じ色素でも茶色ではなく青みがかった灰青色に見えます。
分布にも特徴があります。顔の感覚をつかさどる三叉神経の第一枝と第二枝に沿って、目元や額、頬骨、鼻すじに現れ、たいてい顔の片側だけに生じます。女性に多く男女比はおよそ5対1とされ、生まれつきある場合が多いものの、思春期や妊娠などホルモンが変化する時期にはっきりしてくることもあります。
目にも影響することがあります。nevus of Otaの患者の約3分の2で、白目にあたる強膜にも色素が一緒に現れます。この部分はレーザーで扱いにくいため、眼科と一緒に経過を見ていくのが安全です。見た目だけではシミやくすみと紛らわしいものの、色素のある深さと広がり方が違うため治療の方向もまったく変わってきます。だからこそ治療を始める前に、色素がどの深さにあるのかを正確に見極めることが最初の一歩になります。
nevus of OtaとABNOMはどう見分けるのか
nevus of Otaとよく混同されるのがABNOM、日本語では後天性両側性太田母斑様色素斑と呼ばれるものです。どちらも真皮に色素があり青みを帯びる点、1064nmレーザーで治療する点は共通していますが、生じる時期や分布が異なります。
| 項目 | nevus of Ota | ABNOM |
|---|---|---|
| 発生時期 | 先天性または思春期 | 成人期の後天性 |
| 左右の分布 | 片側性 | 両側対称 |
| 主な部位 | 目元、額、頬骨、鼻すじ | 両頬骨 |
| 白目の色素 | 見られることがある | 見られない |
| 色素の深さ | 真皮 | 真皮 |
最も大きな違いは左右対称かどうかです。nevus of Otaはたいてい顔の片側だけに生じるのに対し、ABNOMは成人になってから両頬骨に左右対称に現れます。またnevus of Otaは白目に色素を伴うことが多い一方、ABNOMは強膜や口腔粘膜には及びません。
発生する時期も見分けの手がかりになります。nevus of Otaは生まれつきあるか思春期に濃くなるのに対し、ABNOMは20代以降の成人期に新たに生じることがほとんどです。両方が同じ顔に併存するケースもあるため、色素が現れた時期と分布をあわせて見たうえで治療計画を立てるのが望ましいです。自己判断で強いレーザーをまとめて受けるより、まずどちらの色素なのかを正確に見極めるほうが安全です。

なぜ1064nmレーザーを何回にも分けて受けるのか
nevus of Otaの色素は真皮の深いところにあります。そのため塗るタイプの美白クリームや飲み薬はその深さまで届かず、効果は弱くなります。真皮の色素を消すにはその深さまで到達して色素を直接砕く方法が必要で、その役割を担うのがレーザーです。
ここに1064nmという波長を使う理由があります。波長が長いほど肌の深くまで入っていくため、1064nmの光は表皮を通り抜けて真皮の色素細胞まで届きます。同時に表皮のメラニンには吸収されにくく、肌の表面への刺激を抑えながら深い色素だけを狙って砕くことができます。Q-switched方式はごく短い瞬間に強い光を放つことで、熱よりも圧力波に近い力で色素のかたまりを細かく砕きます。
一度では終わらないのには理由があります。細かく砕かれた色素は肌の中の免疫細胞が少しずつ取り込みリンパへ運び出しますが、この片づけには時間がかかります。さらに真皮の色素細胞は治療の合間にも色素を作り続けるため、数週間から数か月おきに何回か分けて受けることで色が段階的に薄くなっていきます。表皮のくすみが角質と一緒に落ちていくのとは違い、真皮の色素はこうして繰り返し少しずつ減らしていく治療だと理解しておくとよいでしょう。

レーザーは何回受けてどれくらい良くなるのか
回数と結果は研究である程度確かめられています。1064nm Q-switched Nd:YAGレーザーでnevus of Ota患者50人を治療した研究では、1年間で平均6回受け、患者の66%が60%を超える改善を示しました。残りの患者も30%から60%の範囲で薄くなり、まったく効果が見られなかった例はありませんでした。
大切なのは根気が必要だという点です。真皮の色素は深く頑固なため、1、2回で消えることはなく、何回もかけてゆっくり薄くなっていきます。複数の研究で治療回数が多いほど結果が良く、治療を始めた年齢が若いほど反応が良いこともわかっています。そのため長く放置するより、早めに正確な診断を受けて治療を始めるほうが有利です。
期待は現実的に持つのがよいでしょう。色が薄くなるのは毎回少しずつ段階的に現れるため、1、2回受けて変化が小さいからとあきらめるより、最初から何回もかけて受ける過程だと理解して始めるほうがよいです。数週間から数か月おきに続けて受けていけば、時間とともに色素がはっきり薄くなっていくのを確認できます。回数を重ねたときの満足度が高い治療なので、長い目で計画を立てるのがおすすめです。

色素がかえって濃くなったり再発したりしないのか
レーザーで深い色素を砕く過程では、色素が一時的に濃くなる副作用、いわゆる炎症後色素沈着が起きることがあります。ただしほとんどは一時的なものです。先ほどの50人の研究では10%でこうした色素沈着が見られましたが、2か月以内に紫外線対策と美白ケアで薄くなりました。反対に色が一時的に白く抜ける低色素も起こりうるため、出力を控えめに設定し間隔を十分にとることが安全です。
最近はpicosecondレーザーが加わり選択肢が広がっています。nevus of Otaを半分ずつに分けてQ-switchedレーザーとpicosecondレーザーで比較した研究では、picosecond側のほうが平均施術回数がやや少なく、色素沈着や低色素といった副作用も少なく現れました。ごく短い瞬間に色素をより細かく砕くことで周囲への刺激を減らす仕組みです。ただしどちらの方式もnevus of Otaに有効な標準治療であり、状況に合わせて選べばよいものです。
再発はまれなほうです。800人を超える患者を長期間追跡した研究では、治療後の再発は1%に満たないという結果でした。ただしごくまれに時間が経ってから再び色素が浮き上がるケースも報告されているため、治療が終わった後も紫外線対策を続け、変化があれば再び診察を受けるのがよいでしょう。
それではどう向き合えばよいのか
nevus of Otaはシミやくすみに似ていますが、色素が真皮の深いところにある、まったく別の色素性疾患です。そのため塗り薬や飲み薬には限界があり、1064nm Q-switched Nd:YAGレーザーを何回かに分けて受けることが中心となる治療です。必要に応じてpicosecondレーザーをあわせて検討することもできます。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 標準治療 | 1064nm Q-switchedレーザー |
| 施術回数 | 複数回に分けて |
| picosecondレーザー | 回数と副作用がやや少ない |
| 再発 | まれ |
| アフターケア | 紫外線対策 |
始める前には、シミなのかnevus of Otaなのか、あるいはABNOMが混ざっているのかを正確に見分けることが先決です。治療を始めたら、真皮の色素は深く頑固なぶん、何回もかけてゆっくり薄くなっていく過程を根気よく続ける必要があります。その間に色素が一時的に濃くなることもあるため、強さより安全な間隔と出力を守りながら続けるほうが結局は近道になります。
治療が終わった後のケアも大切です。紫外線は色素を再び刺激する最大の原因なので、治療中も治療後も対策を徹底するのがよいでしょう。nevus of Otaは正確な診断と根気強い複数回のレーザー、そして丁寧なアフターケア、この3つがそろって初めて満足のいく結果につながります。時間のかかる治療だと最初から理解しておけば、途中で迷わず最後まで続けられます。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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