Hollywood Spectra carbon peelトーニング、シミ色素と毛穴改善の原理と効果
By Dr. Lee1 min read

シミやそばかす、広がった毛穴、くすんだ肌のトーンまで一度に整えたいときによく名前が挙がるのがHollywood Spectraです。Q-switched Nd:YAGレーザーですが、黒いカーボンローションを顔に塗って低出力で何度もなぞるcarbon peelという施術で特によく知られています。名前は華やかですが、実際は1064nmと532nmという二つの波長を状況に合わせて使う、比較的標準的な色素レーザーです。
問題は、carbon peelとトーニングが正確に何をする施術なのか、シミにどれくらい効くのか、毛穴やトーン改善に根拠があるのかがわかりにくいことです。色素が深いところにある太田母斑や、肌の浅いそばかすを狙うピコトーニングともアプローチが異なります。以下で原理と実際の研究データ、そして受けるときに知っておくとよい部分まで一つずつ確認していきます。

Hollywood Spectraとはどんな機器なのか?
Hollywood SpectraはQ-switched方式のNd:YAGレーザーです。ごく短い瞬間に強い光を照射して色素を細かく砕く、昔からある色素レーザー系統で、皮膚科で長く使われてきた方式です。波長は真皮の深さまで届く1064nmと、表皮に近い色素に強く吸収される532nmの二つを使います。
この機器が有名になった理由は、carbon peelという施術にあります。顔に黒いカーボンローションを薄く塗った後、低出力の1064nmレーザーで何度もなぞってローションを焼き飛ばす方式です。カーボン粒子がレーザー光を吸収する媒体の役割を果たし、表面の角質や老廃物を軽く取り除き、毛穴の中の汚れを焼き払います。そのためcarbon peelは色素だけでなく、毛穴や肌のきめ、トーン改善の目的でも一緒に受けることが多いです。
同じ1064nm低出力の繰り返し照射方式でも、目的によって呼び方が少し変わります。カーボンローションを使わずシミ色素だけを狙う場合は一般にレーザートーニングと呼び、カーボンローションを加えるとcarbon peelと呼びます。どちらの施術もHollywood Spectra1台でできるため、診療現場ではその日の肌の状態に合わせてカーボンを使うかどうかを決めることがよくあります。

carbon peelはなぜ毛穴や肌のトーンによいのか?
carbon peelの原理は思ったより単純です。カーボンは黒色なのでほとんどすべての波長の光をよく吸収します。顔に塗っておくとカーボン粒子が毛穴と角質層の隙間に染み込み、その上から1064nmレーザーを照射すると、カーボンが瞬間的に熱を受けて弾けるように消え、周りの古い角質や汚れを一緒に押し出します。
この過程で肌の表面が滑らかになり、広がっていた毛穴も一時的に引き締まって見える効果があります。熱刺激が真皮側のコラーゲンを軽く刺激し、トーンが明るくなるのにも役立つとされています。カーボンが実際に効果を高めるかを確認した研究もあります。顔の片側にはカーボンローションを塗り、反対側はローションなしで同じレーザーだけを照射した比較試験では、カーボンを塗った側の75%が良くなったと評価したのに対し、反対側は67%にとどまりました。大きな差ではありませんが、カーボンが効果をわずかに押し上げる方向に出ています。
ただしcarbon peelによる毛穴やトーンの改善は、多くの場合一時的な角質ケアの効果に近いものです。毛穴のサイズそのものを永久に小さくしたという根拠よりも、表面を整えてその日その日の肌が明るく見える効果として理解するほうが現実的です。そのため1回だけでなく、数週間おきに何度も受けてケアのように続ける施術としてよく使われます。
1064nmと532nm、どんなときに使い分けるのか?
Hollywood Spectraは同じ機器の中で、状況に合わせて二つの波長を選んで使います。波長が違うと光が届く深さと吸収される色素の種類が変わるためです。
| 項目 | 1064nm | 532nm |
|---|---|---|
| 到達する深さ | 真皮の深い層 | 表皮の浅い層 |
| 主な対象 | シミ、carbon peel、トーン改善 | そばかす、老人性色素斑 |
| 色黒肌 | 比較的安全 | 色素沈着リスクが相対的に高い |
| 代表的な施術 | 低出力トーニング、carbon peel | 局所的な色素スポット照射 |
シミのように真皮側に広く広がった色素やcarbon peelには、1064nmを低出力で何度も照射する方式を使います。表皮への刺激が少ないため、日本人のように施術後に色素沈着が起きやすい肌でも比較的安全に繰り返せます。一方、くっきりと目立つそばかすや老人性色素斑のように表面にある色素は、532nmで一点ずつ正確に狙うほうが合います。ただし532nmは表皮での吸収が強い分、色黒の肌では色素沈着のリスクがより大きいため、出力を下げて部位を慎重に選ぶ必要があります。
実際の診療では、二つの波長を1回の施術の中で組み合わせて使うこともあります。広範囲のシミは1064nmで全体をなぞり、その上で特に濃い点だけを532nmでピンポイントに仕上げるという方法です。どの波長をどれくらい使うかは色素の写真と肌のトーンを見て施術者が決める部分なので、最初のカウンセリングで自分の色素がどんな性質のものか十分に説明を受けておくと結果につながります。

シミには実際どれくらい効果があるのか?
シミへの効果は研究によってばらつきがありますが、おおむね役に立つという方向性は一貫しています。真皮の色素が混じった肝斑の患者を対象にした試験では、顔の片側に1064nm低出力トーニングと美白クリームを併用し、反対側には美白クリームだけを塗りました。10週間後、レーザーを加えた側はシミのスコアが75.9%良くなり、クリームだけの側は24%良くなるにとどまりました。
この結果を含め、これまで発表された複数の研究をまとめたレビューを見ると、シミのスコア改善幅は研究によって30%台から75%台まで幅広く分布しています。肌のタイプやシミの深さ、施術回数によって結果がかなり変わるということです。おおむね週1回から隔週間隔で8回から10回程度を1コースとして受けることが多いです。
重要なのは、クリームのような基本的なケアを一緒に行ったときにレーザーの効果がより際立つという点です。レーザーだけでシミを完全に消すというよりも、美白成分の塗布や紫外線対策と並行することで、色が薄くなるスピードを早める役割に近いといえます。そのため施術だけ受けてケアを怠ると、期待どおりの結果が出ないことがあります。

副作用と再発はどれくらい覚悟しておくべきなのか?
先ほど紹介した10週間の試験では、副作用についても報告されています。レーザーを受けた側で白い斑点のような低色素症が22人中3人、逆に色が濃くなる反跳色素が22人中4人に見られました。10人中1~2人程度でこうした色素の副作用が起きうるということで、決して無視できない確率です。特に低色素症は一度起こると戻りにくいことが多く、より慎重になる必要があります。
再発も珍しくありません。治療を終えた後1年以内に再びシミが濃くなった割合は、ある研究では58.8%、別の研究では81%と報告されています。10人中6人から8人程度は時間が経つとまた色素が上がってくると考えればよいでしょう。シミを作る紫外線やホルモンといった原因がそのまま残っている限り、レーザーはすでにできた色素を掃除する役割にすぎず、再発そのものを防ぐことはできません。
carbon peelはトーニングより刺激が加わる施術なので、施術当日は少し赤くなったりヒリヒリした感じがあったりすることがあります。ほとんどは数時間以内におさまり、日常生活への支障は少ないです。ただし色素の副作用を減らすには、短い間隔で頻繁に受けるより2週間から4週間の間隔を守り、日焼け止めを毎日欠かさないことが安全です。
太田母斑やピコトーニングとは何が違うのか?
Hollywood Spectraが扱う色素の問題は多岐にわたるため、他の色素施術と比較すると性格がより明確になります。同じQ-switched Nd:YAG系統でも、狙う色素とアプローチの仕方が異なります。
| 区分 | 太田母斑 | Hollywood Spectraトーニング | ピコトーニング |
|---|---|---|---|
| 色素の位置 | 真皮の深いところ、先天性 | 表皮と真皮、後天性のシミ | 表皮中心、そばかすやタトゥー |
| 主な波長 | 1064nm | 1064nm、532nm | 複数の波長 |
| 付加オプション | なし | carbon peel、毛穴トーン改善 | fractionalハンドピース |
| 色素沈着リスク | 低め | 低め、繰り返す場合は注意 | 相対的にさらに低い |
太田母斑は生まれつき真皮の深いところにある色素を狙い、同じ1064nmを強い出力で照射しながら数カ月かけて回数を分けて受ける施術です。後天的にできたシミやトーン、毛穴を整えるHollywood Spectraトーニングとは、そもそも狙う色素の性質が異なります。ピコトーニングははるかに短い瞬間に光を照射するピコ秒レーザーを使います。熱の広がりが少なく色素沈着のリスクがより低いため、施術後に色素沈着が起きやすい肌や、複数の種類の色素が混ざっているときの選択肢として検討されます。
結局のところ三つとも色素を扱うレーザーですが、自分が持つ色素が先天性か後天性か、表面にあるか深いところにあるかによって、合う施術は分かれます。毛穴や肌のトーンまで一緒に整えたいならcarbon peelを加えたHollywood Spectraトーニングが実用的な選択になり得ますし、色素沈着に特に敏感な肌ならピコトーニングもあわせて検討する価値があります。どの施術であっても、自分の色素の種類を正確に診断してもらい、無理のない間隔で受けることが何より重要です。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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