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ネオビームでニキビは本当に改善するか——1450nmダイオードレーザーの効果・ダウンタイム・ニキビ跡への限界

By Dr. Kim1 min read

皮膚科でニキビ治療を受けると、塗り薬・飲み薬に加えてレーザー治療を勧められることがあります。そのひとつがネオビームです。ネオビームは韓国の医療機器メーカー・ユニオンメディカルが開発した1450nmダイオードレーザーで、表皮を傷つけずに真皮層の皮脂腺を標的にする非剥離型レーザーです。

「ニキビレーザー」として紹介されることの多い機器ですが、何に強くて何に限界があるのかはあまり知られていません。ネオビームという名称そのものを冠した臨床試験は現時点では発表されていませんが、同じ1450nmダイオードレーザー系統の研究は複数積み上がっています。この系統データをもとに、炎症性ニキビ・皮脂・ニキビ跡それぞれへの効果を数字で確認していきます。

ネオビーム(NeoBeam)1450nm非剥離型ダイオードレーザー機器の外観

ネオビームとはどんなレーザーか

ネオビームの核心は1450nmという波長です。この波長は水と脂質によく吸収されるため、皮膚の深部にある皮脂腺まで熱を届けることができます。ニキビは皮脂腺の過剰分泌と毛穴の詰まりから始まりますが、1450nmレーザーはその皮脂腺に選択的に熱刺激を与えて活動を抑えることを狙っています。

表皮を傷つけない非剥離型であることも重要な特徴です。フラクショナルCO2のような剥離型レーザーは表皮に微細な穴を開けてニキビ跡を削るのに対し、ネオビームは表皮を温存したまま皮脂腺だけを標的にします。照射直前に冷却ガスを吹きつけるDCDクーリング(ダイナミック・クーリング・デバイス)が組み込まれており、表皮の熱ダメージを防ぐ仕組みです。同じ1450nmクラスでは、日本でも以前から治療に用いられてきたスムースビーム(Smoothbeam)が知られていますが、ネオビームはその系統に属する機器です。

麻酔なしでも十分耐えられ、かさぶたや浸出液が出るような剥離型のダウンタイムがほぼないのも利点です。ニキビ治療に用いる他の光治療と比べると、青色光や光線力学療法(PDT)が表皮のアクネ菌を標的にし、IPLが赤みや色素を同時に狙うのに対して、1450nmレーザーは皮脂腺という一点に集中します。

一言でいえば、ネオビームはクレーター状の陥凹跡を削るレーザーではなく、ニキビの原因である皮脂腺を標的にするレーザーです。この違いを最初から把握しているかどうかで、治療への期待値がまったく変わります。表皮を削らないため色素沈着のリスクが剥離型より低く、アジア人をはじめ比較的濃い肌色にも使いやすい点も挙げられます。

グラフ:1450nmレーザーの施術回数別・炎症性ニキビ減少率 — 1回後37%、2回後58%、3回後83%(Friedman 2004、同系統データ)
グラフ:1450nmレーザーの施術回数別・炎症性ニキビ減少率 — 1回後37%、2回後58%、3回後83%(Friedman 2004、同系統データ)

ニキビへの効果は実際どうなのか

最も気になるのは、今まさに出ている赤いニキビへの効果でしょう。1450nmレーザーを用いた初期研究を見ると、答えは「効果あり」の方向に傾きます。成人ニキビ患者に3〜4週間隔で治療を行った研究では、炎症性ニキビの病変数が1回後に約37%、2回後に58%、3回後に83%まで減少したと報告されています。グラフが示すとおり、回数を重ねるごとに減少幅が明確に広がっています。

ただしこれはネオビーム機器そのものの結果ではなく、同系統の1450nmダイオードレーザー研究の数値であること、また規模の小さな初期研究であることは念頭に置いてください。それでも複数の1450nm研究が同じ方向の結果を示しており、炎症性ニキビを鎮静させる効果はある程度一貫して認められています。

重要なのは、1回では完結しないということです。3〜4週おきに複数回積み重ねてはじめて、グラフのような顕著な改善に達します。費用とスケジュールは最初からセットで考えておくのが現実的です。

効果が最もはっきりしているのは、赤く腫れる炎症性ニキビと皮脂分泌の多い脂性肌です。一方、皮膚表面にザラつく非炎症性の面皰(コメドン)やホワイトヘッドは、レーザー単独よりも塗り薬のレチノイド系薬剤を併用したほうが整いやすいです。そのため、薬が使いにくい状況や薬だけでは炎症がコントロールしきれないケースにレーザーを加える組み合わせがよく選ばれます。

グラフ:1450nmレーザー3回照射の直後と12カ月後でニキビ減少率がほぼ同水準で維持(Jih 2006、同系統データ)
グラフ:1450nmレーザー3回照射の直後と12カ月後でニキビ減少率がほぼ同水準で維持(Jih 2006、同系統データ)

効果の持続期間について

一時的に改善してもすぐ元に戻るようでは意味がありません。1450nmレーザーの照射量別効果を1年間追跡した研究がこの点を示しています。3回治療直後に炎症性病変が約75%減少し、12カ月後の時点でも76%の減少が維持されていました。グラフ上で治療直後と1年後の棒がほぼ同じ高さを示しているのが確認できます。

皮脂腺に与えた熱刺激の効果がしばらく持続するということです。もちろんニキビはホルモンバランスや生活習慣、肌質に左右される慢性的な側面があるため、レーザーで一度落ち着かせても生涯再発しないわけではありません。

皮脂分泌量の変化には部位差があることも同じ研究で示されています。額では有意な減少が見られた一方、鼻では変化が乏しく、これは部位ごとに皮脂腺の分布や大きさが異なるためと考えられています。「皮脂がまったく出なくなる」というより「全体的に落ち着く」という表現が実態に近いでしょう。

1回の治療効果が約1年持続するという点は明確な利点です。長期服薬に抵抗がある方や、妊娠中など薬を避けたい方にとって選択肢になりえます。再燃しても最初ほど重症にならないケースも多く、肌の状態の「ベースライン」を一段下げておけるイメージです。

グラフ:1450nmレーザーによる陥凹性ニキビ跡の改善は限定的 — 患者評価で約16〜20%、医師評価で5〜8%(Chua 2004、同系統データ)
グラフ:1450nmレーザーによる陥凹性ニキビ跡の改善は限定的 — 患者評価で約16〜20%、医師評価で5〜8%(Chua 2004、同系統データ)

ニキビ跡(クレーター)には効くのか

ここで大事な誤解を解いておく必要があります。ネオビームをニキビ跡治療のレーザーと思って受診される方がいますが、陥凹性のニキビ跡(クレーター)への効果は期待より限定的です。アジア人の陥凹性ニキビ跡に1450nmレーザーを4〜6回施術した研究では、患者本人が感じた改善が約16〜20%だった一方、医師による客観的評価では5〜8%にとどまりました。グラフで患者評価と医師評価の棒の高さの差が、その乖離をそのまま示しています。

理由はシンプルです。ネオビームは非剥離型レーザーであり、すでに凹んでしまった瘢痕の形を物理的に削って整える施術ではないからです。深いクレーターを改善するにはフラクショナルCO2レーザー、マイクロニードル高周波(フラクショナルRF)、サブシジョンといった治療の方が適しています。

ネオビームの真価は、ニキビ跡ができる手前にあります。今出ている炎症と皮脂を抑えて、新たな跡を作らせないことです。深い炎症が長く続くほど跡が残りやすくなりますが、炎症を早期に鎮めることで瘢痕化の機会を減らすことができます。

すでにできたクレーターを改善する施術と混同しないことが重要です。目的も使う機器も異なります。実際の診療では、活動性のニキビが盛んな時期にまずネオビームや薬で炎症をコントロールし、ニキビが落ち着いてから残った瘢痕をフラクショナルCO2やマイクロニードル高周波で治療するという流れで進めることが多いです。順序が逆になると、跡の治療をしても新しいニキビが次々と出て効果が相殺されてしまいます。

ニキビレーザー施術中のイメージ(参考写真)

施術の流れ・痛み・ダウンタイム

施術自体はシンプルです。洗顔後にレーザーのハンドピースを顔に当て、部位ごとに照射していきます。顔全体への照射は数分程度で終わります。1450nmレーザーは真皮の皮脂腺に熱を与えるため、チクチクとした熱感はありますが、照射のたびに冷却ガスが表皮を冷やすため、ほとんどの方は局所麻酔なしで対応できます。痛みに敏感な方は麻酔クリームを事前に塗布することもあります。

ダウンタイムは剥離型レーザーと比べてはるかに軽度です。施術直後から数時間〜1、2日ほど赤みや軽い腫れが出ることがありますが、かさぶたや浸出液が生じる剥離型の回復過程はなく、翌日から普通に生活できるケースが多いです。

通常は3〜4週間隔で3〜5回を1クールとして行います。前述のとおり効果が回数とともに積み上がるため、2回受けて「効果がない」と判断するより、推奨回数を終えてから評価した方が正確です。

施術後のケアは、十分な保湿と日焼け止めの徹底で基本的には十分です。赤みが残っている間は強いスクラブやピーリング系のスキンケアは控えるのが無難です。副反応は一時的な紅斑と軽度の浮腫が大半で、非剥離型のため剥離型レーザーで懸念される色素沈着や瘢痕のリスクは相対的に低い傾向があります。ただし施術直後の紫外線曝露は色素沈着の原因になるため、日焼け止めだけはしっかり意識してください。

炎症性ニキビと皮脂の多い肌の例

向いている人と注意すべきこと

ネオビームが最も合うのは、炎症性ニキビが繰り返し出て皮脂分泌の多い方、また内服薬・外用薬だけでは限界を感じている方や薬を使いにくい状況にある方です。反対に、クレーター状のニキビ跡を改善することが目的であればネオビームは適した選択ではなく、活動性のニキビがなく跡だけが残っている状態では期待した効果を得にくいです。

クリニックの宣伝文句はひとつ吟味して聞いてください。「皮脂腺を完全に破壊してニキビを根本から消す」「1回でニキビ跡まで解決」といった表現は、エビデンスを超えたマーケティングです。ここで示した数値も、ネオビーム専用のデータではなく1450nmダイオードレーザー系統の研究結果であること、ニキビ跡への効果は限定的であることを覚えておくと、実態に即した期待値で治療を受けられます。

ニキビはレーザー1本で完結する問題ではなく、薬物療法と生活習慣も含めた総合的なアプローチで最もうまくコントロールできます。ネオビームはその管理の一手段として機能する道具です。重症の囊胞性ニキビであれば内服薬が治療の中心となり、レーザーはあくまで補助的な位置づけになります。

受ける前に、今の悩みが「活動性の炎症ニキビが中心か、ニキビ跡が中心か」を皮膚科医と確認するだけで、ネオビームが自分に合うかどうかの答えはほぼ見えてきます。同じ「ニキビレーザー」という名称でも機器によって波長と標的は異なります。どんな仕組みで何を狙う機器なのかを一度把握してから始めることで、無駄な出費を防ぐことができます。

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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