エラボトックスの効果はいつから出る?持続期間は?
By Dr. Kim1 min read

エラが張って顔が大きく見えると、すっきりした輪郭を求めてエラボトックスを検討する方が増えます。masseterは物を噛むときに使う顎の筋肉です。botulinum toxinをmasseterに注射して筋肉を少しずつ萎縮させ、時間をかけて輪郭を柔らかくする施術です。骨や脂肪を削るわけではなく、筋肉が薄くなって自然にすっきりする仕組みなので、効果が出る時期や持続期間、副作用をあらかじめ知っておくことが大切です。エラボトックスがどのような仕組みで働き、効果はどこまでエビデンスで確認されているのか、副作用や食いしばりの改善まで検証されたデータをもとに整理しました。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 仕組み | masseterの萎縮で輪郭がすっきり |
| 効果の時期 | 噛む力は数日、小顔感は6~12週 |
| 持続 | 3~6か月、反応者は約248日 |
| 厚みの減少 | 個人差大、1か月で約6%から |
| 注意点 | 筋肉の突出、左右差、噛む力の低下 |

エラボトックスはどう作用する?
masseterは頬骨からあご下の骨の角まで伸びる、厚く四角い咀嚼筋です。歯を強く噛みしめる癖や生まれつきの筋肉量によって左右のmasseterが厚くなると、顔の下半分が大きく見え、いわゆるエラの張った輪郭になります。
botulinum toxin type Aは神経の末端でSNAP-25というタンパク質を切断し、アセチルコリンという伝達物質の分泌を抑えます。すると神経から筋肉へ送られる収縮の信号が減り、一部の筋線維が力を失います。
力を使わなくなった筋肉は、数週間かけて少しずつ薄くなっていきます。使わない筋肉が萎縮するのと同じ原理です。輪郭がすっきりする本当の理由はこの萎縮にあるため、注射した当日に顔が小さくなるわけではなく、時間をかけて変化が現れます。
同じ仕組みで、噛む力自体も弱くなります。そのため食いしばりや夜間のbruxism、それによる筋肉痛を減らす目的でも使われます。ただし効果は永久ではありません。神経の末端が再び伸びて筋肉に信号を送り始めると、筋肉の体積と力が回復し、数か月かけて輪郭や症状が少しずつ戻っていきます。


片側の用量と製品ごとの単位の違い
エラボトックスは製剤とmasseterの大きさによって用量が変わります。美容目的の小顔施術では、片側あたりonabotulinumtoxinA換算で20~30 Uを使うのが一般的です。筋肉が厚いほど用量を増やします。
| 製剤 | 片側の用量 | 備考 |
|---|---|---|
| onabotulinumtoxinA | 20~30 U | 美容の標準量 |
| ona高用量 | 最大72 U | 非常に厚い筋肉 |
| abobotulinumtoxinA | 約75 U | ona30 U相当 |
知っておきたいのは、製剤によって単位が異なるという点です。abobotulinumtoxinA 75 Uはonabotulinumtoxinaの約30 Uに相当します。そのため他院で聞いた単位をそのまま比較すると誤解が生じることがあり、どの製剤を使っているかも合わせて確認しておくと安心です。
注射する位置も重要です。下顎骨の縁から少なくとも1cm上、耳の前と口角を結ぶ線より下の安全域に注射します。この境界を越えて薬剤が前や下に広がると、笑ったときに口角がずれるなど表情筋に影響することがあります。針をmasseterの深さまで入れて複数のポイントに分けて注射し、ultrasoundで層を確認すると隣接する筋肉への広がりを抑えやすくなります。

効果はいつから出て、どのくらい続く?
エラボトックスはすぐに効果が見える施術ではありません。噛む力が弱まった感覚は数日のうちに現れますが、目に見える小顔効果はmasseterが萎縮する時間を経て初めて表れます。
筋肉の厚みはultrasoundで、歯を強く噛んだ状態と力を抜いた状態のそれぞれで測定し、施術前後を比較します。この方法で厚みを測った研究では、注射から1か月ですでに約6%薄くなっていることが確認されました。見た目の輪郭の変化はおよそ6~12週かけて現れ、ある研究では筋肉の厚みが6か月時点で最も薄くなった後、再び回復し始めています。
持続期間は1回の施術でおよそ3~6か月です。ある臨床試験では、片側72 Uを注射して明らかな改善が見られた人たちで、効果が約248日続きました。筋肉の体積が回復する時期は、用量や元々の筋肉の大きさ、食いしばりの癖によって個人差が大きくなります。
効果をより長く保つには、繰り返しの施術が助けになります。ある研究では、3か月時点で再注射した側は6か月時点でも薄い状態が維持された一方、1回だけ注射した側は厚みがほとんど回復していました。つまり繰り返しの施術によって萎縮がより深く、長く続くということです。ただしこの研究は対象人数が少ないため、参考程度に見るのがよいでしょう。

実際にどのくらい小顔になる?
エラボトックスの小顔効果は、複数の臨床試験で確認されています。エラの張りがはっきりした成人187人を対象にした試験では、片側72 Uを注射したグループで、90日目に91.3%が筋肉の突出の明らかな改善を示しました。同じ時点で偽注射のグループは21.7%でした。顔の下半分の体積も偽注射より有意に減少しており、72 Uと96 Uでは効果の差がほとんどなかったことから、非常に厚い筋肉に対しても72 U程度が実用的な上限と考えられています。
厚みがどれくらい減るかは、研究によって差が大きいです。ultrasoundで測った1回の施術効果は1か月で約6%程度ですが、繰り返しの施術や6か月前後の最も薄くなった時点、対照群のない観察研究では30~50%まで報告されることもあります。ある比較研究では左右で約49%と19%と大きく異なりました。
このように差が大きいため、何%薄くなるかをひとつの数字で言い切るのは難しいです。筋肉が厚いほど、繰り返し注射するほど変化の幅が大きくなる傾向として理解するのが正確です。それでも輪郭がすっきりする方向への効果自体は、しっかり設計された臨床試験で確認されているため、エラの張りを和らげる施術として理にかなった選択です。
起こりうる副作用と対処
エラボトックスで最も知っておきたい副作用は、代償性の筋肉の突出です。薬剤が主に深層の筋肉に入り、浅い層が残った場合、噛むときにその残った部分が代わりに盛り上がって見える現象です。多くは注射から1日以内に現れ、10日前後で消えていきます。残る場合は浅い層に少量を追加注射して調整します。
| 副作用 | 特徴 | 対処 |
|---|---|---|
| 筋肉の突出 | 浅い筋肉が代わりに盛り上がる、通常10日で消失 | 浅層に少量追加 |
| 左右差 | 左右の用量や深さの違いで発生 | 左右対称に注射 |
| 噛む力の低下 | 軽度で一時的 | 硬い食べ物に注意 |
| 頬のこけ | 過量の反復でこける | 用量を調整 |
左右差は、両側の用量と深さをそろえ、あらかじめ注射する位置をマーキングしておくことで抑えられます。噛む力が弱まるのは想定される作用のため、硬い食べ物を食べるときに不便を感じることがありますが、多くは軽度で時間とともに回復します。
用量が多すぎたり、積極的に繰り返し注射したりすると、筋肉や周囲の組織が過度に萎縮し、顔がこけて見えることがあります。このほか注射部位のあざや痛み、一時的な頭痛が起こることもありますが、美容目的の用量で深刻な問題が起きることはまれです。ただしこうした副作用の正確な発生頻度を示す大規模なデータはまだ十分ではないため、数字で言い切るよりも傾向として理解するのがよいでしょう。
食いしばりや歯ぎしりにも効果はある?
エラボトックスは美容目的だけでなく、食いしばりや夜間のbruxism、それによる筋肉痛を減らす目的でも使われます。噛む力が弱まることで、食いしばりや歯ぎしりの強さ自体が下がるためです。
| 項目 | 確認された内容 |
|---|---|
| 痛みの軽減 | 2週~3か月、偽注射より有意に減少 |
| 持続性 | 4~6か月で痛みが再発、効果は一時的 |
| 噛む力 | 1か月以内に最大咬合力が低下 |
| エビデンスレベル | おおむねClass II、症状管理レベル |
夜間にbruxismのある人22人を対象にした臨床試験では、2週、1か月、3か月の時点で痛みが偽注射より明らかに減少しました。ただし4~6か月になると痛みが再び強まっており、これは効果が一時的であるという仕組みと一致しています。複数の研究をまとめた分析でも、最大咬合力と痛みが減る効果が確認されています。
全体として、痛みと噛む力を減らす効果については、エビデンスが積み重なっています。神経内科系の資料では、おおむねClass IIレベルのエビデンスと評価されています。ただしbruxismそのものを完全になくすというより、薬の効果が続いている間だけ症状を管理する考え方のため、効果が薄れれば再び施術が必要になります。小顔効果と合わせてこうした症状の改善も期待できる点は、エラボトックスの実用的なメリットです。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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