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頭皮の脂漏性皮膚炎治療、原因菌マラセチアから薬用シャンプーと再発予防まで何から始めるべきか

By Dr. Lee1 min read

洗髪してもすぐにフケが出て頭皮が赤くなり、かゆみが出るなら脂漏性皮膚炎かもしれません。フケ用シャンプーで一時的によくなってもまたぶり返すことを繰り返し、疲れてしまう人も多いはずです。脂漏性皮膚炎は一度で完治する病気ではなく、よくなったあともケアで再発を抑え続ける病気だからです。

まず判明している原因菌から確認し、何から使い始めるべきか、よくならないときに何を追加すべきか、最近話題の頭皮再生施術に実際の効果があるのかまで、論文で確認できた治療法を根拠の強い順に整理しました。順番は流行や価格ではなく研究による裏付けを基準にしており、根拠が弱い治療については正直に弱いと記しています。各治療の効果は実際の研究データとグラフでも紹介します。

脂漏性皮膚炎はマラセチア酵母が皮脂を刺激性の脂肪酸に変え、敏感な頭皮に炎症を起こすことで生じる
脂漏性皮膚炎はマラセチア酵母が皮脂を刺激性の脂肪酸に変え、敏感な頭皮に炎症を起こすことで生じる

脂漏性皮膚炎はなぜ繰り返し再発するのか?

脂漏性皮膚炎は、頭皮にもともと存在するマラセチアという酵母が増えることから始まります。この酵母が皮脂を分解すると刺激性の高い脂肪酸が生まれ、これに敏感に反応する人の頭皮で炎症が起こります。そのためフケ、赤み、角質、かゆみ、テカリといった症状が現れます。

重要なのは、これが単純な真菌感染症ではないという点です。マラセチア、皮脂、そして個人の感受性という3つの要素が重なって起こる問題であるため、原因が完全になくなることはありません。頭皮には常に酵母が生息し、皮脂も分泌され続けるからです。そのため脂漏性皮膚炎は慢性化しやすく、再発を繰り返します。

顕微鏡で見た頭皮の酵母細胞、小さく丸いこのマラセチアが判明している原因菌である

マラセチアはもともと誰の頭皮にも存在する常在酵母です。問題はこの菌が過剰に増え、皮脂を刺激性の脂肪酸に変えてしまうときに起こります。顕微鏡で見ると小さく丸い酵母細胞が群れをなして観察され、これが脂漏性皮膚炎の判明している原因菌です。そのため治療の大きな柱も、この菌を減らす抗真菌薬になります。

ここから治療の方向性が決まります。まず集中的にしっかり抑えることも大切ですが、よくなったあとも再発を抑え続けるケアが治療の半分を占めます。実際、これから紹介する治療法も多くは初期に集中して使い、その後は弱めの強度で維持するという使い方をします。ストレス、乾燥した寒い気候、睡眠不足、飲酒は悪化要因として知られているため、生活面のケアも一緒に行うとよいでしょう。この特性を理解すると、なぜ維持療法が重視されるのかが分かります。

ケトコナゾール2パーセントシャンプーは改善率89パーセントでプラセボの44パーセントを大きく上回る第一選択の標準治療である
ケトコナゾール2パーセントシャンプーは改善率89パーセントでプラセボの44パーセントを大きく上回る第一選択の標準治療である

第1位、薬用抗真菌シャンプーがなぜ基本なのか?

もっとも根拠がしっかりしている第一選択の治療は、抗真菌成分入りの薬用シャンプーです。原因であるマラセチアを直接減らしてくれるためです。代表的な成分はケトコナゾール2パーセントとシクロピロクスです。

効果は複数の研究で裏付けられています。ケトコナゾール2パーセントシャンプーを使用した研究では、頭皮の病変が改善または消失した割合が89パーセントで、プラセボの44パーセントを大きく上回りました。多数の研究を統合した解析でも、ケトコナゾールは治療失敗のリスクをプラセボより約30パーセント下げ、効果は外用ステロイドと同程度でありながら副作用は少なくなっています。シクロピロクスシャンプーも、4週間後に改善または消失した割合が93パーセントで、プラセボの41パーセントを大きく上回りました。

ケトコナゾール配合の薬用抗真菌シャンプーは頭皮の脂漏性皮膚炎の第一選択の標準治療である

ピリチオン亜鉛やセレン硫化物入りのシャンプーも一般的によく使われていますが、効果はあるものの研究の根拠の強さはケトコナゾールやシクロピロクスより一段階下と評価されています。使い方も重要です。シャンプーを頭皮に3〜5分ほど置いてから洗い流すことで、成分が作用する時間が生まれます。最初は週2〜3回使用し、よくなったら週1回に減らして維持するのが標準的な使い方です。

ステロイドは急性期に即効性があり、カルシニューリン阻害薬は週2回の維持で20週間、65パーセントが悪化なく維持できた
ステロイドは急性期に即効性があり、カルシニューリン阻害薬は週2回の維持で20週間、65パーセントが悪化なく維持できた

第2位、かゆみと赤みを早く抑えるには何を使うのか?

炎症とかゆみ、赤みをもっとも早く抑えてくれるのが外用の抗炎症薬です。抗真菌シャンプーが原因を減らす役割だとすれば、抗炎症薬は今出ている症状を鎮める役割なので、両方を併用するのが基本です。

1つ目は外用ステロイドです。急に赤くなりかゆみが出たときに素早く効きます。ただし頭皮や顔に長く使うと皮膚が薄くなったり、やめたときにリバウンドでぶり返したりすることがあるため、症状がひどいときだけ短期間使うのがよいでしょう。2つ目はカルシニューリン阻害薬のタクロリムスやピメクロリムスです。効果はステロイドと同程度でありながら、皮膚が薄くなる副作用がないことが大きなメリットです。

カルシニューリン阻害薬は維持療法としての根拠も良好です。タクロリムスを週2回塗布して維持した研究では、20週間にわたり悪化なく維持できた割合が65パーセントでした。たいてい2週間以内に改善し、やめて再発しても程度は軽くなります。ステロイドは緊急時に短期間だけ使う消火役、カルシニューリン阻害薬は再発しやすい部位に安全に使える維持のカードといえます。頭皮には塗りやすいローションやフォームタイプを使います。抗炎症薬だけを単独で使うより、抗真菌シャンプーと併用することで原因と症状を同時に抑えられます。

イトラコナゾールは4か月時点の改善率93パーセントでプラセボの54パーセントを上回るが、処方と経過観察が必要である
イトラコナゾールは4か月時点の改善率93パーセントでプラセボの54パーセントを上回るが、処方と経過観察が必要である

第3位、治らないときは内服薬も使うべきか?

外用治療でなかなか改善しない場合や、病変が広く再発を繰り返す中等度以上の場合には内服の抗真菌薬を使います。代表的なのがイトラコナゾールです。体の内側からマラセチアを減らしてくれるため、外用治療が届きにくい広範囲や重症例で力を発揮します。

根拠もしっかりしています。イトラコナゾールをプラセボと比較した研究では、4か月時点の改善率が93パーセントで、プラセボの54パーセントよりはるかに高くなりました。赤み、角質、かゆみのいずれもはっきり改善し、再発率も有意に低下しています。通常は最初の1週間は毎日服用し、その後は2週間に1回、または月に数日だけ服用する形で維持します。

ただし内服薬である以上、注意も必要です。肝機能の数値や他の薬との相互作用を確認しなければならない処方薬なので、最初から気軽に使うというより、外用治療がうまくいかなかったときに医師が判断して使う段階のものです。自己判断で購入して飲む薬ではありません。そのため根拠の強さでは上位に入りますが、誰もが最初から使う治療ではないため第3位に位置づけました。広範囲で重い脂漏性皮膚炎に対する確実なカードになってくれる、というのがこの治療の立ち位置です。

厚く積み重なった角質がシャンプーの浸透を妨げるが、スケーリングで取り除くと抗真菌シャンプーが頭皮に届きやすくなる
厚く積み重なった角質がシャンプーの浸透を妨げるが、スケーリングで取り除くと抗真菌シャンプーが頭皮に届きやすくなる

頭皮スケーリングはいつ役立つのか?

医療用の頭皮スケーリングや角質を柔らかくする専門クレンジングは、標準治療をサポートする補助的な位置づけです。サリチル酸などの成分で、厚く積み重なった角質や皮脂のかさぶたをやさしく取り除きます。これ自体が病気を治すというより、かさぶたを取り除いて抗真菌シャンプーが頭皮にしっかり届くようにする前処理の役割です。

ケトコナゾールにサリチル酸を加えた製品は、抗真菌作用と角質ケアを同時に狙う

角質が厚く覆っていると、どれだけよい薬用シャンプーを使っても成分が頭皮の奥のマラセチアまで届きにくくなります。スケーリングでその層を取り除くと、その後の外用治療の浸透がよくなります。実際、抗真菌成分にサリチル酸のような角質溶解成分を加えた製品もあり、角質を整理しながら菌も同時に抑える使い方をします。サリチル酸と鎮静成分を使った研究では、4週間でフケが半分以上、かゆみも半分以上減少しました。目に見えるかさぶたが減ると、ケアがうまくいっている実感も湧きやすく、継続のモチベーションにもつながります。

ただし参加人数が少ない研究であるため、スケーリングを単独の治療として位置づけるのは難しいところです。あくまで抗真菌シャンプーや外用治療が頭皮にしっかり作用するよう道をつける補助と理解するのが正確です。かさぶたが厚い、角質がひどいといった場合に先に整えておくと、標準治療の効果がぐっと高まります。自宅で爪やくしで無理にこすり取ると頭皮が傷つき炎症が悪化することがあるため、角質が厚いときは医療機関でやさしく溶かして取り除いてもらうほうが安全です。

根拠は抗真菌シャンプー、外用抗炎症薬、内服抗真菌薬がしっかりしており、再生医療は脂漏性皮膚炎に対する根拠がまだ不十分である
根拠は抗真菌シャンプー、外用抗炎症薬、内服抗真菌薬がしっかりしており、再生医療は脂漏性皮膚炎に対する根拠がまだ不十分である

エクソソームなどの再生医療に効果はあるのか?

最近は頭皮の再生やバリア機能の改善をうたうエクソソーム、スキンブースター、PNといった施術が盛んに宣伝されています。頭皮によさそうな響きですが、脂漏性皮膚炎を対象に効果を確認したしっかりした臨床的根拠はまだ見つかりにくいのが実情です。

脂漏性皮膚炎の最新のレビューで根拠が積み上がりつつある新しい治療として挙げられているのは、こうした再生医療ではなく、炎症を調整する新しい外用薬です。再生医療の頭皮バリアや抗炎症に関するデータの多くはアトピー性皮膚炎や美容分野から得られた間接的なものであり、脂漏性皮膚炎への治療効果に直結させるのは難しい段階です。そのため再生医療は頭皮のコンディションを整える補助として試す分には構いませんが、先に挙げた標準治療の代わりになると考えるのはまだ早いといえます。

根拠がしっかりしている順に並べると、抗真菌シャンプー、外用抗炎症薬、内服抗真菌薬となり、頭皮スケーリングはこれらを補助する形で続きます。何より、よくなったあとも薬用シャンプーを週1〜2回続ける維持療法が再発を抑えてくれます。改善しない、脱毛を伴う、境界がはっきりした厚い角質が見られるといった場合は乾癬など別の病気の可能性もあるため、そのときは皮膚科で正確に見極めてもらうのがよいでしょう。

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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