グルタチオン美白、経口と点滴はどちらが本当に効いて安全か?
By Dr. Lee1 min read

肌を明るくしたくて調べていると、白玉注射という名前に出会います。一本打てば顔が明るくなるという口コミが多くて、気になります。実際に効果を実感した方も少なくありません。ならばその効果がどこまで検証されたもので、どこからが期待なのか、整理してから受けることが大切です。
まず大まかな話をします。白玉注射とは、グルタチオンという抗酸化物質を静脈に入れる注射です。グルタチオンが肌を明るくできるという話自体には根拠があります。ただしその根拠の多くは、実は経口グルタチオンから得られたものです。点滴(静注)は効果を実感したという口コミは多いものの、それを確認した研究はまだ不十分です。闇雲に期待したり否定したりするより、剤形ごとに何がわかっているか、そして受けるなら安全にどう受けるかを整理します。

白玉注射はどうやって肌を明るくするのか
グルタチオンは私たちの体が自ら作り出す強力な抗酸化物質です。本来は細胞を酸化ストレスから守り、解毒を助ける役割を担っています。この物質が美白と結びつくのには、二つの理由があります。
一つは、メラニンを作る酵素であるチロシナーゼを抑制するという点です。酵素の働きが弱まれば、色素の産生が減ります。もう一つは、メラニンの種類を変えるという点です。メラニンには暗い褐色のユーメラニンと明るい色のフェオメラニンがあり、グルタチオンは暗い方ではなく明るい方へ色素が産生されるよう誘導すると考えられています。理論だけで見ると、肌全体が明るくなる余地は確かにあります。
ちなみにグルタチオンは、もともと病院で抗がん治療や肝疾患、中毒治療の補助として使われてきた物質なので、安全性そのものはある程度知られています。ただし理論がもっともらしいことと、実際に人の体でその効果が出るかは別の話です。その差はどの経路で投与するかによっても変わります。同じ物質でも口から飲むことと血管に直接入れることでは体への届き方が違うため、効果と安全性は経路ごとに分けて考える必要があります。

経口は根拠がある程度そろっている
意外に感じるかもしれませんが、根拠が最も積み上がっているのは経口グルタチオンです。複数の無作為比較試験で、1日250〜500mgを服用した方が、服用しなかった方よりもメラニン指数が有意に低下しました。メラニン指数とは、皮膚に色素がどれほどあるかを機械で測った値です。
たとえば口の中で溶かす500mgのトローチを4週間使った研究では、日光にさらされた部位と覆われた部位の両方でメラニンが減少し、約90%がある程度肌が明るくなったと評価されました。外用2%グルタチオンもメラニンを減らしており、経口と外用を併用するとどちらか一方だけより効果が高いことも示されています。
ただし、正直にお伝えしたい点があります。効果の大きさは概して小さく、研究期間は数週間から数ヶ月と短く、やめると戻る傾向があります。経口グルタチオンは根拠があるとはいえ、一度で白くなる魔法ではありません。継続と紫外線対策をセットにした補助的な手段と捉えるのが適切です。それでも外用だけでは限界を感じている方には、根拠がある以上、試してみる価値のある選択肢です。

点滴は口コミは多いが検証はまだ不十分
美容クリニックで最も人気の形態は経口ではなく、白玉注射とも呼ばれるグルタチオン点滴(静注)です。効果を実感したという口コミも最も多い形態です。ところがその効果を科学的に確認した研究を探してみると、意外にも空白が目立ちます。
点滴グルタチオンが肌を明るくすることをきちんと検証した人対象の臨床研究はまだ十分でなく、どれだけの量をどの頻度で投与すべきかの標準基準もありません。そのため、効果が早く感じられるという体験が、グルタチオン自体の美白効果なのか、点滴で一時的にむくみが取れてコンディションが良くなった感覚なのか、期待が生んだ効果なのか、まだ区別するのが難しい状況です。これは効果がないという意味ではありません。
ただ、個人の体験と研究で実証されたこととは、明確に分けて考える必要があります。点滴を受けるとしても、一度でドラマチックに白くなるという期待より、補助的に助けてくれる可能性がある、という程度に期待値を設定しておくのが現実的です。口コミが多いことは満足した方がいるという証ですから、無視すべきことではありません。ただしその満足が誰にでも同じ大きさで訪れるという保証は、まだないということです。

受けるなら安全を最優先に
効果への期待と同じくらい大切なのが安全性です。点滴は効果とは別に、方法そのものが注意すべき点を伴います。グルタチオン注射で報告された副作用には、突然のアレルギー反応であるアナフィラキシー、肝臓・腎臓・神経への毒性、そしてまれに皮膚と粘膜が重篤に剥離するスティーブンス・ジョンソン症候群があります。
製品そのものの問題もありました。一部のグルタチオン注射製品で、細菌由来の毒素であるエンドトキシンが基準値を超えて検出された事例があり、これが注射後の有害反応の原因として指摘されました。フィリピンFDAは美白目的のグルタチオン注射使用について公式警告を出しており、日本でも美白効能として承認を受けた製品ではありません。
これは受けるなという意味ではなく、受けるなら条件を整えて受けてほしいということです。正規の医療機関で医師に相談し、製品の出所が明確かを確認してください。アレルギー体質の方、肝臓や腎臓が弱い方、妊娠中の方は事前に必ず伝えることが安全です。複数の成分を混ぜる高用量カクテル注射になるほど変数が増えるため、構成と用量を事前に確認しておくと安心です。

明るい肌を目指すなら、どこから手をつけるか
肌を明るくしたいという気持ちは自然なことです。順番を整理するだけです。最初で最も効果的なのは紫外線対策です。色素が濃くなる最大の原因は紫外線なので、毎日日焼け止めを塗るだけでも、これ以上暗くなるのを防ぐことができます。
次は根拠の積み上がった外用成分です。vitamin C、niacinamide、tranexamic acid、hydroquinoneなどがこれに当たります。
グルタチオンを使いたいなら、根拠が最もそろっているのは経口です。点滴を受けたいなら、効果を補助的なものと考えながら、安全条件を整えた上で受けることが大切です。下の表に剤形別の根拠と安全性をまとめました。
| 剤形 | 美白の根拠 | 安全性 |
|---|---|---|
| 経口グルタチオン | 複数の研究でメラニン減少、ただし効果は小さい | 比較的安全、消化器症状程度 |
| 外用グルタチオン | メラニン減少、併用でより効果的 | 刺激が少ない |
| 点滴(白玉注射) | 口コミは多いが検証研究は不十分 | アナフィラキシー等に注意、正規品と医療機関が必須 |
白玉注射は効果を実感した方も多いですが、まだ検証が追いついていない施術です。明るい肌を望むなら紫外線対策と検証済みの成分を土台に置き、グルタチオンは経口から検討し、注射は期待値を現実的に設定して安全条件を整えた上で医師に相談して受けることが最も合理的な選択です。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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