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フィラーを受ける前に知っておきたい副作用、血管塞栓から失明・肉芽腫まで原因と対処法

By Dr. Kim1 min read

フィラーはよくある施術ですが、副作用がまったくないわけではありません。ほとんどは内出血や腫れのように数日で引く軽いものです。ただまれに、血管が詰まって皮膚が壊死したり、失明につながることもあります。怖がらせたいのではなく、何が多くて何が本当に危険なのかを知った上で施術に臨むことが大切だからです。

フィラーの副作用は大きく、施術直後すぐに出るものと、数週間から数ヵ月後に遅れて出るものの2種類に分かれます。内出血と腫れは起きやすいですが自然に治ります。血管塞栓は起きた瞬間に緊急事態になり、しこりや肉芽腫はあとからじわじわ現れます。それぞれの原因、危険度、そして元に戻せる範囲を一つひとつ確認してみます。何に気をつければいいか分かれば、余計な不安も和らぎます。

フィラーの副作用は施術直後に現れるものと、数週間から数ヵ月後に遅れて出るものに分かれる
フィラーの副作用は施術直後に現れるものと、数週間から数ヵ月後に遅れて出るものに分かれる

フィラーの副作用、どのくらい起きて何が危険なのか?

フィラーの副作用のほとんどは軽くて一時的なものです。施術部位が内出血を起こしたり腫れたり、押すと違和感があったり赤みが出たりすることが一番多いです。これはニードルが組織や血管を通るときに生じる自然な反応で、たいてい数日から1週間で落ち着きます。特別なケアなしで治まるケースがほとんどです。

問題になるのは、まれだけれど深刻な副作用です。フィラーが血管の中に入ったり、血管を圧迫して血流が途絶えると皮膚が壊死することがあります。目に向かう血管が塞がれれば、視力を失うこともあります。発生頻度は低くても、一度起きると結果が大きいため、軽い副作用とはまったく別の重さで考えなければなりません。

そのためフィラーの副作用は「多い」と「危険」を分けて見ることが必要です。多いのはたいてい自然に治る内出血や腫れで、危険なのはまれに起きる血管塞栓やあとから出るしこりです。この2つをひとまとめにすると、ただ怖くなるか逆に油断するかのどちらかになります。どちらがどちらなのかを知った上で施術を選ぶことが先決です。多いものは時間が解決し、危険なものは予防と早い対応がすべてだと覚えておけば十分です。

ヒアルロン酸フィラーの血管塞栓は1万シリンジあたり約3〜9件とまれだが、カルシウム系フィラーではより高く報告されている
ヒアルロン酸フィラーの血管塞栓は1万シリンジあたり約3〜9件とまれだが、カルシウム系フィラーではより高く報告されている

最も怖い血管塞栓、なぜ起きるのか?

血管塞栓とは、フィラーが血管を塞いで血流が止まる状態です。起き方は2通りあります。一つはニードルを通じてフィラーが直接血管内に入り血流を妨げるケース、もう一つは血管の近くに大量に注入されて血管が外側から圧迫されて細くなるケースです。どちらの場合も、その血管が担当する組織に血液が届かなくなります。

血流が止まると、その部位の皮膚が白くなったり強い痛みが生じたりして、時間が経つと色が暗くなり壊死へとつながることがあります。ヒアルロン酸フィラーでの血管塞栓は1万シリンジあたり約3〜9件程度とまれですが、カルシウム系フィラー(CaHA)のように元に戻しにくい種類だとリスクはさらに上がります。まれでも誰にでも起き得る緊急事態です。

大切なのは素早く気づくことです。施術中や直後に異常に強い痛み、皮膚が白くなる色の変化、まだら状のパターンが見えたら血管塞栓を疑う必要があります。このときは施術を止めてすぐに対処しなければならず、遅くなるほど組織のダメージが取り返しのつかないものになります。施術者がこのサインを知っていること、そして緊急対応ができる環境で受けることがとても重要です。

軟部組織フィラーによる失明は報告された190件のうち自家脂肪が約47%と最も多く、ヒアルロン酸がそれに次いだ
軟部組織フィラーによる失明は報告された190件のうち自家脂肪が約47%と最も多く、ヒアルロン酸がそれに次いだ

フィラーで失明することはある?

最も恐れられている副作用が失明です。顔の一部の血管は目につながる血管とつながっているため、フィラーがその血管に誤って入ると逆流して目の網膜動脈を塞ぐことがあります。こうなると突然片側の視野が暗くなり、残念ながら視力が完全に回復するケースはまれです。

ある系統的レビューでは、軟部組織フィラーによる失明が世界で190件報告されており、そのうち自家脂肪注入が約47%と最も多く、ヒアルロン酸がそれに次いでいました。数だけ見るとごくまれな話ですが、一度起きたら元に戻せないという点で、最も重く扱われる副作用です。

特に危険な部位は決まっています。眉間や鼻、ほうれい線には目につながる血管が走っているため、失明事故が集中します。こういった部位では解剖学に精通した施術者が浅い層に少量ずつ分けて入れ、ニードルの代わりに先端が丸いカニューレを使うなど、より慎重に扱うことが必要です。危険な部位ほど施術者の経験と慎重さが結果を左右します。施術中に突然目の前が暗くなったり激しい頭痛が起きたりしたら、すぐに施術を止めて伝えてください。

フィラーのしこりは施術直後の塊から、数週間〜数ヵ月後に出る遅発性しこりやバイオフィルムまでタイミングはさまざま

しこりと肉芽腫、バイオフィルムとは何か?

血管塞栓がすぐに起きる緊急事態だとすれば、しこりはあとからじわじわ現れる副作用です。しこりとはフィラーが塊になって触れる状態のことで、施術直後に均等に広がらずにできる場合はたいていほぐすか時間が経てば治りますが、数週間から数ヵ月後に突然腫れてかたくなる遅発性しこりは性格が異なります。

遅発性しこりの原因の一つがバイオフィルム(biofilm)です。バイオフィルムとは、細菌がフィラーの周りに膜を作って潜んでいる状態で、普段は静かにしていても風邪をひいたり他の施術がきっかけで突然炎症を起こします。肉芽腫(granuloma)は、体がフィラーを異物と判断して取り囲むことで生じる炎症性の塊です。どちらも施術からかなり後に現れるため、原因を見逃しやすいです。

施術から数ヵ月が経ってからしこりが触れたり、赤く腫れてきたりしたら、フィラーと関係ないと思わずに診察を受けることが大切です。遅発性しこりは原因によって治療が変わります。炎症や感染が疑われれば抗生剤やステロイド注射を使い、ヒアルロン酸フィラーであれば溶解注射で塊を小さくすることができます。原因を見極めることが治療の出発点です。自分で絞ったり触ったりすると炎症を悪化させることがあるため、触れないようにするのが賢明です。

ヒアルロン酸フィラーの血管塞栓はヒアルロニダーゼで約84%において回復が報告されており、5日以内に対応するほど良い結果だった
ヒアルロン酸フィラーの血管塞栓はヒアルロニダーゼで約84%において回復が報告されており、5日以内に対応するほど良い結果だった

元に戻せる?ヒアルロニダーゼの役割とは

ヒアルロン酸フィラーの大きなメリットは、元に戻せることです。ヒアルロニダーゼという溶解酵素を注射すると、hyaluronic acid(HA)が分解されて消えます。仕上がりが気に入らないときだけでなく、血管塞栓のような緊急事態でも詰まったフィラーをすばやく溶かして血流を再開させる核心的な治療となります。

実際に、ヒアルロン酸フィラーの血管塞栓はヒアルロニダーゼ治療で約84%において部分的または完全な回復が報告されています。ただし時間が鍵です。詰まってから5日を過ぎると組織のダメージが固定されて回復が難しくなるため、症状が出たら数時間以内に高用量で素早く対応することが原則です。早ければ早いほど、救える組織が多くなります。

一点覚えておきたいのは、元に戻せるというのはカルシウムや脂肪など他のフィラーには当てはまらないことです。ヒアルロン酸以外のフィラーは溶解注射が効かないため、緊急対応がはるかに難しくなります。そのため危険な部位に初めて受ける場合は、問題が起きたときに元に戻せるヒアルロン酸フィラーが相対的に安全な選択になります。元に戻せることは安心の理由にはなりますが、油断の理由にはならないことも忘れずに。

フィラーの副作用を減らすには、解剖学に詳しい施術者と緊急対応の準備が大切

副作用を減らすためにできること

最も確実な予防は施術者の選択です。顔の血管がどこを通っているかを熟知した施術者が、危険な部位は浅く少量ずつ分けて入れ、必要に応じて先端が丸いカニューレを使い、注射前に血管内に入っていないかを確認する習慣があれば、血管塞栓のリスクは大きく下がります。そして問題が起きたときにすぐ対応できる体制、とりわけヒアルロニダーゼを備えているクリニックで受けることが重要です。

受ける側にも準備できることがあります。施術前にアスピリンやオメガ3など血液をさらさらにするものを数日控えると内出血が減り、施術後は過度な熱や圧迫を避けるのがよいです。そして施術中に異常に強い痛みや皮膚の色の変化を感じたら、我慢せずにすぐ伝えることです。このサインを早く伝えることが緊急対応の始まりになります。

フィラーの副作用はほとんど軽いものですが、まれな血管塞栓と失明は結果が大きい分、予防と素早い対応がすべてです。安い価格やアクセスの良さよりも、解剖学に精通して緊急対応の準備が整った施術者を選ぶことが最も確実な安全策です。元に戻せるヒアルロン酸フィラーでも油断せず、危険なサインを知って受けることが自分を守る方法です。

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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