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ディフェリン(アダパレン)のニキビへの効果と仕組み—第3世代レチノイドが毛穴に作用するメカニズム

By Dr. Lee1 min read

ニキビの治療法を調べていると、ディフェリン(Differin)という名前によく出会います。塗り薬のニキビ治療薬ですが、抗生物質のように菌を殺すのではなく、詰まった毛穴を通りやすくするという点が特徴として紹介されています。ただ、レチノイド・トレチノイン・アクリーフといった似たような名前が並んでいて、ディフェリンが具体的に何であり、何が違うのか混乱してしまう方も多いようです。

そこで、ディフェリンが正確に何であり、レチノイドのなかでどこに位置づけられ、ニキビにどう作用するのかを、宣伝ではなく実際の研究から追ってみます。ディフェリンは効果がしっかり証明されている薬ですが、効果が現れるまでに時間がかかり、使い始めに刺激が出ることを知らずにいると早々にやめてしまいがちです。どこまで期待できるかを理解しておけば、最後まで正しく使い続けることができます。

ディフェリンゲル アダパレン0.1パーセント

ディフェリンとはどんな薬なのか

ディフェリンは、アダパレン(adapalene)という成分の塗るタイプのレチノイド系ニキビ治療薬です。ガルデルマ社が開発し、濃度は0.1%ゲルが最も一般的です。レチノイドはビタミンAに由来する成分で、皮膚の細胞が増殖・脱落する過程を正常に戻すために使われます。ディフェリンは、面皰(コメド)、つまり毛穴詰まりが主体の軽症から中等症のニキビに対して、第一選択薬として推奨されています。

ひとつ押さえておきたいのは、国によって医薬品の区分が異なるという点です。アメリカでは2016年にディフェリンゲル0.1%が処方箋なしで購入できる一般用医薬品(OTC)に切り替わりましたが、日本では依然として医療用医薬品(処方箋医薬品)であり、医師の処方が必要です。海外のレビューを見て個人輸入で試すより、自分の肌の状態に合わせて処方を受けて使うほうが安全です。

ディフェリンが標的にするのは菌ではなく毛穴詰まりです。そのため、抗生物質や過酸化ベンゾイルのように菌を減らす薬とは作用が異なり、むしろ一緒に使うことで互いを補い合います。ニキビの出発点である毛穴詰まりそのものに働きかける薬、それがディフェリンの本質です。日本では、アダパレンと過酸化ベンゾイルを組み合わせた複合製剤エピデュオゲルも処方可能で、肌の状態に応じた選択肢が広がっています。製剤が変わっても、核心成分であるアダパレンの作用機序は変わりません。

レチノイドの世代分類 — 第1世代トレチノイン(レチン-A)、第3世代アダパレン(ディフェリン)、第4世代トリファロテン(アクリーフ)。ディフェリンは第3世代で、アクリーフは成分が異なる別の薬である
レチノイドの世代分類 — 第1世代トレチノイン(レチン-A)、第3世代アダパレン(ディフェリン)、第4世代トリファロテン(アクリーフ)。ディフェリンは第3世代で、アクリーフは成分が異なる別の薬である

レチノイドには世代がある、ディフェリンは何世代?

レチノイドは開発の経緯と化学構造によって世代に分かれています。上の図がその整理です。第1世代はトレチノイン(tretinoin)、日本ではレチン-Aという名称でも知られる成分と、内服のイソトレチノインが含まれます。効果は強力ですが、刺激も出やすい傾向があります。第2世代は主に乾癬に用いる内服薬であり、ニキビへの外用としては使われません。第3世代がまさにアダパレン、すなわちディフェリンであり、同じ第3世代にタザロテン(tazarotene)があります。

ここでよく混乱するのがアクリーフです。アクリーフ(Aklief)はディフェリンと同じガルデルマ社の製品ですが、成分はトリファロテン(trifarotene)であり、最も新しい第4世代レチノイドです。つまりディフェリンとアクリーフは、名前が似ていて同じメーカーから出ているだけで、成分が異なる別の薬です。ディフェリン=アダパレン、アクリーフ=トリファロテンと覚えておけば迷いません。

アダパレンが第1世代のトレチノインと異なる点は、刺激が少なく安定性が高いという点です。アダパレンはレチノイド受容体のなかでも特定のものにのみ選択的に作用するよう設計されており、皮膚への刺激が抑えられています。また紫外線による分解に強く、トレチノインが日光照射6時間でほぼ分解された実験条件下でも、アダパレンは安定性を保ちました。過酸化ベンゾイルと混合しても分解されにくいため、2成分を配合したエピデュオゲルが製品化されているのも同じ理由によるものです。

アダパレンのニキビへの作用機序 — 毛穴での角質形成を正常化してコメド(面皰)を抑制・排出し、毛穴の炎症を鎮める。ただし皮脂分泌そのものは直接減らさない
アダパレンのニキビへの作用機序 — 毛穴での角質形成を正常化してコメド(面皰)を抑制・排出し、毛穴の炎症を鎮める。ただし皮脂分泌そのものは直接減らさない

アダパレンはニキビにどう作用するのか

上の図はアダパレンの作用をまとめたものです。ニキビは、毛穴の入り口で角化細胞が異常増殖して出口を塞ぐことから始まります。詰まった毛穴に皮脂が蓄積し、菌が増殖することで面皰が形成され、そこに炎症が加わると赤く腫れ上がった丘疹や膿疱になります。アダパレンはこの過程の初期段階に介入します。

作用は大きく3段階です。まずアダパレンが毛穴周囲の細胞のレチノイド受容体に結合します。すると角化細胞の過剰増殖が抑えられ、正常に脱落するよう誘導されることで、毛穴の出口が塞がらなくなります。新たな面皰の形成を抑え、すでに詰まっている面皰を排出しやすくするのです。同時に毛穴の炎症反応を鎮めることで、赤いニキビも減らします。

ただし、明確にしておきたい点がひとつあります。アダパレンは毛穴詰まりと炎症に働きかけますが、皮脂の分泌量そのものを減らすわけではありません。皮脂分泌を大幅に抑えるのは内服イソトレチノインの特徴であり、だからこそ重症ニキビには内服薬のほうが効果が大きいのです。塗るアダパレンは毛穴詰まりを解消することに主眼を置く薬、と理解すれば正確です。この毛穴詰まりを解消する作用から、効果は一度に現れるというよりも面皰が減りながらじわじわと出てきて、新たな詰まりを未然に防ぐ再発予防の効果も同時に期待できます。そのため、症状が改善した後もしばらくメンテナンスとして継続使用することが多いです。

本当にニキビは改善するのか — アダパレンを12週間使用した研究で、炎症性ニキビは約61パーセント、コメドは約51パーセント減少した。ただし効果は8〜12週かけてじわじわ現れる
本当にニキビは改善するのか — アダパレンを12週間使用した研究で、炎症性ニキビは約61パーセント、コメドは約51パーセント減少した。ただし効果は8〜12週かけてじわじわ現れる

実際にニキビは改善するのか

アダパレンの効果には根拠が十分蓄積されています。上のグラフのとおり、アダパレンを12週間塗布した研究では、赤く腫れた炎症性ニキビが約60%、詰まったコメドが約半数減少しました。第1世代のトレチノインと効果を比較した複数の研究をまとめたメタ解析でも、2剤の有効性は同等であり、刺激はアダパレンのほうが少ないという結果でした。効果は同等でより使いやすい。それがアダパレンの強みです。

ここに過酸化ベンゾイルを加えると、さらに効果が高まります。アダパレンと過酸化ベンゾイルを配合した複合製剤をプラセボと比較した研究のメタ解析では、複合製剤のニキビ改善成功率がプラセボの2倍以上でした。そのためガイドラインでも、塗るレチノイドに抗菌薬を組み合わせる処方が大多数のニキビに対する第一選択として推奨されています。

ただし、効果が現れるまでには時間がかかります。通常、8〜12週間は継続して塗り続けないと変化が見えず、最初の数週間はむしろ潜んでいたニキビが出てくるように感じる時期があるかもしれません。これは多くの場合、詰まっていた面皰が排出される正常なプロセスです。この時期を乗り越えられずに早期に中止してしまうと効果を得にくいため、時間がかかることを理解したうえで始めることが重要です。また、気になる箇所だけにピンポイントで塗るより、ニキビができやすいエリア全体に薄く広げるほうが、新しいニキビの予防により効果的です。

ニキビ部位に塗り薬を使用している様子

使い方と副作用、どんな人に向いているのか

使い方はシンプルですが、コツがあります。夜に洗顔して肌を完全に乾かした後、ニキビの気になる部位に薄く塗ります。水気が残っていると刺激が強くなるため、しっかり乾かすことが大切です。最初から毎日塗ると刺激が出やすいため、最初の2〜4週間は1〜2日おきから始め、肌が慣れてきたら毎日に増やす方法が推奨されます。

初期の刺激は、ほぼすべての方に起こります。使い始めから2〜4週間の間に、肌が赤くなる・皮がむける・乾燥する・ひりひりするといった反応が出ることがありますが、これは薬が合わないのではなく、レチノイドに肌が適応していく正常なプロセスです。多くの場合、1か月ほどで落ち着いてきます。刺激が強い場合は塗る頻度を減らし、保湿剤をたっぷり使うこと、そしてレチノイド使用中は紫外線に対して肌が敏感になるため、日中は必ず日焼け止めを塗ることが大切です。また、レチノイドは妊娠中には使用しないことが原則とされているため、妊娠中または妊娠を希望している方は必ず医師に相談してください。

ディフェリンが特によく合うのは、コメドが多い軽症〜中等症のニキビをしっかり管理したい方です。ただし、結節や嚢腫が目立つ重症ニキビの場合は塗り薬だけでは不十分なこともあり、内服薬との併用を検討する必要があります。また、すでにできた瘢痕や色素沈着(ニキビ跡のシミ)への直接的な効果は限られるため、別のアプローチが必要です。効果が出るまで時間がかかること、使い始めの刺激があることを理解したうえで使えば、ディフェリンはニキビの根本原因である毛穴詰まりに取り組む、根拠に基づいた選択肢です。

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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