Apogee+(アポジープラス)アレキサンドライト755nm脱毛の効果と肌タイプ別の限界
By Dr. Lee1 min read

脱毛レーザーを調べると、アレキサンドライト、ダイオード、Nd:YAGといった聞き慣れない名前が次々と出てきます。なかでも Apogee+(アポジープラス)は、アレキサンドライト系の代表的な機器としてよく名前が挙がります。本当に永久的に毛が減るのか、自分の肌色に使っても火傷や色素沈着の心配がないのか、気になっている方も多いはずです。
Apogee+ は Cynosure が開発した 755nm アレキサンドライトレーザーです。この波長は毛のメラニン色素に吸収されやすく、毛を作る毛根に熱を与えて破壊する仕組みで脱毛します。同じ原理で、老人性色素斑のような浅いシミへの適応もあります。ただ、色素への反応が高い分、肌トーンによっては注意が必要です。原理と根拠・施術回数・シミへの適応・肌トーン別の限界について、それぞれ詳しく解説しています。

Apogee+ とはどんなレーザー?
Apogee+ は 755nm の波長を使うアレキサンドライトレーザーです。レーザーは波長によって反応しやすいターゲットが異なり、755nm はメラニン色素に特によく吸収されます。毛の黒い色素がこの光を吸収して熱に変わり、その熱が毛根に伝わって毛を再生できなくなるよう損傷させます。
この機器は Cynosure が製造した脱毛レーザーです。アレキサンドライトはメラニン吸収率が高く脱毛効率に優れるため、長らく脱毛レーザーの基準として扱われてきた波長です。Apogee+ にはさらに皮膚表面を冷却するシステムが加わっており、毛根に熱を届けながら表皮を保護するよう設計されています。
Apogee+ に Nd:YAG 1064nm 波長を組み合わせると Elite+ という上位構成に拡張できます。1064nm はより深く到達してメラニン吸収が少ないため、濃い肌色でもより安全な波長です。つまり Apogee+ は 755nm 単体で使うか、2波長を合わせてより幅広い肌タイプに対応する形で運用されます。最新モデルではありませんが、アレキサンドライト脱毛の基礎をしっかり備えた実績あるプラットフォームとして長く使われてきました。

755nm が毛を減らす仕組みは?
仕組みは、色素だけを選択的に加熱する点にあります。毛にはメラニンという黒い色素が多く含まれており、755nm の光はこの色素に特によく吸収されます。吸収された光は熱に変わり、その熱が毛と毛根に伝わって再び毛を生み出せないよう損傷させます。周囲の皮膚は色素が少ないため、相対的に熱を受けにくい構造です。
そのため、毛と肌の色の差が大きいほどレーザーの効果は高まります。黒くて太い毛に明るい肌の組み合わせが最も効果的です。逆に、色の薄い産毛や白髪はメラニンが少ないため反応しにくく、これがレーザー脱毛がすべての毛に同じように効かない理由です。
冷却システムも欠かせません。755nm は皮膚表面のメラニンにも吸収されるため、冷却なしでは表皮も熱を受けて火傷や色素沈着のリスクが生じます。Apogee+ は照射と同時に皮膚表面を冷やして表皮を保護しながら、熱を毛根に届けます。出力と冷却のバランスは施術者の判断によるため、同じ機器でも設定次第で安全性と効果が変わります。毛色と肌トーンの両方を考慮して出力を決めることが重要です。

脱毛効果はどこまで信頼できる?
根拠はしっかりと積み重なっています。755nm アレキサンドライトは以前から永久的な毛の減少の基準として位置づけられてきました。ある多施設臨床試験では、5回施術後の部位別脱毛率はワキ 83.0%、ビキニライン 82.1%、脚 82.2%、背中 81.6%、胸 79.6% と、いずれも 80% 前後の結果でした。
別の研究では施術 6 か月後の脱毛率が約 75% で、残った毛もより細く産毛状に変化していました。つまりアレキサンドライト脱毛は一度ですべてを除去するのではなく、複数回にわたって毛の本数と太さを少しずつ減らしていく施術です。肌が明るく毛が黒いほど良好な結果が報告されています。
「永久脱毛」という言葉は正確に理解しておく必要があります。すべての毛が永遠になくなる意味ではなく、医学的には一定期間後に再生する毛が有意に減少した状態を指します。時間が経つと一部の毛が再び生えてくることがあるため、メンテナンス施術が必要なケースも多いです。1コースで完全に終わると期待するより、大半の毛を大きく減らす施術として捉えるほうが現実的です。

施術の回数と間隔、どう考える?
レーザー脱毛が複数回必要な理由は、毛の成長サイクルにあります。毛は成長期・退行期・休止期を繰り返しており、レーザーはメラニンが多い成長期の毛にのみ効果を発揮します。1回施術すると、その時点で成長中の毛だけが処理され、休止期の毛は後から生えてきます。
そのため、通常は 4〜6 週間隔で最低 3 回以上に分けて受けます。臨床では平均 5.6 回前後の施術が多く報告されています。回数を重ねるごとに成長期の毛を順番に処理し、全体の毛の本数と太さが徐々に減っていきます。部位や毛の状態によって必要な回数は変わります。
コース終了後も間隔をあけてメンテナンス施術を続けるケースがあります。ホルモンの影響を受けやすい部位や太い毛が多い箇所は、より多くの回数が必要なこともあります。間隔が短すぎると成長期の毛を十分に捉えられず、長すぎると再生した毛が増えて効率が落ちます。サイクルに合わせた間隔設定が結果を左右するため、部位ごとの毛の状態を見ながら決めることが大切です。

シミにも効果はある?
755nm はメラニンに吸収されやすいため、脱毛だけでなく浅いシミへの適応もあります。老人性色素斑やそばかすのように表皮に存在する茶色い色素がこの光を吸収して薄くなる仕組みです。色素への吸収率が高い波長なので、明るい肌にくっきりとした茶色い斑点がある場合に効果的に働きます。
ただし、シミ治療は脱毛以上に肌トーンの影響を受けます。アレキサンドライトは皮膚自体のメラニンにも反応するため、肌が濃い方や日焼けした状態では表皮が熱を受けて火傷や逆に色素沈着が起きるリスクがあります。シミ目的なら、肌トーンとシミの深さを事前にしっかり確認することが先決です。
すべてのシミに万能というわけでもありません。肝斑のように刺激に敏感で深く存在する色素はアレキサンドライトで悪化するリスクがあり、別のアプローチのほうが安全です。老人性色素斑やそばかすのような輪郭の明確な表皮性色素には向いていますが、シミの種類を見極めずに同じレーザーを当てると危険なこともあります。まずは診察でシミの種類を鑑別することが基本です。同じシミでも厚く盛り上がったものは別のレーザーが適切なこともあり、病変の形状で方法を決めます。

濃い肌でも安全? 誰に向いている?
最も正直に伝えておきたいのが、肌トーンの話です。アレキサンドライト 755nm は明るい肌色で最も効果と安全性が高く、肌が濃くなるほど表皮が熱を受けて火傷や色素沈着のリスクが上がります。Fitzpatrick スケール I〜VI のうち、I〜III(明るめ〜中間)の方が特に向いています。日本人には Fitzpatrick I〜IV が多く、比較的このレーザーと相性がよいケースが多いですが、日焼けをしている状態や地黒の方には注意が必要です。そういった場合は、より深く到達してメラニン吸収が少ない Nd:YAG 1064nm のほうが安全な選択肢になります。
施術前後のケアも重要です。施術前はしばらく日焼けと強い紫外線を避け、施術後は徹底的にUVケアをすることで色素系の副作用を防げます。施術直後は赤みやヒリヒリ感が出ることがありますが、たいていは数日以内に落ち着きます。何より、肌トーンに合わせて出力・冷却・波長を適切に調整してくれる施術者を選ぶことが安全の基本です。
どんな方に向いているでしょうか。黒くて太い毛が明るい肌にある方、カミソリやワックスを繰り返している部位、毛嚢炎が起きやすい部位に特に適しています。逆に、産毛や白髪のような色素の薄い毛への効果は限定的で、肌がかなり濃い方には別の波長のほうが安全です。「永久脱毛」という言葉で 1 回で完了と期待するより、複数回にわたって大半の毛を大きく減らす施術として捉え、肌トーンに合った設定で受けることが最も安全で満足度の高い結果につながります。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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