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レーザートーニングの副作用、白斑・反跳色素・シミ再発が起きる理由

By Dr. Lee1 min read

シミ治療でレーザートーニングを受ける方は多いです。近くの皮膚科で気軽に勧められ、他のレーザーより費用が抑えられることもあって、月1回以上通う方もいます。ところが、回数を重ねるうちに白い点が増えたり、シミがかえって濃くなったりして相談にくる方が出てきます。シミが薄れているのか、別の問題が起きているのかわからなくて不安、という声もよく耳にします。

この記事では、レーザートーニングがどう働くのか、白斑(低色素症)や反跳色素がなぜ起きるのか、シミの再発率はどの程度か、そして実際の効果はどれくらいかを、研究データをもとに説明します。効果を過大に語らず、デメリットも率直に書きました。

レーザートーニングは低出力の1064nmレーザーを繰り返し照射して色素を少しずつ淡くする施術
レーザートーニングは低出力の1064nmレーザーを繰り返し照射して色素を少しずつ淡くする施術

レーザートーニングとはどんな施術なのか

レーザートーニングは、Q-switched Nd:YAGレーザーの出力を低く抑え、1064nm波長を繰り返し照射する方法です。一度に強く照射するのではなく、低エネルギーで何度も重ねて当てていきます。これをlow-fluence(低フルエンス)方式と呼びます。皮膚表面を傷めず、表皮の奥にあるメラニン色素を狙います。

色素細胞であるメラノサイトは、メラノソームという小さな袋にメラニンを詰めて皮膚へ供給しています。レーザートーニングはこのメラノソームを選択的に破壊して色素を細かく砕く仕組みです。砕かれた色素の断片は免疫細胞が少しずつ処理することで、色が薄れていきます。一度でガラッと変わるのではなく、複数回のセッションをかけてゆっくり改善するのが特徴です。

シミが最も多い適応症で、色素斑や一部の肝斑にも使います。ただし、レーザートーニングは国際ガイドラインで肝斑の第一選択治療には位置付けられていません。第一選択はhydroquinoneを含む複合クリーム(トリプルクリーム)や内服のtranexamic acidです。レーザートーニングは外用薬に加える補助的な位置付けで使います。施術前に期待値を現実的に整えておくことが大切です。

施術頻度が高い地域では、海外の研究で副作用が少なく出ることと実際の現場経験とのあいだにギャップが生まれやすくなっています。

施術間隔が短いほど白斑リスクが高まり、月1回で約2%、週1回で約14%、週3回ではさらに上昇した
施術間隔が短いほど白斑リスクが高まり、月1回で約2%、週1回で約14%、週3回ではさらに上昇した

なぜ白斑(低色素症)が起きるのか

レーザートーニングの副作用の中でも特に気をつけたいのが低色素症です。シミのあった部分に白い点が複数できてしまうことがあり、もとのシミより目立つケースもあります。治療の目的と真逆の結果になるので、気づいたときの戸惑いは大きいものです。

発症率は施術間隔と密接に関係しています。月1回なら約2%ですが、週1回に縮めると約13〜14%に跳ね上がります。週3回の集中施術では発症率はさらに高くなります。頻度が増えるほどリスクは急激に大きくなります。

原因はメラノサイトへの過負荷です。低エネルギーでも繰り返し照射が積み重なることで、メラノソームだけでなくメラノサイト自体にもダメージが蓄積します。組織検査では白斑症のように細胞が完全に消えているのではなく、機能が抑制されている状態が見られます。理論的には回復の余地がありますが、実際には回復が遅かったり永続的に残ったりするケースもあります。

白斑が出てしまったら、追加の施術はすぐに止めることが先決です。しっかり紫外線対策をしながらメラノサイト機能の回復を待つのが基本です。現時点で有効とされる速効の治療法はありません。予防の方が治療よりずっと簡単な副作用です。

反跳色素はトーニング単独で約14%だったが、外用薬などと併用すると約1%に低下した
反跳色素はトーニング単独で約14%だったが、外用薬などと併用すると約1%に低下した

なぜ逆に色が濃くなる反跳色素が出るのか

反跳色素は、レーザートーニングを受けた後にシミがかえって濃くなる現象です。少しずつ薄れていたはずが途中から再び濃くなることもあれば、施術直後から悪化するケースもあります。薄くするために受けた施術が逆効果になるのは、なかなか当惑します。

発症率は治療方法によって大きく変わります。2015年のChoiらの研究(n=177)によると、トーニング単独治療での反跳色素の発生率は約14%でした。外用薬などと併用した場合は約1%まで下がっています。単独と併用で14倍近い差が出ました。

原因は、レーザー刺激によるメラニン生成経路の過活性化です。低エネルギーを繰り返し当てることで、閾値を超えない範囲でメラノサイトを継続的に刺激する効果が生まれます。SCF(幹細胞因子)やエンドセリン-1などの信号物質が分泌され、かえってメラニン合成が促進されます。破壊より刺激が上回るときに反跳色素が起きます。

紫外線も大きな要因です。施術後に紫外線ケアを怠ると反跳色素のリスクが大幅に上がります。日焼け止めなしで3カ月が経過すると再発率がほぼ100%に達するという報告もあります。外用薬とSPF50+の日焼け止めを毎日続けることが現実的な予防策です。

シミはトーニング単独だと1年再発が約59%、併用治療では約19%に抑えられた
シミはトーニング単独だと1年再発が約59%、併用治療では約19%に抑えられた

シミはどれくらい再発するのか

レーザートーニングでシミが薄くなっても、時間が経つと再び濃くなるケースは少なくありません。シミは数回のレーザーで完治する状態ではなく、再発率は治療方法によってかなり異なります。

データを見ると、トーニング単独治療での1年時点の再発率は約59%です。半数以上が1年以内に再び濃くなるということです。外用薬などと併用した場合、12カ月の再発率は約19%まで下がります。単独と併用では3倍近い差があります。

短期再発はさらに早く現れます。施術3カ月後の追跡調査で、単独治療群の再発率がすでに高く出る研究がいくつかあります。日焼け止めをきちんと使わなかった場合、3カ月以内にほぼ全員で再発したという報告もあります。

シミが再び濃くなる理由は、レーザーがメラニンを作ろうとする傾向そのものを取り除けないからです。紫外線、ホルモン、炎症といった誘因が続けば色素はまた作られます。外用薬、日焼け止め、生活習慣の管理をセットで続けることが再発を減らす鍵です。シミは一度治して終わりではなく、長く付き合いながら管理していく状態です。

大規模な観察では、トーニングで優れた改善が約5%、良好な改善が約22%、まずまずが約56%でほとんどが中程度だった
大規模な観察では、トーニングで優れた改善が約5%、良好な改善が約22%、まずまずが約56%でほとんどが中程度だった

実際の効果はどの程度なのか

レーザートーニングを受けた方の効果の分布を大規模に見た研究があります。Tianらの研究(n=38,970)では、結果がかなり明確に出ています。

優れた改善(excellent)は約5%、良好な改善(good)は約22%、まずまず(fair)は約56%、ほとんど効果なしは約8%でした。施術を受けた方の半数以上がまずまずの効果にとどまります。際立った効果を得られる方は20人に1人程度です。

この数字をどう見るか。レーザートーニングが効かないということではありません。効果はあるものの、その幅は限られています。劇的な変化を期待して受けると、結果に物足りなさを感じることが多いです。少し目立ちにくくなる、それが現実的な期待値に近いところです。

この研究は観察研究なので、日焼け止めの有無や併用治療の状況、肌タイプといった変数は統制されていません。条件が整うほど結果は良くなり得ます。それでも、レーザートーニングがシミを完全に消す治療でないことは確かです。施術前に現実的な見通しをきちんと共有しておくことが、後々の満足感に影響します。

レーザートーニングに使われるQ-switched Nd:YAGレーザー機器

リスクを減らすにはどうすればいいのか

副作用のデータを見ると、リスクを下げる方法は比較的はっきりしています。施術間隔、併用治療、紫外線対策が軸になります。

施術間隔は最低2〜4週間以上を目安にします。週1回以上の頻度にすると低色素症のリスクが急上昇することをデータが示しています。1コースのセッション数も8〜10回程度に抑え、エネルギー量と照射回数も過剰にならないよう設定することが大切です。多く受ければ効果が上がるわけではなく、白斑リスクだけが増えていきます。

併用治療を加えることで、反跳色素と再発の両方を減らせます。hydroquinoneを含む複合クリーム(トリプルクリーム)やtranexamic acidの外用薬または内服薬を併用すると、レーザー単独より再発率と反跳色素の発生率が下がります。単独より併用の方が合理的です。

紫外線対策は必須です。SPF50+以上の日焼け止めを毎日欠かさず使うことが基本です。施術直後の1カ月だけでなく、シミがある限り日常的に続ける必要があります。日焼け止めなしで3カ月が経過すると再発率がほぼ100%に達するという報告は、これがいかに重要かを示しています。

ウッド灯(Wood's lamp)検査を受けることで、低色素症のリスクをある程度事前に評価できます。リスクが高い部位を把握しておくことで、過剰な施術の前に判断材料になります。レーザートーニングは適切に使えばシミ管理の補助として役立てられる方法です。ただ、頻繁な施術が新たな問題を生む可能性があることを理解したうえで受けることが大切です。

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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