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チタニウムリフティングで肌はどう変わるか——3波長の仕組みと効果の限界を論文で確認しました

By Dr. Lee1 min read

たるみケアを調べていると、「チタニウムリフティング」という名前を目にする機会が増えました。ウルセラやサーマクールほど費用がかからず、痛みも少なく、ダウンタイムもほぼないと聞いて気になっている方も多いかと思います。ただ、この機器が正確に何をするものなのか、どこまで効果が実証されているのかは、意外と整理されていません。

チタニウムリフティングに使われるのは、イスラエルのAlma社が開発したソプラノチタニウム(Soprano Titanium)というダイオードレーザーです。755nm・810nm・1064nmの3波長を同時に照射できるのが特徴ですが、もともとはレーザー脱毛機として設計された機器です。脱毛施術を重ねるうちに肌のハリ感が改善するという臨床観察が出てきたことから、韓国のクリニックがリフトアップ目的に転用し始め、「チタニウムリフティング」という呼び名もメーカーが付けたものではなく、市場が生み出した名称です。この背景を知っておくと、効果と限界が見えやすくなります。

チタニウムリフティングに使われるダイオードレーザー機器の外観

チタニウムリフティングとはどんな施術か?

この施術の核心は、3波長を同時に照射する点にあります。755nmは表皮と浅い真皮に作用して肌トーンや毛穴に関与し、810nmは中間層の真皮コラーゲンに届き、1064nmはより深い真皮と支持靭帯層まで到達して弾力の改善に寄与します。深さの異なる3つの波長が同時に入るため、表皮から深部までまとめて加温できる、というのがコンセプトです。

表面を傷つけない非侵襲レーザーという点も重要です。肌に微細な創傷を作るアブレーション系の施術とは異なり、光が熱エネルギーに変わって真皮を温める仕組みなので、施術後のかさぶたや浸出液といった回復過程がありません。さらに表面を冷却するクーリングシステムが内蔵されており、表皮を守りながら真皮だけを温められるため、麻酔なしでも十分に耐えられる感覚です。

実際の施術では、目的に応じてモードを使い分けます。表皮を保護しながら即時収縮を狙うモードと、エネルギーを集中させてより深く加温するモードを、部位と状態に合わせて調節します。顔全体を柔らかく複数回パスする方式なので、1点に強いエネルギーを集中させる機器とは肌感覚が大きく異なります。

ひとつ念頭に置いておきたいのは、この機器がリフトアップのために設計されたわけではないという点です。脱毛レーザーの熱エネルギーをリフトアップに応用したものなので、強力に引き上げる施術というより、肌全体を温めてハリをサポートするアプローチです。同じ「リフティング」と呼ばれても、ウルセラやサーマクールのように特定の深さを集中的に狙う機器とは、根本的な性質が異なると理解する方が正確です。

チタニウムリフティングのメカニズム概略図

3波長はどのように肌を引き締めるのか?

原理はシンプルで、熱です。レーザー光が肌内の水分やメラニンに吸収されて熱エネルギーに変わり、その熱が真皮のコラーゲン線維に伝わります。コラーゲンは一定温度以上に加熱されると構造が変性して即時収縮しますが、ある研究では約54℃からコラーゲンの三重らせん構造が変性し始めると報告されています。施術直後に肌が少しキュッとする感じがあるのは、この即時収縮によるものです。

ただ、本当の効果はその後に訪れます。熱刺激を受けた組織は創傷治癒と同様のメカニズムで新しいコラーゲンを産生し始め、その新生コラーゲンは通常4〜8週かけてじわじわと増えていきます。だからチタニウムリフティングは、施術当日よりも1〜2カ月後にハリの実感が増す施術です。1回で劇的に変わるものではなく、繰り返しでコラーゲンを積み上げていく考え方なので、一般的には2〜4週間隔で3〜5回のコースが推奨されます。

痛みが少ない理由もクーリングにあります。真皮を温めるにはある程度の熱量が必要ですが、表面を冷やしながら内部だけを加温することで、熱さやチクチク感がかなり軽減されます。施術時間も通常20〜30分程度で完了し、終了後そのままメイクをして帰れるケースがほとんどです。

施術直後の反応だけで効果を判断してしまうと、誤解が生じやすいです。直後のハリ感は一時的なもので、持続的な変化はコラーゲンが充填されてから確認できます。この時間差を知ったうえで待てるかどうかが、チタニウムリフティングをうまく活用するカギです。1回受けて「効果がない」と結論付けるのではなく、推奨コース数を終えて1〜2カ月様子を見てから判断する方が正確です。

グラフ:3波長レーザー施術後に25%以上の肌改善を報告した割合——患者自己評価78%、医師評価86%(Jo 2023、チタニウム直接根拠、n=28、予備的研究)
グラフ:3波長レーザー施術後に25%以上の肌改善を報告した割合——患者自己評価78%、医師評価86%(Jo 2023、チタニウム直接根拠、n=28、予備的研究)

リフトアップ効果は本当にあるのか?

正直に言うと、ソプラノチタニウムという機器名で行われた大規模な臨床試験はまだ存在しません。最も直接的なエビデンスは、同じ3波長レーザーを用いて韓国で実施された小規模な予備的研究1本です。女性28名に2週間隔で5回照射したのち評価したところ、患者本人が「25%以上改善した」と回答した割合が78%、皮膚科医が「25%以上改善した」と評価した割合が86%でした。上のグラフがその数値です。

組織生検でも、真皮のコラーゲンと弾性線維が増加していることが確認されました。方向性としては明確にポジティブです。ただ、この研究は参加者が28名と少なく、対照群のない予備的研究であるため、エビデンスレベルが高いとは言えません。

エビデンスを評価するには研究デザインが重要です。対照群を設けてランダムに割り付けた比較試験があって初めて効果を確信できますが、チタニウムリフティングにはそのような試験がまだありません。プラセボや無処置との直接比較データがない以上、改善が本当にレーザーによるものか、時間経過や他のケアによるものかを明確に切り分けるのは難しいという限界があります。

そのため、チタニウムの効果は「ない」と「すごい」の間のどこか——「データはポジティブだが、まだ規模が小さい」と見るのが正確です。強力な引き上げを期待しているなら少し期待値を下げて、ダウンタイムなくハリをサポートする施術として捉えると満足度は高くなります。広告で使われているビフォーアフター写真には、照明・角度・同時に受けた他の施術の影響が混在している可能性があることも、念頭に置いてください。

グラフ:1064nm近赤外線レーザーによるシワグレード45.1%減少、毛穴数21.7%減少——系列エビデンス(Hong 2015・Wang 2022、チタニウム専用データではありません)
グラフ:1064nm近赤外線レーザーによるシワグレード45.1%減少、毛穴数21.7%減少——系列エビデンス(Hong 2015・Wang 2022、チタニウム専用データではありません)

小じわや毛穴への効果は?

チタニウムに含まれる1064nm波長は近赤外線タイトニングレーザーのカテゴリに属し、このカテゴリにはチタニウムよりも蓄積されたデータがあります。1064nmレーザーの研究を見ると、小じわと毛穴において有意な改善が確認されています。左右比較試験の1つではシワのグレードが約45%低下し、別の研究では実際に毛穴の数を計測して約22%の減少を確認しています。上のグラフがその数値です。

ただし、この数値はチタニウム機器で得られた結果ではなく、同じ1064nm波長を用いる同系統レーザーのデータです。チタニウムが3波長のうちの1つとして1064nmを使用しているため参考にはなりますが、そのままチタニウムの効果として当てはめるのは適切ではありません。

それでも方向性は一致しています。近赤外線系レーザーが小じわを目立たなくし、毛穴を引き締める効果があることは、複数の研究が一貫して示しています。毛穴については同研究で、1064nmより浸達深度の異なる別の波長が若干大きな改善を示す場合もあり、波長と深さによって結果が変わることも示唆しています。

透明感の改善——より正確には肌トーンの均一化——もよく挙げられる効果です。チタニウムの755nm波長が表皮のメラニンに作用し、くすみを和らげてトーンを整えることが期待されています。ただし、これはビタミンC誘導体などによるメラニン抑制とは異なるメカニズムで、後述するように同じ波長がシミや色素斑のある肌では逆に色素を刺激するリスクもあるため、両面性があります。

まとめると、チタニウムリフティングは深いたるみや重度のフェイスラインの崩れよりも、肌のきめが荒れ始め、毛穴が目立ち、小じわやくすみが気になり始めた段階に適しています。一度に大きな変化をもたらす施術ではなく、肌の質感とトーンを継続的に整えていく施術と理解するのが実態に近いです。

グラフ:1064nmレーザー3回照射後の患者満足度——肌のきめ100%、小じわ98%、毛穴96%(Tanaka 2011、系列エビデンス、n=50)
グラフ:1064nmレーザー3回照射後の患者満足度——肌のきめ100%、小じわ98%、毛穴96%(Tanaka 2011、系列エビデンス、n=50)

満足度と効果の持続は?

数値で測った改善とは別に、受けた方が満足しているかどうかも重要です。1064nmレーザーで3回施術した50名を対象にした研究では、肌のきめへの満足度が100%、小じわが98%、毛穴が96%と高い結果でした。上のグラフが示す通り、体感的な満足度はかなり良好です。

ただ、満足度は本人の主観的な評価であり、事前の期待値や施術体験の影響を受けます。痛みが少なくダウンタイムがほぼない点と、施術直後から少しキュッとした感触が得られる点が、満足度を底上げしている面もあります。そのため満足度が高いからといって、客観的な改善幅も同程度に大きいとは限らず、両方の視点を合わせて見ることが均衡のとれた判断につながります。

効果がどれくらい続くかもよく聞かれます。新しく産生されたコラーゲンによる効果は通常6カ月〜1年程度持続すると言われており、個人差があります。コラーゲン産生能力は年齢や肌状態によって異なるため、同じ施術を受けても人によって差が出ます。

加齢は継続するため、推奨コース数を終えた後も一定間隔でメンテナンス施術を加えていくスタイルが現実的です。1回あたりの費用よりも、年間でどれくらいかかってどう維持するかを最初に考えておく方が実用的です。施術だけで老化を止めることはできませんから、日焼け止めと保湿といった基本的なスキンケアを並行して続けることが、効果を長持ちさせるうえで重要です。

ソプラノチタニウム(チタニウムリフティング機器)の外観

ウルセラ・サーマクールとの違い、向いている人は?

リフトアップ機器は作用原理がそれぞれ異なります。ウルセラ(ウルセラピー)は超音波を一点に集束して深いSMAS層に熱を与え、サーマクールは高周波電流で真皮を加温します。チタニウムは光(レーザー)を使って表皮から真皮まで熱を届ける方式で、作用原理と主に届く深さが異なります。臨床エビデンスの厚みという点ではウルセラとサーマクールの方が蓄積が多く、チタニウムは小規模な系列エビデンスが中心というのも正直な差です。

広告表現は一度フィルターをかけて読む方が賢明です。「8mm・10mmの深さまで届く」という表現を見かけますが、これは光が到達しうる理論上の範囲であり、実際に治療効果が得られる深さとは別の話です。「頬のボリュームを落とさずに引き上げられる」といった断定的な表現も、それを直接比較したデータは存在しません。また755nm波長はメラニンに反応するため、シミや色素沈着が濃い肌では色素が悪化するリスクがあり、注意が必要です。

チタニウムリフティングが向いているのは、強い引き上げ効果よりも痛みとダウンタイムを最小限にしながら、肌のハリ・きめ・毛穴を全体的に整えたい方、あるいはリフトアップ施術を気軽に始めてみたい方です。反対に、深いたるみをしっかり引き上げることが目的であれば、ウルセラ(HIFU系)やサーマクールの方が適しているケースが多いです。施術を始める前に、自分の肌状態と目的がチタニウムに合っているかを医師と一緒に確認することで、余計な費用を抑え、期待値を現実に合わせることができます。

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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