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スレッドリフトが引き上げるだけでなく、溶けながらコラーゲンまで満たす仕組みと持続期間、そのケア方法

By Dr. Lee1 min read

スレッドリフトは「糸で引っ張ってたるみを持ち上げる施術」としてよく知られています。間違いではありませんが、それは半分だけの説明です。引き上げる効果だけを考えると、糸が溶けて消えたあとになぜ輪郭がすぐには元に戻らないのか、うまく説明できません。

実際には二つのことが時間差をつけて起こっています。施術直後は糸が組織を物理的に引っかけて持ち上げ、施術後4週間から6か月かけては、糸が溶けながらその場所に新しいコラーゲンが満たされていきます。ひとつはすぐに目に見える変化で、もうひとつは目に見えないところでゆっくり積み重なっていく変化です。なぜ糸が二段構えで働くのか、その仕組みをひとつずつ見ていきます。

糸はどうやって肌を引き上げるのか?

スレッドリフトに使う糸の表面には、小さなかぎ状の突起がびっしりと付いています。釣り針の返しをイメージすると分かりやすいでしょう。一方向にはすっと入りますが、逆方向には引っかかって抜けにくい構造です。

この糸を皮膚の下の脂肪層に通して引くと、突起が周りの組織をつかんだまま一緒に持ち上がってきます。一本の糸が通る道に沿って、皮膚と筋膜(筋肉を包む薄い膜)が引き寄せられるわけです。これが施術直後にすぐ輪郭がすっきり見える理由で、純粋に機械的な、つかんで引き上げる力によるものです。

たとえば頬の肉が下がってフェイスラインがぼやけている部分に糸を一本通すと、その糸が通る道に沿って垂れていた肉が少し持ち上がり、フェイスラインがまた輪郭を取り戻す、というイメージです。カーテンの裾を安全ピンでちょっと折って留めると、だらんとした布が上に整って見えるのと似た仕組みだと考えると分かりやすいと思います。

なぜ時間が経つと引き上げる力は弱まるのか?

突起が組織をつかむ力は、最初こそ強いものの、時間とともに少しずつ緩んでいきます。顔は噛んだり笑ったり話したりしながら、一日に何千回も動く部位です。その動きの中で、突起が引っかけていた組織が少しずつ位置からずれていくためです。

さらに糸自体が吸収性の素材でできているため、時間が経つと太さが細くなり、強度も落ちていきます。最初に組織をつかんでいた力は、糸が細くなる分だけ弱まっていくということです。古くなった物干しロープが緩んで、干した服が少しずつ下がっていくのと似た理屈です。そのため、物理的に引く力だけに頼るなら、効果はどうしても短くなってしまいます。実際、引く力だけで維持される期間は、長くても4週間から8週間ほどと報告されています。

糸が細くなる理由もシンプルです。体内の水分と酵素が、糸の表面を時間をかけて少しずつ削っていくからです。角砂糖を水に浸けておくと、表面からじわじわ溶けて小さくなっていく様子に近いプロセスだと考えてください。ですから、糸が細くなる速さと組織をつかむ力が弱まる速さは、ほぼ足並みをそろえて進みます。

糸が溶けながらコラーゲンを作るとはどういうことか?

ここでスレッドリフトの二つ目の仕組みが登場します。最近使われている糸の多くは、PDO(polydioxanone、体内で自然に分解される医療用の糸素材)、PLLA(poly-L-lactic acid、これも分解されながらコラーゲン反応を誘導する素材)、PCL(polycaprolactone、分解速度がより緩やかな吸収性素材)といった合成高分子で作られています。いずれも体内でゆっくり分解され、最終的に水と二酸化炭素になって消えていく材料です。

体はこの糸を異物として認識します。傷を負ったときに体が修復反応を起こすのと同じように、糸が通った場所にも小さな炎症反応と修復反応が起こります。この修復過程で線維芽細胞(コラーゲンを作る皮膚内の細胞)がその場所に集まってきて、新しいコラーゲンを作り出します。

手に小さなトゲが刺さったときを思い浮かべると分かりやすいでしょう。トゲの周りが赤く腫れて熱を持ち、体がその場所を治そうとする反応が自然に働きますが、糸が通った場所でもそれよりずっと弱い強度で似たことが起こっています。体からすれば糸も見慣れないものなので、その周りを片付けて埋めようとする反応が自然についてくるわけです。

たとえるなら糸は種のようなものです。植える時はただの細い一本の線ですが、時間が経つとその通り道に沿ってコラーゲンという新しい組織が育っていきます。コラーゲンは皮膚を下から支える柱のようなたんぱく質なので、その柱が新しくできれば、皮膚自身が持ちこたえる力が生まれます。

コラーゲンが実際に増えるという根拠はあるのか?

動物実験や組織検査を用いた複数の研究で、吸収性の糸を挿入した部位の真皮でコラーゲン線維の密度が増えたことが確認されたという報告があります。糸の周囲に新しいコラーゲン線維と血管が形成される所見が観察されたという報告もあります。

このプロセスではMMP(matrix metalloproteinase、古くなったり傷んだりしたコラーゲンを切り出す酵素)の働きも同時に調整されると考えられています。MMPはたとえるなら古いコラーゲンの柱を切り出すハサミのような役割で、糸の挿入後に修復反応が起こっている間は、このハサミ入れと新しいコラーゲンを編む作業が同時に進み、組織がリモデリング、つまり編み直される過程をたどると説明されています。

古い壁紙を剥がしながら同時にその場所に新しい壁紙を貼っていく工事に似ています。剥がす速さと貼る速さがある程度合っていないと壁がでこぼこになってしまうように、このリモデリングの過程も古いものを片付ける速さと新しく作る速さのバランスが取れて初めて、自然な仕上がりになると説明されています。

ただし、こうした反応の程度には個人差があります。年齢、肌の状態、糸の本数や太さ、挿入する深さによって、どれだけコラーゲンが作られるかは変わり得ます。ですから、スレッドリフトの長期的な効果を「何%改善」といった数字で言い切ることは難しいのが実情です。

即効性の効果と長期的な効果はなぜ順番が違うのか?

施術直後から2週間から4週間ほどは、突起が組織をつかむ物理的な力が主に働いています。この時期はむくみと引きつり感が同時にあるぶん、輪郭が目に見えて整って見えます。

そこから先は、糸が徐々に分解されて物理的に引く力は弱まっていく一方で、代わりにコラーゲンが定着していく時期が始まります。糸が完全に分解されるまでの時間は素材によって6か月から1年以上までさまざまです。その間、コラーゲンがコツコツ作られていくことで、肌そのものの弾力が少しずつ改善していくと報告されています。

つまり、最初は糸が直接持ち上げ、後になるとコラーゲンがその役目を引き継いで支える構造です。ひとつの施術に、タイミングの異なる二つの働きが重なっているというわけです。

この順番が入れ替わらない理由はシンプルです。糸が物理的に引く力は、糸が太くしっかりしている初期にいちばん強く、コラーゲンは体が修復反応を経てゆっくり積み上げていくものなので時間が必要です。片方は早く強くなってから徐々に落ち着く力、もう片方は遅れて始まりじわじわ育つ力なので、二つの力が同時にピークを迎えることはなく、順番にバトンタッチしていくのです。

持続期間は何によって決まるのか?

スレッドリフトの持続期間を決める要因はひとつではありません。たとえば細い糸を2本から4本だけ入れた場合よりも、太い糸を8本以上、何方向にも密に入れた場合のほうが、おおむね長く持続すると報告されているのもこのためです。代表的には、次のような要素が組み合わさって働くと考えられています。

  • 糸の素材と太さ:太くて分解の遅い糸ほど物理的に引く力が長持ちし、コラーゲンを刺激する期間も長くなる可能性があります。分解速度そのものが違うためです。
  • 挿入した糸の本数と深さ:糸の本数が多く、より広い範囲に配置されるほど、コラーゲンが作られる面積も広がって効果が長く続く傾向があると報告されています。刺激を受ける組織の範囲そのものが広がるからです。
  • 個人の肌の老化スピードと生活習慣:紫外線を浴びる量や喫煙、もともとの肌のコラーゲン合成能力によって、新しく作られたコラーゲンがどれだけ長持ちするかが変わります。コラーゲン自体も、時間が経てば再び分解されるたんぱく質だからです。
  • 施術後のケア:無理なマッサージや強い圧迫は、まだ定着していない糸や組織を動かしてしまう恐れがあるため、回復期間中は注意が必要だと案内されています。組織が落ち着く前に物理的な刺激が加わると、つかんでいた力が緩んでしまうことがあるからです。

一般的にスレッドリフトの効果は平均で1年前後持続すると報告されるケースが多いものの、上に挙げたような理由から、実際には人によって幅が広いのが現実です。

施術後はどうケアすればよいのか?

コラーゲンが作られていくプロセスを邪魔しないことが、ケアの基本です。

  • 施術直後はサウナや岩盤浴のような熱の強い場所を1週間から2週間避けるのがすすめられています。熱を受けると組織がむくんで緩み、まだ定着していない糸が動いてしまうことがあるためです。
  • 施術直後の2週間から4週間は、顔を強くこすったり、うつ伏せなど圧がかかる姿勢を避けるのがすすめられています。糸が落ち着く前に押されると位置がずれてしまうことがあるためです。
  • 初期のむくみやあざは時間が経てば自然に引いていくことが多いと案内されていますが、回復のスピードには個人差があります。
  • 紫外線対策はコラーゲンが再び壊れていくスピードを緩めるのに役立つとされているので、施術の有無にかかわらずふだんから続けておくのがおすすめです。

References

Korean Dermatological Association, Ministry of Food and Drug Safety (MFDS), American Academy of Dermatology (AAD), and U.S. Food and Drug Administration (FDA).

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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