サーマクールの高周波が真皮を温めるとコラーゲンが収縮し、再び満ちていく仕組みと効果の持続
By Dr. Kim1 min read

サーマクールは、皮膚を切ったり糸を入れたりせずにハリを引き上げられると言われている高周波施術です。仕組みを聞くと、どこでも似たような説明が返ってきます。真皮を温めるとコラーゲンが収縮し、時間が経つにつれて新しいコラーゲンが再び作られる、というものです。
ただ、なぜ熱を加えるとコラーゲンが縮むのか、そしてなぜその効果がすぐに終わらず2ヶ月から6ヶ月もかけて続くのかは、意外ときちんと説明されないことが多いものです。熱、コラーゲン、そして皮膚の中の抵抗という3つの要素を一つずつひもといていくと、この施術がなぜこの順番で進むのかが見えてきます。
高周波は皮膚の中でどうやって熱を生み出すのか?
サーマクールは高周波、略してRF(Radiofrequency)という電気エネルギーを使います。電流が体の組織を通過するとき、組織は電気の流れを妨げる抵抗として働きます。
電気ヒーターのニクロム線を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。電線の中で抵抗のある部分に電流を流すと、その部分だけが熱くなる、あの仕組みと同じです。サーマクールのチップから皮膚に電流が流れると、皮膚の組織そのものが抵抗体となり、組織の内部で熱が発生します。組織自身が熱を生み出す方式のため、皮膚の表面ではなく真皮の深い層まで均一に熱を届けることができます。
このときサーマクールが採用しているのがモノポーラ方式です。電流がチップから出て、体の反対側に貼られた接地パッドへ戻る大きな回路を作る仕組みです。回路が大きく深く通るぶん、真皮の深い層まで熱が届きやすく、表皮のすぐ下よりもさらに深い位置にあるコラーゲン層を狙うことができます。
レーザー施術と比べると、その違いはさらにはっきりします。レーザーは光が特定の色素や水分子に吸収されることで熱を出す仕組みなので、その吸収対象がある層までしか熱が届きません。一方、高周波は組織そのものの電気抵抗を利用するため、色素量や水分量に関係なく、電流が通る経路に沿って比較的均一に熱が広がります。だからこそ、真皮のように厚くて深い層全体を温めるのに向いているのです。
電流が流れているのに、なぜチクチクしたり筋肉がピクピクしたりしないのか?
サーマクールが使う高周波は、1秒間に数百万回も向きを変える非常に速い電流です。これほど速い電流は、神経や筋肉を刺激する低周波電流とは性質がまったく異なります。
低周波刺激機、いわゆるEMSと呼ばれる機器は、電流が一方向に流れる時間が十分にあるため、体内のイオンが一方に偏り、また反対側へ偏るという動きを細胞が感知します。この過程で神経が刺激されて筋肉がピクピクと動き、強さが弱くてもチクチクとした感覚が残ります。
サーマクールの高周波は方向転換があまりに速いため、イオンがどちらか一方へきちんと移動しきる前に、また逆方向へ押し戻されてしまいます。縄跳びの縄をものすごく速く振ると、縄が大きくしならずその場で細かく震えるだけになる、あの様子に似ています。イオンがその場で細かい振動を繰り返すだけなので神経を刺激する隙がなく、代わりにイオン同士がぶつかる摩擦が熱に変わります。
そのため施術を受ける人は、チクチク感や筋肉のピクつきの代わりに、じんわりとした温かさだけを感じることになります。この温かさは、真皮の中でコラーゲンが今まさに変性しているサインでもあります。
コラーゲンはなぜ熱を受けると収縮するのか?
コラーゲンは、皮膚を下から支える柱のようなたんぱく質です。糸のように細い3本の鎖がより合わさってロープのような形を作っており、この撚られた構造のおかげで皮膚はたるまずに形を保っています。
熱を受けると、この撚られた構造がほどけ始めます。パーマでくるくると巻いた髪に熱を加えると、カールがさらにきつく縮むのと似た現象です。コラーゲンのロープ構造が一定の温度以上に加熱されると、たんぱく質の鎖が変性して全体の長さが縮み、その結果コラーゲンは即座に収縮します。
コラーゲンのロープ構造を支えているのは、水分子が作る小さな橋、水素結合です。3本の鎖がバラバラにならずより合わさっていられるのも、この結合のおかげです。熱を加えると、この結合が少しずつ切れ始めます。
何本もの糸をまとめていた小さな結び目が、熱でほどけていくようなものです。結び目がほどけると、撚られていた糸が短く縮こまった形になるように、コラーゲンも結合が切れた瞬間に全体の長さが縮み、収縮します。
この即時収縮こそが、施術直後に肌が少し引き締まったように感じられる理由です。ただ、この初期の収縮は時間が経つと一部元に戻ることもあり、サーマクールの本当の変化はこのあとの段階で作られていきます。
なぜ効果は施術当日ではなく数ヶ月後に現れるのか?
熱によってコラーゲンが変性する過程は、皮膚にとってはごく微細な損傷のサインです。体はその損傷を放っておかず、修復しようとする反応を始めます。
この修復反応の主役は線維芽細胞という細胞です。コラーゲンを実際に作り出す工場のような働きをする細胞で、熱刺激を受けると活性化し、新しいコラーゲン繊維を再び編み始めます。この過程をネオコラーゲン生成と呼びます。
問題は、この工場が一夜にして完成品を作り出せるわけではないという点です。新しいコラーゲンが十分に蓄積し整列して、肌が目に見えて引き締まるまでには、通常4週間から6ヶ月かかります。そのためサーマクールは、施術当日よりも2ヶ月から3ヶ月後、長ければ6ヶ月ほどかけて徐々に効果が現れるとされています。
しかも、新しく作られたコラーゲンは最初からきれいに整列しているわけではありません。織り始めたばかりの布のように、繊維がまだ粗く絡み合っている状態に近いのです。
時間が経つにつれて、この繊維は皮膚にかかる力の方向に沿って少しずつ整い、互いにしっかりと絡み合うことで、ようやくたるみを支える力を備えていきます。この整列の過程まで含まれているからこそ、効果はゆっくりと、そして長く続くのです。
表皮はなぜ高温の熱を受けてもやけどをしないのか?
真皮の深い層にこれほどの熱を加えるなら、本来なら表皮、つまり皮膚の一番外側の層はもっと熱くなっているはずです。ところが、サーマクールの施術を受けても表皮のやけどはほとんど起こりません。
ここで使われているのが、チップの先端に備わった冷却装置です。チップが皮膚に触れる瞬間に表面を冷やしながら、同時に高周波エネルギーを流し込む仕組みになっています。表皮は冷却によって低い温度に保たれ、熱は冷却の影響を受けにくい真皮の深い層に集中的に蓄積されていきます。
- 表皮のすぐ上で施術の前後に冷却を繰り返す理由:表皮の温度を下げてやけどのリスクを抑えながら、熱はそれより深い真皮だけに蓄積させるためです。
- チップを皮膚に完全に密着させる必要がある理由:接触が緩いと冷却とエネルギー伝達が均一にならず、部位ごとに熱の蓄積にばらつきが出てしまうためです。
- エネルギーレベルを一人ひとりの皮膚の厚みや部位に合わせて調整する理由:部位によって真皮の厚みや脂肪層の分布が異なり、同じエネルギーでも届く深さや熱の感じ方が変わってくるためです。
部位によって熱さの感じ方が違うのはなぜか?
同じ出力で施術しても、おでこと頬、あごではそれぞれ熱さの感じ方が違うとよく言われます。これは部位ごとに皮膚の内部構造が少しずつ異なるためです。
まず、真皮の厚みが違います。目元やおでこのように薄い部位は熱がすぐに深い層まで届く一方、頬やあごのように厚みのある部位は、同じ熱でも比較的浅い部分に長くとどまりやすい傾向があります。
骨や軟骨が近い部位も反応が異なります。骨は脂肪や筋肉よりも熱を伝えやすい性質があるため、骨のすぐ上にある皮膚では熱が横に広がりにくく、一点に集中してしまうことがあります。フェイスラインや頬骨まわりなど骨に近い部位が比較的熱く感じられるのは、このためです。
神経終末が集まっている密度も部位によって違います。口まわりや目元のように感覚が敏感な部位は神経終末が密に分布しているため、同じ温度でもより強く感じられます。こうした違いがあるからこそ、施術者は部位ごとにエネルギーレベルを調整し、患者が感じる熱さを確認しながら施術を進めます。
なぜ一度に強く行わず、段階的に進めるのか?
コラーゲンの変性は、温度が一定の範囲に収まってはじめて、望ましい収縮と再生の反応を引き出すことができます。温度が低すぎれば変性が十分に起こらず効果は弱くなり、逆に高すぎれば組織の損傷が回復できる範囲を超えてしまうリスクがあります。
そのため施術は、あらかじめ決められたエネルギー範囲の中で、患者が感じる熱さや反応を確認しながら段階的に進められます。施術部位を細かく区切って何度も繰り返し照射するのも、特定の一点だけに熱が集中せず、真皮全体に均一に熱刺激が広がるようにするためです。
効果が1回の施術だけで終わらず、その後のケアもあわせて語られることが多いのも同じ理由からです。コラーゲンは時間が経つと、自然な老化の過程で再びゆっくりと減っていくため、新しく作られたコラーゲンが定着したあとも、肌の状態に合わせて施術の間隔を調整するケースが多いと報告されています。
References
Korean Dermatological Association, Ministry of Food and Drug Safety (MFDS), American Academy of Dermatology (AAD), and U.S. Food and Drug Administration (FDA).
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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