薄いまぶたのたるみに使う目元専用リフティングが、顔全体のリフティングと分かれる理由と違い
By Dr. Kim1 min read

鏡の前で目を開けたとき、以前よりまぶたが重く感じたことはないでしょうか。メイクのノリが悪くなり、写真を撮ると実年齢より疲れて見えることもあります。目元は顔の中でも真っ先に変化が出るパーツですが、ケア方法となると頬やあごのリフティングと一緒くたに語られてしまうことが少なくありません。
ですが、目元は他の部位とそもそも皮膚の性質が異なります。そのため、同じリフティング技術を使うにしても、目元では出力と深さをまったく別の考え方で調整する必要があります。この記事では、目元専用リフティングが顔全体のリフティングとどう違い、なぜそのように設計されているのかを一つずつ見ていきます。
同じメーカー、同じ名前の機器でも目元用チップを別に用意しているのはこのためです。顔全体を一つの基準で押し切ってしまうと、頬やあごにはちょうどいい出力が目元では強すぎることがあり、逆に目元に合わせた弱い出力は頬では物足りなく感じられます。だからこそ、部位ごとに設定値を分けること自体が、リフティング施術の基本になります。
目元の皮膚は頬やあごの皮膚と何が違うのでしょうか?
皮膚は表皮、真皮、その下の皮下脂肪まで、何層にも重なってできています。この厚みは部位ごとに違い、目元は顔全体の中でも最も薄い部類に入ります。
頬やおでこの皮膚が1ミリメートル前後だとすると、まぶたの皮膚はその半分ほどしかないといわれています。しかも目元には脂肪層がほとんどなく、眼球を守る薄い筋肉や血管が皮膚のすぐ下を密に走っています。つまり、顔の中でもっとも敏感で薄い皮膚が目を包んでいるということです。
そのため、頬やあごに使うリフティングの強さをそのまま目元に当てはめると、やけどや色素沈着といった副作用のリスクが高まります。目元専用のリフティングが別に必要とされる理由は、まさにここから始まります。
たとえるなら、頬やあごは厚手の布団のような脂肪層が一枚間に入って熱を受け止めてくれます。一方の目元は布団なしで薄いシャツ一枚をまとっているようなもので、同じ熱がより深く、より強くそのまま伝わってしまいます。だから、機器の出力が同じでも、目元の皮膚が感じる刺激はずっと大きくなるのです。
目元のリフティングは、なぜ浅い層にしか働きかけないのでしょうか?
リフティング施術の多くは、皮膚の下にある特定の深さに熱エネルギーを集め、その熱でコラーゲン(皮膚を支える柱のような役割を果たすタンパク質繊維)を刺激する仕組みです。熱が届いた部分でコラーゲンが新しく作られ、皮膚は少しずつハリを取り戻していきます。
あごや頬は層が厚いので、真皮の深い層、さらには筋膜(筋肉を包む薄い膜)までエネルギーを届かせる余裕があります。ですが目元にはその厚み自体がありません。同じ深さまで入れると骨や眼球の近くの組織にまで熱が届いてしまう恐れがあるため、目元専用の機器は照射深度を表皮のすぐ下、ごく浅い真皮層までに制限しています。
そのため、目元用のチップやカートリッジは、通常の顔用よりも焦点距離が短く設計されています。浅い部分だけにエネルギーを集め、その下には漏れ出さないように抑えることが、目元リフティング設計の核心です。
アイロンを思い浮かべると分かりやすいです。厚手のジーンズなら温度を上げて長く当てても平気ですが、薄いシルクのシャツに同じ温度を当てるとすぐに焦げてしまいます。目元のリフティングも同じで、薄い組織に合わせて温度と接触時間の両方を下げる方向で設計されています。
超音波と高周波、目元ではどう使い分けられているのでしょうか?
リフティングに使われるエネルギーは、大きく超音波(HIFU、高密度焦点式超音波の略で、音のエネルギーを一点に集めて熱を発生させる方式)と高周波(RF、Radiofrequencyの略で、電気エネルギーが組織の抵抗にぶつかって熱に変わる方式)の2種類に分かれます。
超音波は音の波長をレンズのように一点に集め、点単位で熱を発生させます。精度が高い分、目元のように薄い部位では焦点の深さをごく細かく浅くした専用チップを使わないと安全性が保てません。
高周波は反対に、広い面積にじんわりと熱を広げる性質があります。熱が一点に集中せず面で広がるため、目元では出力を落とし、照射回数を調整することで安全な範囲に収めます。どちらの方式も、目元では出力を抑え深さを浅くした専用プロトコルを使う点は共通しています。
超音波を虫眼鏡で日光を集めることにたとえると、レンズと紙の間の距離を少し変えるだけで焦点の位置は大きく変わります。目元専用チップはこの焦点距離をごく浅い位置に固定してあり、焦点が眼球や骨の方向にずれないよう構造そのもので防いでいます。
高周波は電気毛布に近い感覚です。温度を低めに設定すればじんわりと、高くすればしっかりと熱が広がる原理は同じです。目元ではこの温度設定自体を下げ、一箇所にとどまる時間も短く区切りながら通すことで、熱がたまるのを防ぎます。
たるんだまぶたは、実際にどのような過程で引き締まっていくのでしょうか?
まぶたがたるむ理由は大きく2つあります。皮膚そのもののハリが低下すること、そしてまぶたを持ち上げる筋肉の力が弱くなることです。
リフティングによって浅い層に熱刺激が加わり真皮に伝わると、傷ついた部分を修復しようとする反応としてコラーゲンが新たに作られ、既存のコラーゲン繊維もふたたび密に並び直します。この過程が施術後4週間から12週間にわたって続くことで、皮膚そのものの張力が少しずつ高まっていきます。
同時に、熱刺激は皮膚の下にある薄い筋肉層にもわずかに伝わります。まぶたを開閉する動きを担う眼輪筋(orbicularis oculi)はまさにこの層にあり、筋繊維がごく微細に収縮する反応が起こることで、まぶたを支える力も一緒に改善すると報告されています。ただしこの変化は手術のように即座に現れるものではなく、時間をかけて少しずつ表れてくるものです。
施術後1〜2週間は、腫れが引いて目元がすっきり見える程度の変化がまず現れます。本当の意味でコラーゲンが再配列される変化はもう少し遅れて、たいてい4週間を過ぎたころから徐々に実感できるようになるといわれています。ですから施術の翌日に大きな差がないからといってがっかりする必要はなく、むしろ4週間から12週間後を目安に経過を見守るのが正解です。
目元専用リフティングと顔全体のリフティング、いったい何が違うのでしょうか?
この違いは機器の種類ではなく、設定値から生まれます。
- 照射深度: 顔全体は真皮の深い層や筋膜まで届かせますが、目元は表皮のすぐ下、浅い真皮までしか入りません。眼球に近い分、深く入れる理由も余裕もないためです。
- 出力の強さ: 目元は同じ機器でも出力を落として使用します。皮膚が薄いために同じエネルギーでもより大きく反応するので、低い出力でも十分な刺激になります。
- 専用チップとプローブ: 目元はサイズが小さく焦点距離の短い専用チップを別に使います。顔用のチップをそのまま目元に当てると接触面積が広く、熱がうまく分散せずに特定の箇所に集中しすぎることがあります。
目元のリフティングでは解決できないたるみもあるのでしょうか?
ここで一つ触れておきたい点があります。目元のリフティングはコラーゲンと筋肉の反応を利用する施術なので、皮膚そのものが伸びて折り重なるほどたるみが進んでいる場合には、効果が限定的です。
まぶたの皮膚が眉のあたりまで幾重にも折り重なり、視界を遮るほどになっている場合は、熱刺激でコラーゲンを少し増やす程度では対応しきれない状態です。こうしたケースでは、伸びた皮膚そのものを切除する眼瞼形成術(まぶたの手術)がより根本的な方法として勧められることが多くあります。
もう一つは、目の下の脂肪が押し出されてぽっこりと膨らんで見えるケースです。これは皮膚のハリの問題ではなく、脂肪を包む膜が弱くなって起こる変化なので、表面への熱刺激だけで押し戻すことはできません。そのため施術前には、たるみの原因が皮膚のハリ低下によるものなのか、脂肪やまぶたの筋肉のたるみによるものなのかを、まず見極めることが大切です。
痛みはどの程度で、なぜそう感じるのでしょうか?
目元は神経が密に通っている部位なので、同じ熱刺激でも頬やあごより痛みを強く感じることが多いといわれています。ただしこれは出力が強いからではなく、目元の組織そのものが痛みに敏感なためです。
こうした理由から、施術前に麻酔クリームを少し長めに塗布したり、冷却装置で表面温度を下げながら進めたりすることがよくあります。痛みには個人差が大きいものの、たいていは短くチクチクとした感覚が繰り返される程度と報告されています。
ダウンタイムはどのくらいかかるのでしょうか?
目元は浅い層だけを刺激するため、顔全体のリフティングに比べて回復期間は比較的短めです。施術直後には軽い赤みやわずかな腫れが出ることがありますが、たいていは1〜2日で落ち着くといわれています。
ただし目元の皮膚は刺激に敏感なので、この期間は目を強くこすったり、無理に目元のメイクを落としたりする行為は避けたほうがよいでしょう。この時期は紫外線対策も意識してケアしておくと役立つといわれています。
References
Korean Dermatological Association, Ministry of Food and Drug Safety (MFDS), American Academy of Dermatology (AAD), and U.S. Food and Drug Administration (FDA).
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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