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サーマジFLXがたるみを改善する仕組み: 高周波RFによるコラーゲン再生と効果の持続

By Dr. Kim1 min read

年齢を重ねると肌がたるんでくるのは、真皮のコラーゲンが減って緩んでくるからです。メスを使わずにそのコラーゲンを再び締め直し、新しく作り直すことはできないか。そういう発想から生まれた施術がサーマジであり、その核心は高周波、英語でいうRF(ラジオ波)と呼ばれる電磁エネルギーです。肌の表面を冷やしながら真皮の深部だけに熱を届けると、その部位のコラーゲンが即座に収縮し、その後数か月かけて新しいコラーゲンが形成されます。針も切開も長いダウンタイムも不要です。登場から年月を経た施術なので、美容医療の分野でも特にデータが豊富な高周波機器のひとつです。一方で、効果がすぐに現れるわけではなく、何ができて何ができないかについて誤解も多い施術です。その仕組みと臨床的な根拠、ウルセラなど他の施術との違い、どんな方に向いているかを、医療者の立場から順番に整理します。

サーマジFLX高周波機器の全体像

サーマジFLXとはどんな施術か

サーマジはモノポーラ型の高周波機器です。幅の広いチップを肌に当ててRFエネルギーを流すと、表面は冷却機構で守りながら真皮の内部に熱が均一に広がります。この熱はふたつのことを同時に行います。コラーゲン線維を即座に収縮させて施術直後にわずかな引き締め感をもたらすと同時に、軽微な損傷シグナルが線維芽細胞を活性化し、数か月かけて新しいコラーゲンを産生させます。即時の収縮と長期的な新生が、一度の施術で同時に起こる構造です。

表面を冷やしながら内部を温める点がこの施術の要です。表面を保護するため熱傷リスクを抑えながら、真皮の深層まで熱を届けることができます。使用するチップは使い捨てで、決められたショット数を顔全体に均等に照射する方式で進められます。一箇所に集中させるのではなく、広く分散して加熱することが均一な引き締めと安全性を決定づけます。最近の機器はチップが触れる際に細かい振動を加えて痛みを分散させる機能があり、以前よりもずいぶん受けやすくなりました。

適応部位も幅広く、顔全体はもちろん目もと・額・フェイスラインなど部位ごとに専用のチップを使い分けます。お腹や腕など、体のたるんだ肌にも同じ原理で応用できます。部位によって皮膚の厚みやたるみ方が異なるため、どの深度にどれだけのエネルギーを与えるかを部位ごとに調整することが結果を左右します。

高周波という言葉は家庭用の美顔器を連想させるかもしれませんが、出力と作用深度がまったく異なります。家庭用機器が皮膚表面をごく浅く温める程度なのに対し、サーマジは表面を冷却で守りながら真皮の深層に治療レベルの熱を精確に届けます。同じ高周波という名前でも期待できる変化が異なる理由がここにあります。サーマジは美容医療の現場で長く使われてきた分、安全性と有効性に関するデータが比較的厚く蓄積されています。

施術中の感覚は、チップが触れるたびに短い熱感が走り、その間に表面は冷却で和らぐため、熱さというよりチクッとしてひやっとする感覚が繰り返されます。最初は慣れない感触ですが、そのリズムに慣れてくる方が多く、部位によってチップのサイズや形状も変わり、広い頬には大きなチップ、繊細な目もとには小さなチップというように切り替えながら進めます。

同じ熱エネルギー系のリフティングでも、ウルセラとは作用深度が異なります。ウルセラは超音波でさらに深い筋膜層まで点状に届けるのに対し、サーマジは真皮層全体を広く均一に加熱します。ヒアルロン酸フィラーのようにボリュームを補うものとも、コラーゲン注射などの注入系とも方向性が違います。サーマジは何かを注入する施術ではなく、もともとある皮膚を温めて引き締める施術です。そのため通常は一回の施術で行われ、コラーゲンが形成されるまでに時間がかかるため、施術直後よりも数か月後のほうが変化を実感しやすいケースが多いです。針を使わないのでダウンタイムがほぼないのが強みで、一方で変化の幅は外科的リフトアップよりも緩やかである点も最初から理解しておくといいでしょう。

サーマジFLX施術3か月後に組織検査で確認されたコラーゲン変化。施術前を基準に、新生コラーゲンが約76%、Ⅰ型コラーゲンが約23%、Ⅲ型コラーゲンが約21%増加。6名の組織生検による研究。(El-Domyati et al., J Am Acad Dermatol 2011)
サーマジFLX施術3か月後に組織検査で確認されたコラーゲン変化。施術前を基準に、新生コラーゲンが約76%、Ⅰ型コラーゲンが約23%、Ⅲ型コラーゲンが約21%増加。6名の組織生検による研究。(El-Domyati et al., J Am Acad Dermatol 2011)

本当にコラーゲンが増えるのか

サーマジがコラーゲンを増やすというのは、マーケティングの言葉だけではありません。このグラフは施術部位を3か月後に組織検査で確認した研究で、新たに形成されたコラーゲンが施術前比で約76%、皮膚の骨格とも言えるⅠ型コラーゲンが約23%、再生初期に形成されるⅢ型コラーゲンが約21%増加していました。棒グラフは基準線を明確に上回っています。高周波の熱が実際に人の皮膚でコラーゲン合成を促進することが、組織レベルで直接確認されたわけです。

細胞レベルでの経路も明らかになっています。ある研究では、RF刺激が線維芽細胞のp38 MAPKというシグナルを活性化し、コラーゲン合成遺伝子の発現を増加させることが確認されています。熱が組織を単に温めるだけでなく、コラーゲンを作れという能動的なシグナルを送っているということです。皮膚が軽微なダメージを回復する過程で新しいコラーゲンを形成するという点で、傷が治る際に新しい組織が充填される原理と似ています。

形成されるコラーゲンも一度に完成するわけではありません。再生初期には比較的やわらかいⅢ型コラーゲンが先に形成され、時間が経つにつれてより硬いⅠ型へと成熟します。施術直後ではなく2〜3か月後に変化が明確になる理由がまさにここにあります。サーマジはそのバランスを一時的に産生側に傾けてくれる施術であり、時計を巻き戻すというよりも、コラーゲンが減っていくペースを緩め、土台を再び充填するものに近いイメージです。普段のスキンケアと生活習慣によって結果が長続きもすれば早く薄れることもあるのはそのためです。

同じ研究では弾性線維はむしろ減少していました。サーマジがコラーゲンは増やすものの、弾性線維まで再生するわけではないということです。この組織生検研究が6名という小規模であることと合わせて、効果を過大評価しないために押さえておくべき点です。ただ、作用の方向性については他の研究も一致した結論を示しています。

サーマジ施術6か月後も真皮コラーゲン密度が施術前より高く維持されている結果。上層真皮で約5.0%、下層真皮で約5.2%増加した状態が持続。11名の組織生検による研究。(Suh et al., J Cosmet Dermatol 2020)
サーマジ施術6か月後も真皮コラーゲン密度が施術前より高く維持されている結果。上層真皮で約5.0%、下層真皮で約5.2%増加した状態が持続。11名の組織生検による研究。(Suh et al., J Cosmet Dermatol 2020)

効果はどれくらい続くのか

サーマジの強みのひとつは、一度形成されたコラーゲンが比較的長期間維持されることです。このグラフは施術6か月後に真皮のコラーゲン密度を組織検査で再測定した研究で、上層真皮で約5.0%、下層真皮で約5.2%増加した状態がそのまま維持されていました。施術直後にわずかに反応して消えてしまうのではなく、半年後の時点でもコラーゲンが増えた状態が続いているということです。数値自体は大きくはありませんが、それまで減り続けていたコラーゲンが増えた状態で維持されている点に意味があります。

コラーゲンの収縮と新生が施術後4〜6か月かけてゆっくり進むため、効果がピークに達するまでにも同じだけの時間がかかります。施術から1週間後に大きな変化がないからといって、判断するには早すぎます。クリニックでは施術後すぐに来院して「変わっていない」とおっしゃる方が少なくありませんが、多くの場合はまだコラーゲンが形成される時間を与えていない段階です。

一般的には効果が1〜2年持続するといわれており、加齢は継続するため、効果を長く維持したい場合は間隔をおいて再施術を検討することになるケースが多いです。一度受ければ永久に続くと期待するよりも、一定の周期でメンテナンスしていく施術として考えたほうが現実的です。紫外線を多く浴びたり喫煙したりすると新たに形成されたコラーゲンも早く減少するため、施術一回で終わりにするよりも、日常的なUVケアと生活習慣の管理を並行することが結果を長持ちさせる最も現実的な方法です。

施術間隔は、たるみが進行するペースに合わせて設定します。たるみの進行が早い方は1年に1回程度、変化が緩やかな方はもっと長めに間隔を取ることもありますが、コラーゲンが十分に形成され定着する時間を与えてから次を検討するのが合理的です。変化がゆっくり現れる施術ほど、記憶だけに頼ると効果を過小評価しがちなので、同じ条件で撮影した写真を残しておくと客観的に比較しやすくなります。

時間の流れとともにどう変わるかというと、施術直後はコラーゲンの即時収縮でわずかにハリを感じることがあり、その後1〜2週間は目立った変化のない落ち着いた時期が来ます。そこから1か月を過ぎると徐々にコラーゲンが充填されはじめ、2〜3か月目に最も変化が明確になります。この流れを知らないと、中間の静かな時期に「効果がない」と誤解しやすいので、タイムラインを把握して待つことが大切です。

サーマジで目もとを施術した後のシワ面積の変化。施術前の平均95.1mm²が1か月後には80.6mm²に減少し、約15%の改善。66名を対象に面積を直接測定した研究。(Han et al., Ann Dermatol 2018)
サーマジで目もとを施術した後のシワ面積の変化。施術前の平均95.1mm²が1か月後には80.6mm²に減少し、約15%の改善。66名を対象に面積を直接測定した研究。(Han et al., Ann Dermatol 2018)

目もとのようなデリケートな部位はどうか

サーマジは顔全体だけでなく、目もとのように皮膚が薄くデリケートな部位にも使われます。このグラフは目もとを一度施術した後にシワの面積を測定した研究で、施術前の平均95.1mm²が1か月後には80.6mm²まで、約15%減少したことが確認されています。1回の施術で定規で測れるほどの変化が出た、ということです。

同じ研究で、最初からシワが深い方や55歳以上の方で改善幅が大きく、シワが浅い方や若い年齢層では変化が小さい傾向がありました。たるみやシワがある程度進んでいる肌のほうが、引き締める余地が大きいということです。逆に、シワがほとんどない若い肌に予防目的で受けても、期待ほどの変化を感じにくいでしょう。

目もとは皮膚が薄いため痛みをより感じやすい部位ですが、この研究では麻酔なしでも大半の方が耐えられる程度であり、軽い赤みが1〜2日ほど続いた後に落ち着きました。まぶたの重さが気になりはじめた方や、目もとの小じわが増えてきた方はこの部位での効果を実感しやすい傾向があります。

目もとだけでなく、額・頬・フェイスラインなど、たるみがはじまっている部位であればどこでも同じ原理が当てはまります。一回の施術で行う以上、一度に十分なエネルギーを均等に届けることが重要で、弱すぎると効果が乏しく、一箇所に過剰に集中させると痛みや副作用のリスクが上がります。部位ごとに適切な強度を設計するうえでの施術者の判断が結果を大きく左右し、デリケートな目もとの施術は特に経験が十分な医師のもとで受けることが安全です。

部位によって期待できる変化の質感も少し異なります。目もとは小じわとまぶたのたるみ、頬は毛穴と弾力、フェイスラインはV字ラインの輪郭というのが主な変化です。一度の施術で複数の部位を広く浅く追いかけるよりも、最も気になる部位に十分なエネルギーを集中させるほうが満足度が高くなります。欲張って薄く広げすぎると、どの部位でも明確な変化を感じにくくなります。顔だけでなくお腹や腕など体のたるみにも同じ原理が使えますが、面積が広い部位はそれだけ十分なエネルギーと時間が必要になります。

目もとの施術は皮膚が薄く眼球が近いため細心の注意が必要で、目を保護する器具を使用し、安全な範囲内でエネルギーを調整します。まぶたの重みや目もとの小じわが悩みの方にとっては、わずかな変化でも表情が明るく印象的になるため満足度が高い部位です。ただし、まぶたのたるみが強く視野に影響しているほどであれば、施術だけでは改善に限界があり、他の方法と組み合わせて検討する必要があります。

顔にガイドラインを描いて進めるサーマジFLXの施術風景

どんな人に向いているか

サーマジが適しているのは、肌が少したるみはじめてハリが落ちてきたけれど、まだ手術を考える段階ではないという方です。フェイスラインが崩れる前の初期のたるみや、皮膚のキメ・毛穴の開き、メスを使わずに自然に引き締めたいというニーズに対して強みが明確です。ダウンタイムがほぼないため忙しい日常生活への支障が少ない点も利点です。皮膚が厚くしっかりしている方よりも、たるみがある程度進んでいる方のほうが引き締め効果を実感しやすい傾向があります。

逆に、皮膚と筋膜が大きくたるんで深いリフティングが必要な場合はウルセラや外科的な方法が適切で、くぼんだ頬やフェイスラインを補いたいのであればヒアルロン酸フィラーが向いています。サーマジはたるんだ皮膚を引き上げて切除する施術ではなく、真皮を引き締めて弾力を回復させる施術です。たるみの進行を遅らせ、肌の土台を整える施術として理解していただくと、期待値を現実に合わせやすくなります。

年齢でいえば、まだある程度弾力が残っている30代後半から50代前半のうちにはじめると、引き締める余地が十分にあって満足度が高いケースが多いです。たるみがすでにかなり進行している場合は、サーマジ単独で解決しようとするよりも、ウルセラで土台をつくりながら表面の弾力やキメはサーマジで整えるという組み合わせで使うこともあります。どちらかが全面的に優れているというよりも、深いたるみが主な悩みなのか、表面の弾力やキメが気になるのかによって向いている施術が変わります。

他の施術との順番についてもよく聞かれます。ボトックスやフィラーと組み合わせて検討している場合、土台を整えるサーマジを先に行うか間隔をあけて進めるのが一般的です。同じ日に複数の施術をまとめて受けることが常に最善とは限らず、肌が回復する時間を考慮して順番と間隔を決めることが安全です。何を先にするかは、主な悩みがたるみなのか、ボリュームなのか、シワなのかによって変わります。一つの施術で全ての悩みを解決しようとすると、どれも中途半端になりがちです。

経験上、一回の施術で大きな変化を期待していらっしゃる方ほど落胆が大きく、たるみの進行を遅らせて肌の土台を整えるという観点でアプローチされる方は、2〜3か月後の変化に満足されるケースが多いです。サーマジは継続的なケアの一部として取り組むものだという心構えでスタートすることが、結果への満足度を高める最も確かな方法だと感じています。

サーマジFLXハンドピースを使用した施術の様子

施術の流れと気をつけること

施術は顔に冷却ジェルを塗り、チップを密着させて規定のショット数分エネルギーを照射する流れで進みます。部位とたるみの程度によってショット数が決まり、一箇所にとどまらず広く分散させながら均一に温めることが重要です。施術時間は通常1時間前後で、針を使わないため施術直後からそのまま日常生活に戻れます。施術直後に鏡を見ると肌がわずかにハリを感じることがありますが、これはコラーゲンが即時収縮した結果であり、本格的な変化はその後数か月にわたって続きます。

痛みは施術中にチクッとした熱感として現れますが、最近の機器は振動と冷却で痛みを和らげるよう改善されており、大半の方が許容できる程度です。施術後に一時的な赤みや軽い腫れが見られることが多く、数日で落ち着きます。まれに小さな熱傷や色素変化が生じることがあります。施術直後はサウナや激しい運動など熱を加える行為を1〜2日避けるとよく、日焼け止めをきちんと使うことで結果を長く維持するのに役立ちます。

RFを使う施術なので事前に確認すべき点があります。心臓ペースメーカーなどの植込み型医療機器を使用している方や、施術部位に金属インプラントがある方は必ず事前に医師に伝えてください。妊娠中や施術部位に炎症・感染がある場合も施術を避けるのが原則です。自分の既往症と体の状態を事前に確認することが安全な施術の第一歩です。

サーマジは通常一回の施術で行いますが、部位と目標によって間隔をあけて繰り返すこともあります。効果がゆっくり現れる施術なので、1〜2週間で判断するよりも2〜3か月の変化を見て評価するのが合理的です。施術前に十分なカウンセリングで期待値と進め方を明確にしておくと、後から感じるギャップが少なくなります。

当日特別な準備は多くありませんが、皮膚への刺激になる強いピーリングは数日前から避けるほうがよいでしょう。施術後は保湿と日焼け止めをしっかり行い、赤みがある間は刺激の強いスキンケアをしばらく控えると回復がスムーズです。

サーマジはエネルギーの設定と施術者の技量が結果と安全性を大きく左右します。弱すぎれば効果が乏しく、過剰に照射すれば痛みや熱傷のリスクが上がります。同じ機器でも、誰がどのような設定でどれだけ均一に施術するかによって結果に差が生じます。効果と限界を十分に理解したうえで、自分の肌の状態を正確に診てもらえる医療機関でカウンセリングを経てからスタートすることをお勧めします。

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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