prettytime
Lifting

オンダリフティング:マイクロ波で皮下脂肪を選択加熱し、二重あごとフェイスラインを整える仕組み

By Dr. Lee1 min read

鏡を見るたびに、あごの下が余ってフェイスラインがぼやけてきた。そう感じて来院される方が増えています。体重が増えたわけでもないのに、横顔ではあごと首の境界線が消えかかっていて、下を向くと二重あごがくっきりと出てしまう。ダイエットをしても最後まで残りやすいのが、顎下の脂肪です。皮膚が薄くたるみやすい部位でもあり、その下に脂肪が重なっているため、皮膚を引き締めるだけではすっきりしません。

メスを使わず脂肪を減らしながら、皮膚も同時に引き上げられる方法はないか。その問いへの答えのひとつが、オンダリフティングです。ポイントはマイクロ波という電磁エネルギーで、皮膚の表面ではなくその下の脂肪層を選択的に加熱する仕組みです。針も切開も不要で、脂肪とたるみを同時にアプローチできる点がこの施術の核心です。ただし比較的新しい施術ですから、押さえておくべき限界もあります。原理と臨床エビデンス、サーマクールやウルセラとの違い、どんな方に合うかを順番に解説します。

透明感のあるなめらかな肌質を表現した美容施術のコンセプトイメージ

オンダリフティングとはどんな施術か

オンダリフティングは、イタリアのDEKA社が開発したマイクロ波ベースの医療機器による施術です。マイクロ波は電子レンジと同じ種類の電磁波。電子レンジが食品中の水分子を振動させて加熱するように、同じ原理のエネルギーを医療用に出力と到達深度を精密制御して皮膚の下へ届けます。もちろん家庭用の電子レンジとは出力も安全機構もまったく別物で、どの層にどれだけ熱を与えるかを計算して届ける治療用エネルギーです。

この施術がターゲットにするのは皮膚ではなく、その下にある皮下脂肪です。マイクロ波が脂肪層に当たると内部で熱が発生し、加熱された脂肪細胞が徐々に縮小します。同時に熱は真皮にも伝わり、コラーゲンの産生を刺激します。そのため脂肪が減る効果と皮膚が引き締まる効果が同時に得られます。脂肪だけを取り除くとかえって皮膚がたるんで見えやすいのですが、両方を同時に整えられるのがこの施術の特長です。

施術自体は非侵襲的です。肌を傷つけません。ハンドピースを肌に当てながら動かし、定めた部位を加熱する方式で、針も切開も不要。表面には同時に冷却機構が働き、皮膚が過度に熱くなるのを防ぎます。日本でも主に二重あご、たるんだフェイスライン、顔のもたつきを整えるリフティング目的で使用されています。脂肪とたるみが共存する顎下部位によく使われるのはそのためです。

施術中の感覚ですが、ハンドピースが肌の上をゆっくり滑りながら動き、じんわりとした温感が広がります。表面冷却が同時に働くため、熱く焼ける感覚よりも「温かく押さえられる」感じに近いです。最初は慣れなくても、1か所が終わるころには自然とリズムに慣れてくる方が多いです。麻酔はほぼ不要で、施術後はすぐに日常生活に戻れます。ダウンタイムの少なさは魅力のひとつです。

ひとつ正直にお伝えしておく必要があります。オンダリフティングは比較的新しい施術であるため、後述するサーマクールやウルセラほど臨床データが蓄積されていません。原理は明確です。しかし人を対象とした研究の数と規模はまだ限定的で、発表されている研究の多くが機器メーカーと関連の近い環境で行われています。カウンセリングでは必ずこの点をお伝えします。何ができて何が難しいかを理解したうえで始めていただかないと、期待と結果のギャップが生まれるからです。

オンダリフティングのマイクロ波エネルギーの約80%が皮下脂肪に、約20%が周囲組織に吸収され、脂肪を選択的に加熱することを示す吸収率グラフ(Onda Coolwaves技術資料 / J Clin Med 2024)
オンダリフティングのマイクロ波エネルギーの約80%が皮下脂肪に、約20%が周囲組織に吸収され、脂肪を選択的に加熱することを示す吸収率グラフ(Onda Coolwaves技術資料 / J Clin Med 2024)

マイクロ波が脂肪を選んで加熱できる理由

マイクロ波が脂肪を選択的に加熱できるのには、物理的な根拠があります。上のグラフを見ると、伝達されたエネルギーの約80%が皮下脂肪に吸収され、残りの約20%のみが周囲組織へ拡散します。エネルギーの大部分がターゲットである脂肪に集中するということです。ただし、この80%という数値はメーカーの技術資料と関連分析から出たもので、独立した大規模な検証がさらに蓄積される段階にあることも念頭に置いてください。

この選択性の背景にあるのが、誘電加熱(dielectric heating)という原理です。電磁波が物質内の分子を高速で振動させ、その摩擦によって熱を生み出す仕組みです。組織によって電磁波への反応の度合いが異なり、脂肪はマイクロ波領域においてこのエネルギーを特によく吸収する性質を持っています。同じエネルギーを送っても、脂肪層でより多く熱が生じる。表面を無差別に加熱するのではなく、エネルギーが自然と脂肪に集まるよう誘導される仕組みです。

深度も重要な要素です。マイクロ波は皮膚表面を通り、皮下脂肪が位置する深さまで到達しますが、表面は冷却で守られているため、熱は実際にはその下の脂肪層で集中的に発生します。「表面は冷やし、内側は温める」。この構造のおかげで、皮膚に熱傷を起こすリスクを抑えながら脂肪層に熱を届けることができます。電子レンジが食品全体を無差別に温めるのとは異なり、医療用機器は深度と出力を制御して目的の層だけをねらいます。

原理はシンプルです。ただし原理が必ずしも効果を保証するわけではない。マイクロ波の物理的性質と機器の深度制御が組み合わさって脂肪選択性が生まれますが、人によって脂肪の量や皮膚の状態が異なるため、結果には個人差があります。吸収率などの重要な数値がメーカー関連資料に依拠している点も、エビデンスの重みを評価する際に忘れないほうが誠実です。

二重あごの皮膚たるみ等級SMSLGが施術前の3.6から12週後の2.3へと約36%改善したグラフ、0〜4のスケールで数値が低いほどたるみが少ない(Zappia et al., Lasers Med Sci 2025, 対象10名)
二重あごの皮膚たるみ等級SMSLGが施術前の3.6から12週後の2.3へと約36%改善したグラフ、0〜4のスケールで数値が低いほどたるみが少ない(Zappia et al., Lasers Med Sci 2025, 対象10名)

二重あごのたるみ、どのくらい改善するか

実際にたるみがどれくらい変化するかを見た研究があります。上のグラフは、二重あご部位の皮膚のたるみ程度をSMSLGという指標でスコア化した結果です。0から4のスケールで、数値が低いほどたるみが少ない。施術前の平均3.6が、12週後には2.3まで低下しています。約36%の改善です。たるみが1段階以上減少したということで、数値だけ見れば明確な変化といえます。

ただし、この研究には正直に限界を指摘する必要があります。対象者がわずか10名という小規模研究です(Zappia et al., Lasers Med Sci 2025;40(1):28)。10名の結果は方向性を示すに過ぎず、すべての方に同じ効果が出ると断言することはできません。被験者数が少ないと、偶然に好ましい結果が混入する余地も大きい。さらにこうした初期研究はメーカーと関連の近い環境で行われることが多く、受け入れる際にはもう一段の慎重さが必要です。

平均値には落とし穴があります。3.6から2.3に下がったとはいえ、これはあくまで平均値。大きく改善した方もいれば、ほとんど変化のなかった方もいた可能性があります。また、この研究は2回の施術後・12週時点の結果です。1回だけ受けた場合や、より長期にわたる変化については、この数字からは読み取れません。

評価スケール自体の性格も知っておく価値があります。SMSLGは医療者が目視で評価する等級であるため、評価者の主観が一定程度入ります。同じ部位でも評価する人によってスコアが1〜2段階変わることがある。そのため等級の改善幅を、絶対的な長さや体積の変化としてそのまま読み替えるのは難しいです。「たるみの程度を測る指標で、明確な改善が見られた」、ちょうどそこまでの解釈が適切です。

このグラフは可能性を示すデータです。マイクロ波で二重あごのたるみが改善できるというシグナルは明確ですが、その根拠基盤はまだ薄い。より多くの被験者を対象に、メーカーと無関係な研究が積み重なって初めて、効果の大きさを確信できるようになります。カウンセリングでも同じことをそのままお伝えしています。劇的な変化よりも控えめな整理を期待していただいたほうが、後悔が少なくなります。

二重あごへのマイクロ波施術後に満足または非常に満足と回答した割合が70.2%であったことを示す満足度グラフ(Salsi & Fusco, J Cosmet Dermatol 2022, 対象47名)
二重あごへのマイクロ波施術後に満足または非常に満足と回答した割合が70.2%であったことを示す満足度グラフ(Salsi & Fusco, J Cosmet Dermatol 2022, 対象47名)

実際に受けた方の満足度は

数値上のたるみ改善とは別に、実際に施術を受けた方がどう感じたかも重要です。満足度を調べた研究があります。二重あごへのマイクロ波施術を受けた方のうち、「満足」または「非常に満足」と回答した割合がおよそ7割でした(Salsi & Fusco, J Cosmet Dermatol 2022;21:5657)。受けた方の体感としても、ある程度の変化が認められた形です。

この研究は先のたるみ研究よりも対象者が多く、47名を対象に6回の施術を行っています。サンプル数が増えた点はデータに重みを加えます。ただしこの7割という数値を絶対的な成功率として受け取るのは危険です。残りの3割は変化をあまり感じられなかったということでもあります。すべての方に満足していただける施術はありません。オンダリフティングも例外ではない。

満足度という指標の性格にも触れておきます。満足度は客観的な測定値ではなく、患者さんが感じた主観的評価です。期待値は人によってまったく異なり、同じ変化でも「十分」と感じる方と「物足りない」と感じる方がいます。6回という施術回数も考慮すべきです。何度も通って時間をかけた分、好意的に評価しようとする心理が入りやすく、1〜2回で判断した場合とは結果が変わってくる可能性があります。

客観的な数値と受けた方の体感が同じ方向を向いているという点は、小さいながらも安心できる材料です。一方では皮膚のたるみスコアが下がり、もう一方では受けた方の多くが変化を前向きに受け止めました。2つの指標が一致することは信頼性を少し高めます。ただし2つの研究はいずれも被験者数が少なく、施術回数が多かったという共通した限界を抱えています。結果を過大評価しないことが重要です。

カウンセリングでは、この満足度の数値をそのまま「約束」としてお伝えすることはしません。受けた方の多くが満足したという事実には意味がありますが、サンプルはまだ小さく、評価が主観的だという限界も明確です。オンダリフティングのエビデンスは今まさに小規模な研究が積み重なっていく段階です。期待できる範囲と限界を同時にお伝えするのが、長く信頼関係を続けるうえで必要なことだと思っています。

医師と施術について相談している様子

サーマクールやウルセラとはどこが違うか

リフティングを検討される方が最も混乱されるのが、この3つの違いです。いずれもメスを使わずに皮膚を引き上げるという点は共通しています。ただし使用するエネルギーと、主にアプローチする層が異なります。まずサーマクール(Thermacool)は高周波、つまりRFエネルギーを使います。真皮層を広く均一に加熱し、コラーゲンを収縮させながら新たな産生を促すことに重点を置いています。皮膚全体の弾力を引き上げる方向に強みのある施術です。

ウルセラ(Ulthera)は超音波、HIFU(高密度焦点式超音波)エネルギーを使います。超音波を1点に集束させ、より深いSMAS層まで到達させる方式です。日本ではウルセラのほかにもダブロやウルトラセルなど複数のHIFU機器が普及していますが、いずれも同じ原理で深い層へのアプローチを目的としています。SMASは顔の筋肉を包む深い膜で、外科的リフティング手術で実際に引き上げる層がまさにここです。3つのなかで最も深い層にアプローチするという点がHIFU系の特長です。

オンダリフティングはマイクロ波で皮下脂肪を減らしながら、同時に皮膚も引き締めます。サーマクールが真皮のコラーゲンを、ウルセラが深い筋膜をねらうとすれば、オンダはその間に位置する脂肪層をターゲットにします。だからこそ、二重あごやフェイスのもたつきのように脂肪とたるみが同時に悩みである部位で強みを発揮します。皮膚だけを締めても整理しきれなかった部位に、もうひとつの選択肢を加える施術です。

誤解をひとつ解いておきます。この3つは優劣の関係ではありません。目的が少しずつ異なる選択肢の問題です。弾力が主な悩みならサーマクール、深いたるみならウルセラなどのHIFU、脂肪とたるみが同時の悩みならオンダ、そういった棲み分けがあります。なお、3つを同一の対象者に直接比較した設計の優れた臨床研究は事実上存在しません。どれかが無条件に優れているとは言えない理由です。ご自身の状態と悩みを正確に評価してもらい、それに合った施術を選ぶことが何より大切です。

顔の肌を整える施術を受けている様子

こんな方に向いている、注意したいこと

オンダリフティングが合う方は比較的はっきりしています。二重あごやたるんだフェイスライン、頬のもたつきのように、脂肪とたるみが共存する部位が悩みの場合です。特にダイエットをしても解消されにくい顎下の脂肪、皮膚の弾力が落ちて輪郭がぼやけてきた方に向いています。脂肪を減らしながら皮膚も引き締めるアプローチだからこそ、どちらか一方だけでは不十分だった部位に適しています。

細身の方にはお勧めしません。加熱する脂肪がないからです。オンダリフティングは脂肪を減らす作用が大きな柱であるため、もともと脂肪が少ない部位では期待どおりの変化が出にくい。そのような場合は、コラーゲン刺激に重点を置いた別の施術のほうが合うことがあります。施術前に対象部位の脂肪量をしっかり評価することが重要です。

施術の負担は大きくありません。非侵襲的なため針も切開も不要で、ハンドピースを当てて定めた部位を加熱する方式です。1か所あたり1回約10分ほどかかり、効果のために通常は複数回に分けて行います。先の研究でも2回から6回の反復施術が前提でした。1回で終わる施術ではありません。複数回積み重ねて変化をつくる施術である点は、最初から理解しておいていただく必要があります。

最もよく見られる反応は施術直後の一時的な紅潮です。加熱された部位が赤くなるもので、多くは時間とともに落ち着きます。そのほか腫れや内出血が生じることもあります。まれに熱傷、水疱、一時的に触れる硬いしこり、色素変化が現れることがあります。大半は時間とともに改善しますが、症状が長引くようなら施術を受けたクリニックに相談することをお勧めします。

硬いしこりが触れて驚かれる方もいます。加熱された脂肪層が回復する過程で一時的に硬く感じられることがありますが、多くは時間とともに柔らかくなります。痛みを伴ったり、形が変わってくるようであれば放置せず確認を受けてください。施術後数日間は、部位を強く押したり擦ったりしないことが回復の助けになります。

受けないほうがよいケースもあります。妊娠中の方や施術部位に感染がある場合は避けてください。マイクロ波は電磁エネルギーのため、体内に金属インプラントやペースメーカーなどの電子機器がある方は、必ず事前にお申し出いただき、慎重に判断する必要があります。最後に、期待値は現実的に設定してください。オンダリフティングは脂肪とたるみを同時にアプローチできる有用な選択肢です。ただし大規模な臨床エビデンスがまだ十分でない、比較的新しい施術でもあります。劇的な変化よりも、控えめな輪郭の整理を目標にスタートするほうが現実的です。

この記事は参考になりましたか?

About this article

診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

Read next

Skincare

頭皮の脂漏性皮膚炎治療、原因菌マラセチアから薬用シャンプーと再発予防まで何から始めるべきか

洗ってもすぐにフケや赤み、かゆみがぶり返す頭皮の脂漏性皮膚炎について、原因菌マラセチアから解説し、抗真菌シャンプー、外用の抗炎症薬、内服薬、頭皮スケーリングまで根拠の強さ順に治療法を整理し、再発を防ぐ維持療法や再生医療の実際の根拠まで実際の論文をもとに分かりやすく解説します。

By Dr. Lee

Back to articles