SPFとPAの正しい意味、塗る量と塗り直し、よくある誤解まで、日焼け止めを使いこなすには
By Dr. Lee1 min read

日焼け止めは、老化を防ぐうえで最も確かなコスメです。でも、SPFの数値が高ければ高いほどいいのか、PAって何なのか、どれくらい塗ればいいのかを正確に把握している方は、意外と少ないものです。間違った使い方をすると、せっかく塗っても効果が半減してしまいます。
結論から言うと、日焼け止めは老化と皮膚がんをきちんと減らせることが研究で実証されている、数少ない方法のひとつです。高価な施術よりも、毎日塗るというこの習慣ひとつが、10年後の肌を大きく変えます。ただし、表示通りの効果を得るには、十分な量をこまめに塗り直すことが大切です。SPFとPAの意味、どれくらいどう塗ればいいか、ケミカルとミネラルの違い、そしてよくある誤解まで、実際の研究データをもとに順を追って整理しました。

SPFとPAって何を意味するの?
この2つの表示は、それぞれ異なる紫外線を防ぐものです。紫外線は大きく2種類に分かれます。UVBは肌の表面を焼いて赤くし、皮膚がんと深く関わります。UVAは肌の奥まで届き、シワや色素沈着といった老化を引き起こします。UVAは窓ガラスも半分以上通過します。
SPFはこのうちUVBをどれくらい防げるかを示します。数値が大きいほどはるかに強力と思いがちですが、実際の防御率の差は思ったより小さいです。SPF 15が約93%、SPF 30が約97%、SPF 50が約98%のUVBをカットします。30から50に上げても、実際には1ポイント程度の差です。また、SPFは時間を延ばす数字ではなく防御の強さを意味するので、数値が高くても塗り直しは必要です。
PAはUVAを防ぐ等級で、プラスの数で表します。プラスが多いほどUVAのカット力が高く、PA++++が最上位です。老化が気になるなら、SPFだけでなくPA等級もチェックするのがおすすめです。まとめると、SPFは日焼け・皮膚がん対策、PAは老化対策の指標と覚えておくとわかりやすいです。

どのくらいの量を、どのくらいの頻度で塗るべき?
最も見落とされがちなのが、塗る量です。SPFの数値は、実験室で皮膚1平方センチメートルあたり2ミリグラムというかなりしっかりした量を塗って測定されています。ところが実際に人が塗る量は、この基準の4分の1から半分程度にとどまっています。
問題は、量が少ないと効果がそれ以上に落ちることです。薄く塗ると、表示がSPF 50の製品でも、実際の保護効果はその3分の1程度になることがあります。SPF 50をしっかり塗ったつもりでも、実際にはSPF 15にも満たない保護しか得られていないわけです。
だからこそ、十分な量を塗ることがSPFの数値を上げることより大切です。顔と首に対してティースプーン4分の1杯、よく言われる人差し指と中指の2本に絞り出す量が目安です。思ったより多く感じるかもしれませんが、慣れるとこのくらいがスタンダードになります。また、日焼け止めは2時間ごとに塗り直し、汗をかいたり水に入ったりした後はすぐに重ね塗りが必要です。朝に一度塗れば一日中持つという考えは、手放した方がよいでしょう。少なく塗って高SPFに頼るより、たっぷり塗ってこまめに重ねる方が断然効果的です。

ケミカルとミネラル、何が違う?
日焼け止めには大きく2つの方式があります。ケミカル(有機)日焼け止めは紫外線を吸収して熱に変えて放出する仕組みで、伸びが軽くて透明感があり、メイクの下地に使いやすいです。ミネラル(無機)日焼け止めはzinc oxideや二酸化チタンなどの成分が紫外線を反射する仕組みで、刺激が少なく敏感肌や子どもにも向いています。ただし、白浮きすることがあります。
最近、ケミカル日焼け止めの成分が血液から検出されたという研究が話題になりました。全身にたっぷり塗ってから測定すると、一部の成分が基準値を超える濃度で血中から確認されたのです。ただし、この研究を行った機関も米国FDAも「検出されたからといって有害という意味ではなく、だからこそ日焼け止めの使用を止めないように」と明確に伝えています。
つまり、ケミカル日焼け止めは長年安全に使われてきた方式であり、実際に害が証明されているわけではありません。それでも気になる方や敏感肌の方は、zinc oxideなどのミネラル日焼け止めを選べばよいです。どちらを選ぶにしても、毎日続けて塗ることが何より大切であり、塗らないという選択肢は得策ではありません。

老化と皮膚がんを本当に防げる?
ここが日焼け止めの真骨頂です。広告ではなく、きちんと設計された研究によって効果が実証されています。
まず老化から見てみましょう。成人約900人を2グループに分け、片方は毎日、もう片方は必要なときだけ日焼け止めを塗ってもらい、4年半にわたって観察した研究があります。その結果、毎日塗ったグループの皮膚老化が24%少なかったことがわかりました。シワや肌のキメが実際に進みにくかったということです。たった4年半でこれだけの差が出るのですから、10年、20年と積み重なれば、その差はさらに広がります。
皮膚がんへの予防効果も確認されています。同じ地域で長期追跡した研究では、毎日日焼け止めを塗ったグループで扁平上皮がんの発生が約40%減少しました。さらに、浸潤性メラノーマのリスクも大きく低下しました。メラノーマは症例数が少ないため解釈に注意が必要ですが、方向性は明確です。注目すべきは、この効果が毎日塗ったグループで見られた点です。必要なときだけ塗ったグループとの比較結果なので、たまに塗るのではなく毎日コンスタントに続けることが鍵だとわかります。塗る習慣ひとつで老化を遅らせて皮膚がんのリスクまで下げられるのですから、日焼け止めはコスパ最強のスキンケアと言えます。

よくある誤解って何だろう?
いくつかの思い込みを正すだけで、効果がぐっと上がります。
1つ目は「SPFが高ければ一日中塗らなくていい」という誤解です。SPFは強さであって時間ではないため、数値がいくら高くても2時間ごと、汗や水の後は塗り直しが必要です。2つ目は「室内や曇りの日には必要ない」という考えです。老化を引き起こすUVAは窓ガラスを半分以上通過し、曇りの日の雲もよく透過します。窓際で長時間過ごす場合や曇りの日でも、老化が気になるなら塗っておくのがベターです。
3つ目は、メイクの上から塗り直しにくいという問題です。面倒ですが方法はあります。パウダーやクッションタイプ、スティックタイプの日焼け止めを押さえるように重ねると、メイクを大きく崩さずに補充できます。完璧ではなくても、まったく塗らないよりずっとましです。
4つ目は「飲む日焼け止め」への期待です。抗酸化成分のサプリメントは補助的に役立つことはありますが、塗る日焼け止めの代わりになるほど紫外線をカットできるわけではありません。あくまでも補助として位置づけ、塗ることを基本にすることが大切です。この4点を押さえるだけで、同じ製品でもずっと高い効果が得られます。

どう塗るのが正解?
ルールはシンプルです。毎日、十分に、こまめに塗ること。日常使いにはSPF 30以上でPA等級の高いブロードスペクトラム対応を選び、長時間アウトドアで過ごす日にはSPF 50の耐水性製品が安心です。敏感肌の方や子どもにはzinc oxideのミネラルタイプがよく合います。製品によってテクスチャーや仕上がり感はさまざまなので、いくつか試して毎日無理なく手が伸びるものを選ぶのがコツです。
量とタイミングが決め手です。顔と首に指2本分の量をしっかり塗り、2時間ごと、汗や水遊びの後はすぐに塗り直してください。どんなに優れた製品でも、薄く一度塗るだけでは表示通りの効果は出ません。毎日使うものだからこそ、塗るのが苦にならない使い心地の製品を選ぶことも、習慣化の秘訣です。
日焼け止めだけで完璧に対策しようとしなくても大丈夫です。帽子やサングラス、日陰の活用、紫外線が強い真昼を避ける習慣を組み合わせると、さらに心強いです。この塗る習慣ひとつが10年後の肌を変えると思うと、毎朝数秒の手間も惜しくありません。今日から十分な量を、毎日続けてみてください。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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