光老化した肌、レチノイドとビタミンCの効果とケア方法
By Dr. Kim1 min read

長い間紫外線を浴び続けた肌は、ただ年齢を重ねた肌とは違う変化を見せます。どちらもしわは出てきますが、光老化にはさらにシミやくすみのような色素沈着、そしてざらついたきめの乱れまで重なってきます。そのため紫外線で傷んだ肌は元に戻しにくいと思われがちです。ですが肌の中で起きている反応を一つずつ見ていくと、実はかなりの部分を巻き戻せる余地があります。何が壊れていて、何でそれを取り戻せるのか、その仕組みを順番に見ていきましょう。
光老化は自然な老化と何が違う?
自然老化は、時間が経つにつれて細胞分裂が少しずつ遅くなり、コラーゲンの生成量も徐々に減っていく過程です。進み方はゆっくりですが、顔全体に均一に現れます。一方で光老化は、日差しをよく浴びる部位、つまり額や頬骨、鼻まわりに集中して現れる点が違います。
紫外線が肌の深い層まで届くと、細胞の中に活性酸素(反応性の高い不安定な酸素の粒子)が作られます。この活性酸素はコラーゲン線維や細胞のDNAに直接ダメージを与えます。そのため同じ年齢でも、日焼け止めを続けてきた肌とそうでない肌では見た目の差が大きく開きます。光老化の正体は、この活性酸素が引き起こす連鎖反応だと言えます。
紫外線はどうコラーゲンを壊す?
紫外線を浴びた肌の細胞の中では、AP-1という転写因子(遺伝子のスイッチを入れたり切ったりするタンパク質)が活性化します。AP-1がオンになると、MMP(matrix metalloproteinase、コラーゲンを細かく切断する酵素)を作れという指令が細胞のあちこちに広がります。
MMPが増えると、すでにあるコラーゲン線維が次々と切られていきます。同時にAP-1は新しいコラーゲンを作れという信号(TGF-β経路)を抑えてしまうため、作られる量より壊れる量のほうが多くなってしまいます。この状態が何年も繰り返されると、真皮(肌の中でコラーゲンが存在する層)は少しずつ薄くなり、弾力線維はきれいな並びを失って絡まった糸くずのように固まっていきます。こうして弾力線維の塊が増える現象は、光老化を示す代表的な所見の一つとされています。
色素沈着がムラになる理由
紫外線はコラーゲンだけでなく、色を作る細胞にも信号を送ります。メラノサイトは紫外線から肌を守ろうとしてメラニン色素をたくさん作りますが、この反応自体は肌を保護するための正常な防御作用です。
問題は、この反応が何十年も繰り返されるうちに、顔の部位ごとにメラノサイトの反応の強さがばらついてくることです。チロシナーゼ(メラニンを作る最初の段階を担う酵素)の働きが部位によってムラになり、紫外線をよく浴びる頬骨や額のあたりに色素が偏って蓄積していきます。これがシミや老人性色素斑のように輪郭のはっきりした色素沈着として現れる理由です。つまり色素沈着は、メラニンが単純に増えた結果というより、増え方が均一でないために生まれるムラに近いものなのです。
レチノイドは光老化にどう作用する?
レチノイド(ビタミンA誘導体の総称)は、光老化を巻き戻す代表的な成分です。tretinoinは先ほど説明したAP-1の働きを抑え、MMPが過剰に作られるのを防ぎます。同時にプロコラーゲン(コラーゲンになる前段階のタンパク質)の遺伝子をより活発に読み取らせる方向に働きかけ、線維芽細胞が新しいコラーゲンを作るよう促します。
つまり壊す信号を減らしながら作る信号を増やす、両方に同時に働きかける成分です。retinolはtretinoinとは別の成分で、皮膚の中で酵素による変換を2段階経てはじめてtretinoinと同じ形になります。そのぶん作用は穏やかで時間もかかりますが、向かう方向は同じです。実際に光老化した肌にtretinoinを数か月塗布した研究では、新しく作られたコラーゲンの量が増えた一方、塗らなかった肌ではむしろコラーゲンが減っていたという結果が報告されています。

ビタミンCとナイアシンアミドの役割
ビタミンCは、コラーゲンの鎖を安定して撚り合わせる酵素(プロリル水酸化酵素)が働くために欠かせない補酵素です。この酵素がなければコラーゲンの繊維はうまく撚られず、丈夫な線維として完成しません。つまりビタミンCはコラーゲンを直接作るわけではありませんが、コラーゲンが正しい形に仕上がるのを助ける役割を担っています。
同時にビタミンCは、紫外線が作った活性酸素を中和する抗酸化作用も持っています。塗布タイプで使うと、光老化が主に起こる真皮の上層まで比較的高い濃度で届けられる点も利点です。
ナイアシンアミド(ビタミンB3誘導体)は少し違う仕組みで働きます。メラノサイトで作られた色素の粒が角質細胞へ受け渡される過程を遅らせることで、表面まで蓄積する色素の量そのものを減らします。それに加えて、肌のバリア機能を強め、炎症反応を鎮める効果も報告されています。

効果はいつから現れ、どれくらい続く?
変化が現れるタイミングは層によって異なります。肌表面のきめが整い、ざらつきが減る変化は、だいたい4週間前後で実感し始める人が多いです。角質が整い、水分バランスが整うまでの時間なので、比較的早く現れます。
一方で、真皮の中に新しいコラーゲンが実際に定着するまでにはもっと時間がかかります。新しいコラーゲンが作られ、配置され、しっかり編み込まれるまでいくつもの段階を経るため、目に見える変化までは3か月から6か月ほど必要だと報告されています。長期使用を追跡した研究では、10か月から12か月継続して使ったときにコラーゲンがはっきりと増えた結果も確認されています。
ただし、この変化はケアを続けてこそ維持されます。使用をやめると紫外線によるダメージ反応が再び始まり、新しく作られたコラーゲンも徐々に減っていきます。効果が続く期間には個人差がありますが、継続してケアした場合は6か月から1年ほど改善した状態が続くとされています。もともとのダメージの程度や日焼け止めの習慣によって、その幅は大きく変わってきます。
光老化のケアで守りたい4つのこと
コラーゲンを作る信号をどれだけオンにしても、ダメージを作る信号が入り続ければその効果は相殺されてしまいます。そのためケアの順番にはいくつかの原則が必要です。
- 日焼け止めは毎日使います。 塗り忘れるとAP-1とMMPが再び活性化し、レチノイドやビタミンCが作ったコラーゲンがそのぶんまた分解されてしまうためです。
- レチノイドは低濃度から少しずつ濃度を上げていきます。 最初から高濃度を使うと角質細胞のターンオーバーが急に早まって刺激や赤みが強く出て、結局続けられなくなってしまうためです。
- 保湿は必ず一緒に行います。 バリア機能が弱った状態で成分を塗り続けると刺激だけが蓄積し、成分がきちんと働く余裕が生まれないためです。
- 継続できるかどうかが結果を分けます。 コラーゲンが目に見えて蓄積するまでには数か月かかるため、途中でやめるとその時点で反応が止まり、また元のペースに戻ってしまうためです。
この4つが揃って守られてはじめて、レチノイドとビタミンC、ナイアシンアミドが作る変化が積み重なる時間を確保できます。成分一つに頼るよりも、日焼け止めと有効成分、保湿を一緒に整えるほうが、ずっと安定して結果につながります。
References
Korean Dermatological Association, American Academy of Dermatology (AAD), and Ministry of Food and Drug Safety (MFDS).
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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