日焼け止めのSPFとPAの違い、どれくらい塗ればいい?
By Dr. Kim1 min read

夏になると日焼け止めを忘れずにと言われることが多いですが、紫外線が実際に肌に何をしているのかまでは知らないまま済ませてしまう人が少なくありません。「焼けるから塗る」くらいの認識で終わると、ケアが半分で止まってしまいます。
紫外線は大きく紫外線Aと紫外線Bに分かれ、この二つの光が肌にする仕事はまったく違います。一方は表面を焼き、もう一方は奥深くをゆっくり変えていきます。だからこそ夏の紫外線ケアは、日焼けを防ぐだけでなく、肌の内側の構造まで一緒に守ることが大切です。その仕組みを一つずつ見ていきながら、実際にどうケアすればいいのかまとめます。
UVAとUVBは肌にどう違う?
紫外線Bは波長が短いため、肌の表面である表皮に主に吸収されます。表皮細胞のDNAに直接ダメージを与え、その結果として肌が赤くほてる日焼け(サンバーン)が起こります。夏の海辺で一日で肌が真っ赤に焼けるのが、まさにこの反応です。
紫外線Aは波長がより長く、表皮を通り抜けて真皮まで届きます。真皮には肌を支える柱のような役割をするコラーゲンと弾力繊維があります。紫外線Aはこのコラーゲンを直接壊すのではなく、コラーゲンを分解する酵素であるMMP(matrix metalloproteinase)の働きを活発にし、コラーゲンをじわじわと減らしていきます。
つまり紫外線Bはその日のうちに結果が出る反応で、紫外線Aは目に見えにくいまま数ヶ月、数年かけて積み重なる変化です。真夏に数日遊びに出かけたからといってすぐにしわができるわけではありませんが、毎年同じように紫外線Aを浴び続けると、コラーゲンが少しずつ減って弾力が落ち、小じわが定着していきます。レンガ造りの柱が雨風に少しずつ削られていくのと似たペースの変化だと考えるとイメージしやすいはずです。
シミやくすみが濃くなる過程
紫外線を浴びると、肌はメラノサイト(肌の色を作る細胞)を刺激してメラニン色素をより多く作り出します。メラニンはもともと紫外線を吸収してその下の細胞を守ろうとする体の防御反応です。傘を差して雨を防ぐのと似た仕組みだと考えれば分かりやすいでしょう。
問題は、この防御反応が顔全体に均等に起こるわけではないという点です。もともとシミやくすみがあった部分、ニキビ跡が残っていた部分はメラノサイトがすでに敏感になっているため、同じ量の紫外線でもより多くの色素を作ってしまいます。そのため、夏を過ぎると既存のシミや色素沈着が濃くなるケースがよく見られます。
さらに紫外線には、すでにできているメラニンを酸化させて色をより濃くする働きもあります。りんごを切ってそのまま置いておくと空気に触れて茶色く変色する酸化反応と似た仕組みです。だからこそ、シミケアをしている人ほど夏の紫外線対策がより重要だとされています。
SPFの数字は何を示す?
SPFはSun Protection Factorの略で、紫外線Bをどれだけ防いでくれるかを示す数値です。日本ではSPF50までは数値をそのまま表示し、それを超えるとSPF50+と表示することになっています。
数値が大きいからといって必ずしも良いわけではありません。SPF値は紫外線Bによる日焼けを防ぐ程度を示すだけで、紫外線Aを防ぐ力とは別物です。そのため、SPF値だけが高い製品を使っていても、紫外線Aによるコラーゲンのダメージはそのまま進んでしまうことがあります。
また、SPF値は塗る量と厚みによって実際の効果が大きく変わります。薄く塗ると表示されている数値よりも実際の防御力がかなり落ちますが、これは紫外線を防ぐ成分の層自体が薄くなってしまうためです。そのためSPFの数字よりも、十分な量をきちんと塗る習慣のほうが重要だと言われています。
PAの等級は真皮側の指標
PAはProtection Grade of UVAの略で、紫外線Aをどれだけ防ぐかを示します。PA+からPA++++まで、+の数が多いほど紫外線Aを防ぐ効果が高いという意味です。
SPFが表皮の日焼けを防ぐ指標だとすれば、PAは真皮のコラーゲンを守る指標に近いといえます。そのため夏用の日焼け止めを選ぶときは、SPFとPAを両方確認するのがおすすめです。どちらか一方だけが高くてもう一方が低ければ、その分のダメージはそのまま進んでしまうからです。
夏場に屋外で過ごす時間が多いなら、SPF50以上、PA+++以上の製品がよく勧められます。室内中心の生活であっても、窓を通して紫外線Aはそのまま入ってくるため、室内でも紫外線Aを防ぐ日焼け止めを使うことが役立つとされています。
日焼け止めはどれくらい塗り、塗り直す?
日焼け止めは成分によって大きく二つの方式で働きます。酸化亜鉛や二酸化チタンのような成分は肌の上で紫外線を反射、散乱させて防ぎ、アボベンゾンのような成分は紫外線を吸収して熱エネルギーに変えて放出します。どちらの方式も、結局は紫外線が肌の奥まで入り込むのを防ぐという目的は同じです。
塗る量が足りないと、このどちらの方式もきちんと役目を果たせません。一般的に指二本分ほどの量を顔全体に塗るのが臨床で推奨される基準です。これより薄く塗ると成分の層に隙間ができ、その隙間から紫外線がそのまま通り抜けてしまいます。
塗り直しも大切なポイントです。時間が経つと汗や皮脂、摩擦によって防御膜が少しずつはがれていくため、屋外では2時間おきに塗り直すことが勧められます。海やプールに入る場合は、耐水性の製品であっても濡れて乾く過程が繰り返されると防御力が落ちるため、こちらも2時間おきに塗り直すのが安心です。

抗酸化成分を一緒に使うとよい?
紫外線を浴びると、肌の中では活性酸素という不安定な分子が作られます。活性酸素は周りの細胞膜やコラーゲンを攻撃する性質があり、紫外線そのものによるダメージに加えてさらなる損傷を引き起こします。錆びた鉄が時間とともにより早く腐食していくのと似た連鎖反応だと考えるといいでしょう。
ビタミンCやビタミンEのような抗酸化成分は、この活性酸素を捕まえて中和する役割を果たします。そのため日焼け止めだけを使うよりも抗酸化成分を一緒に取り入れると、紫外線によるダメージをもう一段階減らせると言われています。抗酸化成分は紫外線そのものを防ぐわけではありませんが、すでに入り込んでしまった紫外線が残していく後始末を手伝ってくれる存在だと理解すればいいでしょう。
niacinamideも夏によく使われる成分です。niacinamideは肌のバリア機能(肌表面を包む保護膜)を強く保つのに役立ち、紫外線で刺激を受けた肌の赤みや炎症反応を落ち着かせるのにも使われます。バリア機能がしっかりしていれば外部刺激が入り込みにくくなるため、日焼け止めと一緒に使うと互いに助け合う組み合わせだといえます。
日焼け止め以外で気をつけたい4つのこと
紫外線対策は日焼け止めひとつだけでは完成しません。次のようなポイントも一緒に押さえてこそ、実際の効果につながります。
- 紫外線量が多い時間帯を避ける: 午前10時から午後2時の間は、一日のうちで紫外線が最も強い時間帯です。この時間帯は日陰や帽子、日傘で物理的に遮ることが、日焼け止めと合わせた二重の防御になります。
- 帽子とサングラスの活用: つばの広い帽子は顔に当たる直射日光の量そのものを減らしてくれます。日焼け止めが化学的、物理的に紫外線を防ぐ方法だとすれば、帽子はそもそも届く量を減らす方法なので、互いに重ならず補い合います。
- 肌を落ち着かせるケアの併用: 紫外線に長く当たった日は肌が敏感になっている状態です。このタイミングで刺激の強い新しい製品を試すよりも、保湿と鎮静に集中したケアで肌が回復する時間を与えることが勧められます。
- 日焼け止めの使用期限の確認: 日焼け止めに含まれる成分は時間が経つと徐々に劣化していきます。成分が劣化すると反射や吸収の機能が落ちてしまうため、前の年に使い残した製品をそのまま使い続けるより、使用期限を確認して新しい製品に切り替えるほうが安心です。
この四つはそれぞれ別々に見てもいいものですが、実際には互いに重なり合って働きます。時間帯を避けて帽子をかぶることは紫外線が肌に当たる量そのものを減らすことで、日焼け止めと抗酸化ケアはそれでも当たってしまった紫外線が残すダメージを減らすことです。この二つの層を両方とも押さえてこそ、夏を越えても肌の中のコラーゲンや色素の状態が大きく崩れずに済みます。
夏の紫外線ケアは一日二日で終わる話ではなく、毎年積み重なっていく結果なので、日々少しずつ気をつける習慣が結局は数年後の肌の状態を分ける差になります。派手な方法よりも、ここでまとめた基本を夏の間ずっと続けるほうが効果的だとされています。

References
Korean Dermatological Association, American Academy of Dermatology (AAD), and Ministry of Food and Drug Safety (MFDS).
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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