凹みニキビ跡に効く?サブシジョンで皮下の線維束を断ち切るべき理由
By Dr. Lee1 min read

ニキビ跡の中でも、光が当たると影ができてうねるように見えるのがローリング瘢痕です。レーザーを何度受けてもあまり改善しないと感じている方が多いのには、理由があります。ローリング瘢痕は表面の問題ではなく、皮膚の内側で瘢痕を下に引っ張っている線維束が原因です。表面を整えるだけでは解決しません。
サブシジョン(subcision)は、この内部の癒着を断ち切る施術です。名前の通り、皮膚の下(sub)を切断(section)するという意味を持っています。針またはカニューレを皮下に挿入し、瘢痕を引き下げていた線維束を切ることで、沈み込んでいた皮膚が上に戻ってきます。表面を削るレーザーとはアプローチがまったく異なります。原理、適応する瘢痕の種類、エビデンスに基づく効果、他の施術との併用の意義、ダウンタイム、そして限界について、順を追って確認していきます。

サブシジョンとはどんな施術なのか?
サブシジョンは、皮膚の表面ではなくその下を操作する施術です。ローリング瘢痕は真皮の下で線維組織が瘢痕底部と深層を結び付け、下に引っ張ることで皮膚が沈んで見えます。サブシジョンはこの引っ張っている線維束を断ち切ることを目的としています。
方法はこうです。細い針または先端が丸いカニューレを瘢痕の下に入れ、左右に動かして瘢痕を引き留めていた線維束を切離します。癒着が解放されると、沈んでいた皮膚が上に戻り、できた空間に新しいコラーゲンが充填されることで瘢痕が平滑になります。表面を焼いたり削ったりせず、内部の原因に直接アプローチする方法です。
だからサブシジョンは、レーザーや皮膚剥削とは性格が異なります。表面施術が瘢痕の縁や質感を整えるとすれば、サブシジョンは瘢痕を下に引っ張る根本原因を断ちます。そのため、表面施術では効果が出なかったローリング瘢痕に対して特に意義があります。ただし、すべての瘢痕に向くわけではないので、どの種類の瘢痕かを確認することが先決です。同じニキビ跡でも形状によって適切な治療法が異なるため、自分の瘢痕にサブシジョンが合うかどうかを見極めることが出発点になります。

どのニキビ跡に向いて、向かないのか?
ニキビ跡は形状によって大きく3種類に分かれます。狭く深く掘られたアイスピック型、壁がはっきりした角張ったボックスカー型、広くうねるローリング型です。サブシジョンが最も合うのはローリング型です。下から引っ張る癒着が原因の瘢痕なので、その帯を切るサブシジョンと原理が一致します。
逆に、狭く深いアイスピック型はサブシジョンだけでは不十分です。この種の瘢痕には底部をピンポイントで処理するTCAクロスの方が適しています。角張ったボックスカー型は表面をリモデリングするフラクショナルレーザーが強みを発揮します。ある研究では、非剥削型フラクショナルレーザーがボックスカー型を約59%改善した一方で、アイスピック型は約19%にとどまりました。同じレーザーでも瘢痕の形状によって結果が大きく変わるということです。
実際のところ、多くの方は一種類だけでなく複数の形状が混在しています。そのため臨床では、ローリングはサブシジョン、アイスピックはTCAクロス、ボックスカーはレーザーというように部位ごとに計画を立てます。自分の瘢痕がどの形状の組み合わせかを正確に把握することが、治療の出発点です。「一つの施術ですべてを解決」という言葉より、形状に応じてツールを使い分ける施設の方が信頼できます。

本当に効果はあるのか?
数字で確認できたエビデンスがあります。60人を3グループに分けた無作為化比較試験では、サブシジョンのみのグループで瘢痕が平均約44%減少しました。ヒアルロン酸フィラーを追加したグループでは約62%、フラクショナルCO2レーザーを加えたグループでは約69%まで改善し、併用が単独を明らかに上回りました。
改善の度合いも異なりました。75%以上の大幅な改善を達成した割合は、サブシジョン単独では20%でしたが、フィラー追加で50%、レーザー追加で70%に上昇しました。サブシジョン単独でも意味のある改善は得られますが、確かな変化を求めるなら他の施術との組み合わせを計画に組み込む方が賢明です。
ただし、この数値がそのまま自分の結果になるわけではありません。瘢痕の深さや数、肌の状態、術者の技術によって結果には個人差があります。また研究ごとに瘢痕の評価方法が異なるため、数字を単純に比較するのは難しい側面もあります。それでも方向性は明確です。サブシジョンはエビデンスのある施術であり、併用することでその効果はさらに高まります。特に大幅改善を達成した割合が併用で大きく上がる点は、治療計画を考える上で注目に値します。

なぜ単独より併用の方がいいのか?
サブシジョン単独で物足りなさが残る理由は、断ち切った部位が再び癒着する可能性があるからです。線維束を切ると、その下に空間ができます。この空間がうまく埋まらないと、時間の経過とともに再び癒着が生じ、瘢痕が元の状態に戻ってしまうことがあります。そのため、断ち切った空間を何で充填し、どうコラーゲン産生を促すかが結果を左右します。
併用はこの空間の問題を解決します。ヒアルロン酸フィラーを同時に注入すると、切離した空間を即座に支えて再癒着を防ぎ、コラーゲンが充填される時間を確保できます。フラクショナルレーザーや高周波マイクロニードルを加えると表面の質感も整えられ、内側はサブシジョンが持ち上げ、表面はレーザーが整えるという役割分担が生まれます。
サブシジョンは単独施術というより、瘢痕治療計画の一軸として捉える方が正確です。一般的には、まずローリング瘢痕の癒着を断ち切って土台を作り、残った表面の瘢痕をレーザーや高周波マイクロニードルで仕上げるという順序で進めます。一度で完結する施術ではなく、複数の施術を段階的に重ねていくプロセスです。サブシジョン1回分の費用より、全体の治療計画をどう組み立てるかについて相談する方が後悔が少なくなります。

痛みとダウンタイム、副作用はどうなのか?
サブシジョンは皮下組織を切離する施術なので、ある程度の痛みと内出血はつきものです。施術前に局所麻酔を行えば、処置中の痛みは許容できる範囲だとされています。施術自体は部位によってさほど長くはありませんが、終わった後の数日間はケアが必要です。
最も多いのは内出血と腫れです。皮下組織を切離する際に小さな血管が損傷されることがあるため、施術部位に内出血や腫れが生じる場合があり、通常5日から10日ほどで落ち着きます。先端が丸いカニューレを使うと鋭い針より血管損傷が少ないため、内出血が少ない傾向があります。大切な予定がある場合は、余裕を持って日程を組むことをお勧めします。
まれに起こりうる副作用も知っておくと安心です。切離した部位に硬いしこりができたり、切離の深さが適切でないと表面が凸凹になることがあります。色素沈着しやすい肌タイプでは、併用したレーザーによる色素沈着が起きることがあるため、施術前にスキンケアで肌を整え、施術後は徹底した日焼け止め対策が重要です。どの深さでどれだけ切離するかは術者の判断に委ねられるため、瘢痕治療の経験が豊富な施設を選ぶことが副作用を抑える近道です。

どんな人に向いているのか?
サブシジョンは、光が当たると影ができる広いローリング瘢痕、とくにレーザーや皮膚剥削で効果が出なかった場合に適しています。表面ではなく内部からの癒着が原因の瘢痕であれば、その原因を直接断ち切るサブシジョンが、他の施術では果たせない役割を担います。逆に、狭く深いアイスピック型や角張ったボックスカー型が主な悩みであれば、TCAクロスやレーザーの方が適しており、自分の瘢痕の形状を先に確認することが重要です。
期待値は現実的に設定することが大切です。サブシジョンは瘢痕を完全になくす施術ではなく、目に見えて平滑にする施術です。一度で終わるというより、複数回に分けて受け、フィラーやレーザーを組み合わせて計画することで確かな変化が得られます。断ち切った部位が再癒着しないようにコラーゲンが充填される時間も必要で、結果は数か月かけて徐々に現れます。
サブシジョンは短期間での劇的な改善を求めるものではなく、継続的な計画に基づいてアプローチすることで満足のいく結果につながります。自分の瘢痕がどんな形状の組み合わせかを診察で正確に把握し、ローリングはサブシジョンで土台を整えてから残りの瘢痕を別の施術で仕上げる順序を立てましょう。瘢痕治療は本来、複数のツールを組み合わせる仕事であり、サブシジョンはその中で内部を担う重要な一軸です。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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