トーニングでは消えなかった老人性色素斑、レーザーなら一体何回できれいに消えるのか?
By Dr. Kim1 min read

鏡を見ていて頬骨やおでこに濃い茶色の点を見つけると、多くの人はまず肝斑だと思い込み、美白クリームやレーザートーニングから試します。ところが3か月から6か月根気よく通っても、その点だけはびくともしないことがあります。こうした点は肝斑ではなく、老人性色素斑、医学用語では日光黒子(lentigo)である可能性が高いです。
老人性色素斑と肝斑はどちらも茶色く見えますが、色素の存在の仕方がまったく違います。そのため肝斑向けの弱いトーニングでは思うように消えず、逆に強めのレーザーを使うと意外にも1〜2回で見違えるほど薄くなることがよくあります。なぜこうした違いが生まれるのか、レーザーはどんな仕組みで色素を分解するのか、そして施術後に気をつけるべき点は何か、順を追って見ていきましょう。
老人性色素斑とは、いったいどんな色素なのか?
老人性色素斑は、紫外線を長年浴び続けた肌にできる茶色い斑点で、医学的には光線黒子または日光黒子と呼ばれます。肝斑と違って境界が比較的くっきりしており、大きさも爪ほど、もしくはそれより小さく、1か所に限局して現れることが多いのが特徴です。
色素のできる仕組みも異なります。肝斑は表皮全体にメラニンが少しずつ均一に増えて、広くぼんやりとした染みのように見えます。一方、老人性色素斑は1か所でメラニンを作る細胞(メラノサイト)が局所的に増殖し、色素が狭い範囲に濃く集まります。ハンコを1か所にぎゅっと押したものと、絵の具を筆で広く塗り広げたものの違いだとイメージすると分かりやすいです。
特定の場所にこうして集中して現れる理由は、長年繰り返し紫外線を浴びた細胞ほどメラノサイトが増えやすいからです。そのため服で隠れやすい腕や背中よりも、顔や手の甲、肩など何十年も日差しを直接受けてきた部位に先に現れます。多くは40代以降からぽつぽつと見え始め、年齢を重ねるにつれて少しずつ数が増えていく傾向があります。
トーニングではなぜ消えにくいのか?
レーザートーニングは、低いエネルギーを顔全体に1週間から2週間の間隔で5回から10回ほど浅く照射し、表皮に均一に広がった薄い色素を少しずつ減らしていく方法です。肝斑のように色素の濃度が低く、境界がぼんやりしている場合に相性のよい方法です。
問題は、老人性色素斑の色素がはるかに濃く、1か所にぎっしり凝縮している点です。低いエネルギーを5回から10回当てても、表面をわずかに刺激するだけで、凝縮した色素の塊そのものを砕くには力不足になりがちです。ジョウロで広い庭全体に水をまくのと、1点にホースで水を強く当てるのとの違いに似ています。庭全体を潤すにはジョウロで十分ですが、こびりついた頑固な染みを洗い流すには、もっと強い水流が必要です。そのため老人性色素斑にトーニングだけを繰り返しても、色がほんの少しずつ薄くなるだけで、完全には取り切れないケースがよくあります。
しかもトーニングは、もともと再発しやすい肝斑のような色素をやさしくコントロールするために設計された施術なので、出力をむやみに上げるのも難しいです。エネルギーを無理に強くすると表皮全体が刺激を受け、かえって新たなまだら状の色素沈着を招く恐れがあります。そのため老人性色素斑のように境界がはっきりした色素には、弱い出力で5回から10回繰り返すより、最初からその色素だけを正確に狙う別のタイプのレーザーが必要になります。
レーザーはどんな仕組みで色素を砕くのか?
老人性色素斑の治療には、Qスイッチレーザーやピコ秒レーザーのように、ごく短い瞬間に強いエネルギーを一気に放出する機器が使われます。このレーザーはナノ秒からピコ秒、つまりまばたきよりもはるかに短い瞬間に、エネルギーを色素に集中させます。
メラニン顆粒がこの短く強いエネルギーを吸収すると、一瞬で膨張し、微細な衝撃波を生み出します。この衝撃波が色素の塊を細かく砕くのですが、これを光音響効果と呼びます。熱湯を氷の塊に一気にかけた瞬間にパキッと割れるように、瞬間的な衝撃で固まっていた色素が砕け散るイメージです。こうして細かく砕かれたメラニンのかけらは、その後1週間から4週間かけて体内の免疫細胞が処理していき、色が少しずつ薄くなっていきます。
このとき正常な皮膚があまりダメージを受けない理由もあります。レーザー光はどんな色でも焼くわけではなく、メラニンのようにその波長を特によく吸収する色素だけを選んで狙うように設計されています。そのためメラニンのない周囲の皮膚は同じ光を受けてもほとんど反応せず、色素が集中した部分だけが選択的に熱と衝撃を受けます。この仕組みを選択的光熱分解と呼びますが、簡単に言えば特定の色だけを見分けて、そこにだけ力を注ぐレーザーだと考えればよいでしょう。
なぜ1〜2回で効果が出やすいのか?
老人性色素斑が強いレーザーに素早く反応する理由は、色素が狭い1点に集中しているからです。標的がはっきりしていて狭いぶん、その部分にだけ強いエネルギーを正確に当てることができ、周囲の正常な皮膚への影響を相対的に抑えられます。
反対に肝斑は境界がぼんやりしていて広範囲に広がっているため、強いエネルギーを使うと病変周辺の健康な皮膚まで刺激を受け、かえって色素沈着などの副作用リスクが高まります。そのため肝斑には弱いエネルギーを何度かに分けて使う一方、境界のはっきりした老人性色素斑には最初から強い設定を局所的に使うことができます。こうした理由から、老人性色素斑は強めのレーザー1〜2回、多くても2〜3回程度で表面の色素がかなり薄くなったり消えたりすることが多いと報告されています。
ただし色素が存在する深さによって、必要な回数は多少変わります。表皮の浅い層にとどまっている老人性色素斑は1回の施術でも目に見えて薄くなりますが、長年かけて色素がより深い層まで広がっている場合や、サイズが大きい場合は、2〜3回に分けて取り除くほうが安全です。1回で無理に深くまで強く照射するより、表面から段階的に薄くしていくほうが、傷跡や色素沈着といった副作用を減らすのに有利だからです。
似た見た目の他の斑点とはどう見分けるのか?
茶色い斑点ができたからといって、すぐに老人性色素斑だと決めつける前に、似た見た目の別の病変ではないか一度確認しておく必要があります。代表的に紛らわしいのが脂漏性角化症です。老人性色素斑は表面が滑らかで、肌とほぼ同じ高さなのに対し、脂漏性角化症はろうを貼り付けたようにこんもりと盛り上がっていて、触るとざらざらした感触があります。両者は治療方法も異なるため、見分けが施術計画にも影響します。
- 表面に触れるほどの盛り上がりがあるなら、脂漏性角化症の可能性もあわせて確認する必要があります。この場合、色素を砕くレーザーよりも表面を削るタイプの施術のほうが合うことがあります。
- 大きさや形が1か月から3か月の間に急に変化したり、色が何色も混ざっていたりする場合は、皮膚科で確認してもらうのが安全です。まれに他の色素性病変との鑑別が必要なケースがあるためです。
見た目だけでは判断しづらい場合は、拡大鏡による検査で正確な診断を先に受けてから施術に進む順番が安全です。
施術後のかさぶたはなぜできて、どうケアすればよいのか?
強いエネルギーで色素を砕く過程では、その上を覆う表皮細胞も一緒に刺激を受けます。そのため施術直後は、その部分が薄い茶色や黒色のかさぶたで覆われることがほとんどです。これは傷が自分自身を守ろうとする自然な反応で、通常5日から7日ほどで自然にはがれ落ちます。
この時期にどうケアするかが、最終的な仕上がりを大きく左右します。
- かさぶたを手で無理にはがさないこと。無理にはがすと、その下でまだ治りきっていない新しい皮膚が刺激を受け、色素沈着につながるリスクが高まります。
- 軟膏や保湿剤で潤いを保つこと。傷は乾いた状態より、ほどよく湿った環境のほうが新しい細胞が滑らかに育ちます。
- 日焼け止めをいつもより念入りに塗ること。かさぶたの下で新しく育つ皮膚はまだ薄くデリケートで、紫外線にはるかに敏感に反応します。
- かさぶたがかゆくても掻かず、冷やして落ち着かせること。掻いてしまうとその部分に再び傷ができ、回復が遅れます。
このようにかさぶたを湿った状態に保ちながらケアする方法を、湿潤療法と呼びます。傷を乾いたままにしておくと、かさぶたが硬くなり割れやすくなりますが、ほどよく湿らせておけば、その下の新しい皮膚がより薄く滑らかに定着していくためです。
色素沈着はなぜ起こり、どう予防すればよいのか?
かさぶたが取れた直後の皮膚は、生まれたばかりのようにデリケートな状態で、普段より紫外線や刺激にはるかに敏感です。この時期に日差しを十分に遮らないと、メラノサイトが再び活発に働き出し、もとの老人性色素斑よりもかえって濃い茶色の跡が残ることがあります。これを炎症後色素沈着と呼びます。
この副作用は、もともとの肌色が濃いめの人ほど、施術直後の紫外線対策を怠った場合、かさぶたを無理にはがしてしまった場合に起こりやすいとされています。肌色が濃いほどメラノサイトがもともと敏感に反応しやすく、わずかな刺激でも色素を作り出しやすいためです。
そのため施術後は少なくとも4週間から8週間、日焼け止めをこまめに塗り直し、帽子や日傘で物理的にも遮ることが安全です。日焼け止めだけでは紫外線を完全に防ぎきれないため、屋外で過ごす時間が多い時期は、つばの広い帽子や日傘を併用するほうがずっと確実です。色素沈着が起きても、多くは時間とともに徐々に薄れていくので、焦って再びレーザーを受けるより、十分に待ちながら刺激を最小限に抑えるほうが回復には有利です。
再発を防ぐために気をつけるべきことは何か?
レーザーはすでにできてしまった色素の塊を砕く治療であって、これから新しい老人性色素斑ができないようにする予防接種ではありません。施術で消した部分でも、紫外線を浴び続ければ、時間が経つうちに同じ場所や別の部位に新しい色素斑が現れることがあります。
そのため施術が終わったあとも紫外線対策を日々の習慣として続けることが、再発を減らす最も確実な方法です。日焼け止めを毎日塗り、日差しの強い時間帯は屋外活動を避けたり、帽子やサングラスで遮ったりするだけでも、新しい色素が蓄積する速度を遅らせることができます。結局のところ、老人性色素斑のケアは1回のレーザーで完結する一過性の施術ではなく、施術後の紫外線対策まで含めた長い流れとして捉えるのが正解です。
References
Korean Dermatological Association, Ministry of Food and Drug Safety (MFDS), American Academy of Dermatology (AAD), and U.S. Food and Drug Administration (FDA).
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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