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頑固な肝斑に複数のレーザーを重ねるスタッキング、原理と注意点、回数の目安

By Dr. Kim1 min read

肝斑は数ある色素疾患の中でも、とりわけしつこいことで知られています。レーザートーニングを3ヶ月から6ヶ月ほど受けても、薄くなったと思ったらまた濃くなる、を繰り返す方が少なくありません。そのため最近では、1つの機器だけに頼らず、性質の異なる複数の治療を順番に重ねるスタッキング(stacking、複数の治療を積み重ねて進める方法)がよく話題になります。

なぜ肝斑は1つの方法だけではなかなか改善しないのでしょうか。そして複数の治療を重ねると、本当に違う結果が出るのでしょうか。肝斑が再発しやすい仕組みから、スタッキングの理屈、注意すべき点まで順番に見ていきます。

肝斑はなぜ特に再発しやすいのか?

肌の中には、メラノサイト(melanocyte、色素を作る細胞)というごく小さな工場があちこちに存在します。この工場は紫外線や熱を受けると、より活発に色素を作り出します。肝斑がある肌はこの工場がもともと敏感にセットされているため、ごくわずかな刺激でも簡単に再稼働してしまいます。

問題はこれだけではありません。肝斑の病変では、皮膚の下にある薄い膜、基底膜(basement membrane、表皮と真皮を分ける境界の膜)がところどころ弱くなっているケースが多く見られます。この膜に隙間ができると、表皮にあったメラニン色素がその下の真皮へと流れ落ちてしまいます。真皮に落ちた色素は表面から自然に剥がれ落ちることがないため、そのまま居座ってしまい、治療をしてもなかなか薄くならず、再発も起こりやすくなります。絵の具が紙の表面についただけなら拭き取れますが、紙の奥まで染み込んでしまうと、どれだけこすってもなかなか消えないのと似た理屈です。だからこそ肝斑は他の色素より一段としつこく、時間がかかると感じられるのです。

トーニングレーザーだけでは、なぜ限界にぶつかるのか?

レーザートーニング(low-fluence Q-switched laser、低出力を1〜2週間隔で5〜10回以上に分けて照射するレーザー方式)は、表皮側のメラニンを壊すのに効果的です。熱をごく弱く何回にも分けて与えるため、副作用が比較的少ないのも特徴です。

ただ、先ほど触れたように肝斑の色素の一部はすでに真皮に落ちていて、その周辺には血管の問題まで重なっています。トーニングは表皮の色素処理には強い一方、真皮の色素や血管にはなかなか手が届きません。そのため、トーニングだけを長く繰り返しても、ある時点から一向に薄くならない停滞期に入ることがよくあります。最初の5〜6回は目に見えて薄くなったのに、その後はいくら続けても変わらないという経験をした方は多いはずです。真皮に居座った色素と血管の問題は、トーニングの手が届かない場所にそのまま残っているためです。

複数の方式を重ねるスタッキング、どんな理屈があるのか?

肝斑は表皮の色素、真皮の色素、血管、そして敏感になったメラノサイトまで、複数の問題が同時に絡み合った状態です。1本の鍵で複数の錠前をすべて開けられないのと似ています。

スタッキングは、これらの問題をそれぞれ得意とする機器を順番に組み合わせる方法です。例えば低出力トーニングで表皮の色素を整え、血管を狙うレーザーで赤みと血管要因を一緒に抑え、そこへ美白成分を塗る薬や飲む薬を加える、といった具合です。それぞれの治療が異なるポイントを分担して攻める形になります。

同じ日にすべての機器を一度に使うのではなく、回ごとに比重を変えるケースも多く見られます。ある回は色素側に重きを置き、別の回は血管側に重きを置くというようにリズムを調整します。例えば色素が特に濃く見える時期は色素レーザーの比重を高め、顔が赤く見える時期は血管レーザーの比重を高める、といった具合です。こうして分けて進めることで、肌が一度に受ける刺激が減り、回復のための時間も確保できます。

血管要因まで一緒にケアするのはなぜか?

肝斑の病変をよく観察すると、正常な肌よりも小さな血管がかなり多く増えているケースが目立ちます。この血管は単に顔色を赤く見せるだけではありません。血管を伝って届くさまざまな信号物質が、近くのメラノサイトに対して色素をもっと作れという刺激を送り続けていることが知られています。

いわば血管が、色素工場に原料と指示を届けるパイプの役割を果たしているわけです。そのため色素だけをなくしてこの血管をそのままにしておくと、時間が経ってから再び信号が届き、肝斑が再発しやすくなります。血管レーザー(pulsed dye laser、血液中のヘモグロビンに反応するレーザー)やIPL(intense pulsed light、複数の波長が混ざった光を照射する機器)をスタッキングに組み込むのは、まさにこのパイプを一緒に細くするためです。サウナで顔がほてったり、辛いものを食べた後に頬が熱くなったりすると肝斑が一瞬濃く見えることがありますが、これも血管が広がって信号のやり取りが増えた結果と説明されています。

薬剤治療はどんな役割を担うのか?

レーザーがすでにできてしまった色素を壊す側だとすれば、塗り薬や飲み薬はメラノサイトが色素を作る過程そのものを抑える側です。ハイドロキノン(hydroquinone、メラニンを作る酵素を抑える美白成分)は、色素工場の生産ライン自体をゆっくりにする役割を担います。

トラネキサム酸(tranexamic acid、血管と炎症の信号を抑えて色素の生成を抑制する成分)は、先ほど触れた血管側の信号を減らすのに役立ちます。内服または外用として一緒に使われることが多く見られます。レーザーが目に見える色素を片づけている間に、薬剤が裏側で新しい色素があまり作られないよう支える構造です。分かりやすく言えば、レーザーがすでに積み上がった在庫を片づける役割なら、薬剤は工場の生産スピードそのものを落とす役割を分担しているようなものです。

刺激を与えすぎるとかえって肝斑が悪化するのはなぜか?

ここで最も重要な部分に入ります。肝斑があるメラノサイトはもともと敏感なので、レーザーを強すぎたり頻繁すぎたりする形で照射すると、その熱自体が刺激になってしまいます。このとき肌は傷を負ったと認識し、炎症反応を起こします。

炎症はメラノサイトに対して色素をもっと作れという強い信号として働きます。そのため肝斑をなくそうと強く押し切った治療が、かえって新しい炎症後色素沈着(PIH、post-inflammatory hyperpigmentation、炎症の後に残る色素沈着)を生んでしまう逆効果につながることがあります。スタッキングで複数の機器を使うからといって、それぞれを強く照射するのではなく、むしろ個々の出力は落として役割を分担し、刺激の総量をコントロールする方向が安全とされるのはこのためです。例えば旅行先で少し日焼けした直後にレーザーを強く当てると、色素が薄くなるどころかかえって濃くなってしまうこともあります。そのため紫外線に強くさらされた直後は避け、肌が十分落ち着いた状態で次の回を予定するのが安全です。

スタッキングは何回、どれくらいの間隔で進めるのか?

  • 治療間隔: 通常4週間から6週間ほどの間隔を空けます。レーザーで刺激を受けた肌が落ち着き、新しい色素が再び安定するのにそれくらいの時間が必要なため、あまり頻繁に繰り返すと刺激が積み重なって逆効果になることがあります。
  • 総回数: 一般的に5回から10回以上を見込み、長期戦として取り組みます。色素が表皮と真皮の両方にまたがり、血管要因まで絡んでいるため、1、2回で終わらせるよりも、少しずつ何層も剥がしていくように進めるためです。
  • 維持管理: 肝斑が薄くなった後も、紫外線対策と低出力の維持治療を並行するケースが多く見られます。メラノサイトは一度敏感になると完全には元に戻らず、刺激が再び積み重なると再発しやすいためです。

夏のように紫外線が強い時期は色素が再び刺激を受けやすいため、この時期は回の間隔を少し余裕を持たせるか、維持治療の比重を高めるのが助けになります。反対に紫外線が弱い冬は、もう少し積極的に治療間隔を詰めるケースもあります。

スタッキング前に必ず確認したいこと

肝斑は人によって色素が表皮に多く集まっているか、真皮まで下がっているかが異なります。そのためスタッキングを始める前に、ウッド灯や肌の撮影などで色素がどの層にあるかを先に確認しておくと役立ちます。例えば色素が表皮だけに集中していればレーザーの比重を少し高めに設定できますが、真皮まで深く下がっている場合は薬剤の比重を増やし、レーザーは低出力で慎重に近づく、というように計画そのものが変わってきます。

また、スタッキングは複数の治療を順番に積み重ねる分、1人の医師が全体の計画を一貫して立て、経過を見ながら強度を調整することが大切です。治療の途中でかえって色素が濃くなったり赤みが増えたりした場合は、刺激が過剰だったサインかもしれないので、次の回の前に必ず状態を確認するのが安全です。

肝斑は完治というより管理という考え方に近いものです。そのためスタッキングで色素をかなり薄くした後も、紫外線対策と低出力の維持管理を地道に続けることが、再発を遅らせる最も現実的な方法として報告されています。

References

Korean Dermatological Association, Ministry of Food and Drug Safety (MFDS), American Academy of Dermatology (AAD), and U.S. Food and Drug Administration (FDA).

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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