ピコレーザーの種類別の違い、波長とハンドピースの比較
By Dr. Kim1 min read

ピコレーザーについて調べていると、ピコシュア、ピコウェイ、エンライトン、ピコプラスといった名前が次々と目に入ってきます。タトゥーも消えて、シミも薄くなって、毛穴まで良くなるという説明を見ると、その中でどの機器が一番良いのか気になってくるものです。
しかし結果を左右するのはブランド名ではなく、波長とハンドピースです。同じピコレーザーでも波長によって、タトゥーの色素やシミ、傷跡への働きかけ方はまったく変わってきます。これまでの研究も、ブランド同士を直接比較したものはほとんどなく、波長ごとにデータが積み重ねられてきました。そこで以下では、どの機器が一番良いかよりも、自分の悩みに合った波長とハンドピースをどう選べばよいかを中心にまとめました。

ピコレーザーはどんなレーザー?
ピコレーザーは名前の通り、ピコ秒単位で光を照射するレーザーの総称です。ピコ秒は1兆分の1秒で、人には感じ取れないほど短い瞬間です。その短い瞬間に強いエネルギーを一気に伝え、肌の中の色素やタトゥーインクを砕くのが基本原理です。
ピコシュア、ピコウェイ、エンライトン、ピコプラスは、いずれもこのピコ秒レーザーに分類されますが、それぞれ製造メーカーが異なります。ピコシュアはCynosure、ピコウェイはCandela、エンライトンはCutera、ピコプラスはLutronicという会社が製造しています。基本原理は同じですが、会社ごとに搭載する波長の構成とハンドピースの種類が少しずつ異なります。
主に扱う悩みはタトゥー除去、シミやそばかすのような色素、太田母斑のような先天性の色素、そして傷跡や毛穴です。1台の機器がこれらすべてを同じように得意とするわけではなく、波長とハンドピースによって得意な領域が変わります。そのため機器を選ぶ際は、名前よりもまずどの波長とハンドピースを備えているかを確認するほうが理にかなっています。クリニックを訪れる前に、自分の悩みが色素なのか、傷跡や毛穴なのかをあらかじめ整理しておくと、カウンセリングがぐっとスムーズになります。

ナノ秒レーザーとはどう違う?
ピコレーザー以前は、ナノ秒レーザーが色素治療の標準でした。ナノ秒はピコ秒よりも約1000倍長い時間をかけて光を照射する方式です。その間に熱が周囲の組織へ広がり、色素を砕くと同時に熱による刺激も残してしまいます。
ピコ秒レーザーは違います。熱が広がる隙もないほど短く強いエネルギーを瞬間的に与え、光音響という衝撃波で色素を粉のように細かく砕きます。熱よりも圧力で色素を壊す方式だと理解すればよいでしょう。熱による刺激が残りにくいため、理論上は施術後の赤みや色素沈着といった副作用がナノ秒より少ないと考えられています。
実際にタトゥー除去では、この違いが研究でも確認されています。ピコ秒レーザーで治療した場合の方が、ナノ秒レーザーよりもタトゥーインクを多く消せるという結果が出ています。ただし、すべての悩みでピコ秒がナノ秒より確実に優れていると言い切るのは早計です。シミのように色素が浅く広く広がっている場合は、両方式の差があまり大きくないという研究もあり、原理上の利点と実際の臨床効果は分けて考える必要があります。今もナノ秒レーザーを備えたクリニックは多いので、どちらの方式が導入されているかも合わせて確認しておくとよいでしょう。
4機種の波長とハンドピースの比較
4つの機器は波長の構成が少しずつ異なります。下の表にまとめました。
| 機器 | メーカー | 波長 | 特徴的なハンドピース |
|---|---|---|---|
| ピコシュア (PicoSure) | Cynosure | 755nm(Proは532/1064nmオプション) | Focusレンズ |
| ピコウェイ (PicoWay) | Candela | 532/730/785/1064nm | Resolve |
| エンライトン (enlighten) | Cutera | 532/670/1064nm | ピコ+ナノ デュアル |
| ピコプラス (PicoPlus) | Lutronic | 532/595/660/1064nm | MLAフラクショナル |
ピコシュアは755nmを基本とし、Proバージョンでは532nmと1064nmがオプションで加わります。ピコウェイは532から1064nmまで4つの波長を備え、ピコプラスはこれに595/660nmまで加えて最も多様な波長を揃えています。エンライトンはピコ秒とナノ秒、2つのパルス方式を1台で切り替えられるのが特徴です。
ハンドピースの名前も機器ごとに異なります。ピコシュアのFocus、ピコウェイのResolve、ピコプラスのMLAは、いずれもレーザーを細かい点状に分けて照射するフラクショナル方式で、色素除去とは別に傷跡や毛穴、肌のキメを整える際に使います。4機種とも1064nmと短い波長、フラクショナルハンドピースを揃えており、基本構成に大きな違いはありません。違うのは波長の組み合わせの幅と、細部の方式くらいです。

色素の種類別にどの波長を使う?
波長を選ぶ際の基準となるのは、色素がどんな色でどれくらいの深さにあるかです。1064nmは波長が長く肌の奥深くまで届くため、黒や青の色素、そしてシミのように真皮側にある色素に主に使われます。色黒の肌にも比較的安全に使える波長です。
755nmは緑色系のタトゥーインクや老人性色素斑のような表面の茶色い色素によく効きます。532nmは波長が最も短く、赤色のタトゥーインクやそばかすのような浅い色素を狙う際に使います。ただし波長が短いほど色黒の肌では色素沈着のリスクが高まるため、肌のトーンも合わせて考慮する必要があります。
傷跡や毛穴、肌のキメが悩みなら、色素を狙う波長よりもフラクショナルハンドピースの方に注目すべきです。Focus、Resolve、MLAのようなフラクショナルハンドピースは、色素ではなく肌の再生を刺激する方式なので、アプローチ自体が異なります。タトゥーの色が何色か、シミなのかそばかすなのか、傷跡が悩みなのかによって、見るべき波長とハンドピースはそれぞれ変わってくるわけです。色素が複数の色で混ざっているタトゥーなら1つの波長だけでは不十分なので、複数の波長を備えた機器が有利になることもあります。

研究で確認された効果
シミには1064nmが他の波長より優れているという研究が複数あります。ある試験では59人を24週間観察した結果、1064nmを使った場合にメラスマ指数が約35.9%減少し、755nmの25.5%や外用の美白剤の24%を上回りました。複数の研究をまとめた分析でも1064nmは明確な効果が確認された一方、755nmは外用製品より特に優れておらず、むしろ色素沈着のリスクだけが高いという結果が出ています。1182人を集めた大規模な比較分析でも、1064nmが最も良い成績を示しました。
老人性色素斑のような表面の茶色い色素には、反対に755nmの方が早く大きく改善したという研究があります。ただし肌の色がかなり濃い場合には、1064nmがほとんど効果を示さなかったという結果も同時に出ています。タトゥー除去では、ピコ秒レーザーがナノ秒レーザーより良い成績を示しました。ある研究ではインクが75%以上消えた割合が、ピコ秒は33%、ナノ秒は14%でした。太田母斑にも755nmで有意な改善があり、永続的な副作用はありませんでした。
ニキビ跡には、フラクショナルピコレーザーが従来のエルビウムヤグレーザーと同程度の改善効果を示しつつ、色素沈着は31人中1人と、エルビウムヤグの31人中8人よりもはるかに少なくなっています。ただし施術直後の細かい点状出血は、ピコレーザーの方で多く見られました。毛穴の改善効果は、従来の非剥離性フラクショナルレーザーと同程度であることが確認されています。

色素沈着のリスクはどう減らす?
ピコレーザー施術直後は赤みや軽い腫れがよく見られますが、たいてい数日以内に落ち着きます。最も注意すべき副作用は色素沈着です。532nmや755nmのような短い波長を色黒の肌に使うと、かえって黒ずむリスクが高まります。反対に1064nmは、シミや色黒の肌にも比較的安全な波長とされています。フラクショナルハンドピースは色素を直接狙わないため、色素沈着のリスクが相対的に低めです。
すべての施術に共通して最も安全な波長というものはありません。悩みが何かによって安全な選択も変わるため、施術前にテストスポットを行い、控えめな出力から始めるのが原則です。
機器を選ぶ際に最も重視すべきなのはブランド名ではありません。あるブランドが他のブランドより優れているかを直接比較した臨床研究は、まだありません。これまで確認されている根拠はすべて波長単位のもので、ピコシュア、ピコウェイ、エンライトン、ピコプラスの4機種はいずれも1064nmと短い波長、フラクショナルハンドピースを一通り備えています。ですから、自分のタトゥーが何色なのか、シミなのかそばかすなのか、傷跡が悩みなのかを先に整理し、その悩みに合った波長とハンドピースを備えた機器かどうかを確認することが、実質的な基準になります。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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