マウンジャロとウゴービの違いは?GLP-1ダイエット注射が食欲を抑える仕組みと、やめたときの体重変化
By Dr. Kim1 min read

先週だけで、同じ質問を5回受けました。マウンジャロ、ウゴービ。体重の話になれば必ずといっていいほど出てくる名前です。つい数年前まで肥満は「意志の問題」とみなされていましたが、この注射薬が登場してから認識は急速に変わりました。食欲を調節するホルモンに直接働きかける仕組みのため、臨床試験で報告された体重減少幅がかつてのどの薬よりも大きかったからです。「効果があった」という話はよく耳にしていても、体の中で何が起きているのか、2剤はどう違うのか、やめたらどうなるのか。そこは曖昧なまま来院される方がほとんどです。診察室でまず説明するのが、まさにその部分です。

この注射薬はどんな薬か
上のグラフはGLP-1受容体作動薬3剤の平均体重減少率を並べたものです。リラグルチド、セマグルチド、チルゼパチドの順に棒が伸び、作用するホルモン受容体が増えるほど減少幅も大きくなる傾向が一目でわかります。ただし棒それぞれが別々の試験から来ているため、同一条件で2剤を直接比べた記録ではない点だけ頭に置いておいてください。
2剤はいずれもGLP-1というホルモンの働きを模倣した注射薬です。GLP-1は食事をすると腸から分泌されるインクレチンホルモンで、インスリン分泌を促して血糖値を下げながら、同時に脳の食欲中枢に「もう十分」という満腹シグナルを送ります。食後に体が自動的に入れる「食べすぎ防止スイッチ」のようなものです。ウゴービの成分セマグルチドはまさにこの働きを再現した薬で、体内のGLP-1が分泌後わずか数分で分解されるのに対し、約1週間作用が続くよう構造を工夫してあるのが核心です。もともと2型糖尿病の治療薬として開発されましたが、体重減少効果が顕著だったため肥満症治療薬としても承認されました。
マウンジャロはここからさらに踏み込んでいます。成分のチルゼパチドはGLP-1だけでなく、GIPというもう一つのインクレチンホルモンにも同時に作用します。2つの受容体を同時に刺激するため「デュアルアゴニスト」と呼ばれます。満腹スイッチを1つでなく2つ押すイメージです。GIPが単独でどう働くかはまだ完全には解明されていませんが、2つのインクレチンを同時に刺激すると食欲抑制と代謝調節でより大きな変化が現れます。
一つ大事な誤解を整理しておきます。これらは脂肪を直接溶かしたり燃焼させたりする薬ではなく、食べる量と食欲そのものを変える薬です。作用するのは脂肪ではなく、脳と胃腸です。「注射すれば勝手に痩せる」と思って食事管理を怠ると効果は半減し、やめた後に体重が戻りやすくもなります。グラフで見た減少幅の差も、結局は薬ごとに食欲変化の大きさが異なるからです。

なぜ体重が減るのか
この薬が働きかけるのは食欲という一点ですが、根性で我慢するのとは本質的に異なります。脳の食欲中枢に直接作用して空腹感を抑え、少量でも早く満腹になるよう満腹感を高めます。普段なら一人前を平らげる方が、半分で箸を置けるようになる。意志で抑えるのではなく、そもそももっと食べたいという気持ちが薄れるのです。ダイエットで最も辛い「空腹との戦い」がずいぶん楽になります。
これに加え、胃内容排出遅延という作用があります。胃から腸へ食べ物が移動するペースが遅くなるため、食物が胃に長く留まり、満腹感が長続きします。食事と食事の間に間食を求める気持ちも減ります。1時間で空になっていた水槽の排水バルブを少し絞り、2〜3時間かけてゆっくり空にするようなイメージです。この作用のせいで、開始当初は胃もたれや吐き気を訴える方が多いのですが、1回の食事量を減らして油っこいものを避けると格段に楽になります。
よく聞かれるのが「運動しなくても痩せますか」という質問です。薬が摂取カロリーを減らしてくれるのは確かですが、体重が落ちるとき脂肪だけでなく筋肉量も一緒に減りやすいため、タンパク質の摂取と筋力トレーニングを並行することで、減らした体重の質が上がり、薬をやめた後のリバウンドの幅も小さくなります。
この薬を使っている間に患者さんが最初に実感するのは、体重計の数字ではなく食欲の変化です。「食べ物への執着が減った」「食べていてもすぐやめられる」という声を多くいただき、体重はその結果として徐々についてきます。逆に薬をやめて食欲が戻れば、この変化も消えます。上のグラフで継続群と中止群の棒がまったく逆方向に伸びているのが、まさにその場面です。食欲を抑えていた働きがなくなれば、減っていた体重もかなりの部分が戻ってきます。これがこの薬を短期で終わらせてはいけない理由でもあります。

臨床試験ではどれだけ減ったか
感覚だけでは判断しにくいので、実際の研究データが必要です。上のグラフで注目すべきは、棒が用量の順に階段状に高くなっている点で、用量を上げるほど平均減少幅も大きくなりました。ウゴービの根拠となった代表的な試験はSTEP 1試験です。肥満のある成人にセマグルチド2.4mgを週1回68週間投与したところ、平均体重が約14.9%減少しました。100kgの方なら15kg近く減った計算で、食事・運動管理のみの対照群が約2.4%の減少にとどまったことと比べると、明確な差があります。
この14.9%はあくまで平均値です。同じ薬を同じ用量で使っても、予想以上に減る方もいれば、そこまで減らない方もいます。「自分も15kg減る」と断定するより、数ヶ月使いながら自分の体の反応を確認するプロセスが先です。
マウンジャロの根拠はSURMOUNT-1試験です。チルゼパチドを週1回72週間投与したこの試験では、用量によって5mgで約15%、10mgで約19.5%、最高用量の15mgでは約20.9%まで平均体重が減少し、用量を上げるほど効果が大きくなる傾向が明確でした。
ただしこの2つの数値は別々の試験から出てきたものであり、同一条件で2剤を直接比較した試験の結果ではありません。参加者も期間も管理方法も異なる2つの記録を並べた状態です。大きな流れとして「どちらも相当の体重減少効果があり、チルゼパチドの高用量でより大きな幅が報告されている」、そこまでが正確な理解です。

2剤の違いは何か
最も根本的な違いは、作用するホルモン受容体の数です。ウゴービはGLP-1だけに作用し、マウンジャロはGLP-1とGIPの2つに同時に作用します。先ほどの臨床結果でチルゼパチドの減少幅がより大きかった背景に、このデュアル作用があると考えられています。効果が大きい分、食欲変化や消化器症状もより鮮明に現れる傾向があります。
投与方法は2剤とも似ています。どちらも週1回、腹部や太もも皮下に自己注射するタイプで、1週間に1回なので負担が少なく、ペン型注射器なので自己注射も難しくありません。最初から高用量で始めるのではなく、低用量から始めて4週間ごとに少しずつ上げていくのも共通点です。段階的に上げる理由は後述する消化器副作用を減らすためで、焦って一気に増量すると吐き気が強くなって中止に至るケースが多いため、効果がゆっくりに見えても決められたステップを守るほうが結局は遠くまで行けます。
名前が紛らわしい理由は、製品名と成分名が別だからです。マウンジャロは製品名で成分はチルゼパチド、ウゴービは製品名で成分はセマグルチドです。同じセマグルチドでも2型糖尿病用製品(オゼンピック)と肥満症用製品(ウゴービ)は名称と承認用量が別になっています。また、同時期によく名前が挙がるサクセンダはリラグルチドという別のGLP-1薬で、毎日注射が必要という点で前述の2剤とは区別されます。

副作用と知っておくべき注意点
最も多い副作用は消化器系に集中しています。上のグラフを見ると、約4割近くに吐き気が現れます。これが最初にそして最も頻繁に来る症状で、次いで下痢、嘔吐の順です。胃の排出を遅らせる作用から直接続く症状なので、逆にいえば薬が働いているサインでもあります。薬を始めた直後や用量を上げた直後に強く出て、体が慣れるにつれて徐々に落ち着いてくることが多いため、用量を一気に上げずに数週間かけてゆっくり増やす理由がここにあります。
必ず確認すべき禁忌があります。本人や血縁者に甲状腺髄様がん(MTC)や多発性内分泌腺腫症2型(MEN2)の既往がある方は、この薬を使用してはなりません。動物試験で甲状腺腫瘍リスクが確認されており、両剤ともに絶対禁忌として枠組み警告が付いています。別の問題として、膵炎の既往や胆嚢疾患がある方、妊娠中または妊娠を計画している方は、開始前に必ず医師に相談が必要です。単に体重を減らしたいという理由だけで自己判断で入手して使うことはお勧めしません。自分の病歴を十分確認した上で、開始するかどうかを決める必要があります。
最も見落とされがちな点があります。この薬はやめると体重がかなりの部分戻ってきます。食欲を抑えていた作用がなくなれば食べる量が元に戻るためで、先ほどのグラフで中止群がリバウンドしていた通りです。1〜2ヶ月で終わる短期処方ではなく、食習慣や運動といった生活習慣の改善と並行して長期的に取り組む治療に近いものです。薬だけで完結する問題ではないということを、最初から念頭に置いておくほうがいいです。

日本での状況
日本ではウゴービが肥満症の治療薬として承認されており、一定の基準を満たす患者には保険が適用されます。マウンジャロも2型糖尿病および肥満症の適応で使用できるようになっています。サクセンダ(リラグルチド)も肥満症治療薬として選択肢に入ります。ただし世界的に需要が集中し、日本でも一時期供給が不足して処方が思うようにいかなかった時期がありました。現時点での処方可否や在庫状況は、受診する医療機関に直接確認するのが確実です。
保険適用の条件を満たさない場合は自由診療となり、費用負担は小さくありません。維持用量では月に数万円規模になることが多く、体重を維持するために長期間続けるケースが多いため、累積するコストは軽視できません。「効果があった」という口コミを頼りに、医療機関を経由せずにオンラインや個人輸入で薬を入手しようとする方もいますが、これはお勧めできません。保管・流通過程で変質した薬である危険性に加え、自分にこの薬が適しているか、適切な用量はどのくらいか、副作用が出たときにどう対処するかは、診療の中で判断すべき事柄だからです。
マウンジャロにせよウゴービにせよ、強力な薬であることは間違いありません。ただし開始するかどうかは、自分の体重の状態や合併症、先述の禁忌病歴、そして薬を長期継続できる状況かどうかを総合的に判断してからです。BMIがさほど高くない方が美容目的で無理に使う薬ではありません。GLP-1受容体作動薬が体重管理の選択肢を大きく広げたのは事実ですが、最初の段階で医師が病歴と適応を確認し用量を調整するプロセスがあってこそ、薬の効果を適切に引き出せます。薬はあくまで道具であり、その道具をうまく使うには正しい使用条件が先にあります。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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