唇アートメイクの持続期間、色は何か月で薄くなる?
By Dr. Kim1 min read

唇のアートメイクは、唇に色素をのせて血色をよく見せたり、リップラインをくっきりさせたりする施術です。刺青(いわゆるタトゥー)と見た目は似ていますが、実際には仕組みがまったく違います。色素が入る深さが浅く、時間の経過とともに自然に薄くなっていく点が最大の違いです。
施術直後に鏡を見て驚く人は少なくありません。思っていたより色が濃く、腫れも出ているため戸惑うこともあるでしょう。ただ、この色は数日から数週間かけて少しずつ変化していきます。なぜこれほど色が変わるのか、そしてなぜ永久ではなく半永久なのか、その仕組みを順番に見ていきます。
アートメイクはタトゥーと何が違う?
アートメイクは、極細の針が複数ついた機器で色素を皮膚の中に入れていく施術です。針が微細に振動しながら皮膚表面に小さな傷をつくり、その隙間から色素が浸透していきます。
ここで重要なのが色素が入る深さです。一般的な刺青は色素を真皮の深い層まで入れて、一生残るように設計されています。一方でアートメイクは、それよりずっと浅い層を狙います。浅く入れるほど、皮膚が色素を少しずつ押し出したり分解したりしやすくなるためです。
唇は特に薄くデリケートな部位です。角質層が顔の他の部位より薄く、粘膜に近い組織のため血管も多く通っています。そのため同じ色素を使っても、唇に入れると頬や眉より代謝が早く進み、色が早めに薄くなる傾向があります。
色素が定着する皮膚の層
色素は表皮と真皮が接する境界付近、真皮のごく浅い層に定着します。針が浅すぎると色素は角質と一緒にすぐ剥がれ落ち、逆に深すぎると色がにじんだり青みがかって残ったりすることがあります。
そのため、施術者の手技と機器の深さ調整が仕上がりを大きく左右します。同じ色素を使っても、深さがわずか0.1ミリ変わるだけで発色や持続期間が変わってくるといわれています。色素の粒子が定着する層が浅いほど、体がそれを異物として認識し、少しずつ処理していく速度も速くなります。
こうした仕組みから、アートメイクは最初から「いずれ薄くなる施術」として設計されています。深さをあえて浅くとどめているのも、長く残さないためです。
施術直後に色が濃く暗い理由は?
施術直後は、実際に仕上がる色よりもかなり濃く、時に暗く見えることがあります。これは色素そのものの色というより、施術直後の皮膚の状態によるものです。
針が通った部分には微細な出血と組織液がにじみ出てきます。この血液と組織液が色素と混ざり合うことで、実際の色より暗く、くすんで見えるのです。そこに腫れも加わると、色がさらに濃く見えます。
数日経つと表面に薄いかさぶたができ、それが剥がれることで下に定着した本来の色が現れます。かさぶたの下で色素が落ち着くまでには、通常4週間から6週間ほどかかるといわれています。施術直後の色だけを見て仕上がりを判断するのは、まだ早いということです。
唇のアートメイクはなぜとくに早く薄くなる?
唇は一日に何百回も動く部位です。話す、食べる、飲むという動作のたびに表面が擦れ、唾液にも常にさらされています。こうした物理的な刺激が、表面の細胞を他の部位より早く剥がれ落とします。
細胞の入れ替わりが早いということは、その上にのっている色素も一緒に落ちやすくなるということです。皮膚の細胞は一定の周期で生まれて死に、剥がれ落ちていきますが、唇のように摩擦の多い部位はこの周期がより短く回ります。
さらに、体内の免疫細胞であるマクロファージが色素の粒子を一つずつ取り込んで処理していく過程も同時に進みます。色素を異物と認識したマクロファージが粒子を包み込み、少しずつ分解して運び去っていくのです。まるで掃除係が残ったごみを少しずつ片づけていくように、時間が経つほど色素の粒子の数自体が減っていきます。こうした理由から、唇のアートメイクは通常6か月から12か月の間に色が目に見えて薄くなり、人によっては1年を超えて残ることもあります。
かさぶたができて取れるまでの回復期間
施術直後から、体は傷を治す手順をそのまま踏んでいきます。針がつくった微細な傷に炎症反応が起こり、その部分を守るために薄い膜が形成されます。
この時期は唇が腫れて乾燥し、ひび割れるような感覚が出ることがあります。傷が治る過程で表面の水分が急速に蒸発するためです。そのため、この期間は軟膏や保湿剤で表面を潤った状態に保つことが勧められます。
一つ注意したいのが、唇周辺にヘルペス、いわゆる口唇ヘルペスの既往がある人です。針の刺激が潜伏していたウイルスを再び活性化させることがあるため、既往がある場合は施術前に抗ウイルス薬をあらかじめ服用しておく方法が勧められます。回復が終わる時期は人によって差がありますが、通常4週間から8週間ほどで表面が落ち着くとされています。
持続期間が人によって違う理由は?
唇のアートメイクの持続期間は、一つの要素だけで決まるわけではありません。次のような要因が組み合わさって影響すると考えられています。
- 色素の種類と粒子の大きさ: 酸化鉄系のように粒子が大きく安定した色素は、体が分解するのに時間がかかるため長く残る傾向があります。粒子が大きいほど、マクロファージが一度に処理しづらいためです。
- 施術の深さ: 同じ色素でも少し深めに入れるほど、摩擦や代謝の影響を受けにくく長持ちする傾向があります。ただし深すぎると、色がにじむリスクも同時に大きくなります。
- 個人の代謝速度: 代謝が早い人は色素を分解し運び出す速度も速いため、色がより早く薄くなることがあります。年齢、血行、皮膚の再生速度がいずれも影響します。
- 紫外線の影響: 紫外線は色素の粒子を酸化させ、色を変化させたりより早く薄くさせたりすることがあります。唇は日焼け止めを塗りにくい部位のため、この影響を受けやすくなります。
- 生活習慣: 喫煙、頻繁な角質ケア、唇をむしったりこすったりする癖は、表面の細胞の入れ替わりを早め、色素が一緒に抜けていく速度を高めます。
施術前後の注意点
施術前後のケアは、色が均一に定着し長く持続するのを助けるための過程です。
- 施術前の数日は、唇の角質ケアや強いピーリング製品の使用を避けることが勧められます。表面が敏感な状態で施術を受けると、刺激がより大きく残ることがあるためです。
- 施術後にかさぶたができても、無理にはがさないことが大切です。かさぶたをはがすと、その下に定着していた色素まで一緒に取れてしまい、色がまだらに残ることがあります。
- 回復期間中は、辛いものや塩辛いもの、熱い飲み物を避けるよう案内されます。刺激の強い食べ物が傷の部分を刺激し、回復を遅らせることがあるためです。
- 紫外線対策は施術部位に関係なく色素の酸化を遅らせるのに役立つとされており、回復後も続けるとよいでしょう。
色が完全に定着するまでの時間と持続する期間には、人によって幅があります。最初の色と仕上がりの色が違うという点をあらかじめ知っておくと、回復過程で感じる不安も和らぎます。結果を急いで判断せず、数週間かけて経過を見守る姿勢が大切です。
References
Korean Dermatological Association、American Academy of Dermatology(AAD)、Ministry of Food and Drug Safety(MFDS)
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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