インモードのリフトアップ効果と仕組み — フォルマ・FX、高周波リフティングの実力と限界
By Dr. Lee1 min read

たるみ治療を調べていると、インモード(InMode)という名前に出会うことが多くなりました。針を使わず高周波でハリを出し、フェイスラインまで整えられる。しかも痛みが少なくダウンタイムがほぼない、という触れ込みで紹介されています。ただ、インモードはハンドピースが複数あるため、フォルマ(Forma)とFXが何が違うのか、実際に顔が引き上がるのか、よくわからないまま相談に来る方も少なくありません。
インモードとは正確に何で、フォルマとFXの組み合わせが肌の中で何をしているのか、そして効果の根拠がどこまであるのかを、クリニックの宣伝ではなく実際の研究をたどりながら整理してみます。非侵襲高周波という方法自体にはある程度のエビデンスがありますが、「インモードだからこそ」の効果という話になると、少し様子が変わってきます。どこまでが検証済みの事実なのかを区別しておけば、過度な期待なく判断できます。

インモード(InMode)とはどんな施術なのか
インモードはイスラエルのInMode社が開発した高周波(RF)ベースの医療機器で、ハンドピースを付け替えることで複数の施術が行えるプラットフォームです。日本でインモードリフティングというと、多くの場合は針を使わない2つのモード、フォルマ(Forma)とFXを組み合わせた施術を指します。フォルマでハリを、FXで脂肪とフェイスラインを整える。この2つをワンセッションで扱えるという点が人気の理由です。
フォルマは双極性高周波を肌の表面ではなく真皮層に届け、コラーゲンやエラスチンの再生を促すモードです。FXは陰圧で皮膚を吸引した状態で高周波と高電圧パルスを組み合わせ、深い脂肪層の脂肪細胞を減らしてフェイスラインを整えることを目的としています。同じインモードでも、フォルマはハリ、FXは脂肪と輪郭、という役割分担と考えるとわかりやすいです。
サーマクール(Thermage)やウルセラ(Ulthera)のような強いリフティングと比べると、インモードは出力が控えめで、一度に強く引き上げるというより、複数回に分けてじっくり整えていくイメージに近いです。そのぶん痛みとダウンタイムが少ない反面、効果は緩やかです。薬機法上の承認を受けた機器ですが、承認はあくまで安全基準をクリアしたことを意味するものであって、他の機器より効果が優れているという保証ではありません。この点は最初に頭に入れておくといいでしょう。フォルマとFXをまとめて一度の来院で受けられ、ハリと輪郭の2つの悩みを同時に扱えることが、特に支持される理由になっています。

フォルマとFXは肌の中で何をしているのか
上の図がフォルマとFXの動作を示しています。フォルマは肌に当てたハンドピースから双極性高周波を流し、真皮を一定温度まで温めます。コラーゲンが最も効率よく刺激される温度域がおよそ41〜43℃で、インモードは表皮温度を1秒間に1000回以上モニタリングしながら43℃を超えないよう自動調整します。深い層を十分に温めながら、表皮熱傷と痛みのリスクを抑えるというのが設計の核心です。真皮が温まるとコラーゲンがその場で収縮し、その後数か月にわたって新しいコラーゲンが産生されることで、肌が徐々に引き締まっていきます。
FXはここに脂肪へのアプローチを加えます。陰圧で皮膚を吸引して脂肪層をハンドピース側に引き上げ、高周波で温めながら短い高電圧パルスをかけます。このパルスが脂肪細胞の膜に微細な孔を開けるエレクトロポレーション(電気穿孔法)という現象を引き起こし、脂肪細胞を減少させるとされています。メーカー資料では、このメカニズムによって脂肪細胞の相当数が死滅すると説明されています。
ただ、2点だけはっきりさせておく必要があります。フォルマのコラーゲン刺激とFXの脂肪減少という原理そのものは、高周波研究の観点から一定の妥当性はあります。しかし上記の数値の多くはメーカー資料に依拠しています。また、これらすべての作用が実際の顔で目に見える変化としてどの程度現れるかは、臨床研究で別途確認する必要があります。原理が理にかなっていることと、効果が証明されていることは別の話です。特にFXによる顔の脂肪減少が実際にどれほど顕著に現れるかは、さらなる検証が求められます。

インモードにこれほど種類があるのはなぜか
インモードがわかりにくい最大の理由は、ハンドピースが複数あることです。上の図のように、同じインモードでも種類によって侵襲度と深達度がまったく異なります。フォルマとFXは針を使わず表面から作用する非侵襲モードです。一方、モルフェウス8(Morpheus8)は0.5〜8mmの極細マイクロニードルを刺すマイクロニードルRF、フェイスタイト(FaceTite)は細いカニューレを皮膚の下に挿入して脂肪を溶かしながら引き締める低侵襲施術です。
この区別が重要なのは、効果と回復期間がまったく異なるからです。モルフェウス8やフェイスタイトはより深く作用するため効果は大きいですが、そのぶん痛みや腫れ、内出血や痂皮などのダウンタイムが伴います。反面、日本でよく「インモードリフティング」と言われるフォルマとFXは針がないため負担は小さく、その代わり効果は穏やかで段階的です。
そのため、インモードのカウンセリングではまずどのハンドピースを使うのかを確認することが大切です。同じインモードという名称のもとに、ほぼ無痛の軽い施術から回復期間を要するものまで混在しており、口コミや広告で見た効果が自分が受ける施術と同じものかどうか確かめないと、期待と結果がずれやすくなります。名前が同じだからといって効果まで同じと思い込むと、思い描いていたものと違った、という話になりがちです。予約前にハンドピース名・施術部位・推奨回数を確認しておくと混乱を防げます。劇的な変化をうたった口コミが、実はより深く作用する別のハンドピースによるものだった、というケースは珍しくありません。この記事では非侵襲のフォルマとFXを扱います。

本当に効果があるのか、エビデンスはどこまであるか
非侵襲高周波で肌が引き締まるという点には、ある程度のエビデンスがあります。フォルマについては規模は小さいものの臨床研究が存在します。ある研究では参加者全員に施術後の皮膚改善が認められ、頬〜顎下のたるみを評価した別の研究では複数回の施術後に弾力スコアが有意に改善し、脂肪の減少も確認されました。表皮を過熱せず真皮を温めてコラーゲンを産生させるという大きな枠組みは、高周波リフティング研究が支持しています。
ただし限界も明確です。フォルマの研究の多くは参加者が10〜20名程度の小規模で、対照群のないものが大半を占めます。効果の大きさを断定するのは時期尚早といわざるを得ません。FXの顔の脂肪減少については、顔を対象にした専用の臨床エビデンスがさらに薄く、体幹部の脂肪を対象にした研究やメーカー資料に依存する部分が大きくなります。インモードとサーマクール、あるいはウルセラを人体で直接比較した研究も存在しないため、どちらが優れているかという比較はエビデンスではなく推測に過ぎません。
整理すると、インモードのフォルマとFXは非侵襲高周波という検証された大きな枠の中にはあるものの、その効果は劇的なリフトアップというより、穏やかなハリ感の改善と軽度の輪郭整理に近いです。複数回受けることが前提で、効果も徐々に現れるという点を理解した上で臨めば、期待値を合わせやすくなります。また、同じインモードでも施術者の習熟度や施術回数によって結果にばらつきが出やすい点も考慮が必要です。効果をしっかり出すためには、推奨される回数をきちんと重ねることが重要です。

痛みと限界、どんな人に向いているか
非侵襲インモードの最大の強みは、低い痛みと短いダウンタイムです。フォルマは温かいマッサージに近い感覚で痛みがほとんどなく、表皮温度を継続的にモニタリングして熱傷リスクを抑えています。施術直後に一時的な赤みが出ることはありますが、すぐに引くことがほとんどで、洗顔やメイクはそのまま行えます。FXも陰圧による軽い内出血が稀に生じる程度で、負担は小さいです。
ただし限界もはっきりしています。インモードは出力が穏やかで段階的なため、通常は複数回受けることが前提となっており、フォルマは一般的に複数セッションが推奨されます。効果も永続的ではなく定期的なメンテナンスが必要で、たるみが強い場合には非侵襲だけでは対応しきれないことが多いです。深いたるみや顕著なリフトアップを望む場合は、HIFU(高強度集束超音波)や糸リフト、外科的リフトアップも含めて相談することが現実的な選択肢になります。
フォルマとFXが向いているのは、大きな引き上げよりも、痛みと回復の負担なくハリを保ちながらフェイスラインを軽く整えたい方、施術へのハードルが低いリフティングの入口として探している方です。複数回継続して受ける意向があれば、気軽に始めやすい施術といえます。一度で大きく変わるとか、強いリフティングの代わりになるという宣伝は割り引いて聞き、複数回かけてじっくり改善していく非侵襲高周波の性質を念頭に置いておけば、納得して選択できます。インモードは強烈な一撃より、負担の少ない継続的なケアで整えていく施術に近い、と理解しておくのがよいでしょう。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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