肥厚性瘢痕とケロイドの違い、治療方法の比較
By Dr. Kim1 min read

手術を受けたり火傷を負ったりした跡に、赤くて盛り上がった瘢痕が残って悩む方が多くいます。手で触ると硬く、時々かゆみや突っ張るような感覚もあります。こうした瘢痕を肥厚性瘢痕と呼びます。多くの方がこれをケロイドと勘違いして不安になりますが、実は二つの瘢痕はかなり性質が異なります。肥厚性瘢痕は傷の範囲内にとどまり、時間が経つにつれて自然に平らになることが多いのが特徴です。もちろん、放っておくよりも初期からケアするほうが結果はよくなります。以下では、肥厚性瘢痕がなぜできるのか、ケロイドとどう見分けるのか、自宅で何をして病院で何を受けるのかを一つずつ整理していきます。瘢痕のことで気を揉んでいた方にとって、方向性をつかむ助けになるはずです。

肥厚性瘢痕はなぜ赤くふっくらする?
傷が治るとき、私たちの体はコラーゲンを作って開いた部分を埋めます。通常は必要な分だけ作って止まります。ところがこの過程がずれると、コラーゲンが分解される量よりも作られる量のほうが多くなります。余ったコラーゲンが積み重なることで、瘢痕が赤く盛り上がってきます。これが肥厚性瘢痕です。壁を塗るときにセメントを塗りすぎて表面がでこぼこになった様子に似ています。
主な引き金は二つあります。一つは治る間に炎症が長引くケースです。もう一つは傷にかかり続ける張力(tension)、つまり皮膚が引っ張られる力です。そのため、火傷や手術の切開、重度のニキビ、ピアス、外傷の跡にできやすくなります。特に胸の中央にある胸骨、肩、関節のように常に引っ張られる部位によく現れます。腕を曲げ伸ばしするたびに瘢痕が引っ張られるので、コラーゲンがさらに積み重なるわけです。火傷でできる肥厚性瘢痕は、たいてい受傷後およそ2ヶ月あたりから盛り上がり始めます。そのため、傷が治る初期の数ヶ月をどう過ごすかが重要になります。ただし、すべての傷がこう盛り上がるわけではありません。張力が少ない部位や浅い傷は、たいてい平らに治ります。結局、傷の深さと位置、そして治る間に受ける刺激が、瘢痕の運命を大きく分けます。
ケロイドは肥厚性瘢痕と何が違う?
| 区分 | 肥厚性瘢痕 | ケロイド |
|---|---|---|
| 境界 | 傷の中にとどまる | 傷を越えて広がる |
| 自然経過 | 1~2年で自然に平坦化 | なかなか消えない |
| 再発(切除後) | 低い | 45~100% |
| 家族歴 | 弱い | 強い |
最も分かりやすい見分け方は境界線を見ることです。肥厚性瘢痕は元の傷の範囲内におとなしくとどまります。時間が経つと徐々に平らになることが多いです。一方ケロイドは元の傷を越えて、カニの脚のように横に広がっていきます。最初は小さな点のようだったものが、数ヶ月後には周囲の正常な皮膚まで侵すこともあります。自然に消えることも稀です。切除しても再び盛り上がる割合が高く、切除後の再発が45~100%に達するという報告もあります(StatPearls)。
家族歴もヒントになります。ケロイドは家族に同じような瘢痕がある場合が多く、肥厚性瘢痕はその関連が弱い傾向にあります。そのため、傷の外に広がるか、時間とともに平らになるか、この二つを見るだけでもおおよその方向はつかめます。ただし境界が曖昧だったり、だんだん大きくなっているように感じたりする場合は、自己判断せず診察を受けるほうが安全です。二つの瘢痕は治療の方向がまったく異なるためです。
肥厚性瘢痕は自然に平らになる?
| 時期 | 瘢痕の変化 |
|---|---|
| 初期 | 赤く硬い、盛り上がる |
| 6ヶ月~1年 | 赤みが薄れる |
| 1~2年 | 平坦化し色も薄れる |
多くの場合はそうです。肥厚性瘢痕は時間をかけて成熟しながら、だんだん平らになっていきます。55歳未満で瘢痕が成熟するまでにかかった期間は平均約22.5ヶ月という報告があります。ほぼ2年に近い時間です。最初は赤く硬かった瘢痕が、この過程を経て色が薄くなり厚みも減っていきます。手に触れていた瘢痕が、徐々に肌の高さに近づいていきます。赤みがアプリコット色や薄い茶色に変わるのも成熟のサインです。
ただし、すべての瘢痕がそうとは限りません。胸骨や肩のように常に引っ張られる部位、そして広い火傷の瘢痕は成熟が遅く長引きます。その間、かゆみや突っ張りが一緒に現れることもあります。夜にかゆくて掻いてしまい、瘢痕をまた刺激してしまう方も少なくありません。特に関節を覆う瘢痕は硬くなって動きを制限する拘縮につながることがあるため、こうした部位はより早く積極的にケアするほうがよいでしょう。そのため、いつか消えるだろうとただ待つよりも、初期からシリコンや圧迫といった簡単なケアをしておくほうが結果はよくなります。自然に良くなり得るという事実と、それでもケアが助けになるという事実を両方覚えておくとよいでしょう。

自宅でできるシリコンと圧迫ケア
自宅で最初にすべきことはシリコンです。シリコンジェルやシートは瘢痕を覆って水分を保ち、表面を密閉してくれます。乾いた瘢痕に薄い保湿膜を一枚かぶせてあげると考えると分かりやすいでしょう。予防目的で使った研究では、瘢痕ができるリスクをRR 0.70、つまり約30%下げました。貼るタイプなので副作用も少なく、第一選択として広く使われています。だいたい1日12時間以上、少なくとも2~3ヶ月は続けてこそ効果が着実に積み重なります。火傷の瘢痕には圧迫療法を加えます。15~25mmHgほどで押さえる圧迫着衣を最低12ヶ月着用すると、盛り上がりが減っていきます。
ここまでが自宅でできる基本です。しかし瘢痕が厚く硬く、シリコンと圧迫だけでは不十分な場合は、病院での治療に移ります。上のグラフがその橋渡しの役割を果たします。病変内にステロイドだけを注射すると瘢痕の高さが半分以上減った人が49%でしたが、ここに5-FUを加えると77.2%まで上がりました。再発も39.2%から17.5%に減りました(Prasad 2018)。ですから、強い瘢痕であれば次のセクションの注射治療に進めばよいでしょう。

厚い傷跡に使う注射とレーザー
盛り上がった瘢痕の中心的な治療は、病変内ステロイド注射です。トリアムシノロンを瘢痕の中に直接入れてコラーゲンを抑えます。ここに5-FUを加えると、前のグラフのように効果がさらに大きくなり再発も減ります。通常は数週間おきに何度か注射します。赤みが強い瘢痕には色素血管レーザーのPDLがよく合います。ある研究ではPDL1回で赤みと平坦さが約57%改善し、2回受けると約83%まで上がりました(Alster 1995)。回数を重ねるほど赤みと厚みが一緒に落ち着いていきました。

選択肢はまだあります。フラクショナルレーザーは瘢痕のキメと色を一緒に整えてくれます。マイクロニードリングは非常に細い針で微細な傷をつけ、コラーゲンを再配列させながら表面を滑らかにします。肥厚性瘢痕はケロイドより再発が少ないため、適切な場合は手術で修正するのも一つの方法です。この場合は張力を緩める縫合を一緒に行うことが重要です。実際の診療では一つだけを使うより、注射とレーザーを一緒に進めるように二つ三つの方法を組み合わせることが多いです。瘢痕の位置や厚み、色によって組み合わせは変わるので、病院で相談しながら決めればよいでしょう。
傷跡を残しにくくする予防法
| 時期 | ケア |
|---|---|
| 縫合時 | 張力を最小限にする縫合、テーピング |
| 傷が閉じた後 | 早期のシリコンジェル・シート(2~3週から) |
| 未成熟期 | 紫外線対策 |
| 普段 | かさぶたや傷をむしらない |
瘢痕はできてから消すよりも、最初からできにくくするほうがずっと簡単です。始まりは張力を分散させることです。傷が引っ張られにくいよう縫合とテーピングに気を配れば、瘢痕が盛り上がる力が減ります。傷が閉じたら2~3週間目からシリコンジェルやシートを早めに貼っておきます。初期のシリコンは予防において最も根拠がしっかりした方法です。瘢痕が定着する前にあらかじめ押さえてあげると考えるとよいでしょう。
紫外線にも気をつけます。まだ赤く未成熟な瘢痕が日光にさらされると、色素と赤みが濃くなります。紫外線対策をしっかり行うだけでも、瘢痕は目立ちにくく残ります。かさぶたや治りかけの傷を手でむしる習慣は炎症を再び引き起こし瘢痕を大きくしてしまうので、我慢するのがよいでしょう。胸骨や肩のような高リスク部位、そして火傷は最初から圧迫を一緒に行うと安全です。初期の数ヶ月のケアが瘢痕の最終的な見た目を左右するので、傷がまだ赤いうちに少し勤勉になっておくと、後で大きく後悔せずに済みます。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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