手の甲のシワや浮き出た腱に、Radiesseフィラーが効く理由とボリューム持続期間まで
By Dr. Kim1 min read

鏡の前で顔は熱心に手入れしていても、手の甲までは気が回らず、ふと年齢が透けて見えることがあります。手の甲は皮膚が薄く皮脂腺も少ないため水分を保つ力が弱く、いつも紫外線を直接浴びる部位でもあるので、顔より老化のサインが早く出やすい場所です。ボリュームが落ちるにつれて腱や血管が浮き出て、皮膚が薄く波打つような変化も一緒に現れます。
幸い手の甲は、顔の施術で培われたノウハウをそのまま活かせる部位です。凹んだボリュームはフィラーで満たし、薄くなったキメはスキンブースターとマイクロニードリングで補います。そこに自宅でのスキンケアを加えれば、手の甲もぐっと若々しく滑らかに整えられます。それぞれの施術が何をどう変えるのか、効果と持続期間まで一つずつご紹介します。

なぜ手は顔より先に年齢が出るのか?
手の甲が老けて見えるのには、いくつかの変化が重なっています。一つ目はボリュームが落ちることです。年齢を重ねるほど手の甲の皮下脂肪とコラーゲンが減り、もともと肉に埋もれていた腱や血管が表面に浮き出てきます。手の甲がやせて骨っぽく見える一番の理由です。手の甲の皮下脂肪は顔ほど厚みがないため、少し減っただけでもその下の腱や血管がそのまま透けて見えます。手はよく使い、頻繁に洗う部位なので、この変化が顔より早く目につくこともあります。
二つ目は皮膚のキメです。手の甲の皮膚は顔より薄く油分も少ないため、乾燥しやすい部位です。薄くなった皮膚が小じわとともに紙のようにくしゃっとした印象になることを、crepey skin(薄く波打った皮膚)と呼びます。年齢を重ねると皮下脂肪が薄くなってこのキメの乱れがさらに目立ち、手の甲を軽くつまんで離したときに元に戻る速度も遅くなります。結局のところ、凹んだボリュームと乱れたキメ、この二つを一緒に整えてこそ手が若々しく見えるのです。顔にそのまま歳月が刻まれるように、手もこれまで浴びた紫外線と年月の積み重ねが現れるというわけです。だからこそ施術も、ボリュームとキメを分けてアプローチします。

手の甲フィラーは凹んだボリュームをどう満たすのか?
手の甲に最もよく使われるフィラーはcalcium hydroxylapatiteです。名前は難しく聞こえますが、私たちの骨にも含まれているカルシウムの粒をジェルに混ぜて作ったフィラーだと考えるとわかりやすいです。代表的な製品がRadiesseで、2015年に米国FDAが手の甲のボリューム補充用として正式に承認したフィラーです。
このフィラーは二つの働きをします。注入した直後はジェルが凹んだ部分を満たしてボリュームを回復させ、時間が経つにつれてカルシウムの粒がコラーゲンの新生を刺激します。そのためフィラーが徐々に吸収されても、新しくできたコラーゲンがボリュームをある程度引き継いでくれます。ある研究では手の甲にこのフィラーを注入し、90日後に皮膚と皮下組織の厚さが約38%増え、皮膚の水分量も34%ほど上昇しました。別の研究では、1回の施術だけで手の等級評価(Merz Hand Grading Scale)が94.8%の症例で1段階以上改善しました。


ボリュームだけを求めるなら、hyaluronic acidフィラー、いわゆるHAフィラーも良い選択肢です。HAは水分を抱え込む性質があるためボリュームとうるおいを同時に与え、万が一トラブルが起きても溶かして元に戻せるという利点があります。両者を直接比較した12カ月間の研究では、CaHAとHAのどちらも手の甲で良好な結果を示し、大きな副作用も見られませんでした。
施術では通常、手の甲の皮膚を軽く持ち上げてフィラーを注入し、均一に伸ばしていきます。手の甲は腱や血管が浅い位置を走っているため、この構造をよく理解した医師がその上の層に薄く広げることが、安全で自然な仕上がりにつながります。
スキンブースターとマイクロニードリングでキメは整うのか?
| 施術 | 主な目的 | 持続期間 |
|---|---|---|
| CaHAフィラー | 凹んだボリュームを補う | 12~18カ月 |
| HAフィラー | ボリュームとうるおい | 約12カ月 |
| スキンブースター | うるおいとハリ | 数カ月 |
| マイクロニードリング | 肌のキメ | 数カ月 |
ボリュームを満たしたあとに残るのは、薄く乾燥した皮膚のキメです。ここにはスキンブースターがよく合います。スキンブースターは、hyaluronic acidを手の甲の皮膚に浅く細かく微量注入する施術です。HAが水分を抱え込んで真皮をうるおいで満たし、コラーゲンやエラスチンが定着する土台を作ってくれます。手の甲を対象にした研究でも、水分量とハリ、皮膚の厚みが一緒に改善する傾向が確認されています。
マイクロニードリング(microneedling)もキメを整えるために使われます。極細の針で皮膚に微細な刺激を与えると、体がそれを修復する過程で新しくコラーゲンを作り出します。薄くなった手の甲の皮膚にハリを与え、細かなキメを穏やかに整えるのに役立ちます。
この二つの施術は、ボリュームを満たすフィラーとは性格が異なります。一気に満たすというより、肌そのものの質を底上げするケアに近いものです。そのためフィラーでボリュームを整えたあと、スキンブースターやマイクロニードリングでキメを仕上げると、手の甲はより滑らかで若々しい印象になります。一度で終わらせるより、数週間おきに分けて受け、結果を積み重ねていく方法です。

効果はどれくらい長く続くのか?
施術によって持続期間は異なります。ボリュームを満たすフィラーが最も長持ちします。calcium hydroxylapatiteフィラーはコラーゲン生成の刺激も加わるため、通常12~18カ月ほど効果が続きます。HAフィラーは約12カ月前後が目安です。先ほどの12カ月間の比較研究でも、どちらのフィラーも1年後まで効果が残っていました。ただし吸収の速さには個人差があり、持続期間も人によって変わります。手をよく使ったり頻繁に洗ったりする人ほどフィラーがやや早く馴染んで吸収される傾向があるため、最初の1~2回は間隔をやや短めにとり、様子を見ながら補うこともあります。
スキンブースターとマイクロニードリングは肌のキメを底上げするケアなので、効果は数カ月単位で続き、季節ごとに軽く繰り返すと良い状態を保てます。手のケアは一度の大がかりな施術よりも、ボリュームとキメをそれぞれの周期に合わせてこつこつ整えていくほうが自然です。ボリュームが少し落ちたらフィラーを補い、キメが荒れてきたらブースターで満たす、といった具合です。費用を考えるときも、一度きりではなく継続的なケアとして見込んでおくほうが現実的です。

自宅では何を塗り、どんな人に向いているのか?
施術の効果を長く保つカギは、実は自宅でのケアにあります。中でも一番大切なのが紫外線対策です。手の甲は車の運転中や外を歩いているときに常に日光にさらされるため、顔と同じくらい日焼け止めをきちんと塗り、手を洗ったあとも塗り直す習慣が老化を遅らせてくれます。
塗る成分も助けになります。夜にretinoidを薄く塗ると、肌のキメが滑らかになり小じわも徐々に目立たなくなります。キメの改善にはniacinamideを含む製品を併用するのもよいでしょう。さらに保湿クリームをこまめに塗って手の甲をうるおった状態に保てば、薄く波打つような感覚も和らぎます。
施術選びは、悩みに合わせて考えれば十分です。腱や血管が浮き出て骨っぽく見えるのが気になるならフィラーが、薄く乾燥したキメが悩みならスキンブースターやマイクロニードリングがよく合います。複数の悩みが重なっている場合は、順番を分けて両方を受けることもあります。
ただし妊娠中や授乳中の方、施術部位に炎症や感染がある方、フィラー成分に過敏反応の経験がある方は、施術を見送るのがよいでしょう。手の甲のフィラーは腱や血管が浅い位置を走る部位だけに、手の解剖をよく理解した経験豊富な医師のもとで受けることが、安全で自然な仕上がりにつながります。ボリュームとキメを自分の手の状態に合わせて分けてケアしていけば、手の甲も顔と同じように長く若々しく保つことができます。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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