横に走る首のしわのフィラー, なぜBelotero Softのようなやわらかいフィラーを浅く使い, 何回かに分けて打つのか
By Dr. Kim1 min read

首に横向きに入るしわは、実年齢より老けて見える原因になります。顔は熱心にケアしていても首はつい見落としがちで、写真を撮ったり顔を上げたりしたときに横じわが深く刻まれていると、どうしても気になってしまいます。この横じわを満たすためにフィラーを使いますが、顔に使うフィラーとはアプローチが大きく異なります。
ポイントは、やわらかいフィラーを浅く少しずつ使うことです。顎や頬に使うような硬めのフィラーを首に入れると、塊になったり透けて見えたりしてかえって不自然になります。首の皮膚は薄く、よく動くためです。なぜBelotero Softのようなやわらかいフィラーを使うのか、どれくらい持続し何回に分けて打つのか、効果と根拠はどの程度あるのか、チンダル現象や安全性はどうなのかを、実際の論文をもとにひとつずつ整理しました。

首のしわはなぜできるのか
首のしわは大きく2種類に分けられます。1つは首を横切る横じわで、ネックレスラインやヴィーナスの首輪とも呼ばれます。もう1つは縦に浮き出る縦バンドで、首の広い筋肉である広頸筋が収縮したり緩んだりすることで生じます。原因が異なるためアプローチも異なります。フィラーで満たす対象は主に横じわです。
横じわができやすい理由は、首の皮膚の特性にあります。首の皮膚は顔より薄く、骨にしっかり付着しておらず、うつむいたり首を回したりする動きが一日中繰り返されます。そのため同じ場所が何度も折りたたまれて横じわが定着し、少しずつ深くなっていきます。
さらに加齢とともに肌のハリが落ちると、折りたたまれた跡が伸びにくくなります。首は顔ほど紫外線対策や保湿ケアをしていないことが多く、老化がむしろ先に現れることもあります。最近はうつむいて長時間画面を見る姿勢のせいで、若い年齢でも横じわが定着するケースが増えています。つまり横じわは、薄い皮膚に繰り返しの動きとハリの低下が重なって生じるということです。この特性を理解しておくと、なぜやわらかいフィラーを浅く使うのかが納得できます。

なぜやわらかいフィラーを使うのか
顔のフィラーでは硬めのフィラーの話をしましたが、首はその正反対です。ここでもフィラーの硬さを表すG-primeが基準になります。G-primeが高いと硬く、深いボリュームを作ります。低いとやわらかく、浅い小じわを滑らかに満たします。首のしわにはこの低いほう、つまりやわらかいフィラーが向いています。
理由は首の皮膚が薄く、よく動くためです。硬めのフィラーを薄い皮膚に浅く入れると塊になって触れてしまい、ひどい場合はフィラーが青みがかって透けて見えるチンダル現象が起こります。そのため首にはBelotero Softのようにやわらかく濃度の低いHAを、浅く少量入れます。ボリュームを作るのではなく、しわのラインを満たして肌のきめを整えることが目的です。
Belotero Softが首に向いている理由がもう1つあります。この製品はジェルが皮膚の中に均一に広がるように作られており、薄く腫れやすい部位にもなめらかになじみます。そのため目の下のような薄い部位にも使われますが、首も同じような理由で相性が良いのです。やわらかいフィラーはいわゆる水光注射やスキンブースターとも考え方が重なる部分があり、皮膚全体に浅く行き渡らせて水分ときめを改善する方式に通じています。

どれくらい持続するのか
やわらかい首用フィラーの持続期間は、おおよそ6か月から1年程度と見られています。顔に使ったBelotero系が8か月から12か月持続するというデータがありますが、首は動きが多く浅く入れるため、顔より短くなることがあります。首のフィラーを扱った研究をまとめると、おおむね1年前後で再度補充する流れになっています。
首の横じわにHAを使った複数の研究を統合した分析では、最初の施術から次の追加施術までの間隔は平均14か月ほどで、1年以内に再度受けるケースが半数程度でした。首のフィラーを1年間追跡した試験では、2か月目の改善が1年時点でも有意に維持されていました。
現実的には顔のフィラーより少し短めに見込んでおくのが妥当です。製品や注入量、首をどれくらい動かすかによってばらつきが大きくなります。首をよくうつむける人や皮膚が薄い人は減りが早い傾向があるため、持続期間をきっちり決めておくよりも、減り具合を見ながら補充のタイミングを判断するほうがよいでしょう。参考までに、Belotero Softを首だけに使って持続期間を厳密に測った大規模研究はまだ十分にないため、上記の数字は顔のデータと首のフィラー研究を合わせて参考にした大まかな目安として捉えてください。

何回に分けて打つのか
首のしわは一度に多く入れるより、少量を何回かに分けて入れるのが標準です。薄い皮膚に一気に多い量を入れると、塊になったり透けたりするリスクが高まるためです。少しずつ何回か重ねながら仕上げていく方法のほうが安全で自然です。
研究を見るとたいてい3回前後で、3週間から4週間の間隔を空けています。首にHAを併用した試験では4週間間隔で2回から3回、スキンブースターの方式では3週間間隔で3回行われていました。複数の研究をまとめた分析でも、通常1回から5回、4週間間隔がよく見られました。最初に入れてから1か月ほど経ったところで状態を見ながら追加していく流れです。
こうして分けて注入した後は、水光注射やスキンブースターのように定期的にメンテナンスを続けるのがよいでしょう。首のしわは動きのせいで再び刻まれやすいため、一度きれいに満たしたら終わりではなく、コンディションを保ち続けるという発想でとらえます。ですから最初は少量を何回か、その後は間隔を空けて管理する方法がよく合います。一度で結果を出そうと多い量を詰め込むのは、かえって塊や透けのリスクを高めるだけなので、焦らないことがコツです。
首のしわに使われる方法を原因別に整理すると次のとおりです。
| 方法 | 目標 | 原理 | 回数 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| やわらかいHAフィラー | 横じわを満たす | 浅くラインを満たす | 3回前後 | 深くはっきりした横じわ |
| スキンブースター, 水光注射 | 肌質改善 | 真皮全体に水分ときめを補う | 3回, 3〜4週間間隔 | 浅く広範囲な肌の衰え |
| 広頸筋ボトックス | 縦バンドの緩和 | 筋肉を弛緩させる | 必要に応じて | 縦に浮き出るバンド |

効果はあるのか
根拠を見ると、効果はおおむね良好です。首の横じわにHAを使った複数の研究をまとめた分析では、しわの程度と満足度がはっきりと改善し、肌の水分量やきめの指標も向上しました。首にHAを併用した試験では、しわのグレードが施術前より下がり、同じ部位にボトックスだけを使った場合より改善が大きかったという結果もあります。
スキンブースターを顔と首、デコルテに使った研究でも、しわの深さや水分量、きめが複数の時点で改善し、その効果は数か月にわたって持続しました。やわらかいHAが、しわのラインを満たすことと肌質そのものを引き上げることの2つの役割を同時に担っているということです。
ただし正直に言うと、首のフィラーのエビデンスレベルはまだ高くありません。参加人数が少ない研究や症例報告が多く、大規模な比較試験は不足しています。効果は複数の研究で一貫して良好な結果が出ていますが、顔のフィラーほどエビデンスが厚くはないことを理解したうえで臨むのがよいでしょう。そのため完全になくす施術というよりも、目立たない程度まで薄くするケアととらえるほうが実際に近いです。過度な期待よりも、コツコツと続けるケアという心構えがちょうどよいでしょう。

チンダル現象と安全性はどうか
首のフィラーで最も気をつけたい副作用がチンダル現象です。薄い皮膚にフィラーを浅く、あるいは多く入れると、HAの粒子が光を散乱させ、その部位が青みがかって透けて見えます。首にHAを使ったある研究でも、一部でこの現象が報告されています。そのため浅く、少量ずつ、均一に入れる熟練した技術が重要です。
幸い、ほとんどの副作用は軽度かつ一時的です。複数の研究をまとめると、あざや腫れ、押したときの痛み程度がほとんどで、深刻な問題はまれでした。何より首に使うのはHAフィラーなので、チンダル現象や塊ができてもヒアルロニダーゼで溶かして元に戻せます。この可逆性こそが、HAを使う実質的な安全装置です。
首のしわはフィラー単独で済ませるより、組み合わせて使うことが多くあります。筋肉が原因の縦バンドには広頸筋にボトックスを使い、浅く広範囲な肌質の低下にはスキンブースターを使います。深くはっきりした横じわなら、やわらかいフィラーで直接満たすのが適しています。自分の首のしわがどのタイプかをまず見極め、それに合った方法を選ぶか組み合わせるのが最もすっきりしたやり方です。何を使うにしても、首は顔より薄くデリケートな部位なので、浅く少量入れて元に戻せるHAを選ぶことが安全なスタートラインになります。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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