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おでこボトックスの効果が出る時期と持続期間、施術後の注意点

By Dr. Kim1 min read

おでこの横じわは、年齢を重ねるにつれて自然にできてくる、よくあるしわのひとつです。眉を上げたり驚いた表情をしたりするたびにおでこに横線が入り、最初は表情を作ったときだけ見えていたものが、時間が経つとじっとしていてもそのまま残るようになります。ボトックス、正確にはボツリヌストキシン(botulinum toxin)注射が、このしわを目立たなくする代表的な方法として使われています。

ただ、ボトックスがなぜおでこのしわに効くのか、そしてなぜ時間が経つとまたしわが戻ってくるのかは、意外と知られていません。単に「しわを伸ばす注射」くらいの理解だと、効果が永久に続かない理由がわかりにくいものです。筋肉が動く仕組みから順番に追っていくと、答えは自然に見えてきます。

おでこのしわはなぜできる?

おでこの横じわは、表情じわの一種です。表情じわとは、筋肉が繰り返し収縮することで皮膚に残るしわのことを指します。おでこでは前頭筋(おでこの前面に広がる筋肉)が収縮するたびに眉とおでこの皮膚が上に引っ張られ、横方向に折り重なります。

問題は、この動きが1日に何百回も繰り返されるという点です。会話をしたり驚いたり集中したりするたびに眉がピクッと上がり、そのたびにおでこの皮膚は同じ場所で折れては伸びるを繰り返します。紙を同じ場所で何度も折って伸ばすうちに、手を離しても折り目が残ってしまうのと似た仕組みです。

そこに、年齢とともに皮膚自体の弾力が落ちていくことも重なります。若いうちは折れた跡もすぐに伸びますが、コラーゲンや弾性線維が減った皮膚は、折れた形をそのまま覚えてしまうように残りやすくなります。ですから同じ表情をしても、年齢が上がるほどしわがより深く、はっきりと残るようになるのです。

最初は笑ったり驚いたりしたときだけうっすら見えていた線が、やがて表情を作らなくてもそのまま残る「静止じわ」に変わっていくのもこのためです。筋肉が折り曲げる力は変わらないのに、皮膚が自力で伸びる力が以前ほどではなくなったことで生じる差なのです。

筋肉は神経の信号でどう動く?

筋肉が動くには、神経から信号が下りてくる必要があります。脳が「眉を上げろ」という信号を送ると、神経の末端からアセチルコリン(acetylcholine、筋肉を動かす神経伝達物質)という物質が放出されます。

アセチルコリンは、神経と筋肉が接する部分(神経筋接合部)で筋肉の細胞にくっつき、収縮せよという命令を伝えます。鍵が鍵穴にぴったり合わなければドアが開かないように、アセチルコリンが筋肉細胞の受容体にはまって初めて筋肉が実際に動きます。この信号伝達が繰り返されることで前頭筋は収縮と弛緩を続け、その結果がおでこの皮膚に横じわとして残るのです。

ボトックスが信号を止めるポイント

ボツリヌストキシンは、この信号伝達のある地点をブロックします。正確には、神経の末端からアセチルコリンが外に出ること自体を防ぎます。鍵を鍵穴に差し込むこと自体をできなくしてしまうようなものです。

アセチルコリンが放出されないと、筋肉の細胞は収縮せよという命令を受け取れません。すると前頭筋は眉を上げようとする力そのものが弱まり、おでこの皮膚も折りたたまれる力を受けにくくなります。筋肉自体がなくなったり傷ついたりするわけではなく、信号が一時的に伝わらなくなっているだけなので、この状態は時間が経てば自然にもとに戻ります。

そのためボトックスを打った部位は筋肉が麻痺したように見えることがありますが、実際には筋肉自体はそのまま残っています。神経と筋肉の間の「会話」がしばらく途切れているだけで、その会話がまたつながれば筋肉も再び動き出します。

効果はいつから現れる?

注射をしたからといって、すぐに効果が出るわけではありません。アセチルコリンの分泌を抑えるまでにも時間が必要だからです。

一般的には施術後2日から5日ほどで少しずつ筋肉の動きが減っていくのが感じられ始め、1週間から2週間の間に効果が最もはっきり出ると報告されています。この期間、体の中では注入されたタンパク質が神経の末端に定着し、作用を始める過程が進んでいるのです。

ですから施術当日に鏡を見て「まだ変わっていない」と焦る必要はありません。効果が定着するまでには最短でも数日、長くて2週間ほどかかる過程だと理解しておくとよいでしょう。

効果はなぜ数か月で切れる?

ボトックスの効果は永久には続きません。ブロックされていた神経の末端が、時間の経過とともに新しい通り道を作り出すからです。

神経の末端には、もともとあった通路がふさがれると横に枝を伸ばして新しい通路を作る働きがあります。道路が工事で通れなくなると、車が脇道を新たに開拓して迂回するのとよく似ています。この新しい枝が定着すると、アセチルコリンが再び分泌され始め、筋肉も少しずつ収縮する力を取り戻していきます。

この過程が完成するまでの時間は人によって差がありますが、多くの場合、施術後3か月から4か月の間に筋肉の動きが目に見えて戻ってくることが多く、人によっては6か月近く効果が保たれることもあると報告されています。筋肉をどれくらい頻繁に使うか、注入した量がどれくらいかによっても差が出ます。

ボトックスの効果がどれくらい続くのか、複数の研究をまとめたレビュー論文です。女性は平均3〜5か月、男性は4〜6か月ほど効果が保たれていました。男性のほうが少し長くもつ傾向があるのは、おでこの筋肉そのものが厚くて力が強いケースが多いからです。ほとんどの場合6か月以内にはしわが戻ってくるので、この周期に合わせて次の施術を考えれば十分です。
ボトックスの効果がどれくらい続くのか、複数の研究をまとめたレビュー論文です。女性は平均3〜5か月、男性は4〜6か月ほど効果が保たれていました。男性のほうが少し長くもつ傾向があるのは、おでこの筋肉そのものが厚くて力が強いケースが多いからです。ほとんどの場合6か月以内にはしわが戻ってくるので、この周期に合わせて次の施術を考えれば十分です。

持続期間に差が出る理由

同じ部位に施術を受けても、効果が続く期間は人によって異なります。代表的には、次のような要因が組み合わさって影響すると考えられています。

  • 注入量と部位: 筋肉の大きさや力に合わせて量を調整しますが、量が少ないと効果も短く終わることがあります。アセチルコリンの分泌を抑える程度が、注入量に比例するためです。
  • 筋肉の使い方の癖: 普段から表情を大きく作り眉をよく動かす人は、神経の枝がより早く定着する傾向があると報告されています。筋肉をよく使うほど、神経もそれだけ活発に新しい道を探そうとするためです。
  • 代謝の速さと体質: 体の中でタンパク質を分解・処理する速度は人によって異なるため、同じ量を打っても効果の持続期間に差が出ることがあります。
  • 施術を繰り返した回数: 長期間にわたって施術を繰り返すと筋肉自体が少しずつ細くなり、次の施術の効果がより長く続くケースもあると言われていますが、個人差が大きく一概には言えません。

そのため、初めて施術を受ける人と何度も繰り返し受けてきた人とでは、同じ量を打っても持続期間の感じ方が違うことがあります。筋肉が信号を受け取る感度自体が、少しずつ変化していくためです。

打った直後の注意点

施術直後のケアは、注入した成分が狙った場所にきちんと定着するのを助けることが目的です。

  • 施術後4〜6時間ほどは横にならず、上体を起こした姿勢を保つことが勧められています。重力の向きが変わると、まだ定着していない成分が意図しない部位に広がってしまう可能性があるためです。
  • 施術当日はマッサージや顔を強くこするような行為は避けることが勧められています。圧力が加わると注入部位が動いてしまい、効果にムラが出ることがあるためです。
  • 施術後1日程度はサウナや熱いホットパックを避けるよう案内されています。熱で血流が速くなると、成分が予想より早く広がったり吸収されたりすることがあるためです。
  • 効果が定着するまでの1週間ほどは、眉を大きく動かすような表情を控えることが助けになると案内されています。

References

Korean Dermatological Association, American Academy of Dermatology (AAD), and Ministry of Food and Drug Safety (MFDS).

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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