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おでこフィラーのHA選びと血管の安全性、持続期間で気をつけたいこと

By Dr. Kim1 min read

鏡の前で横顔を見たとき、おでこが平らにへこんで見えたり、特定の部分だけ出っ張って凹凸に感じられたりすることがあります。年齢を重ねるとおでこの骨自体が少しずつ吸収され、前頭筋が長く動くことで皮下の脂肪層が薄くなると、こうした凹凸が目立ちやすくなります。鼻やあごと違い、おでこは広く平らなほど理想的に見えるパーツなので、小さなへこみや左右差も目につきやすい場所です。こうした場合、手術をせずにおでこのボリュームと凹凸を整える方法としてHAフィラーが広く使われています。ただしおでこは失明につながりかねない血管が浅い位置を通っているため、フィラー選びと注入する層を正しく知っておくことが何より大切です。

おでこが平らに見えたり凹凸ができたりするのはなぜ?

おでこは顔の中でもっとも広く平らな面です。だからこそ、ほんのわずかな凹凸でも横から見ると影になって目立ちます。年齢とともにおでこの骨は少しずつ吸収され、眉を上げたり顔をしかめたりする表情を長年繰り返すと前頭筋の上にある脂肪層が薄くなり、特定の部分だけがへこんでいきます。

もっとも多いのは、おでこの中央が縦に少しへこむタイプです。こめかみへつながる側面も一緒にへこむと、おでことこめかみの境目が角ばって不自然に見えることもあります。眉のすぐ上だけ横じわのように凹凸ができるケースもあります。

こうした形は部位ごとにアプローチが異なります。中央のへこみは縦のラインを埋め、側面のへこみはこめかみのボリュームも一緒に整えることで、おでことの境目が自然につながります。眉の上の横じわのような凹凸は、浅い層でやさしくなめらかに整えるだけでも印象が柔らかくなります。

見た目は似ていても、原因と深さが違えば必要なアプローチも変わります。そのためフィラーを入れる前に、横から、上から、複数の角度でおでこを観察し、どの部分がどんな形でへこんでいるのかを先に確認しておくほうが仕上がりが自然になります。下の表にまとめました。

部位特徴アプローチ
おでこ中央縦のへこみ中央ラインを充填
こめかみ接続部側面のへこみ側面のボリューム
眉の上横の凹凸浅い層でなめらかに

おでこフィラー施術後に医師と患者がそれぞれ評価した改善率を示すグラフで、バーが長いほど良くなったと答えた割合が高いことを意味します。1か月時点では医師97.5%、患者87.3%が改善を実感し、12か月経っても患者の半数以上が良い状態が続いていると評価しました
おでこフィラー施術後に医師と患者がそれぞれ評価した改善率を示すグラフで、バーが長いほど良くなったと答えた割合が高いことを意味します。1か月時点では医師97.5%、患者87.3%が改善を実感し、12か月経っても患者の半数以上が良い状態が続いていると評価しました

おでこフィラーを入れると効果はどのくらい大きく、どれくらい続く?

2025年に発表されたVYC-17.5Lのおでこ臨床研究では、80人を対象におでこフィラーの効果を追跡しています。施術1か月後に医師が評価した改善率は97.5%、患者自身による評価でも87.3%と、ほとんどの人がはっきりとした変化を実感していました。

時間がたつにつれて効果は少しずつ弱まっていきます。12か月の時点では医師評価による改善率は25.3%まで下がりましたが、患者自身が感じる改善率は54.7%と半数以上が効果の持続を実感していました。平均注入量は0.92mLで、効果が物足りないと感じた参加者の32.5%が平均0.56mLを追加注入しています。

この数値は絶対的な基準ではなく、あくまで平均的な傾向です。実際の持続期間は注入量やフィラーの種類、個人の代謝スピードによって変わります。ただ、1回の施術で1年近く効果が残るという点は、おでこフィラーがコンスタントに選ばれている理由を物語っています。

おでこフィラーに使われるBeloteroのヒアルロン酸フィラー製品

おでこにはなぜ粘弾性の高いHAフィラーを使うべき?

フィラーによって粘弾性は異なります。この硬さを表す数値がG primeです。ジェルを押してから離したときに元の形に戻ろうとする力のことで、値が高いほど押されても形をキープしやすく、下から持ち上げて支える力も強くなります。

おでこは骨の上で広い面を平らに満たす必要がある部位です。ここに柔らかいフィラーを入れると、表情を作るたびに横に広がり、しこりのように触れてしまいます。そのためおでこやこめかみのように深い層でボリュームを作る部位では、G primeが高いフィラーを使うのが標準になっています。

2024年に発表された5段階のおでこ形成に関する研究でも、G primeの高いHAフィラーをカニューレで骨膜に近い層に注入してボリュームを作っています。参加者10人では施術直後の改善度がもっとも大きく、6か月、12か月経ってもかなりの部分の効果が残っていました。軽い圧痛が10%、一時的な腫れが30%で見られましたが、ほとんどは短期間でおさまりました。

フィラーによる視力障害の症例365件を注入部位別の割合で示したグラフで、バーが長いほどその部位での事故が多く報告されたことを意味します。鼻がもっとも多く、おでこが2番目に多くなっています
フィラーによる視力障害の症例365件を注入部位別の割合で示したグラフで、バーが長いほどその部位での事故が多く報告されたことを意味します。鼻がもっとも多く、おでこが2番目に多くなっています

おでこフィラーはなぜ危険なことがある?血管はどこを通っている?

おでこは血管が浅い位置を通っている部位です。眉の内側の上をsupratrochlear動脈が、眉の外側の上を眼窩上動脈(supraorbital artery)が走っており、どちらも目につながる眼動脈と接続しています。この血管の中に誤ってフィラーが入ると、逆流して網膜動脈を詰まらせ、失明につながることがあります。

解剖研究によると、supratrochlear動脈の浅い枝は皮膚表面から平均1.5mmというごく浅い位置を通っています。眉の上15から25mmの地点を通過し、血管の位置や分岐の形は人によって少しずつ異なります。

2024年に発表されたフィラーによる失明症例のレビューでは、365件の視力障害の症例のうち鼻が40.6%、おでこが27.7%、眉間が19.0%を占めていました。おでこは2番目に多い部位であることからも、鼻や眉間に劣らず血管の位置を正確に把握したうえで施術する必要があります。

注入する層と施術の安全性はどう守る?

血管トラブルを減らすためにもっとも基本となるのは、正しい注入の深さを守ることです。おでこ上部の広い面は骨膜のすぐ上の深い層に入れることで、血管が走る層を避けられます。逆に眉に近い下側は血管がより浅い位置を通っているため、できるだけ浅い層で少量ずつ扱うほうが安全です。

カニューレは先端が鈍いため血管を押しのけながら進み、先の尖った針よりリスクが低いとされています。それでも1か所に多い量を一度に押し込まず、ゆっくりと少量ずつ分けて注入するのが原則です。注入前に吸引して逆血がないかを確認しておくことも重要です。

注入中に急に強い痛みが出たり、皮膚が白っぽく変わる感じや視界の異常があったりした場合は、すぐに中止する必要があります。こうしたサインを見逃さないためにも、施術者とあらかじめ症状を共有しておき、施術後もしばらく経過を見守ることが大切です。

部位危険な血管注意点
眉の上、下寄りSupratrochlear動脈できるだけ浅く、少量ずつ
おでこ上部の広い面Supraorbital動脈の分枝骨膜上の深い層
全体フィラー注入全般カニューレでゆっくり

おでこフィラーで血管が詰まった場合、すぐに高用量のhyaluronidaseを注射してフィラーを溶かし、血流を取り戻す

トラブルが起きても元に戻せる?

おでこに使うフィラーはほとんどがHA成分のため、問題が起きてもhyaluronidaseで溶かして元に戻せるという利点があります。血管が詰まったと考えられる兆候、つまり強い痛みや白く変わる皮膚、網目状の斑点が見られた場合は、その部位にすぐ高用量のhyaluronidaseを注射し、溶けたフィラーが血管の外へ広がるようにします。

文献ではこうした状況で1500単位ほどの高用量を、組織に十分行き渡るように注射する方法が推奨されています。視力の異常まで伴う場合は、supratrochlear動脈や眼窩上動脈の周囲にも追加で注射し、眼球マッサージを併用する方法も提案されています。ただし回復の効果は時間に大きく左右され、詰まってから4から6時間が過ぎると組織の損傷が元に戻しにくい段階に進むとされています。

そのためおでこフィラーは施術経験が豊富で、緊急時にもhyaluronidaseをすぐに使える医療機関で受けるのが安全です。施術後も痛みや皮膚の色の変化が続く場合は、我慢せずすぐに病院へ連絡することをおすすめします。

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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