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リップフィラーの効果と持続期間、副作用、そして唇にはどんな製剤のフィラーが向いているのか

By Dr. Lee1 min read

顔の中で唇は、表情が最初に表れる場所です。笑うときや話すときに自然と視線が集まるので、唇の形ひとつで印象が変わって見えることもあります。最近はぐっと膨らませるより、もともとあるラインをそっと生かす方法が人気です。唇の上側中央にある山型のキューピッドボウをくっきりさせ、下がった口角を少し持ち上げる程度にフィラーを使います。リップフィラーがどんな仕組みでこの変化を生み出すのか、なぜやわらかい製剤を使うのか、効果と副作用はどこまで確認されているのか、血管合併症のような安全上の問題にはどう対応するのか、実際の論文をもとにまとめました。

リップフィラーはキューピッドボウの山と口角の脇に少量ずつ分けて注入し、自然なラインを整える

リップフィラーでキューピッドボウと口角、どう変わる?

唇の上側中央を見ると、ゆるやかに盛り上がった2つの山があります。この形をキューピッドボウと呼びます。弓のような形に似ていることから付いた名前で、ハートを描くときの上側2つの山を思い浮かべるとわかりやすいです。このラインがくっきりしているほど、唇はすっきりと立体的に見えます。

上唇中央の2つの山と、その間のくぼみを結ぶ線がキューピッドボウで、このラインがくっきりしているほど唇が立体的に見える

年齢を重ねたり、もともとのラインがぼやけていたりすると、この山が平坦に見えます。口角も同じで、ボリュームが減ると下がって見えます。リップフィラーはこの2つの山と口角の脇に少量ずつ分けて注入し、ラインを生かします。唇全体を膨らませるのではなく、もともとある輪郭線に沿って少しずつ満たしていく方法です。

注入する位置と量は人によって異なります。唇が厚めの場合は山だけを軽く際立たせ、薄めの場合は全体のボリュームを少し多めに足すといった具合に調整します。大切なのは、もともとの顔にあるラインを見つけ、その上に自然に重ねることです。

無作為化比較試験16件をまとめると、リップフィラー後に全体的な美容的改善を感じたという回答が82%で最も多く、満足度は68%でした。
無作為化比較試験16件をまとめると、リップフィラー後に全体的な美容的改善を感じたという回答が82%で最も多く、満足度は68%でした。

効果と満足度は実際どれくらい?

リップフィラーの効果を扱った無作為化比較試験16件をまとめて分析した研究があります。このメタ分析では、唇がふっくらしたと評価された割合は60%、横顔や正面から見た全体的な美容的改善が確認された割合は82%でした。施術を受けた人自身が満足したと答えた割合は68%でした。

他の研究でも似た傾向が確認されています。Restylane KysseとJuvederm Volbellaを比較した無作為化比較試験では、280人を対象に48週間、ほぼ1年近く追跡したところ、唇のふっくら感の改善効果が88%以上そのまま維持されました。別の観察研究では、施術4週間後に満足度が94.1%まで上がり、1年経過時点でも半数を超える人が改善した状態を維持していました。

数字だけを見ると、リップフィラーがなぜ長く選ばれ続けているのか納得できます。ただし、この結果は熟練した施術者が決まった方法で行った臨床試験によるもので、実際の結果は施術者や個人の状態によって変わることがあります。

唇にはなぜやわらかい製剤が向いている?

フィラーによって硬さは異なります。この硬さを示す数値がGプライムです。ジェルを押して離したときに、どれくらい早くもとの形に戻るかを示す値で、やわらかいゼリーと硬いゼリーを押し比べてみるとその違いがよくわかります。Gプライムが高いと硬いゼリーのように形をしっかり保ち、低いとやわらかいゼリーのようになめらかに広がります。

顎先のように骨の代わりに支える必要がある部位には、Gプライムが高い硬めのフィラーが向いています。しかし唇は違います。唇は話したり笑ったり表情を作ったりする間、休まず動く部位です。ここに硬いフィラーを入れると、押されるような感覚が出たり、しこりのように触れやすくなったりします。そのため唇には、Gプライムが低い、やわらかくしなやかな製剤を使います。

市販されているリップ用フィラーも、ほとんどがこの基準に沿っています。製品ごとにやわらかさの度合いと向いている部位が少しずつ異なります。下の表で比較しました。

製品特徴向いている部位
Volbella非常にやわらかい唇全体のボリューム
Restylane Kysseしなやかで弾力があるよく動く唇
Belotero Balance薄くなじみやすいキューピッドボウのライン
Juvederm Ultra中程度のボリューム感ふっくらしたボリューム

リップフィラー後は押すと痛む圧痛が最も多く現れ、腫れやあざがそれに続きます。
リップフィラー後は押すと痛む圧痛が最も多く現れ、腫れやあざがそれに続きます。

しこりや左右差、どれくらい起こりやすい?

リップフィラー後に最もよく見られる反応は、押すと痛む圧痛です。1,496人を対象にしたメタ分析では、圧痛が88.8%、腫れが74.3%、あざが39.5%で見られました。数字だけを見ると驚くかもしれませんが、ほとんどは施術部位に起こる軽い反応で、数日以内に落ち着きます。

しこり、つまり結節はこれよりずっとまれです。触れるとしこりを感じる肉芽腫性反応は、同じ分析で1%未満でした。別の比較研究でも、しこりに当たる結節反応は5~7%程度で、ほとんどは時間の経過やマッサージでほぐれます。

左右差は、リップフィラーでよく心配される点です。もともと唇も左右が完全に同じではないことが多いので、施術前に写真で左右差の程度を確認しておくと役立ちます。フィラーは少量ずつ分けて注入できるので、片側により多く必要な場合はそちら側だけ追加するといった形で調整していけます。

リップフィラーに使われるやわらかいヒアルロン酸フィラー製品

最近人気の少量フィラー、何が違う?

数年前までは、唇をぐっと膨らませる施術が主流でした。ふっくら感が一目でわかるほど、一度に多くの量を入れる方法です。最近の流れは違います。もとのラインを生かす程度に少量を分けて注入する方法のほうが人気です。こうすることで、目立ちにくいまま、はっきりとした印象を与えられます。

実際に口コミを探してみると、こうした傾向がよく見られます。一度に多く入れるより、半シリンジ程度から始めて足りない部分だけ追加したという口コミが多くあります。腫れが引く2~3日後に結果を見ながら少しずつ足していく方法が楽だったという意見もあります。初めて会う人が気づかないほど自然に変わったという口コミもよく見かけます。

少しずつ分けて注入すると、元に戻すのも簡単です。入れる量が少ないので気に入らないときの調整の余地も大きく、初めてフィラーを試す人にも負担が少なくなります。次の施術でもう少し足すかどうかも、気軽に決められます。一度に多く入れるより少しずつ分けて注入するのが最近の主流で、この流れは今後も続くとみられます。

ヒアルロニダーゼで血管閉塞を治療すると、ほとんどが部分回復または完全回復につながります。
ヒアルロニダーゼで血管閉塞を治療すると、ほとんどが部分回復または完全回復につながります。

血管合併症が起きたら本当に元に戻せる?

唇の周りには血管が密に走っています。フィラーが誤って血管の中に入ると、その部位へ向かう血流が滞る血管閉塞が起こることがあります。サインは比較的はっきりしています。注入直後に痛みが特に強い、皮膚の色が白っぽく変わる、あるいはまだらになった場合は、すぐに施術者に伝える必要があります。

こういうときに使う薬がヒアルロニダーゼです。リップフィラーの主成分であるヒアルロン酸を溶かす酵素の注射で、消しゴムで書き間違えた線を消すようにフィラーを元に戻す役割を果たします。HAフィラーを使う大きな理由のひとつが、まさにこの元に戻せるという点です。

実際の治療結果も確認されています。フィラーによる血管閉塞の症例14件を集めた研究では、ヒアルロニダーゼを使った場合、部分回復または完全回復に至った割合は84.2%でした。早く気づいてすぐに対応することが回復の鍵です。滅菌された正規品のフィラーと熟練した施術者という基本を守るだけでも、こうしたリスクは大きく減らせます。

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About this article

診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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