prettytime
Filler

フィラーと自己脂肪注入、時間とともに消える速さと元に戻せるかの根本的な違い

By Dr. Lee1 min read

フィラーと自己脂肪注入は、どちらも顔にボリュームを補う施術ですが、体の中で起きていることはまったく異なります。フィラーはヒアルロン酸という物質を注入するもので、自己脂肪注入は自分自身の脂肪細胞を移植するものです。素材そのものが違うため、時間とともに消えていく速さも、トラブルが起きたときに元に戻せるかどうかも、大きく変わってきます。

両方の施術で迷う人が最も気になるのは、結局この二つです。どれくらい長持ちするか、そして気に入らなかったり副作用が出たりしたときに元に戻せるかどうか。この違いがなぜ生まれるのか、体の中で起きている仕組みから整理してみます。

フィラーと自己脂肪注入、素材の違い

フィラーは、ヒアルロン酸(HA, hyaluronic acid)という物質を人工的に架橋させて作ったジェルです。ヒアルロン酸はもともと皮膚や関節の中にも存在する成分ですが、フィラーに使われるヒアルロン酸は糸同士を編み込むように化学的に結合(架橋)させ、簡単にはほどけないようにした形です。そのため体は、このジェルを完全に自分のものではない物質として認識します。

一方の自己脂肪注入は、お腹や太ももといった部位から脂肪を採取し、顔に移植する施術です。移植された脂肪細胞はもともと自分の生きた細胞なので、体は異物として認識しません。この違いが、後で触れる吸収速度と元に戻せるかどうかを分ける最初の分岐点になります。

フィラーが体内で吸収される仕組み

フィラーに含まれるヒアルロン酸は、体内にもともとあるヒアルロニダーゼ(hyaluronidase、ヒアルロン酸を細かく分解する酵素)によって、少しずつ切り分けられていきます。まるで糸をハサミで少しずつ切っていくように、この酵素が架橋された鎖を一本ずつ断ち切りながら、ジェルの体積を減らしていくのです。

架橋をどれだけ密にしたかによって、分解される速さも変わります。架橋が密で硬いフィラーほど、酵素が鎖を切り終えるまでに時間がかかるため長く残り、架橋が緩いフィラーは比較的早くほどけます。そのため部位や製品によって、持続期間は短ければ数ヶ月、長ければ1、2年まで幅広く報告されています。

注入した部位がどれだけよく動くかも、吸収速度に影響します。唇や口の周りのように表情を作るたびに筋肉が動き続ける場所は、フィラーが物理的な刺激を頻繁に受けるため、比較的早く吸収される傾向があると言われています。反対に動きの少ない部位は、同じ製品を入れてもより長く残る傾向があります。糸をそっと置いておくのと、何度も引っ張るのとの違いをイメージすると分かりやすいでしょう。

自己脂肪はなぜ移植直後に多く消えてしまうのか?

移植された脂肪細胞は、移された瞬間に元の血管とのつながりが切れます。細胞が生き残るには、酸素と栄養を供給してくれる新しい血管が伸びてくる必要がありますが、このプロセスには数日から数週間かかります。その間、十分な酸素を受け取れなかった細胞の多くは持ちこたえられず死んでしまいます。

このプロセスは、鉢植えを植え替えるのとよく似ています。根が新しい土から再び水を吸い上げるまで、しおれた状態を耐え抜かなければならない植物のように、脂肪細胞も新しい血管が定着するまでの峠を越えなければ生き残れません。そのため移植直後は体積が自然に減り、その後は生き残った細胞だけが定着します。どれだけ生き残るかは、移植部位や脂肪の扱い方、個人の血行状態によって人それぞれ差が大きいと言われています。

持続期間を分ける決定的な要因

フィラーは最初から最後まで、酵素が少しずつ削っていく過程をたどります。そのため時間が経つほど体積が着実に減っていきます。一方の自己脂肪は、移植初期に細胞が大きく減る時期を過ぎると、その後生き残った細胞は血管を備えた体の正常な一部になります。

生き残った脂肪細胞はもはや異物ではなく、ただの自分の脂肪組織になるため、分解酵素の標的にはなりません。そのため初期の吸収期を過ぎた後は、半永久的に維持されると説明されます。ただし体重が大きく増減すれば、他の脂肪組織と同じように体積も一緒に変化することがあります。生きた脂肪であるという特性そのものが、こうした変化を生むのです。

フィラーは元に戻せて自己脂肪は難しい理由

フィラーが持つ大きな利点の一つは、元に戻せるということです。ヒアルロニダーゼ成分の溶解注射をフィラーのある場所に打つと、体内でゆっくり起きていた分解反応が、短時間のうちにずっと速く進みます。もともと体が数ヶ月かけて行うことを、濃縮された酵素で数日のうちに終わらせるようなものです。

自己脂肪にはこうした方法がありません。生き残った脂肪細胞はすでに血管を備え、周囲の組織と区別がつかない自分の体の一部になっているため、特定の場所の脂肪だけを選んで溶かす注射や薬は存在しません。体積を減らすには、脂肪吸引のように物理的に取り除く外科的な方法を検討する必要があります。結局のところ、フィラーは化学的に作られた物質だからこそ化学的に元に戻せて、自己脂肪は生きた組織だからこそそれだけ元に戻すのが難しいのです。

副作用が起きたときの対処法の違い

フィラー施術中に万が一血管を塞ぐようなトラブルが起きた場合、ヒアルロニダーゼを注射することで詰まっているフィラーを素早く溶かし、血流を回復させることができます。こうした即効性のある対処手段があることは、フィラーの安全性において重要視される理由の一つです。

自己脂肪注入では、生き残れなかった脂肪細胞の一部が硬いしこりや脂肪嚢腫(脂肪壊死、死んだ脂肪細胞の周りにできる袋状の組織)として残ることがあります。こうした場合、すぐに溶かす方法がないため、時間をかけて様子を見たり、マッサージ、針で吸引する処置、必要であれば小さな切開で取り除く方法が用いられます。対処法そのものが化学的な溶解ではなく、物理的な処置に傾く理由です。

どちらの施術も、施術者の技術が結果に大きく関わる点は同じです。フィラーは注入の深さと層をどれだけ正確に見極めるかによって、腫れやしこりのできやすさが変わり、自己脂肪は脂肪を採取して精製する過程で、どれだけ細胞へのダメージを抑えて扱えるかによって生存率が変わると説明されます。素材の性質は違っても、扱う人の熟練度が結果に与える影響は、どちらの施術でも重要視されるポイントです。

自分にはどちらの施術が合っているのか?

選択は結局、持続期間と元に戻せるかどうかの優先順位によって変わります。以下の基準を参考にしてみてください。

  • 初めて試す部位なら、フィラーの方が負担が少ないです。 気に入らなかったり問題が起きたりしても、溶解注射で元に戻せる余地があるためです。
  • 長く続く結果を望むなら、自己脂肪注入が有利です。 初期の吸収期を過ぎた後は生きた組織として定着し、半永久的に残ると説明されるためです。
  • 広い範囲を満たす必要があるなら、自己脂肪の方が材料の確保に有利です。 自分の体から採取した脂肪を使うため、フィラーより多くの量を一度に扱える場合が多いです。
  • 回復期間を短くしたいなら、フィラーの方が負担が少ないです。 脂肪吸引の工程がない分、腫れやあざが比較的少ないと言われています。

両方の施術は競争関係というより、状況によって違う答えを出してくれる道具に近いものです。どの部位を、どれくらい長く、どんな方法で満たしたいかによって、より合う方を選べば良いでしょう。

References

Korean Dermatological Association, American Academy of Dermatology (AAD), and Ministry of Food and Drug Safety (MFDS).

この記事は参考になりましたか?

About this article

診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

Read next

Filler

ラディエスのカルシウム成分フィラーがボリュームを満たしながらコラーゲンまで刺激する仕組みと持続期間

ラディエスはカルシウム成分の微粒子が注入直後からボリュームを作りながら、同時にコラーゲンの生成も促すフィラーです。微粒子がなぜボリュームを生み出し、どのようにコラーゲン刺激へとつながるのか、薄めてスキンブースターとして使う理由や持続期間まで、仕組みを中心にまとめました。

By Dr. Lee

Filler

横に走る首のしわのフィラー, なぜBelotero Softのようなやわらかいフィラーを浅く使い, 何回かに分けて打つのか

首を横切る横じわをフィラーで満たすとき, 顎や頬に使う硬めのフィラーではなくBelotero Softのようなやわらかいフィラーを浅く少量使うべき理由, 持続期間や施術回数, チンダル現象と安全性はどうなのかを実際の論文をもとに分かりやすくまとめます。

By Dr. Kim

Back to articles