目尻のしわボトックスがカラスの足跡を伸ばす仕組みと標準用量、効果の持続期間や注意点まで
By Dr. Kim1 min read

目尻に扇のように広がる細かいしわは、よくカラスの足跡と呼ばれます。笑ったり目を細めたりしたときに、目尻の外側にくしゃっと寄るあのしわです。実年齢より疲れて見えたり老けて見えたりする原因になりやすく、気にする方が多いところです。そんなときに比較的手軽に試せるのが、目元のボトックスです。しわを作る筋肉の働きを少し抑えることで、笑ったときに畳まれていた皮膚が畳まれにくくなり、しわが目立たなくなる仕組みです。ただ、目のまわりはとても繊細な部位なので、注入する場所と量が結果を大きく左右します。そこで、カラスの足跡ができる理由、ボトックスがどのような仕組みでしわを伸ばすのか、どこにどのくらい注入して効果はどれくらい続くのか、そして副作用や注意点まで、実際の論文データをもとにまとめました。

目元のしわ、カラスの足跡はなぜできるのか
目のまわりには、まばたきや目を閉じる動きを担う筋肉が輪のように広がっています。この筋肉は眼輪筋、英語ではorbicularis oculiと呼ばれます。目を閉じるスイッチであると同時に、笑ったときに目尻を引き締める筋肉でもあります。ですから、笑ったり目を細めたりするたびにこの筋肉が収縮し、目尻の外側の皮膚を扇のように畳みます。この畳みが長い間くり返されると、跡が残ってカラスの足跡になります。
ここに肌の老化が重なると、しわがはっきりしてきます。年齢を重ねると肌のコラーゲンや弾力繊維が減り、薄くなっていきます。そうすると畳まれた皮膚が自然に伸びる力が弱くなり、笑顔をやめたあともしわの跡が残るようになります。しかも目元の皮膚はもともと顔の中でも特に薄い部分なので、他の場所よりしわができやすいところです。紫外線も弾力繊維を傷めるため、老化を早める要因になります。
そのため、カラスの足跡は大きく二つに分けられます。一つは笑ったときだけ現れる表情じわ、もう一つはじっとしていても残る静止じわです。表情じわは筋肉の動きが主な原因なので、ボトックスがよく効きます。一方で、すでに深く刻まれた静止じわは皮膚そのものが薄くなり、傷んだ結果できたものなので、筋肉だけをゆるめても限界があります。ですから、施術を受ける前に自分のしわがどちらに近いのかを見極めることが最初のステップになります。

ボトックスはどんな仕組みで目元のしわを伸ばすのか
目元のボトックスは、しわを物理的に押し伸ばす施術ではありません。しわを作っている眼輪筋の力を弱める方法です。ボツリヌストキシンが神経の末端から筋肉へ向かう信号を遮断すると、その筋肉の収縮が弱まります。すると、笑ったときに目尻を引き締めて畳んでいた力が減り、皮膚が畳まれにくくなってしわが浅くなります。畳まれる回数そのものを減らすことで、跡が残りにくくするというわけです。

効果は数字でも確認できます。大規模な臨床試験2件を見ると、目元にトキシンを注入して1ヶ月後、医師の評価で87.4%がしわが1段階以上改善しました。本人の評価も78.8%と高く、注入していない側は12.1%にとどまりました。笑ったときに現れる表情じわでは、ほとんどの人が目に見えて和らぐということです。
ただ、期待値は現実的に持っておくことをおすすめします。しわがまったくない、あるいはごくわずかな状態まで到達した人は半数ほどでした。つまり、カラスの足跡が完全に消えるというより、細かく寄っていたしわが浅く滑らかになると考えるのが正確です。そしてこの効果は、笑ったときに現れる表情じわでよく現れ、すでに深く刻まれた跡はあまり伸びません。
どこにどのくらい注入するのか
目元のボトックスは、目尻の外側、眼輪筋が扇のように広がる部分を狙います。標準用量についてはデータがしっかり積み重なっています。米国FDAの承認基準では、ボトックスは片側12ユニットずつ、両側合わせて24ユニットを使用します。片側3ヶ所に4ユニットずつ分けて、皮膚のすぐ下にごく浅く注入します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象筋肉 | 眼輪筋(orbicularis oculi) |
| 標準用量 | 両側24 U、片側12 U |
| 注入部位 | 目尻外側の片側3ヶ所 |
| 深さ | 皮膚のすぐ下に浅く |
注入部位が結果を大きく左右します。目尻から指1本分ほど外側、骨の上にある安全なポイントを選び、浅く注入する必要があります。あまり下すぎる位置に入れて頬骨側の筋肉に薬剤が届いてしまうと、笑ったときに頬が不自然に見えることがあります。また、目に近すぎる内側に入れると、目を閉じる力や下まぶたに影響が出ることがあるため、目からは一定の距離を空けます。ゼオミンもボトックスと用量の考え方が同じなので同様に使われ、ディスポートは単位の基準が違うため片側30ユニット前後とやや多めに使います。筋肉の力が弱い人や下まぶたが厚めの人は、量を減らして慎重に始めます。

効果はいつ現れて、どのくらい続くのか
目元のボトックスも、注入してすぐにしわが伸びるわけではありません。トキシンが神経信号を遮断して筋肉の力が抜けるまでには、数日かかるためです。通常、施術後3日から7日ほどでしわが少しずつ浅くなり始め、2週間ほどでもっともはっきり現れます。ですから、効果を判断するのは2週間ほど経ってからが正確です。
持続期間はだいたい4ヶ月前後です。大規模臨床試験で効果が続いた期間を中央値で見ると、笑ったときに現れるしわは約125日から144日、じっとしていても残るしわは137日から148日でした。日数だと分かりにくいですが、4ヶ月から5ヶ月の間ということになります。半数を超える人が4ヶ月以上効果を維持しました。
時間が経つと神経の末端がふたたび信号を送るようになり、筋肉の力が戻ってきて、しわも少しずつ元に戻っていきます。そのため、効果を続けたいなら3ヶ月から4ヶ月の間隔で再注入します。長期間規則的に受けていると、筋肉が弱った状態に慣れて間隔が延びる方もいます。反対に、目元は表情をよく動かす部位なので、額よりやや早めに効果が切れることもあります。ですから、効果が薄れてきたタイミングで再注入するのがおすすめです。
深く刻まれた静止じわにはどこまで効くのか
先ほど触れたように、カラスの足跡といっても全部が同じしわではありません。原因によってボトックスがよく合う場合もあれば、他の方法を組み合わせたほうがよい場合もあります。大きく3つに分けて考えると、方向性が見えてきます。
| しわの状態 | 適した方法 |
|---|---|
| 笑ったときのしわ | 目元ボトックス |
| じっとしていても残る跡 | フィラーやスキンブースター併用 |
| 目の下のたるみと脂肪 | レーザーやリフティングを検討 |
笑ったときだけ現れる表情じわには、ボトックスがもっともよく効きます。一方で、じっとしていても溝が残るほど深く刻まれた静止じわは、筋肉をゆるめても跡が残ります。こうしたケースでは、ごく少量のフィラーやスキンブースターで浅い溝を埋めたり、フラクショナルレーザーで肌のきめを整え直したりする方法を組み合わせます。トキシンで畳まれる動きを減らし、他の方法で刻まれた跡を埋めるという形で、お互いを補い合うわけです。
目の下の皮膚がたるみ、小じわと脂肪が重なっている場合は、少し話が違います。こうした構造的な変化はボトックスだけで整えるのが難しく、目の下のレーザーやリフティングを検討したほうがよいでしょう。むしろ目の下にボトックスを誤って使うと、支えていた力が抜けてかえってたるんで見えることがあるため注意が必要です。ですから、目元のしわが気になる場合は、笑ったときのしわなのか、刻まれた跡なのか、たるみなのかをまず見極めて方法を選ぶことが、結果を左右します。

副作用と注意すべき点は
目元のボトックスでもっとも知っておきたいのは、薬剤が周囲に広がってしまうケースです。目はとても繊細な部位なので、注入する場所が少しでもずれたり量が多かったりすると、トキシンが周囲の筋肉に広がることがあります。あまり下すぎる位置に入れて頬骨側の筋肉に届いてしまうと、笑ったときに頬が下がったり表情がぎこちなくなったりすることがあります。ごくまれに、目を動かす筋肉にまで広がると、物が二重に見える複視が起こることもあります。ほとんどの場合は薬の効果が切れるとともに回復しますが、こうしたリスクがあるため、目から一定の距離を保ち、浅く注入することが重要です。
このほか、注射針の跡による内出血や腫れはよく見られますが、すぐに落ち着きます。目元は毛細血管が多く内出血しやすい部位なので、施術前に軽く氷で冷やしておくこともあります。笑ったときに目の下が少しふくらんで見えたり、表情がいつもと違う感じになったりすることもありますが、たいてい用量を調整すれば自然な仕上がりになります。
満足度は総じて高い傾向にあります。眉間と目元を同時に注入した人を見ると、2ヶ月目の時点で期待どおりの効果だったと答えた人が86.7%、結果に満足していると答えた人が81.7%でした。結局のところ、この施術はどこにどのくらい注入するかで結果が変わるため、目のまわりの解剖に詳しく経験豊富なクリニックで受けることが安全につながります。原因をきちんと見極めて表情じわに合わせたアプローチをすれば、目元のボトックスは短い施術で疲れて見えがちな目もとを、ぐっと穏やかな印象に変えてくれます。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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