体にひとつふたつと増える赤い点、チェリーエンジオーマができる原因とレーザーで消す方法
By Dr. Kim1 min read

体に赤い点がひとつふたつと増えているのに気づいて、驚いてすぐ病院に駆け込む方は少なくありません。特に胴体や腕に粟粒ほどの赤い点が急に何個も現れると、まず頭をよぎるのは何か大きな病気ではないかという不安です。
この赤い点は、たいていの場合チェリーエンジオーマと呼ばれる良性の血管病変です。名前の通りチェリーのように赤く丸く盛り上がった形をしていて、正体さえわかれば、なぜできるのか、なぜレーザーで消せるのかも自然と腑に落ちてきます。
体の中の小さな血管はなぜ集まって赤い点になるのでしょうか?
皮膚の中には毛細血管、髪の毛より細いごく小さな血管が網の目のように広がっています。本来この血管は広く分散していて、血液をまんべんなく運ぶ役割を担っています。
ところが、ある部位ではこの細い血管が何本も一箇所に集まり、小さな塊のように寄り集まってしまうことがあります。血管が集まるとその中に血液が多く溜まり、皮膚表面近くで透けて見えるため赤い点として現れるわけです。風船をいくつも一箇所に集めると、そこだけぷっくりと盛り上がって色が濃く見えるのと似た理屈です。
このように集まった血管の塊を医学的には血管腫と呼びます。チェリーエンジオーマはその中でもサイズが小さく、表面近くに位置していて、押しても消えにくいくっきりとした赤い点の形をしているものを指します。
年齢を重ねるほどなぜ増えていくのでしょうか?
30代以降からこうした点がひとつふたつと増える人が多く見られます。理由は血管そのものが加齢とともに変化していくためです。
血管壁は年齢を重ねるほど弾力を失い、弱くなっていきます。壁が弱くなると血管は元の形を保ちにくくなり、狭い場所で曲がりくねって伸びたり、隣の血管と近づいたりしやすくなります。この過程で小さな血管が自然と一箇所に集まるケースが増えていくのです。
さらに、加齢によって血管を新しく作れという信号を送る物質、血管内皮増殖因子(VEGF)の働きが変化するという報告もあります。この物質は血管の細胞にもっと増えるよう指示を伝える信号のような役割を果たしていて、この信号が特定の部位で活発になると、そこに小さな血管が新しくできたり、既存の血管が寄り集まる方向に働いたりすることがあります。そのため、40代、50代になるにつれて胴体や腕に点がひとつずつ増えるケースがよく見られるのです。
遺伝やホルモンも影響するのでしょうか?
家族にこうした点が多い人がいると、本人にもできやすい傾向があります。血管壁の強さや血管が育つ性質そのものが、ある程度遺伝の影響を受けるためです。
ホルモンの変化も関係していると言われています。妊娠中やホルモン値が大きく変動する時期に、チェリーエンジオーマが新しくできたり色が濃くなったりするケースが報告されています。女性ホルモンが血管を弛緩させ、血管壁の反応性を高める方向に働くためではないかと推測されています。ただし、こうした点ががんや他の全身疾患と直接結びつくという根拠はなく、ほとんどは加齢とともに起こる自然な変化と考えられています。
ほかの赤い斑点とはどう見分ければいいのでしょうか?
赤い点だからといって全て同じというわけではありません。見た目は似ていても原因や性質が異なる場合があるため、次のような特徴で見分けると役立ちます。
- チェリーエンジオーマ:くっきりとした赤色または紫色の半球状で、押しても色が抜けにくく、時間が経っても自然には消えません。血管がすでにしっかりと寄り集まった状態のため、圧力をかけても中に溜まった血液が抜けにくいからです。
- クモ状血管腫(spider angioma、中心の血管から細い毛細血管がクモの巣状に広がった形):中心を押すと周囲の赤みも一緒に薄くなり、手を離すとまた戻ります。中心の血管一本が複数に枝分かれする構造のため、圧力をかけるとその枝を流れていた血液が一時的に抜けるからです。
- 点状出血:血管の中ではなく血管の外に血液が漏れ出て皮膚組織にしみ込んだ状態のため、押しても色は全く変わらず、7日から14日かけてあざのように色が薄れて消えていきます。
こうした違いがあるため、赤い点が急に大きくなったり、形が非対称だったり、簡単に出血したりする場合は、別の病変である可能性もあるので診察を受けておくと安心です。
血管レーザーはどんな仕組みで点を消すのでしょうか?
チェリーエンジオーマを消すのに最もよく使われる方法が血管レーザーです。代表的にはパルス色素レーザー(PDL)やNd:YAGレーザーが用いられます。
このレーザーの原理は、選択的光熱分解という考え方に基づいています。難しく聞こえますが、仕組み自体はいたってシンプルです。レーザー光は特定の色を持つ物質にだけよく吸収される性質があり、血管の中のヘモグロビン、血を赤くしている成分がこの光を特にたくさん吸収します。黒い服が白い服より日差しを多く吸収して熱くなるのと同じ理屈です。
レーザーが血管に当たると、ヘモグロビンが光エネルギーを吸収して瞬間的に熱が発生します。この熱が血管壁に伝わることで血管が凝固してふさがります。ふさがった血管はもう血液を流さなくなり、時間とともに体がその組織を少しずつ吸収して片づけていきます。その結果、赤い点は少しずつ薄くなり、やがて消えていくのです。
重要なのは、この熱が血管だけに集中するという点です。周囲の正常な皮膚細胞にはヘモグロビンがないため、同じ光を受けてもほとんど熱を吸収しません。そのためターゲットとなった血管だけが片づけられ、周囲の皮膚は比較的そのまま残ります。病変のサイズが小さいほど、表面に近いほど、1、2回の施術でも良い反応が得られるという報告があります。
施術後の回復とケアはどうすればいいのでしょうか?
施術直後は、その部位が赤くなったり少し腫れたりすることがあります。凝固した血管組織が体に吸収されていく過程で現れる自然な反応です。
まれにその場所に小さなかさぶたができることもありますが、これは表面組織が一時的に傷ついてから回復する過程でできるものです。このかさぶたを手ではがすと傷跡や色素沈着につながることがあるため、自然に取れるまで待つのがよいとされています。
施術部位は紫外線に敏感になることがあるため、施術後1週間から2週間は日焼け止めをこまめに塗るのが役立つと言われています。熱い湯船での温めや強い摩擦も、かさぶたが取れるまでの1週間から2週間は避けたほうが回復には有利です。
消した場所にまた新しくできることはあるのでしょうか?
レーザーで消したまさにその血管が再び生き返るケースはまれです。すでに凝固してふさがった血管は、体がそのまま吸収して片づけてしまうためです。
ただし、チェリーエンジオーマは一箇所だけにできる病変ではなく、加齢とともに体のあちこちの血管が似たような形で変化していく現象です。そのため、既存の点を消しても、時間が経てば別の場所に新しい点がまたできることがあります。これは施術が失敗したからではなく、血管が年齢を重ねていく自然な流れが続いているだけのことです。
病院に行くべきなのはどんなときでしょうか?
ほとんどのチェリーエンジオーマは健康に害のない良性病変なので、必ずしも消す必要はありません。次のような変化があれば診察を受けておくとよいでしょう。
- 短期間のうちに数が急に増えた場合:まれに他の全身状態と関連する変化の可能性もあるため確認が必要です。
- 点の色や形が非対称に変わったり境界がぼやけたりした場合:単純な血管腫ではない別の皮膚病変との鑑別が必要なサインかもしれません。
- 襟や衣類のベルトに繰り返しこすれて出血しやすかったり、痛みがあったりする場合:位置的に刺激が繰り返されると傷が治りにくくなることがあるため、先に消しておくほうが安心です。
こうした場合でなければ、美容上の理由で消したいときに血管レーザー施術を検討すればよいでしょう。
References
Korean Dermatological Association, Ministry of Food and Drug Safety (MFDS), American Academy of Dermatology (AAD), and U.S. Food and Drug Administration (FDA).
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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