頬骨下・頬のフィラーで中顔面のへこみを整え、ほうれい線とたるみまで改善する仕組みと血管の安全基準
By Dr. Kim1 min read

鏡で正面から見る分には気にならないのに、写真の横顔や斜め45度になると急に疲れた印象になることがあります。目の下と頬骨下がのっぺりへこみ、頬の内側に影ができることで、実年齢より疲れてたるんだ雰囲気になってしまうのです。本来もっとも光を受けて立体感を作るはずの中顔面が低くなると、その下の組織が流れ落ちるように垂れ下がり、ほうれい線や口元の陰も一緒に深くなります。そのため最近は、ほうれい線そのものを直接埋めるより、その上にある頬骨下や頬にボリュームを戻して顔全体を持ち上げるアプローチがよく使われています。ただし頬は目につながる血管が通る場所でもあるので、どのフィラーをどの層に入れるのかをあらかじめ知っておくと、安心してカウンセリングを受けられます。

頬骨下と頬がへこむとなぜ老けて見えるのでしょうか?
中顔面は顔の中でもっとも高く盛り上がり、光を受け止める場所です。ここがしっかりとハリを保っていてこそ顔に立体感が出て、若々しく生き生きとした印象になります。しかし年齢を重ねると、この高い面がいくつかの理由で少しずつ低くなっていきます。
まず上顎骨や眼窩の下の骨自体が少しずつ吸収され、土台となる骨が低くなります。そこを満たしていた深部の頬脂肪も体積が減って下垂し、脂肪を支えていた靭帯が緩むと頬全体が流れ落ちてしまいます。結果として頬骨下はへこみ、その下は折りたたまれるようにほうれい線と頬のたるみが目立ってきます。
つまり老けた印象の出発点は、しわそのものではなくボリュームを失った中顔面であることが多いのです。目の下がへこむとクマのように影ができ、頬が低くなるとその下のフェイスラインまでぼやけて見えます。ほうれい線だけを単独で埋めるとかえって不自然になりやすいのも、ここに理由があります。原因がボリューム減少なら、まずへこんだ部分を回復させるのが先です。どんな変化が重なって起きるのか、下の表にまとめました。
| 原因 | 部位 | 見た目の変化 |
|---|---|---|
| 骨吸収 | 上顎、眼窩下 | 土台が低くなる |
| 脂肪減少 | 深部の頬脂肪 | ボリュームがへこむ |
| 靭帯の緩み | 頬の支持靭帯 | たるみ、ほうれい線 |

頬骨下を整えるとなぜほうれい線とたるみまで改善するのでしょうか?
ほうれい線は、頬がへこんで下に垂れることで生まれる折れ線です。だから線の内側だけをどれだけ埋めても、上の頬が垂れ続ける限りすぐにまた深くなってしまいます。反対に、へこんだ頬骨下にボリュームを入れて土台を立て直すと、その上に乗って垂れていた組織が引き上げられ、ほうれい線と頬のたるみが一緒に浅くなります。倒れた柱を立て直すと、たるんでいた布がピンと張るのと似た仕組みです。
実際に、ほうれい線が深くなった方を2つの方法に分けて比較した研究があります。頬骨下にボリュームを入れたグループは10人中7人が結果に満足したのに対し、糸リフトで引き上げたグループは3人にとどまりました。垂れたしわを上から無理に引っ張るより、へこんだ土台を先に立て直すほうが自然な改善につながったということです。
そのため最近は、ほうれい線の相談で来院された方でも、まず頬と頬骨下の状態を確認します。原因がボリューム減少であれば、その部分を埋めるほうが結果もよく持続もします。さらに頬骨下にハリが戻ると顔に自然なハイライトが生まれ、全体的に若見えする効果も期待できます。ただしたるみが非常に強い場合はフィラーだけでは限界があり、リフティング施術と組み合わせて考えるほうがよいでしょう。

ボリューム用HAフィラーはなぜ硬い製品を使うのでしょうか?
フィラーはどれも同じジェルというわけではなく、製品ごとに硬さが違います。この硬さを表す値がGプライムです。ゼリーを指で押してから離したとき、元の形に戻ろうとする力だとイメージするとわかりやすく、値が大きいほど押されても広がらず、しっかりと支えて立ち上げる力が強くなります。
頬と頬骨下は、骨の上の深い層で広い面を支え立てる必要がある部位です。ここに柔らかいフィラーを入れると、笑ったり噛んだりするたびに横に押されて偏り、ボリュームもすぐにしぼんでしまいます。そのため深いボリューム作りにはGプライムの高い硬めの製品を標準として使います。上のグラフを見ると、浅い層に使うベロテロ ソフトは40程度と柔らかい一方、頬のボリュームによく使われるヴォルマは398、さらに硬いレスチレン リフトは977と高い値になっています。
もちろん硬ければ何でもよいわけではありません。目の下のように皮膚が薄い部位に硬い製品を浅く入れると、かえって形が透けて見えたり、しこりのように見えたりします。ジェルが偏った部分は光を受けると青く透けて見えることもあります。そのため同じ頬でも、深いボリュームは硬い製品で支え、表面をなめらかに整える部分はやや柔らかい製品で使い分けることが多いのです。どの層にどの製品を入れるかが、仕上がりの自然さを左右します。

頬フィラーはどの層に注入すれば血管トラブルを避けられるのでしょうか?
頬は広くて平らなので安全そうに見えますが、実際には顔面動脈とその枝である眼角動脈、眼窩の下から出る眼窩下動脈が通る場所です。これらの血管は目につながる血管とつながっているため、フィラーが誤って血管内に入り逆流すると、まれに皮膚壊死や失明につながることがあります。
上のグラフのように、フィラーによる視力喪失の症例を部位別に集計すると、鼻が37.4%でもっとも多く、頬自体は2.1%と少なめです。ただし頬とつながるほうれい線部位は6%と低くないため、頬骨下より下の部分を扱うときは特に注意が必要です。
事故を減らす基本は、注入する層と使う器具です。ボリュームは骨膜のすぐ上の深い層に入れて、血管が通る浅い層を避けます。また先端が丸いカニューレを使うと、鋭い針より血管を押しのけながら進むため危険性が下がります。さらに一度に多くの量を押し込まず、少量ずつゆっくり分けて注入するのが原則です。注射器を軽く引いて血液の逆流がないか確認することも役立ちます。それでも注入中に急に強い痛みが出たり、皮膚が白く変色したり視界がかすんだりした場合は、すぐに中止して対応する必要があります。

頬フィラーはどれくらい長持ちし、どれくらい自然に仕上がるのでしょうか?
頬フィラーの利点は、効果が長く続くことです。ボリューム用製品を使った大規模な臨床試験では、施術から6か月の時点で92.8%が頬の改善を実感し、2年が経過したあとも79.0%が改善した状態を維持していました。顔全体の満足度も6か月で89.8%、2年で75.8%と、4人に3人の割合で保たれています。ほぼ半数は2年経っても最初に補正したボリュームがそのまま残っていました。
これだけ長く持続するからこそ、最初から入れすぎないことが大切です。一度に多くの量を入れると、笑ったときに頬が不自然に膨らみ、時間が経つとヒアルロン酸が水分を吸って余計に大きく見えることもあります。いわゆる「フィラー過多顔」になってしまうのです。頬骨下が過度に張り出すと、若く見えるどころかかえって作られた印象を与えてしまいます。
そのため、やや控えめに始めて経過を見ながら少量ずつ足していくほうが、安全で自然な仕上がりになります。頬は表情を作るたびに動く部位なので、静止した状態だけを見て量を決めると、笑ったときにしこりのように見えることがあります。正面だけでなく横顔や笑顔まで確認しながら量を決めれば、わざとらしくならずに顔全体が明るく見える結果を得やすくなります。

頬フィラーはどんな人に向いていて、トラブルが起きたときはどう対処するのでしょうか?
頬フィラーは、骨と脂肪が減って頬骨下がへこみ、ほうれい線が深くなった方に向いています。反対にたるみが非常に強い場合や、頬自体の脂肪が厚い場合は、フィラーよりリフティングや別のアプローチのほうが適していることがあるため、まず原因を見極めることが大切です。妊娠中や授乳中の方、頬の部位に炎症や感染がある方、ヒアルロン酸に過敏反応を起こしたことがある方は施術を避けるべきです。
頬に使うフィラーはほとんどがHA(ヒアルロン酸)成分なので、万が一トラブルが起きても、ヒアルロニダーゼという分解注射で元に戻せることが大きな利点です。仕上がりが気に入らない場合やしこりができた場合はもちろん、血管が詰まった疑いがあるときもこの注射で対応します。強い痛みや皮膚の白色変化、網目状の斑点が見られたときは、その部位に高用量のヒアルロニダーゼをすぐに投与し、フィラーを分解して血流を回復させます。
ただし分解処置も時間との勝負です。血管が詰まってから時間が経つほど組織の回復は難しくなるため、異常のサインに早く気づいてすぐに対応することがもっとも重要です。そのため頬フィラーは、施術経験が豊富で緊急時にヒアルロニダーゼをすぐに使用できるクリニックで受けるのが安全です。施術後も痛みや色の変化が続く場合は、我慢せずすぐにクリニックに連絡することをおすすめします。
| 項目 | 向いている場合 | 見直す場合 |
|---|---|---|
| 対象 | ボリューム減少、浅いほうれい線 | 強いたるみ、厚い頬 |
| 製品 | 硬めのボリューム用HA | 薄い皮膚には柔らかい製品 |
| 安全 | カニューレ、深い層 | 異常時はヒアルロニダーゼ |
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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