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ボトックスを繰り返し受けると効かなくなる耐性、なぜ起こりどう防げるのか

By Dr. Kim1 min read

以前はしっかり効いていたボトックスが、あるときから効きにくくなったという声をよく耳にします。量を少し増やしてみても、あまり変わらないというケースもあります。

こうした状態は一般に「ボトックス耐性」と呼ばれます。体がボトックス成分を異物と判断して防御反応を起こす、免疫の働きがその背景にあります。なぜこうしたことが起こるのか、そしてどう避けられるのか、仕組みを知っておくとぐっと理解しやすくなります。

ボトックス耐性とは、正確にはどんな状態を指すのでしょうか?

ボトックス、つまりボツリヌストキシンは、神経の末端から筋肉へ「動け」という信号を伝える物質(アセチルコリン)が出るのをブロックすることで働きます。信号が途切れることで筋肉の力が抜け、しわが目立たなくなるという仕組みです。

耐性とは、同じ量を注射してもこの信号のブロックが以前ほど起こらなくなった状態を指します。筋肉は相変わらずよく動き、しわもそのまま残ります。量を増やしても反応が大きく変わらない場合は、耐性を疑ってみる価値があります。

ただし、よくあることではありません。多くの場合は繰り返し施術を受けても効果が安定して続くと報告されており、耐性が現れるのは一部にとどまるとされています。同じ風邪薬を何度飲んでも、たいていはずっとよく効くのと似ています。それでも仕組みを知っておけば、効果が以前と違うと感じたときに慌てず、原因をひとつずつ確かめていくことができます。

体内で抗体はなぜ、どのようにしてできるのでしょうか?

ボツリヌストキシンはタンパク質でできています。私たちの免疫システムは、見慣れないタンパク質が入ってくると、まず侵入者と疑って対応態勢に入ります。細菌やウイルスに反応するのと同じ仕組みです。

このとき免疫システムが作り出すのが中和抗体です。抗体はそのトキシンの形にぴったり合わせて作られた鍵のようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。トキシンが神経細胞にたどり着く前に、この鍵が先に結合してトキシンの働く部分をふさいでしまいます。結果として、トキシンが神経まで届いても本来の役割を果たせなくなります。

問題は、この抗体が一度できると体内に長く残ることです。そのため次に同じ成分のトキシンを受けても、抗体が先に捕まえてしまい効果が出にくい状態が続くことがあります。たとえば最初の3回から5回ほどはしわがしっかり伸びていたのに、あるときから同じ部位に同じ量を受けても表情が以前のまま動いてしまう、というケースはこの仕組みで説明されます。

複合タンパク製剤と純粋トキシン、何が違うのでしょうか?

ボトックス製剤には、トキシン本体だけでなく、その周りを包む複合タンパクという補助成分が一緒に含まれているものがあります。複合タンパクは、トキシンを安定して保存し運ぶための、いわば梱包材のような役割を担っています。

ところが、この梱包材の役目を果たす付加タンパクも、体からすれば見慣れない異物です。一度に複数の異物が同時に入ってくると、免疫システムがより敏感に反応する可能性が高まると報告されています。見知らぬ客が一度に何人も訪ねてくると、警備がより厳重になるのと似ています。

一方、精製の過程でこの付加タンパクをできる限り取り除いた純粋トキシン製剤は、体が出会う見慣れないタンパク質の種類と量が相対的に少なくなります。荷造りのときに梱包材を最小限にすれば、箱の中に余計なものが混ざりにくいのと同じ理屈です。そのため繰り返し受けても抗体ができるリスクが低いとされています。施術前にどの製剤を使うのか気になる場合は、医療スタッフに尋ねてみるとよいでしょう。

施術の間隔がこれほど重視されるのはなぜでしょうか?

同じ成分でも、どれくらいの頻度で受けるかが抗体の形成に大きく影響します。短い間隔で繰り返し接触すると、免疫システムがそのタンパク質をより確実に記憶し、次回はより速く強く反応する傾向があります。予防接種を何度も受けると抗体反応が強くなる、いわゆるブースター効果と似た仕組みです。

反対に、施術と施術の間に十分な間隔を空ければ、免疫システムが毎回それを新しい刺激として受け止める確率は下がります。そのため一般的には、最低でも3ヶ月以上の間隔を空けて施術を受けることが勧められています。効果が早く落ちたからといって間隔を詰めて頻繁に受ける習慣は、かえって耐性のリスクを高めかねません。効果が少し早めに落ちたように感じて1ヶ月で再び受ける場合と、最初の推奨どおり3ヶ月きっちり空けて受ける場合を比べると、後者のほうが免疫システムにとってはずっと目新しい刺激に感じられ、抗体ができにくいと理解するとわかりやすいでしょう。

量を頻繁に増やすことも影響するのでしょうか?

効果が弱まったと感じると、まず量を増やしたくなるかもしれません。しかし高用量を頻繁に繰り返し受けることも、抗体形成を促す要因のひとつとして報告されています。体に入ってくる見慣れないタンパク質の総量が増えるほど、免疫システムが反応する機会もそれだけ増えるためです。

そのため、必要な分だけ、目的に見合った最小限の量を使うことが勧められます。効果が物足りないと感じたときは、やみくもに量を増やす前に、施術の間隔や使用中の製剤から見直すのが順序として理にかなっています。たとえば眉間のしわに定められた量よりはるかに多く頻繁に受ける場合と、必要な部位に必要な量だけを使う場合とを比べると、体に積み重なる見慣れないタンパク質の総量そのものが違うため、抗体ができるきっかけにも自然と差が出てきます。

耐性が疑われるとき、どう確認し対処すればよいのでしょうか?

効果が以前と違うからといって、すぐに耐性だと決めつけるのは早計です。施術部位や注入の深さ、個人の筋肉の特性によっても効果の感じ方は変わり得るためです。次のような方法で原因を絞り込んでいくことができます。

  • 別の部位に少量を試験的に注射してみる方法: 特定の部位でのみ反応がない場合は施術方法の問題である可能性があり、複数の部位で共通して反応が弱い場合は抗体形成のほうに重みが置かれます。
  • 使用中の製剤を純粋トキシン系に切り替えてみる方法: これまでの製剤の複合タンパクに抗体ができた場合でも、成分構成が異なる製剤には反応が残っていることがあると報告されています。
  • 直近の施術の履歴を一緒に確認する方法: 間隔が短くなかったか、量が徐々に増えていなかったかを振り返ると、原因を推し量る手がかりになります。

こうした確認は自己判断で済ませるより、医療スタッフとの相談を通じて進めるほうが確実です。

一度できた抗体は永遠に消えないのでしょうか?

抗体は一度できると体内に長くとどまる傾向があり、完全に元どおりになるのは簡単ではないとされています。ただし、それが一生固定されるわけではありません。

長い時間が経ち、その成分に再び触れなければ、抗体の数値が徐々に下がっていくケースが報告されています。免疫システムも刺激が続かなければ、その記憶を以前ほど強く保ち続けるわけではないためです。ただし、どれくらい時間がかかるか、どこまで下がるかは個人差が大きく、特定の期間を断定することは難しいとされています。

そのため耐性が確認された場合は、6ヶ月から12ヶ月ほど同じ系統の製剤を休むか、免疫原性の低い純粋トキシンに切り替える方向が現実的な選択肢として挙げられます。焦って量をさらに増やして押し切るよりも、体の反応が落ち着くまでの時間を一緒に考慮したほうがよいとされています。

耐性を防ぐには、普段から何を心がければよいのでしょうか?

一度抗体ができると元に戻すのは容易ではないとされているため、そもそもできないよう管理しておくほうが現実的です。

  • 推奨されている施術の間隔を守ること: 間隔が短いほど、免疫システムがトキシンをより頻繁に、より強く記憶する機会を得てしまうためです。
  • 必要な目的と部位にのみ、最小有効量で施術を受けること: 体に入る見慣れないタンパク質の総量を減らせば、その分だけ抗体ができるきっかけも減ります。
  • 製剤の選択と施術の履歴を医療スタッフと一緒に管理すること: どの製剤をいつどれくらい受けたかを記録しておけば、効果が落ちたときに原因をより早く突き止めやすくなります。

この3つを地道に守るだけでも、耐性のリスクをかなり減らせるとされています。何より、効果が少し落ちたからといって焦って量や回数から増やすのではなく、まず原因を確かめる順序こそが、結局は効果を長く保つ近道になります。

References

Korean Dermatological Association, Ministry of Food and Drug Safety (MFDS), American Academy of Dermatology (AAD), and U.S. Food and Drug Administration (FDA).

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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