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背中ニキビが顔のニキビより治りにくい理由とマラセチア毛包炎の見分け方、塗り薬から施術までのケア方法

By Dr. Lee1 min read

鏡ではよく見えない背中や肩にぶつぶつとニキビができると、どうしても気になるものです。顔のニキビは外用薬である程度落ち着いたのに、背中のニキビだけがなかなか治らないという方も少なくありません。実際、背中や胸のニキビは顔とは条件がかなり異なるため、同じ薬を塗っても反応が違うことがあります。しかも、背中にできたぶつぶつがニキビではなくマラセチア菌によるものであるケースも少なくないため、まず原因を正しく見極めることが第一歩です。幸い、背中ニキビには洗浄料や外用薬から内服薬、クリニックでの施術まで幅広い選択肢があります。原因さえきちんと見極めて根気よくケアを続ければ、背中ニキビも跡を残さずきれいになります。

背中と顔の角質層の厚さの比較、顔は約9層、背中は約13層
背中と顔の角質層の厚さの比較、顔は約9層、背中は約13層

背中ニキビはなぜ顔より治りにくいのか

背中ニキビは珍しくありません。顔にニキビがある人のおよそ半数は背中や胸にもニキビがあり、男性にやや多い傾向があります。ただ、同じニキビでも背中は顔よりケアが難しい部位です。

最大の理由は皮膚そのものが違うことにあります。背中の皮膚は表面を覆う角質層が顔より厚めです。上のグラフのように顔が約9層であるのに対し背中は約13層で、塗り薬が毛穴の奥まで浸透するのに時間がかかります。その分、根気よく続けることが必要です。

そこに生活習慣の要因も加わります。背中は常に衣服に押さえつけられ擦れる部位のため摩擦が多く、汗がたまり通気性も悪いため毛穴が詰まりやすくなります。カバンのストラップや運動着に押さえつけられる場所にニキビが集中しやすいのもこのためです。しかも自分の手が届きにくく、薬を均一に塗るのも難しい部位です。

病変がより深く広範囲に広がりやすい傾向もあります。そのため背中ニキビは顔よりも跡を残すリスクが高くなります。およそ10人に1人の割合で瘢痕が残り、特に盛り上がるタイプの跡ができやすいとされています。逆に言えば、早い段階で原因に合ったケアを始めることが跡を防ぐ最善の方法です。

ニキビだと思っていたらマラセチア毛包炎だったのか

項目ニキビマラセチア毛包炎
かゆみほとんどないかゆい
病変の大きさばらつきがあるほぼ均一
黒ニキビありなし
できやすい部位顔、背中、胸背中、肩、胸
効く薬ニキビ治療薬抗真菌薬

背中にできたものがニキビ治療薬をいくら塗っても治らない場合、ニキビではない可能性があります。代表的なのがMalassezia毛包炎と呼ばれる真菌感染です。Malasseziaはもともと皮膚に常在するありふれた真菌、簡単に言えば酵母の一種です。この菌が汗や皮脂を好み、毛穴の中で過剰に増殖するとぶつぶつとした発疹ができます。

見分けるコツもあります。上の表のようにマラセチア毛包炎は大きさのそろった小さな発疹が一斉に出て、何よりかゆみを伴います。ニキビに見られる黒ニキビのような、詰まった面皰はあまり見られません。汗を多くかいたときや湿度の高い日、あるいは抗生物質を長期間服用した後に悪化しやすいのも特徴です。

最も重要な違いは、効く薬が異なるという点です。ニキビによく使われる抗生物質はマラセチア菌には効きません。むしろ抗生物質が皮膚の細菌を減らすことで、真菌が増殖しやすい環境を作ってしまうこともあります。Malassezia毛包炎はantifungal、つまり抗真菌薬で治療します。ketoconazole配合のシャンプーやクリームを塗るのが基本で、シャンプーを背中に泡立てて数分置いてから洗い流す方法がよく使われます。広範囲に広がったりなかなか改善しない場合は、itraconazoleのような内服の抗真菌薬を短期間使うこともあります。

そのため背中のニキビが特にかゆく、大きさがそろっていて、通常のニキビ治療薬に反応しない場合は、マラセチア菌ではないか一度確認してみる価値があります。クリニックでは角質を軽くこすり取って顕微鏡で調べたり、ウッド灯を当てたりすることで難なく鑑別できます。原因さえ正しく特定できれば、回復はむしろ早い傾向にあります。

背中ニキビの治療薬別の病変減少率を示す横棒グラフ
背中ニキビの治療薬別の病変減少率を示す横棒グラフ

自宅ケアは何から始めればいいのか

本当にニキビであれば、まず自宅での外用ケアから始めます。真っ先に挙げられるのがbenzoyl peroxide洗浄料です。ニキビを悪化させる細菌を減らす働きがあり、ある研究では8週間後に細菌が90%台まで減少し、ニキビ病変も上のグラフのように65~68%減少しました。広い背中に使うには、洗い流すタイプの洗浄料が扱いやすいです。ただし背中では、少し泡立てた後1分ほど置いてから洗い流すとより効果的です。

これに外用レチノイドのadapaleneを加えるとさらに効果が高まります。adapaleneは詰まった毛穴を開き、ニキビの発生源そのものにアプローチする薬です。benzoyl peroxideと併用して1年間続けた研究では、ニキビ全体が約71%減少しました。この2つの薬を夜に薄く重ねて塗る組み合わせがよく勧められます。

角質や毛穴のつまりが気になる場合はsalicylic acidも良い選択肢です。salicylic acidは油に溶けやすい成分のため、水に溶ける他の角質ケア成分と違って皮脂が詰まった毛穴の奥まで入り込み、詰まりを解消します。ボディウォッシュやスプレータイプで販売されているため、背中にも使いやすいです。

広くて手が届きにくい部位のため、塗り方のコツも大切です。シャワーで汗や皮脂を洗い流した後、背中に塗りやすい長い柄のついた道具やスプレータイプの製品を使うと、均一に塗ることができます。

背中ニキビに使うbenzoyl peroxide洗浄料PanOxyl

重症の場合は内服薬が必要か

深く硬いしこりや嚢腫があり、外用薬だけでは対応しきれない背中ニキビの場合は、内服のisotretinoinを検討します。ビタミンA由来の薬で、ニキビの根本原因である皮脂腺そのものを小さくし、皮脂の分泌を大きく減らします。顔だけでなく背中や胸のニキビまで全身でまとめて改善できる点が外用薬との違いです。

効果は強力な部類に入ります。複数の研究でニキビがほぼ消失する割合が高く報告されています。ただし背中や胸など体幹部のニキビは、顔に比べて再発がやや多い傾向があります。そのため体幹部のニキビが重症の場合、特に若い男性には累積投与量をしっかり満たす方法が推奨されます。

用量には目安があります。通常、体重1kgあたり1日0.5から1mgを服用し、治療期間中に服用した量を合計した累積量が体重1kgあたり120から150mgに達することを目標とします。この量を満たすほど、後の再発が少なくなると報告されています。ニキビが消失した後も2ヶ月ほど服用を続けることが、再発を防ぐのに役立ちます。

強い薬である分、管理も必要です。唇や皮膚の乾燥といった副作用がよく見られ、何より妊娠中は絶対に服用してはいけません。そのため定期的な血液検査や妊娠予防といった安全対策を守りながら、医師と一緒に進めます。

背中ニキビにサリチル酸ピーリングを施術している様子

クリニックではどんな施術を受けるのか

クリニックでの施術は、自宅でのケアをさらに後押ししてくれます。代表的なのがsalicylic acidピーリングです。詰まった毛穴や古い角質を溶かす施術で、30%濃度で繰り返し行った研究では詰まった面皰が88%前後まで減少しました。さらにmandelic acidを組み合わせた複合ピーリングでは、面皰を90%ほど改善したという報告もあります。

ピーリングには背中ニキビにとって特にうれしい点が一つあります。ニキビが治った後に残る黒ずんだ色素沈着や古い角質まで一緒にケアできるということです。背中は顔よりも色素沈着が長く残りやすいため、跡が気になる方には助けになります。

レーザーや光を利用した治療も選択肢の一つです。皮脂腺やニキビ菌に働きかけて炎症を抑える方法で、外用薬やピーリングと併用されることもあります。ただし背中ニキビだけを対象とした研究は顔ほど多くはないため、状態を見ながら他の治療と組み合わせるケースが多いです。

施術は1回で終わるというより、数回に分けて受けることで改善していくケースがほとんどです。すでに瘢痕や色素沈着が定着している場合は、それに合わせた施術を別途追加することもあります。どの施術が合うかはニキビの種類や深さによって異なるため、診察を受けて決めるのがよいでしょう。

背中ニキビケアのために通気性のよい服を着ている様子

背中ニキビ、どうケアすればいいのか

背中ニキビは原因に合ったアプローチをすれば十分改善が見込めるよくある悩みです。まず大きさがそろっていて特にかゆみのある発疹なら、マラセチア菌ではないか確認してみましょう。通常のニキビであれば、benzoyl peroxide洗浄料と外用レチノイドから根気よく始めれば大丈夫です。深いしこりがある場合や跡が心配な場合は、内服薬とクリニックでの施術を合わせて相談してみることもできます。

生活習慣も大きな役割を果たします。汗をかいた後はできるだけ早く洗い流し、汗で濡れた運動着を長時間着たままにしないことが大切です。通気性のよいゆったりとした綿素材の服が摩擦や汗を減らしてくれます。背中をゴシゴシこすって洗うとかえって刺激になるため、優しく洗うほうがよいでしょう。

何より焦らないことが大切です。背中は角質層が厚く薬が届きにくい部位のため、変化が見えるまで通常8週間から12週間ほどかかります。2、3ヶ月を超えて根気よくケアを続けたときに、その効果が本当に現れてきます。

背中ニキビはまず原因を見極めることが先で、その次に大切なのが根気よく続けることです。跡が残る前に早く始めるほど結果もよくなるため、なかなか治らないと感じたら一人で悩まず、診察を受けて方向性を定めることをおすすめします。

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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