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オールタイトのリフト効果、真皮だけ温めるという話は本当?

By Dr. Kim1 min read

リフトアップ治療を調べていると、オールタイト(AllTight)という名前を目にする機会が増えてきました。サーマクールやウルセラと並んで「たるみを引き上げる施術」として紹介されていますが、痛みが少なくダウンタイムがほぼなく、表皮を傷めずに真皮だけを温めるという点が特徴として語られます。1回の施術でも直後から引き締まり感が出る、という説明も添えられています。

オールタイトとは具体的にどのような機器なのか。表皮を避けて真皮だけを温めるとはどういう原理なのか。効果の根拠はどこまであるのか。広告ではなく実際の研究をたどって確認します。高周波リフト全体としてのエビデンスはある程度蓄積されていますが、「オールタイト固有の効果」となると話は変わります。何が確認されていて何がまだ仮説にとどまっているかを押さえれば、過剰な期待なく判断できます。

オールタイト(AllTight)高周波リフト機器の外観

オールタイトはどんな施術?

オールタイトは韓国のイノサス(Innosys)社が開発した非侵襲型の高周波(RF)リフト機器です。中核技術はDLTD(ディーエルティーディー)と呼ばれ、真皮層をターゲットに内側から温める誘電加熱方式だと説明されています。針を刺すことなく皮膚表面から高周波を通じて深部を温める施術であり、サーマクールやONDA(オンダ)のような高周波・電磁波系リフトの仲間と考えるとイメージしやすいです。

オールタイトが主張する差別化ポイントは、表皮は温めずに真皮とその下のSMAS層(浅筋膜層)だけを選択的に加熱できるという点です。メーカーの説明によれば、真皮は水分量が多いためこの方式の熱が集まりやすく、脂肪層は水分が少ないためあまり温まらないとされています。表面温度を低く保つことで痛みが少なくダウンタイムもほぼゼロになり、施術直後から軽い引き締め感が得られるというのが主な特徴として挙げられています。

ただし、いくつか確認しておきたい点があります。イノサスは2022年ごろに設立された新興企業で、近年大型の資金調達を経て急成長していますが、日本の薬機法に基づく承認や米国FDA・欧州CEなどの認可状況は公開情報から明確には確認できません。オールタイトを検討される際は、クリニックで許認可の状況と正規品かどうかを直接確認することをお勧めします。新しい技術には期待が集まりますが、その分エビデンスがまだ薄いという面もあります。実際、オールタイトはサーマクール・ウルセラ・ハイフ(HIFU)といった既存のリフト治療と並べて比較されることが多い施術です。

オールタイトの作用機序、表皮は冷却で保護し、水分量の多い真皮を65〜72℃まで加熱してコラーゲンを刺激するという誘電加熱方式。脂肪層はあまり温まらないというメーカーの説明図
オールタイトの作用機序、表皮は冷却で保護し、水分量の多い真皮を65〜72℃まで加熱してコラーゲンを刺激するという誘電加熱方式。脂肪層はあまり温まらないというメーカーの説明図

表皮は冷やし、真皮だけ温める仕組み

上の図はオールタイトが主張する作用機序を示しています。高周波は組織内の分子を高速で振動させ、その摩擦熱によって内部を温めます。オールタイトは比較的高い周波数の高周波を用いることで、水分量の多い真皮層で熱が発生しやすくなるよう設計されているとのことです。表面を冷却しながら深部の真皮を温めることで、表皮へのダメージと痛みを抑えつつ、コラーゲンが豊富に存在する層を刺激できるというコンセプトです。

真皮が一定の温度に達するとコラーゲンがその場で収縮し、施術直後の引き締め効果が現れます。その後数カ月かけて新しいコラーゲンが生成され、ハリや弾力が向上します。高周波リフトは施術直後の即時効果と、2〜3カ月後に現れる遅延効果を合わせて狙う治療です。表皮を保護しながら深部を温めるという方向性自体は、高周波リフト全体で共通する考え方です。

ただし、オールタイトが強調する「真皮選択的加熱」には注意が必要です。水分量の多い組織が加熱されやすいという物理的原理は妥当ですが、オールタイトが実際に人の皮膚で表皮を冷やしながら真皮とSMAS層だけを選択的に温めているということを、温度測定や組織検査によって独立した第三者が確認したデータは公開されていません。真皮が脂肪層よりはるかによく温まるというメーカーの数値も、外部検証を経たものではありません。原理としては理にかなっていますが、その精度が人体で実証されているかどうかは別の話です。広告が強調する精密さは「原理として可能」ではあっても、「証明された事実」と受け取るのは時期尚早です。

高周波の熱効果、コラーゲンは65℃では約101秒、70℃では約17秒で変性が始まる(動物由来コラーゲンの試験管実験)。真皮を十分に加熱することが鍵となる
高周波の熱効果、コラーゲンは65℃では約101秒、70℃では約17秒で変性が始まる(動物由来コラーゲンの試験管実験)。真皮を十分に加熱することが鍵となる

高周波でコラーゲンは本当に増える?

高周波で真皮を温めるとコラーゲンが変化するというのは、実験室レベルではエビデンスがあります。上のグラフのように、コラーゲンは一定温度を超えると変性が始まります。65℃では100秒前後、70℃では十数秒で変化が起きます。そのため高周波リフトでは、真皮をこの温度帯まで十分に加熱しながら、表皮は傷めない温度に保つことが鍵です。おおむね42℃を超えるとコラーゲンの軽微な収縮が起き始め、より高い温度で本格的な変性とその後の再生サイクルが進みます。

人を対象にした高周波リフトの研究でも、この流れはある程度裏づけられています。サーマクール施術後に皮膚組織を調べた研究では、2〜3カ月の間に真皮のコラーゲンや弾性線維が増加したことが観察されています。目尻や頬のシワ・たるみが改善したという報告も複数あります。高周波が真皮を温めて再生を促すという大きなメカニズムは、複数の研究が支持しています。

正直に触れておくべき点が2つあります。グラフの温度・時間の値は動物由来コラーゲンを試験管内で計測したものであり、生きた人の皮膚の実際の温度と完全には一致しません。また、人を対象にした高周波リフトの研究も、被験者10名前後の小規模でコントロール群がないケースが多く、効果量は研究によってばらつきがあります。方向性は明確ですが、具体的な数値を断定するには、エビデンスとしてまだ粗削りな段階です。正確な数字よりも全体の傾向と限界を合わせて理解するほうが、判断を誤りにくいです。

オールタイトのエビデンス位置付け、高周波リフト全般は複数の臨床研究があるが、オールタイト専用はコントロールなし小規模1本のみで、真皮選択加熱の直接比較は実証されていない
オールタイトのエビデンス位置付け、高周波リフト全般は複数の臨床研究があるが、オールタイト専用はコントロールなし小規模1本のみで、真皮選択加熱の直接比較は実証されていない

オールタイト単独の臨床はどのくらいある?

オールタイトを他の高周波機器と区別するのは、誘電加熱方式と真皮選択的加熱という設計です。表皮をあまり温めずに深部にアプローチするという方向性は合理的で、痛みとダウンタイムを抑えることに寄与し得ます。問題は、この方式が既存の高周波治療より実際に優れた結果をもたらすかどうかを人で比較検証した臨床試験が、まだ存在しないという点です。上のグラフにあるように、高周波リフト全体では複数の臨床研究がありますが、オールタイトとサーマクール・ウルセラ・ハイフを直接比較した研究はどこにもありません。

オールタイト専用の臨床データもようやく出始めた段階です。2026年にオールタイトで顔に施術した研究が1本発表されましたが、被験者32名の単一群観察研究であり、コントロール群もブラインドもありませんでした。シワが減り満足度が高かったという傾向は報告されていますが、比較対象のない小規模な観察研究1本では、エビデンスとしての説得力は弱いといえます。真皮だけを選択的に温め、脂肪層は保護するという核心的な主張を人の組織で確認した研究も、まだありません。

「オールタイトのほうが効果的」「誘電加熱だから優れている」という表現は、現時点では根拠というよりも設計上の期待にとどまります。オールタイトはある程度エビデンスが積み上がった高周波リフトという枠組みの中にある新しい機器であり、真皮選択加熱という方式は合理的なアイデアですが、その優位性と精度については今後さらなる研究での確認が必要です。そう整理しておくほうが、過剰な期待につながりにくいです。

高周波リフト施術を受けている様子

痛み、副作用と効果の持続期間

オールタイトの利点として最もよく挙げられるのは、痛みの少なさと短い回復期間です。表皮を冷却しながら施術するため、高周波リフトの中でも痛みが少ない部類です。施術直後から洗顔やメイクが可能で、特別なダウンタイムはほぼありません。よくある反応は一時的な赤みや軽い浮腫み程度で、多くの場合1日以内に落ち着きます。

まれですが知っておくべき副作用もあります。高周波リフト全般で、エネルギーが過剰だと頬がこけるような脂肪萎縮が生じたケースが報告されています。頻度は低く、予防・修正も可能なことが多いですが、実在するリスクです。イノサスはオールタイトが脂肪層をあまり温めないためこのリスクが低いと説明していますが、それを独立した第三者が検証したデータはまだありません。出力設定に習熟した医師が在籍するクリニックで受けることが大切です。

限界も明確です。オールタイトは軽度から中等度の弾力低下や小ジワに適した施術であり、深刻なたるみを大きく引き上げる治療ではありません。たるみが目立つ場合は、スレッドリフト(糸リフト)やフェイスリフト術の併用を検討するのが現実的です。効果の持続は通常1〜1.5年程度とされており、自然な老化も進むため定期的な再施術を前提とします。オールタイトは劇的なリフトアップよりも「ハリや引き締めをさりげなく整えたい」という方に向いています。「1回で全部引き上がる」「誘電加熱だから次元が違う」という広告文句は少し割り引いて受け取り、高周波リフトとして期待できる程度の改善を見込んでおけば、後悔しない選択になります。

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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

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