ニキビと乳製品、糖分摂取がインスリンとIGF-1分泌を刺激して悪化させる仕組み
By Dr. Kim1 min read

ニキビができると、チョコレートや牛乳を思い浮かべる人は少なくありません。以前は根拠のない俗説として片付けられがちでしたが、最近の研究では、特定の食べ物がニキビのできる過程に実際に関わっていると報告されています。とくに血糖値を急に上げる食品と乳製品が繰り返し名前に挙がります。なぜこの2つがよく指摘されるのか、体の中で何が起きているのか、順番に見ていきます。
ニキビと食べ物、本当に因果関係があるのか?
ニキビは皮脂腺が詰まり、その中で炎症が起きる皮膚の病気です。長らく皮膚科では、食べ物とニキビはあまり関係がないと考えられてきました。ところが最近は、血糖指数(食べ物が血糖値をどれくらい速く、どれくらい大きく上げるかを示す指標)が高い食事や乳製品の摂取が、ニキビの発生や悪化と関連しているという報告が積み重なっています。
ただし、この関係はタバコと肺がんのように、1つの原因が1つの結果をそのまま生むという単純な構造ではありません。食べ物はむしろ、体内のホルモン信号を少し後押しする役割に近いといえます。その信号が皮脂腺や毛穴にどう伝わるかを知ると、特定の食べ物がなぜ繰り返し名指しされるのか理解しやすくなります。
血糖値を急に上げる食品が皮脂腺を刺激する仕組み
白米や白いパン、甘い飲み物のように消化が速く、血糖値を一気に上げる食べ物を高血糖指数食品と呼びます。こうした食べ物を食べると血糖値がぐっと上がり、体はそれを下げようとインスリンをふだんより多く分泌します。
インスリンが増えると、IGF-1(インスリンのいとこのような成長信号物質で、細胞を成長させ増殖させる働きを持ちます)も一緒に増えます。IGF-1は皮脂を作る皮脂細胞を刺激して皮脂の生産を増やし、毛穴の内側の細胞が過剰にたまる角質化を後押しします。毛穴が皮脂と角質で狭くなると、アクネ菌が繁殖しやすい環境になります。
さらにインスリンとIGF-1は、男性ホルモンであるアンドロゲンが皮脂腺でより活発に働くよう手助けもします。アンドロゲンはもともと皮脂の生産を増やすホルモンですが、インスリンの信号が重なると、この作用がいっそう強まります。そのため、同じ量のアンドロゲンがあっても、血糖値が頻繁に急上昇する人ほど皮脂の分泌が多くなると説明されています。
だからこそ、血糖値をゆるやかに上げる食品、雑穀や野菜、全粒穀物などに切り替えると、この信号自体が跳ね上がりにくくなります。実際に低血糖指数の食事に数週間切り替えたあと、ニキビの病変が減ったと報告した研究もあります。
牛乳がニキビの議論から外れない理由
牛乳は血糖値を急激に上げる食べ物ではありません。それでもニキビ関連の研究で乳製品が繰り返し取り上げられるのには、別の理由があります。牛乳自体に含まれるホルモン成分と、牛乳のたんぱく質であるカゼインやホエイプロテインが、体内でインスリンとIGF-1を刺激する力を持っているためです。
つまり血糖値ではなく、たんぱく質の成分が問題になるということです。ホエイプロテインはジムでよく飲まれるサプリメントの原料でもあります。このたんぱく質は、筋肉を大きくするのと同じ経路でインスリンとIGF-1の信号を引き上げます。その信号が皮脂腺まで伝わり、ニキビの経路も一緒に刺激されるのです。
牛乳にはまた、牛が妊娠中に分泌する微量のホルモン成分も混ざっています。人が飲む量ではごくわずかですが、こうした成分も体内でアンドロゲン系の信号と接点があり、皮脂腺を刺激する方向に働く可能性があると説明されています。牛乳1杯にこうした複数の刺激要因が重なっているわけです。
脱脂乳が全脂乳よりも問題になりやすい背景
複数の研究では、脂肪を除いた脱脂乳のほうがニキビとより頻繁に関連づけられています。脂肪の多い全脂乳よりもむしろ脱脂乳が問題になるという結果は、直感的にはわかりにくいかもしれません。
1つの仮説はこうです。牛乳から脂肪を除く加工の過程で脂溶性成分のバランスが変わり、相対的にホエイプロテインやホルモン成分の割合が増えるというものです。その結果、インスリンとIGF-1を刺激する力がかえって強くなると推測されています。
ただし、この部分はまだ仮説の段階で、すべての人に同じように現れる反応でもありません。同じ量の牛乳を飲んでも、乳製品に敏感に反応する人とそうでない人の違いは、いまも研究が続けられています。
ヨーグルトやチーズといった加工乳製品は、比較的関連性が弱く報告されることが多くなっています。発酵や加工の過程で刺激成分の形が変わるためと推測されていますが、液体状の牛乳ほどデータが多いわけではありません。そのため乳製品を一律に同じ程度でくくって判断するより、どんな形でどれくらいの頻度で摂っているかをあわせて見るほうが正確です。
精製糖と単純糖が皮脂の成分を変えていく過程
砂糖が多く含まれる食べ物も、結局は血糖とインスリンの経路に戻ってきます。精製された砂糖は消化の過程が短いため、血糖値をとくに速く上げます。
血糖値が頻繁に大きく揺れ動くと、体はインスリンを繰り返し多く分泌する状態に慣れていきます。この状態が続くと皮脂腺はより多くの皮脂を作り、その皮脂の中の脂肪酸の構成も炎症を起こしやすい方向へ少しずつ変わると報告されています。皮脂そのものの質が変わるということです。
ここに、毛穴の中の角質細胞が互いにうまくはがれず固まりやすい傾向まで重なると、皮脂と角質が一緒に毛穴をふさぎ、ニキビができやすい条件がそろってしまいます。
精製糖はこの過程に炎症反応も上乗せします。血糖値が急に上下する状態が繰り返されると、体内で炎症を引き起こす信号物質も一緒に増えることが知られています。ニキビは詰まった毛穴の中で細菌が増え、炎症へと広がる病気なので、体全体の炎症傾向が少し高まるだけでも、すでに詰まった毛穴が赤く痛むニキビへ進む速度が速まる可能性があります。
ニキビ肌が食事でまず見直したいポイント
食事を一度にすべて変えようとするより、次の項目から順番にチェックしていくほうが現実的です。
- 甘い飲み物とデザート:血糖値を最も速く上げる項目のため、インスリンの反応も最も大きく現れます。
- 白米や白いパンなどの精製炭水化物:全粒穀物より消化が速く、同じ仕組みで血糖値を急に上げます。
- 脱脂乳を含む乳製品:血糖値とは別にIGF-1の信号を直接刺激することがあります。
- ホエイプロテインのサプリメント:運動が目的でも、ニキビがひどい時期なら摂取量を一度見直す価値があります。
1つを完全に断つより、量を減らしながら肌の変化を自分の目で観察していくほうが負担も少なく、続けやすくなります。
食事の見直しだけでニキビは良くなるのか?
食事の見直しがニキビのケアに役立つという根拠は積み重なっていますが、食事だけでニキビが完全になくなるとは考えにくいのが実情です。ニキビはホルモンや遺伝、皮膚自体の炎症反応、細菌、角質の代謝が絡み合って起きる病気だからです。
そのため食事の見直しは、ニキビ治療を助ける補助的な手段として考えるのが現実的です。すでに処方薬やケア方法がある場合はそれを続けながら、血糖値をゆるやかに上げる食事と乳製品の摂取量の調整をあわせて試してみる程度が、バランスの取れたアプローチといえます。
体に合う組み合わせは人によって違うため、数週間食事を変えてみて肌がどう反応するかを自分で観察する過程が必要です。そして食事だけでは反応が鈍い場合は、無理に我慢を続けるより、皮膚科での診療を通じて他のケア方法もあわせて取り入れたほうが、結果への近道になります。
References
Korean Dermatological Association, American Academy of Dermatology (AAD), and Ministry of Food and Drug Safety (MFDS).
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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