レーザー脱毛が今生えている成長期の毛にだけ反応し、回数を分けて受ける必要がある理由と間隔の目安
By Dr. Kim1 min read

脱毛レーザーは一度で済みそうなのに、なぜ3~4回、多いと6~7回も分けて受けるように言われるのか、疑問に思う方が多いです。レーザーの力が弱いからではありません。原因はレーザーではなく、毛が生えてくる仕組みそのものにあります。
同じ部位に生えている毛でも、今まさに伸びている最中の毛と、すでに伸びきって休んでいる毛、抜ける準備をしている毛が同じ場所に混ざって存在します。レーザーはこの中のたった一種類の毛にしか反応しません。そのため一度の施術では毛全体の一部しか処理できず、残りは次の回を待つことになります。この仕組みを理解すると、なぜ回数を重ねる必要があるのか、なぜ間隔を空けるのか、自然と納得できるはずです。
レーザー脱毛はなぜ何度も受ける必要があるのか
レーザー脱毛の原理は、熱を利用して毛包(毛を作り出す皮膚の中の小さな袋)にダメージを与えることです。レーザー光は黒い色素であるメラニンによく吸収されます。毛の中にもメラニンが多く含まれているため、レーザーを照射すると毛が熱を吸収して高温になり、その熱が毛包にまで伝わって毛包を傷つけます。
問題は、この熱伝導が目に見える毛にしか起こらないという点です。まだ伸びておらず皮膚の外に出ていない毛包には、レーザーが吸収できる色素の標的がありません。標的がなければ、レーザー光はそのまま素通りしてしまいます。ですから今生えていない毛包は、いくらレーザーを当てても反応しないのです。
毛包が動く三段階
毛包は一度伸びたら終わりではなく、絶えず循環しています。この循環はヘアサイクルと呼ばれ、大きく三つの段階に分かれます。
- 成長期: 毛包の下側にある細胞が活発に分裂し、毛を押し上げていく時期です。この時期にだけ毛の中に十分な量のメラニンが満たされるため、レーザーが反応できる標的が生まれます。
- 退行期: 細胞分裂が止まり、毛包が少しずつ縮んでいく時期です。メラニンの生成も同時に減っていくため、レーザーが吸収できる色素が急激に少なくなります。
- 休止期: 毛包が完全に休み、次の成長期に備える時期です。この時期は毛が皮膚の浅いところにわずかに引っかかっているだけなので、メラニンの標的はほとんどありません。
同じ部位の中でも、毛包ごとにこの三段階のタイミングはばらばらです。隣の毛包が成長期のとき、ある毛包はすでに退行期に入っていて、また別の毛包は休止期という具合です。クラスの中で生徒ごとに夏休みの始まる日が違うのと、よく似ています。
成長期の毛包だけ反応する原理
成長期には、毛包の下側にある毛母細胞(実際に毛を作り出す細胞)とメラノサイトがそろって活発に働きます。メラノサイトが作った色素が絶えず毛の中に満たされていくため、この時期の毛は色が濃く太くなります。
レーザーのエネルギーは、この濃い色素に集中的に吸収されて熱に変わります。そしてその熱が毛包の下側にある毛母細胞にまで伝わり、細胞にダメージを与えます。毛母細胞が傷つくと、その毛包は新しい毛を作れなくなるか、作れたとしても細く色の薄い毛しか出せなくなります。
たとえるなら、成長期の毛包は電気が流れている配線のような状態です。電気が流れている配線を切ると即座にショートが起きて大きなダメージになりますが、電気の流れていない空の配線を切っても何も起こらないのと同じ理屈です。
休止期と退行期の毛包が休む理由
退行期と休止期には、毛母細胞の働きが弱まるか止まっています。メラノサイトの活動も同時に落ちるため、この時期の毛包にはレーザーが吸収できる標的自体が乏しいのです。
さらにこの時期の毛包は、下側にあった細胞の塊がすでに皮膚の上側へ押し上げられたり縮んだりしているため、たとえレーザーの熱がある程度伝わったとしても、本来ダメージを与えるべき細胞に届きにくい状態です。的がすでに消えた場所に矢を放つのと似た状況といえます。
そのためこの時期の毛包は、次に成長期へ移るタイミングを待って、そのときに改めてレーザーを受ける必要があります。
施術間隔を空ける理由
施術の間隔を決める基準は、毛包が休止期から再び成長期へ移るまでにかかる時間です。この周期は部位によって異なります。顔は周期が短く1ヶ月前後で回ってきますが、背中や脚のような広い部位は周期が長く、それより時間がかかります。
間隔を詰めすぎると、まだ休止期から抜け出していない毛包が多い状態で施術を受けることになり、効率が落ちてしまいます。逆に間隔を空けすぎると、すでに成長期を過ぎて退行期へ移った毛包を取りこぼすことになります。そのため部位ごとの平均周期を参考にして、その間のどこかに間隔を合わせるのです。
また回ごとに反応する毛包が異なるため、前回取りこぼした毛包が次回は成長期にあたって反応するというかたちで、少しずつ処理が進んでいきます。回数を重ねるほど残っている毛が減っていくのは、こうした理由からです。
部位によって回数が変わる理由
同じ人でも部位によって必要な回数は異なります。ここにはいくつかの要因が同時に関わっています。
- 毛包全体に占める成長期の割合: 顔やわきのように成長期の割合が高い部位は、1回の施術で反応する毛包が多いため、比較的少ない回数で済みます。逆に成長期の割合が低い部位は、一度に反応する毛包の数が少ないため、回数を重ねる必要があります。
- 毛包の深さと太さ: 太く深い毛ほどメラニン量が多くレーザーに反応しやすい一方で、毛包の下側まで熱が均等に伝わってはじめて完全にダメージを与えられるため、正確な出力設定がより重要になります。
- ホルモンの影響を受けやすい部位かどうか: あご周りや下腹部のようにホルモン変化に敏感な部位は、既存の毛包が傷ついても新しい毛包が刺激を受けて再び活動を始めることがあり、他の部位より回数が必要になると報告されています。
- 肌の色と毛の色の対比: 肌が明るく毛の色が濃いほど、レーザーが毛だけに正確に反応しやすく効率が高まります。対比が弱い場合は安全のためレーザー出力を下げる必要があり、同じダメージ効果を得るのに回数が多く必要になることがあります。
脱毛効果を長く保つには?
回数をすべて受けた後も、ごく細く薄い産毛が残ったり、時間が経ってから一部の毛包が再び活動を始めたりすることがあります。毛包は完全に消えるのではなく、傷ついて機能が大きく落ちるかたちで残るため、個人のホルモン状態や遺伝によっては一部が再び生えてくることがあるからです。
そのため決められた回数をすべて受けた後も、数ヶ月から1年おきにメンテナンス施術を受けるケースがよく見られます。この場合は新しく生えてきたわずかな成長期の毛包だけが対象になるため、1回で済むことが多いと案内されています。
何より大切なのは、決められた回数の間隔を自己判断で飛ばさないことです。間隔を守らずに間を空けすぎて受けると、その間にすでに成長期を過ぎてしまった毛包を取りこぼし続けることになり、同じ回数を受けても仕上がりが物足りなく感じられることがあります。
逆に間隔を詰めすぎて受けても、あまり意味はありません。まだ休止期にとどまっている毛包は成長期へ移る前の状態なので、レーザーが反応できる標的がそのまま存在しないからです。結局のところ、ヘアサイクルという生物学的な時計に合わせて受けるのが最も効率的な方法であり、この時計を無視して急いでも結果が早く出るわけではありません。
References
Korean Dermatological Association, American Academy of Dermatology (AAD), and Ministry of Food and Drug Safety (MFDS).
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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