冬の肌の乾燥の原因とケア方法、セラミドまで
By Dr. Lee1 min read

冬になると肌が特につっぱり、白く粉をふくように感じる人が多くいます。夏には特に問題がなかった肌が冬だけこうした反応を見せるのには、はっきりとした理由があります。気温と湿度が同時に下がることで、肌表面の水分がいつもよりずっと速いスピードで失われてしまうからです。
問題は、単なる乾燥だけでは終わらないという点です。肌のバリア機能が弱まると、かゆみや敏感肌、小じわまで一緒に現れることがあります。ですから冬の肌ケアは、保湿剤をもう一つ追加するだけでなく、バリア機能が乱れる仕組みを理解したうえで、それに合わせて取り組むことが大切です。
冬に肌が乾燥する理由
気温が下がると、空気中の水分量そのものが減ります。室内では暖房も加わり、湿度が20%前後まで下がることも珍しくありません。湿度の低い空気は肌表面の水分を引き寄せる力が強くなるため、じっとしていても肌の水分は絶えず空気中へと逃げていきます。
そこに冷たい風まで加わると、肌表面の血流が減り、皮脂の分泌量も一緒に落ちます。皮脂は肌表面に薄い油の膜を作り、水分が飛んでいくのを防ぐ役割を持っていますが、その量が減るということは、水分の蒸発を防ぐふたが薄くなるということです。そのため夏より冬のほうが経表皮水分損失(TEWL、肌表面から空気中へ水分が抜けていく量)が大きく増えると報告されています。
肌バリアはなぜ先に薄くなる?
肌のバリア機能は、よくレンガとセメントの構造に例えられます。角質細胞がレンガだとすれば、その間を埋めるセラミド(ceramide、角質細胞の間を満たす脂質成分)や脂肪酸、コレステロールがセメントの役割を果たします。この構造が密であるほど水分は外に漏れにくく、同時に刺激物質も内側に入り込みにくくなります。
冬の乾燥が続くと、このセメント部分から先に薄くなっていきます。すると、レンガとレンガの間にすき間ができるように水分がより抜けやすくなり、逆にほこりや洗剤成分といった刺激物質はより入り込みやすくなります。そのため、普段は問題のない化粧品でも、冬になるとやたらとピリピリしたり赤みが出たりしやすくなるのです。
セラミドはバリアをどう埋める?
セラミドが不足した肌にセラミド配合のクリームを塗ると、開いたレンガのすき間をセメントで埋め直すのと似た効果が得られます。実際にセラミドを含む保湿剤を続けて使った肌では、経表皮水分損失が減り、角質層の水分量が増えるという結果が複数の研究で確認されています。
ただし、セラミドだけでは十分ではありません。肌の中にはフィラグリン(filaggrin、角質細胞の中で分解されて天然保湿因子を作るタンパク質)が分解されてできる天然保湿因子(NMF)もあり、この成分が水分を抱え込む役割を担っています。ですからセラミドで壁を埋めると同時に、水分をつなぎとめる成分も一緒に補ってこそ、バリア機能はきちんと回復します。
水分を引き込む成分と閉じ込める成分
保湿成分は大きく分けて、水分を引き寄せる成分と、水分が逃げないように防ぐ成分の2つに分かれます。ヒアルロン酸(hyaluronic acid)とグリセリン(glycerin)は、空気中や肌の深い層の水分を引き寄せて角質層にとどめておく吸湿成分です。スポンジが水を吸い込むように、水分を引き寄せて抱え込む仕組みです。
一方、ワセリンの主成分であるペトロラタム(petrolatum)やオイル成分は、肌表面に薄い膜を作って水分が逃げないようにふさぐ役割を果たします。吸湿成分だけを塗ると、冬のように空気が乾燥しているときには、かえって肌の内側の水分まで引っ張り出してしまい、さらに乾燥することがあります。そのため吸湿成分の上にふたをするように重ねて塗る順番が、冬にはより安全です。
保湿剤はどんな順番で塗る?
洗顔直後、まだ水分が残っている肌にヒアルロン酸やグリセリンを含む製品を先に塗ると、残っている水分を角質層のほうへ引き寄せて抱え込ませる効果が得られます。そしてその上にセラミドやペトロラタムを含むクリームを重ねると、たった今引き寄せた水分が外に逃げないよう、ふたを閉めることになります。
順番を逆にすると、効果は大きく落ちてしまいます。油分の多いクリームを先に塗ると、その後に塗る水分成分が肌の内側に入っていけず、表面で浮いてしまうからです。ですから軽くて水っぽいテクスチャーから、こっくりしたテクスチャーの順番で塗ることで、それぞれの成分が本来の役割を果たせます。
熱いお湯のシャワーは乾燥を強める?
冬は温かいお湯で長く洗いたくなりますが、この習慣が乾燥をさらに悪化させることがあります。熱いお湯は肌表面の皮脂膜を洗い流す力が、冷たい水よりもずっと強いからです。油汚れが熱いお湯のほうがよく溶けて落ちるのと同じ原理です。
そのためシャワーはぬるめのお湯で短く済ませることが勧められます。そして洗った後は、水分が完全に乾く前、3分前後のうちに素早く保湿剤を塗るのが良いでしょう。角質層にまだ残っている水分が逃げてしまう前に、保湿成分で抱え込ませておくのが目的です。
室内の湿度と生活習慣のケア
保湿剤と同じくらい、周りの環境も重要です。次のような習慣が一緒に働きます。
- 室内湿度を40%から60%に保つ: 湿度が低すぎると空気が肌の水分を奪う力が強くなり、逆に高すぎるとカビや細菌が増えやすくなるため、この範囲が適切とされています。
- 加湿器のタンクをこまめに洗浄する: 加湿器の内部で細菌やカビが繁殖すると、かえって呼吸器や肌への刺激になることがあるため、掃除が必要です。
- 角質ケア用の酸成分の使用頻度を減らす: AHAやBHAといった角質ケア成分は角質層を薄くし、バリア機能をさらに弱めることがあるため、冬は普段より使用頻度を減らすことが勧められます。
- ナイアシンアミド(niacinamide)配合製品を併用する: セラミドの合成を助け、バリア機能の回復をサポートすると言われており、冬の保湿ルーティンに加えると役立ちます。
- マフラーやマスクで冷たい風に直接触れる時間を減らす: 冷たい風が肌に直接当たる時間が減れば、それだけ水分が失われるスピードも遅らせることができます。
こうした習慣は一つひとつは小さく見えても、バリア機能が乱れるいくつもの経路を同時に防いでくれるという点で、まとめて取り入れる価値があります。
バリアの回復にはどれくらいかかる?
肌のバリア機能は一日二日で回復するものではありません。根気よくケアを続けたときに角質層の水分量や経表皮水分損失がはっきりと改善するまでには、通常4週間から8週間ほどかかると報告されています。バリア機能を構成する脂質と角質細胞が再び満たされるまでに、それだけの時間が必要だからです。
ですから数日試しただけで効果がないと感じて製品を頻繁に変えるより、一つの製品を最低1か月以上続けて使ってみるほうが、バリア機能の回復には役立ちます。ただし使っている途中でヒリつきや赤みがひどくなった場合は、その製品はすぐに使用を中止するのが安全です。
季節が変わって春が来た後も、冬の間に傷んだバリア機能がすぐに元の状態に戻るわけではありません。気温と湿度が上がることで回復のスピードが少し速まるだけで、バリア機能を満たす脂質や角質細胞は、依然として時間をかけて少しずつ積み上がっていく必要があるからです。そのため冬の間に組んだ保湿ルーティンは、暖かくなった後もしばらくそのまま続けることが、バリア機能を完全に回復させるうえで役立ちます。
References
Korean Dermatological Association, American Academy of Dermatology (AAD), and Ministry of Food and Drug Safety (MFDS).
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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