prettytime
Pigment

VRM4トーニング、ナノ秒レーザーとトップハットビームのしくみと特徴

By Dr. Kim1 min read

シミやくすみを取るトーニングレーザーにはいくつも種類があります。その中でVRM4はQスイッチ方式の1064nm波長レーザーを、ナノ秒(10億分の1秒単位)の速さで照射する機器です。名前だけ聞くとどれも似ているように思えますが、この短い時間ひとつが施術の性格を大きく変えます。

なぜよりによってナノ秒なのでしょうか。そして、その一瞬の時間は肌の中でどんな働きをしているのでしょうか。仕組みをひとつずつ紐解いていきます。

トーニングでナノ秒が大切な理由は?

レーザーが肌に触れる時間が長いほど、熱が周囲へ広がる時間も長くなります。熱い鍋をさっと触るだけなら平気ですが、長く握っていると手全体が熱くなってしまうのと同じ理屈です。

VRM4はこの接触時間をナノ秒単位まで極端に短くします。そのためエネルギーはメラニン色素の中に一瞬で集中し、周囲の正常な皮膚細胞は熱を感じる間もなくレーザーが通り過ぎてしまいます。熱が広がる時間そのものをなくす方式だと考えるとわかりやすいでしょう。

近年はナノ秒よりさらに短いピコ秒(1000分の1ナノ秒)単位のレーザーも登場しています。時間を細かく区切るほど熱ダメージは抑えられますが、その分機器の構造が複雑になり、色素を壊す力の性質も変わってきます。ナノ秒レーザーはその中でも、色素を壊す力と安全性のバランスが長年検証されてきた方式で、シミやくすみのケアに今も広く使われています。

熱衝撃はどう色素だけを砕く?

メラニンは黒っぽい色をしているため、光を特に吸収しやすい性質があります。同じ強さのレーザーを当てても、周囲の明るい皮膚よりメラニン粒子のほうがはるかに多くのエネルギーを吸い込むわけです。

これほど短い一瞬に多くのエネルギーが集中すると、メラニン粒子の中で急激な熱膨張が起こり、その圧力によって粒子が小さな破片に砕けます。物理学ではこれを光音響効果と呼び、簡単に言えば音が鳴るほど瞬間的にはじけて砕ける反応です。色素だけを選んで壊せる理由はまさにここにあります。メラニン以外の組織はそもそもエネルギーを吸収しないため、この破裂反応自体が起こらないのです。

砕けたメラニンの破片は、その後数日から数週間かけて体内の免疫細胞が掃除するように運び去ります。ゴミを細かく砕いておくと清掃車がずっと運びやすくなるのと似た過程です。

このとき重要なのが破片の大きさです。あまりに大きく砕けると免疫細胞が運ぶのに時間がかかり、その過程でかえって肌が刺激を受けることがあります。ナノ秒レーザーの短いパルスは色素をちょうどよい小ささに砕くのに有利だとされており、この掃除の過程が比較的スムーズに進むよう助けてくれます。

トップハットビームとは?

レーザービームの断面エネルギー分布は機器ごとに異なります。一般的なガウシアン方式はビームの中心が最も強く、端に近づくほど弱まる山型を描きます。中心部だけ過熱しやすいということです。

VRM4はトップハットという方式を採用しています。名前の通り帽子のつばのように平らで、ビームの中心と端のエネルギーがほぼ同じ強さで出る構造です。山型ではなくテーブルのように平坦な分布だと考えれば理解しやすいでしょう。そのため一つの部位の中でも特定の一点だけが過度に刺激されるホットスポットが減り、施術部位全体が似たような強さで反応します。これは結果として炎症後色素沈着(肌が刺激に反応してかえって色素が濃くなる現象)が起こるリスクを下げるのに役立つと説明されています。

トーニングはなぜ弱く何度も照射する?

トーニング施術は通常、一度に強く照射するのではなく、低い出力で同じ部位を何度も重ねて照射します。初めて聞くと、なぜわざわざ弱く何度も行うのか不思議に思うかもしれません。

出力を下げると一回の刺激は弱くなりますが、その分正常な皮膚細胞がダメージを受けずに持ちこたえる余裕が生まれます。そして何度も重ねて照射するうちに、メラニンは毎回少しずつより小さな破片に砕けながら、じわじわと薄くなっていきます。階段を一気に大きく上るのではなく、低い段を何度も踏んで上がる方式に似ています。急いで大きな刺激を与えるのではなく、低い刺激を繰り返して安全な範囲の中で結果を積み重ねていくアプローチです。

肝斑とシミの反応の違い

同じナノ秒レーザーを使っても、色素によって反応の速さは異なります。代表的な違いとして、次のようなものが報告されています。

  • 肝斑: 表皮と真皮の境界付近に広く分布していることが多く、複数回の施術にわたって徐々に薄くなっていく傾向があります。色素が一つの塊ではなく薄く広がっているため、一回の施術では全体が反応しきらないからです。
  • 老人性色素斑やそばかす: 表皮側に比較的まとまって存在するため、相対的に少ない回数でも反応がはっきり現れやすい傾向があります。エネルギーが届く表皮付近に色素が集中しており、吸収がよく起こるためです。
  • 炎症後色素沈着: 色素の深さが人によって異なるため、反応の速さのばらつきが大きい傾向があります。色素がどの層に位置しているかによって、レーザーエネルギーの届き方が変わるためです。

こうした違いのため、同じ機器を使っても必要な回数と間隔は色素の種類と深さによって変わることがあります。そのため施術前にどんな色素か、どのくらいの深さにあるかを一緒に見極める過程が結果を左右することが多いと説明されています。

施術後の数日間に見られる変化

施術直後は砕けたメラニンの破片が表皮側へわずかに浮き上がり、一時的にシミが濃く見えたり、細かいかさぶたのように見えたりすることがあります。これは色素が体外へ排出される過程で現れる自然な反応だと説明されます。

この時期は肌が敏感になっている分、紫外線対策と低刺激の保湿が特に重要です。刺激を受けたばかりの肌はバリア機能が一時的に弱まった状態のため、紫外線にそのまま晒されるとかえって色素沈着が新たに起こるリスクが高まるからです。

数日経つと浮き上がった色素の破片が古い角質と一緒に自然にはがれ落ち、肌色が徐々に整っていきます。この過程は一日二日で終わるものではなく、人によって一、二週間ほどかけてゆっくり続く傾向があります。そのため施術直後の結果だけを見て急いで判断するより、数週間後の変化まで一緒に見守るほうが実際の効果を見極める助けになります。

効果を高める施術間隔とケア

施術の間隔とケアの方法は、色素が薄くなる速さを一緒に左右します。

  • 施術当日と翌日は、熱い蒸しタオルやサウナのように熱がこもる環境を避けることが勧められます。熱刺激が重なると、すでに敏感になっている肌に追加の炎症が起こることがあるためです。
  • 日焼け止めは施術の有無に関係なく毎日塗り直すのが望ましいです。紫外線はメラニン生成を再び刺激する最大の要因であり、せっかく砕いた色素がまた作られるのを防ぐいちばん基本的な方法だからです。
  • 角質ケアや強い美白成分は施術直後の数日間は控えるのが安全です。回復中の肌バリアに追加の刺激が重なると、かえって刺激反応が大きくなることがあるためです。

ナノ秒トーニングは一度で色素を完全になくす施術というより、短く正確な刺激を繰り返してじわじわ薄くしていく過程に近いといえます。そのため焦って何度も施術を詰め込むより、推奨される間隔を守りながらこつこつ続けるほうが結果につながりやすいとされています。

References

Korean Dermatological Association, American Academy of Dermatology (AAD), and Ministry of Food and Drug Safety (MFDS).

この記事は参考になりましたか?

About this article

診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。

Read next

Pigment

顔の赤み(酒さ)の原因と血管レーザーの回数、ケア方法まで

特に理由もないのに顔が赤くなり、ほてりが繰り返されるなら、血管が敏感になった酒さ(ロザケア)かもしれません。なぜ血管が敏感になるのか、赤みがなぜ長引くのか、血管レーザーがどんな仕組みで改善するのかをやさしく解説します。

By Dr. Lee

Skincare

妊娠線の治療、赤いうちに始めると反応はよい?

妊娠線は、皮膚が短期間に急に伸びることで真皮内のコラーゲン線維が断裂してできる跡です。赤い線が白い線へと変化していく過程と、時期によって治療への反応が変わる理由を仕組みから解説します。

By Dr. Kim

Back to articles