じんましんの原因とケア、繰り返すのはなぜ?
By Dr. Kim1 min read

じんましんは、皮膚が突然赤く盛り上がり、かゆみを伴う症状です。手で押してもなかなか消えず、数時間のうちに別の場所へ移動することもあります。それなのに、なぜ特に理由もなく現れては消え、人によっては何か月も繰り返すのか、疑問に思うことも多いはずです。
じんましんは単なる肌トラブルではなく、体の中の免疫細胞が作り出す反応です。その中心にあるのが肥満細胞(mast cell、皮膚や粘膜に広く分布する免疫細胞)という細胞です。この細胞がなぜ、どのように反応を引き起こすのか、順を追って見ていきます。
じんましんはなぜ起こり、かゆくなる?
皮膚の中には、肥満細胞という細胞があちこちに存在しています。この細胞の中には、ヒスタミン(histamine、血管を広げてかゆみを引き起こす物質)が小さな顆粒の形で蓄えられています。
何らかの刺激が加わると、肥満細胞はその顆粒を一気に破裂させ、ヒスタミンを外へ放出します。この過程を脱顆粒と呼びますが、風船が割れるように、中身が一瞬で広がっていくイメージに近いです。ヒスタミンが広がると周囲の血管が拡張し、血管壁のすき間がわずかに開くことで、血管内の水分が皮膚組織へとにじみ出ます。そのため、皮膚が腫れて赤く盛り上がるのです。
かゆみが出るのも同じ理由です。ヒスタミンが皮膚の神経の末端を直接刺激するため、腫れとかゆみがほぼ同時に現れます。
肥満細胞は何が刺激する?
肥満細胞は理由もなく破裂するわけではありません。代表的な引き金としてIgEという抗体(体が特定の物質に反応するためにあらかじめ用意しておく、いわば認識票のようなタンパク質)が関わっています。
体があるものを危険だと勘違いしてIgEを作っておくと、その物質が再び入ってきたときに、肥満細胞の表面に付着していたIgEが信号を送ります。鍵と鍵穴のように、特定の物質がIgEにぴったりはまって結合すると、その信号が肥満細胞の内部まで伝わり、顆粒を破裂させるスイッチが入ります。
ただし、IgEを介さずに肥満細胞が反応するケースもあります。温度変化や圧力といった物理的な刺激が、細胞膜を直接揺さぶって顆粒を破裂させることもあるためです。つまり、じんましんの原因は一つの経路だけでは説明できません。
6週間以内の急性じんましんの原因
症状が出てから6週間以内であれば、急性じんましんに分類されます。この時期は比較的原因を特定できることが多いです。代表的な引き金は次のとおりです。
- 食べ物: 甲殻類、ナッツ類、卵のようなタンパク質がIgEを刺激し、肥満細胞を破裂させることがあります。体がそのタンパク質を脅威となる物質だと誤って記憶しているためです。
- 薬: 抗生物質や消炎鎮痛薬(NSAIDs)は、IgE経路だけでなく、炎症を調節する酵素の経路を直接刺激して肥満細胞を活性化させることもあります。
- 感染症: 風邪のようなウイルス感染があると、体全体の免疫反応が敏感になり、肥満細胞も普段より刺激に反応しやすくなります。
- 虫刺されや虫に噛まれた場合: 昆虫の毒そのものに肥満細胞を直接刺激する物質が含まれているため、局所的に強い反応が素早く現れます。
こうした原因は、多くの場合、曝露されてから短ければ数分、長くても1、2日以内に症状が現れるため、原因を推測しやすいのが特徴です。
慢性じんましんの原因はなぜ見つからない?
じんましんが6週間以上繰り返す場合は、慢性じんましんに分類されます。ところが慢性じんましんは、半数以上で明確な外部原因が見つかりません。
原因が特定できないのは、肥満細胞を刺激するスイッチが体の内側にあるためです。最近の研究では、体が作り出した自己抗体、つまり本来は外部の物質を標的とするはずの抗体が、自分自身の肥満細胞の表面にある受容体を誤って認識し、刺激し続けているケースが報告されています。外部から新しい物質が入ってこなくても、体の内側でスイッチが繰り返し押されてしまうわけです。そのため、食物アレルギー検査を受けても、これといった原因が出てこないことが多いのです。

物理性じんましんは何が刺激する?
特定の刺激に反応してその都度現れるじんましんもあります。物理性じんましんと呼ばれるタイプで、刺激と症状の関係が比較的はっきりしています。
- 冷たい空気や冷水: 皮膚の温度が急に下がると、その部位の肥満細胞が冷気そのものを刺激として認識し、反応します。
- きつい服や圧迫: 皮膚が圧迫される力が肥満細胞の細胞膜を物理的に揺さぶり、顆粒を破裂させます。
- 運動や熱いシャワーで体温が上がるとき: コリン性じんましんと呼ばれるもので、汗腺の周りの神経が活性化し、その信号が近くの肥満細胞にまで伝わることで起こると説明されています。
- 日光を浴びるとき: 紫外線が皮膚の中の特定の物質を変化させ、肥満細胞が認識できる形に変えてしまうため反応が起こると考えられています。
このタイプは刺激を取り除くと通常1時間から3時間ほどで治まることが多く、原因となる刺激さえ把握できれば比較的管理しやすいといえます。
ストレスがじんましんに与える影響
ストレスそのものがじんましんを新たに作り出すわけではありません。ただし、すでに敏感になっている肥満細胞の反応の閾値を下げる働きがあるとされています。
ストレスを受けると、体の中でさまざまな神経伝達物質やホルモンが分泌されます。この中の一部が肥満細胞の表面にある受容体に作用し、普段より少ない刺激でも顆粒を破裂させやすくします。そのため、試験期間や仕事が立て込んでいる時期にじんましんが増えたと感じる人が多いのですが、これは体が敏感になった状態で、もともとあった刺激がより反応につながりやすくなったためと考えられます。
じんましんのケアと回復期間
じんましんのケアで大切なのは、肥満細胞がヒスタミンを放出する過程そのものを抑えることです。抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンが神経や血管の受容体に結合する場所をあらかじめふさいでおく薬なので、ヒスタミンが出ても反応が弱まるように働きます。
急性じんましんは、原因となる刺激がなくなれば、多くの場合数日から4週間ほどで治まります。一方、慢性じんましんは回復までの期間に個人差が大きく、6か月から12か月のあいだに自然に改善するケースが多いと報告されています。もちろん、これより長引いたり、再び現れたりすることもあるため、根気強い観察とケアが必要です。
原因を特定しにくい慢性じんましんでも、刺激になりそうな要因、つまりきつい服や過度なストレス、特定の薬などを一つずつ減らしていくことで、症状の頻度を下げる助けになるとされています。急いで原因を一つに絞り込もうとするより、体が発しているサインをこつこつ観察するほうが役立つことが多いです。
症状がひどいときは、氷で患部を少し冷やすと血管が収縮し、かゆみと腫れが一時的に治まることもあります。ただし、冷たい刺激そのものが引き金となる寒冷じんましんのタイプでは、かえって反応が強まることがあるため、自分のじんましんがどのタイプに近いのかを先に確認しておくと安心です。症状が出た時間と状況を短くでもメモしておくと、後で診察を受ける際に原因を絞り込むうえでも実際の助けになります。

References
Korean Dermatological Association、American Academy of Dermatology (AAD)、Ministry of Food and Drug Safety (MFDS)。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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