シルファームX(Sylfirm X)マイクロニードルRF、肝斑と赤みを血管ごとケアする仕組みと限界
By Dr. Lee1 min read

肝斑と赤みは、塗り薬や一般的なレーザーではなかなか改善しにくい悩みです。そこでマイクロニードルRFのシルファームXがよく話題に上がります。針を刺して高周波を当てるのに、なぜ肝斑と赤みを同時にケアできるのか、レーザーのように色素を悪化させないのか、気になる方も多いはずです。
シルファームXは、VIOLという韓国メーカーが開発したマイクロニードルRF機器で、2種類の高周波モードを使い分けるデュアルウェーブが特徴です。そのうちパルスウェーブは、浅い深度から異常な血管と過活性化した色素細胞に働きかけ、肝斑と赤みの根本にアプローチします。色素を直接焼くレーザーとは異なり、血管とシグナル側に作用するため、刺激で色素が濃くなるリスクを抑えられています。仕組みとエビデンス、痛み、注意点を順に確認していきます。

シルファームXってどんな機器?
シルファームXは、マイクロニードルRF方式の機器です。細い針を皮膚に刺し、その先端から高周波エネルギーを放出して熱を与えます。針で正確な深度に届けるため、表面ではなく狙った層に作用します。この基本的な仕組みは他のマイクロニードルRFと共通しています。
違いは、2種類の高周波モードを組み合わせる点です。連続してエネルギーを与えるモードは皮膚を温めてコラーゲン産生を促し、ハリとキメを整えます。断続的に放出するパルスウェーブモードは、浅い深度から異常な血管と色素細胞に選択的に作用します。深度と目的に応じて2つのモードを使い分けるのが、シルファームXのデュアルウェーブです。
シルファームXはVIOLという韓国の美容医療機器メーカーが製造し、韓国食品医薬品安全処(MFDS)の認可を取得しています。肝斑や赤み、毛穴、ハリといった複合的な肌悩みを1台でケアできることから、皮膚科での採用が広がっています。特に色素沈着が起きやすい肌質で、刺激を抑えながら肝斑をケアしたいときに選ばれることが多いです。色素・血管・キメを1台でアプローチできる点が、デュアルウェーブの最大のメリットです。

パルスウェーブが肝斑に効く仕組みは?
肝斑がなかなか消えにくい理由の1つは、色素だけの問題ではないからです。肝斑のある肌の下には異常に拡張した微細血管があり、その血管が色素細胞を継続的に刺激するシグナルを送り続けています。色素を焼いても、シグナルが残っていれば再び濃くなってしまいます。
シルファームXのパルスウェーブは、まさにそこに着目しています。約300マイクロメートルの浅い深度から短いRFパルスを照射し、色素生成を促す異常な血管と過活性化した色素細胞に選択的に働きかけます。血管から送られる「メラニンを作れ」というシグナルを抑え、老化して機能低下した細胞を整えることで、肌本来の回復力を引き出す仕組みです。色素の塊を直接焼くレーザーとはアプローチが根本的に異なります。
このアプローチのメリットは、刺激によって色素が増えるリスクを抑えている点にあります。従来のレーザートーニングは、適切に行わないと色素が濃くなったり、まだら状に色が抜けたりすることがあります。シルファームXは血管とシグナル側に作用するため、改善しにくいうえに悪化リスクも高い肝斑に対して、新たな選択肢となっています。ただし色素を一度に消すのではなく、複数回にわたって根本から整えていくアプローチである点は変わりません。

肝斑への効果はどの程度?
エビデンスも積み上がっています。非絶縁型マイクロニードルRFで肝斑を治療した研究では、女性26名を2週間間隔で3回施術した結果、色素スコアのmMASIが最終治療の2週間後から有意に低下し、6ヶ月後まで改善が持続しました。メラニン指標も1ヶ月時点から低下し始め、6ヶ月後まで有意に改善しました。
同研究では肌のキメも同時に改善し、副作用は軽度の一時的な発赤程度と報告されています。シルファームX系のマイクロニードルRFは、肝斑を刺激なくケアしながらキメまで整えられる効果が確認されています。色素を悪化させるリスクが高い肝斑に対して、比較的安全にアプローチできる点が大きな意義です。
ただし、限界もあります。同研究では治療後に一部で肝斑が再び濃くなる再発が約10%報告されました。肝斑は原因が解消されない限り再発する疾患のため、シルファームXでも「完治」ではなく「管理」という位置づけになります。施術後も日焼け止めとアフターケアを継続し、複数回にわたって定期的に受けるという心構えが大切です。

赤みやロゼーシアにも効果はある?
シルファームXが肝斑とともによく挙げられる適応症が、赤みとロゼーシア(酒さ)です。赤みやロゼーシアは、皮膚の表面近くで異常に拡張した血管が透けて赤く見える状態で、一般的なスキンケアだけでは限界があります。
パルスウェーブは、この拡張した血管をターゲットにします。浅い深度からRFの熱エネルギーを与えて異常な血管を縮小させると、透けて見えていた赤みが和らぎます。実際に、パルス型高周波がロゼーシアによる顔の赤みを速やかに改善したという報告があります。色素と血管を同じ機器で対応できる点が、肝斑と赤みが共存するケースで特に選ばれる理由です。
ただし、赤みやロゼーシアも一度で完結するものではありません。血管は時間とともに再び拡張することがあるため、複数回に分けて受け、その後もケアが必要です。赤みの原因はさまざまで、すべてのケースに同等の効果を期待できるわけではありません。自分の赤みが血管性なのかどうかを診察で判断してもらうことが先決です。血管性の赤みであれば継続して受けるほど薄れていく傾向がありますが、他の原因が混在する場合は効果が限定的になることもあります。

痛みとダウンタイムは許容範囲?
針を刺して高周波を当てる施術のため、ある程度の刺激は伴います。そのため施術前に麻酔クリームを塗るのが一般的で、麻酔を使えばほとんどの方が許容できる程度という報告があります。パルスウェーブは浅い深度に短時間作用するため、深くエネルギーをかける施術と比べて刺激が少ない傾向があります。
ダウンタイムは比較的短いです。施術直後に軽い発赤や微細な針痕が出ることがありますが、多くは1〜2日で落ち着きます。先述の研究でも副作用は軽度の一時的な発赤程度でした。表皮に大きなダメージを与えない方法のため、忙しい日常の中でも受けやすい施術です。
施術後数日は、日焼け止めとアフターケアをしっかり行うことをおすすめします。肝斑のケアの場合は特に、施術後に紫外線を浴びると色素が再び刺激される可能性があるため、念入りな日焼け止めが必要です。まれに色素沈着や発赤が長引くことがありますが、出力と深度を保守的に設定することでリスクを下げられます。肝斑ケアでは特に、一度に強くかけるより弱く回数を重ねるほうが、色素が再び濃くなるリスクを抑えられます。

どんな方に向いている?
シルファームXは、改善しにくく悪化リスクも高い肝斑、血管性の赤みやロゼーシア、さらに毛穴やハリも気になる複合的な肌悩みを抱える方に向いています。色素を直接焼かずに血管とシグナルにアプローチする仕組みのため、レーザートーニングで色素が濃くなった経験がある方には特に新たな選択肢となります。色素沈着が起きやすい肌に比較的安全にアプローチできる点も魅力です。
期待値は現実的に設定することが大切です。肝斑でも赤みでも1回で終わるものではなく、複数回に分けて受ける必要があり、効果も段階的にゆっくり現れます。肝斑は再発する疾患のため、施術後も日焼け止めとセルフケアは欠かせず、「完治」ではなく「管理」という認識が必要です。同じ機器でも、深度・モード・エネルギー量によって結果は大きく変わるため、肝斑と赤みの施術経験が豊富な施術者を選ぶことが重要です。自分の悩みが色素なのか血管なのか、あるいは両方が混在しているのかを正確に診断してもらい、継続的に管理していく意識で臨むと、満足のいく結果に近づきます。
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診療を行う美容医師が執筆しており、一般的な教育目的です。個別の医療アドバイスに代わるものではありません。
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